逮捕されてしまったら

薬物(大麻等)事件は現行犯以外でも逮捕される?後日逮捕されることも?

2026-03-11

「薬物を使用してしまった—。」そう感じた瞬間から、不安な日々が始まっていませんか?

「その場で見つからなければ大丈夫」と考えていても、実際には後日逮捕される可能性があります。薬物事件では、現行犯逮捕以外にも複数の逮捕パターンが存在し、数日後、あるいは数週間後に突然逮捕されるケースも少なくありません。

この記事では、薬物事件における現行犯以外の逮捕について、具体的なパターンや逮捕後の流れ、そして逮捕された場合の影響まで詳しく解説します。正しい知識を持つことで、今後の適切な対応につながるでしょう。

薬物事件は現行犯以外でも逮捕される?

薬物事件では、現行犯逮捕以外でも逮捕される可能性は十分にあります。

「その場で見つからなければ逮捕されない」と誤解されている方もいるかもしれませんが、実際には違います。警察官は証拠を収集し、裁判所から逮捕状を取得することで、後日逮捕を執行できるのです。薬物事件の特性上、尿検査の結果が出るまでに時間がかかることや、他の事件から情報が得られることもあるため、現場を離れた後でも逮捕されるケースは珍しくありません。

むしろ、薬物事件では現行犯以外の逮捕が多く見られます。これは、薬物の所持や使用の証拠を慎重に確認する必要があるためです。簡易検査では判別できない薬物もあり、正式な鑑定結果が出るまで数日から数週間かかることもあります。

現行犯逮捕とは

現行犯逮捕とは、犯罪が行われている最中、または犯罪が行われた直後に逮捕することを指します。

刑事訴訟法では、現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人と定義しています。この場合、逮捕状がなくても誰でも逮捕できる点が特徴です。警察官だけでなく、一般人でも現行犯逮捕は可能とされています。

薬物事件では、職務質問で薬物を所持していることが判明した場合や、薬物を使用している現場を目撃された場合などが現行犯逮捕に該当します。ただし、簡易検査で薬物かどうか判別できない場合は、その場では現行犯逮捕されず、後日逮捕となる可能性が高くなります。

薬物事件の現行犯以外で逮捕されるパターンは?

現行犯以外で逮捕される主なパターンには、通常逮捕(後日逮捕)と緊急逮捕の2種類があります。現行犯逮捕と類似するケースとして準現行犯逮捕という類型もありますがここでは説明を省略します。

どちらも現行犯逮捕とは異なる一定の要件を満たす必要があります。通常逮捕では裁判所が発行する逮捕状が必要となり、緊急逮捕では逮捕後に速やかに逮捕状を請求しなければなりません。また、緊急逮捕では対象の犯罪が一定の重大な罪に限られ、犯罪の嫌疑が濃厚であり、かつ急速を要する場合という通常逮捕と比べて厳格な要件を満たす必要があります。薬物事件では、証拠収集や嫌疑の確定に時間がかかることが多いため、通常逮捕が用いられることが一般的です。

通常逮捕のタイミングは事件の状況によって異なりますが、証拠が揃った段階で執行されます。そのため、薬物を使用した日から数日後、場合によっては数週間後に突然逮捕されることもあるのです。

通常逮捕(後日逮捕)

通常逮捕とは、裁判所が発行した逮捕状に基づいて行われる逮捕のことです。

警察官は犯罪の嫌疑があると判断した場合、裁判所に逮捕状を請求します。裁判所が逮捕の必要性を認めると逮捕状が発行され、警察官はそれをもって被疑者を逮捕できます。犯罪が発覚してから時間が経過した後に逮捕されることから「後日逮捕」とも呼ばれます。

薬物事件では、正式な鑑定結果が出るまで時間がかかるケースや、他の事件から情報を得て捜査を進めるケースなどで、通常逮捕が選択されることが多くなっています。逮捕状には被疑者の氏名や住所、罪名などが記載されており、警察は逮捕時にこれを被疑者に示さなければなりません。

緊急逮捕

緊急逮捕とは、重大な犯罪で逮捕の緊急性が高い場合に、逮捕状なしで逮捕できる制度です。

ただし、緊急逮捕後は直ちに裁判所に逮捕状を請求する必要があり、逮捕状が発行されなければ被疑者を釈放しなければなりません。通常逮捕と異なり、事前に逮捕状を取得する時間的余裕がない場合に限って認められる例外的な措置といえます。

薬物事件では、任意の採尿検査を拒否した場合などに緊急逮捕が行われることがあります。被疑者が証拠隠滅や逃亡のおそれがあると判断されると、緊急逮捕の要件を満たす可能性が高まります。ただし、すべての薬物事件で緊急逮捕が認められるわけではなく、犯罪の重大性や緊急性が総合的に判断されます。

薬物事件で現行犯逮捕されるケース

薬物事件で現行犯逮捕される代表的なケースは、職務質問で薬物の所持が発覚した場合です。

警察官が路上で職務質問を行い、所持品検査で大麻や覚醒剤などの薬物が見つかった場合、その場で現行犯逮捕されます。簡易検査キットで陽性反応が出れば、薬物である可能性が高いと判断され、即座に逮捕に至るケースが多くなっています。

また、薬物を使用している現場を目撃された場合も現行犯逮捕の対象となります。例えば、公園や路上で注射器を使用しているところを警察官に発見された場合や、車内で薬物を使用しているところを職務質問で確認された場合などが該当します。

さらに、家宅捜索中に薬物が発見された場合も現行犯逮捕されることがあります。家宅捜索が行われている最中に薬物が見つかれば、その時点で犯罪が明らかになるため、現行犯逮捕の要件を満たすのです。

薬物事件で現行犯以外で逮捕されるケース

薬物事件では、現場を離れた後でも様々な理由で逮捕される可能性があります。以下では、現行犯以外で逮捕される具体的なケースを詳しく見ていきましょう。

これらのケースでは、警察が証拠を収集し、逮捕状を取得してから逮捕を執行します。そのため、事件発生から逮捕までに数日から数週間の時間が経過することも珍しくありません。「その場を離れたから大丈夫」と安心していても、後日突然逮捕される可能性があることを理解しておく必要があります。

正式な鑑定結果後|通常逮捕

職務質問で発見された物質が簡易検査では判別できなかった場合、正式な鑑定を行い、陽性反応が出た段階で通常逮捕されることがあります。

簡易検査キットでは判別できない薬物や、新種の合成麻薬などは専門機関での詳細な鑑定が必要です。この鑑定には数日から数週間かかることがあり、その間は任意捜査として扱われます。しかし、鑑定結果で薬物であることが確定すれば、警察は逮捕状を請求し、後日逮捕を執行します。

尿検査の結果を待つ場合も同様です。職務質問時に任意で採尿に応じた場合、その場では逮捕されなくても、検査結果が陽性であれば後日通常逮捕されることになります。

他の薬物事件からの芋づる式|通常逮捕

他の薬物事件の捜査過程で情報を入手し、芋づる式に通常逮捕されるケースも多く見られます。

薬物の売人や使用者が逮捕されると、警察官はその人物の携帯電話やパソコンを押収して分析します。そこから取引相手や共犯者の情報が明らかになり、次々と逮捕されていくのです。LINEやメールの履歴、通話記録などから、薬物の譲渡や使用に関与していた人物が特定されます。

また、逮捕された者の供述から新たな容疑者が浮上することもあります。「誰から薬物を入手したか」「誰と一緒に使用したか」といった情報が捜査の手がかりとなり、関係者が次々と逮捕されていきます。このような場合、事件発生から数ヶ月後に突然逮捕されることもあり得ます。

家宅捜索|通常逮捕

他の薬物事件から入手した情報や通報をもとに警察官が家宅捜索を行い、薬物や使用痕跡が見つかった場合に通常逮捕されることがあります。

家宅捜索は裁判所が発行する捜索令状に基づいて実施されます。警察は事前に十分な証拠を収集し、裁判所の許可を得てから被疑者の自宅や関係先などを捜索します。そこで薬物本体、注射器、パイプなどの使用器具、薬物の残滓などが発見されれば、後日逮捕状を執行して通常逮捕する場合もあります(薬物所持の現行犯として現行犯逮捕する場合もあります)。

近隣住民からの通報がきっかけで家宅捜索が行われることもあります。「異臭がする」「不審な人物の出入りが多い」「夜間でも煌々と明かりがついている」といった情報が警察に寄せられると、捜査が開始される可能性があります。家宅捜索の結果、薬物使用や所持、譲渡や栽培の証拠が見つかれば逮捕は免れません。

任意捜査を拒否|緊急逮捕

任意の採尿検査などを拒否した場合、強制捜査が必要と判断されて緊急逮捕されることがあります。

警察官は薬物使用の疑いがある人物に対して、任意で採尿を求めることがあります。これは強制ではないため拒否することも可能ですが、拒否すると「証拠隠滅のおそれがある」と判断される可能性が高まります。その結果、緊急逮捕されて強制的に採尿されることになるのです。

緊急逮捕後は直ちに裁判所に逮捕状を請求する必要があり、逮捕状が発行されなければ釈放されます。しかし、薬物使用の疑いが濃厚で証拠隠滅のおそれがあると認められれば、逮捕状が発行される可能性は高いでしょう。任意捜査を拒否することで、かえって不利な状況に陥ることもあるのです。

薬物事件は初犯でも逮捕される?

薬物事件では、初犯であっても逮捕される可能性が非常に高いといえます。

他の犯罪では初犯の場合に在宅捜査で済むケースもありますが、薬物事件は別です。薬物犯罪は証拠隠滅や逃亡のおそれが高いと判断されやすく、初犯であっても身柄拘束される可能性が高くなっています。実際、薬物事件で検挙された者の多くが、初犯であっても逮捕・勾留されているのが現状です。

この背景には、薬物の性質が関係しています。薬物は簡単に処分できるため、証拠隠滅が容易です。また、薬物使用の証拠となる尿や血液は時間とともに体外に排出されてしまいます。そのため、警察は早期に身柄を確保して証拠を保全する必要があるのです。

さらに、薬物犯罪に対する社会的な厳罰化傾向も影響しています。薬物の蔓延を防ぐという政策的な観点から、初犯であっても厳しく対応される傾向にあります。「初めてだから大丈夫」という考えは通用しないと理解しておくべきでしょう。

薬物事件で現行犯・現行犯以外で逮捕された後の流れ

薬物事件で逮捕されると、刑事手続きが段階的に進んでいきます。各段階での対応が、その後の処分に大きく影響します。

逮捕から判決までの期間は事件の内容によって異なりますが、最短でも1,2か月、長い場合は数ヶ月に及ぶこともあります。この間、身柄拘束が続く可能性が高く、日常生活への影響は避けられません。以下では、逮捕後の具体的な流れを時系列で解説します。

逮捕による身柄拘束|48時間

逮捕されると、警察署の留置場に拘束され、最大48時間の取り調べを受けます。

この48時間以内に、警察は被疑者を取り調べて事件の全容を解明しようとします。薬物の入手経路、使用頻度、共犯者の有無などについて詳しく聴取されるでしょう。取り調べでは供述調書が作成され、これが後の裁判で重要な証拠となります。

逮捕直後は原則弁護士以外との接見が禁止され、家族であっても会うことができません。この期間は非常に不安な状況に置かれるため、早期に弁護士を選任することが重要です。

検察官による勾留請求|24時間

警察官による取り調べが終わると、検察庁に事件が送致され、24時間以内に勾留請求の判断が行われます。

検察官は警察官から送られてきた証拠や供述調書を検討し、さらに身柄拘束が必要かどうかを判断します。勾留が必要と判断されれば、裁判所に勾留請求を行います。この段階でも被疑者は取り調べを受け、検察官に対して弁解する機会が与えられます。

検察官が勾留請求をしないと判断した場合、または裁判所が勾留請求を却下した場合は釈放されます。しかし、薬物事件では証拠隠滅や逃亡のおそれが認められやすいため、勾留請求され、裁判所が勾留を決定するケースがほとんどです。

勾留決定による身柄拘束|最長20日間

裁判所が勾留を認めると、さらに最長20日間の身柄拘束が続きます。

勾留期間は10日間であり、必要があればさらに10日間延長されます。つまり、逮捕から起訴までの間に最大23日間(逮捕48時間+検察官送致24時間+勾留20日間)も身柄拘束される可能性があるのです。この期間中も警察官や検察官による取り調べが続きます。

勾留中は留置場での生活を余儀なくされ、外出はもちろんできません。仕事や学校に行くことができず、日常生活は完全に制限されます。接見禁止が付いている場合は家族との面会も認められません。

検察官による終局処分(起訴・不起訴)

勾留期間が終了すると、検察官が起訴するか不起訴にするかを決定します。勾留期間中に起訴・不起訴の判断ができない場合は処分を保留して釈放し、在宅で捜査が続くことがあります。

起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求めることです。薬物事件では証拠が明確な場合が多く、起訴される可能性が高いといえます。一方、不起訴となれば刑事裁判は行われず、前科も付きません。しかし、薬物事件で不起訴になるケースは少ないのが実情です。

起訴には「公判請求」と「略式命令請求」の2種類があります。公判請求は正式な刑事裁判を行う手続きで、略式命令請求は書面審理のみで罰金刑を科す簡易な手続きです。薬物事件の多くの事案の場合罰金刑を定めていない類型のため略式命令請求とならず公判請求されるケースがほとんどです。

刑事裁判・判決

起訴されると、刑事裁判が開始され、最終的に判決が言い渡されます。

裁判では検察官が証拠を提出し、被告人の有罪を立証しようとします。被告人側は弁護士とともに弁解や情状酌量を求める主張を行います。薬物事件の裁判では、薬物の種類や量、使用頻度、反省の態度、更生の可能性などが量刑の判断材料となります。

初犯で所持量が少なく、事実を認め深く反省している場合は執行猶予付きの判決となる可能性が高いです。しかし、常習性が認められる場合や営利目的での所持や譲渡が認められる場合は、初犯でも実刑判決となることも珍しくありません。有罪判決が確定すると前科が付き、実刑の場合は刑務所に収容されることになります。

薬物事件で現行犯・現行犯以外で逮捕された場合の影響

薬物事件で逮捕されると、法的な処罰だけでなく、社会生活全般に深刻な影響が及びます。

逮捕による影響は一時的なものではありません。身柄拘束による直接的な影響はもちろん、会社や学校での立場、家族関係、将来のキャリアなど、人生のあらゆる側面に長期的な影響を及ぼす可能性があります。以下では、具体的にどのような影響が考えられるのかを見ていきましょう。

長期間の身柄拘束

逮捕されると最長23日間の身柄拘束を受け、精神的・肉体的な負担が大きくなります。

留置場での生活は自由が厳しく制限され、決められた時間に食事や就寝をしなければなりません。外部との連絡も制限され、接見禁止が付けられると家族にも会えない状況が続きます。この閉鎖的な環境での生活は、想像以上に大きなストレスとなるでしょう。

また、取り調べも連日行われるため、肉体的な疲労も蓄積します。慣れない環境での生活と取り調べの緊張感により、体調を崩す人も少なくありません。釈放されることなく起訴されれば、さらに身柄拘束が長期化する可能性もあります。

会社・学校から処分を受ける可能性がある

長期的な身柄拘束によって会社や学校に事件が発覚し、解雇や退学処分を受けるおそれがあります。

数日間の欠勤や欠席であれば理由を誤魔化すこともできるかもしれませんが、23日間も連絡が取れない状況が続けば、必ず不審に思われます。会社や学校が事件を知れば、就業規則や学則に基づいて処分を検討することになるでしょう。薬物事件は社会的に厳しく見られるため、解雇や退学となる可能性は高いといえます。

仮に処分を免れたとしても、職場や学校での信頼は大きく損なわれます。復帰後も周囲の目が気になり、以前のような関係を築くことは難しくなるかもしれません。このような社会的な影響は、法的な処罰以上に長く尾を引くことがあります。

前科が付く可能性が高い

起訴されて有罪判決を受けると前科が付き、様々なデメリットが生じます。

前科があると就職や転職の際に不利になる可能性があります。特に公務員や金融機関、教育関係など、一定の職業では前科があることが欠格事由となり、職に就くことができない可能性があります。民間企業でも採用時に賞罰欄への記入を求められることがありますので、前科があることを知られて採用を見送られる可能性もあります。

また、海外渡航にも影響が出る場合があります。国によっては入国時に犯罪歴を申告する必要があり、薬物犯罪の前科があると入国を拒否されることもあります。ビザの取得が困難になるケースもあり、海外出張や海外旅行に支障をきたす可能性があるのです。

さらに、前科は一生消えることがありません。執行猶予期間を無事に終えたり刑期を終えたりしても、前科の記録は残り続けます。ですが、執行猶予期間の経過や刑罰を受けてから一定期間経過している場合には欠格事由に該当していた職に就いたり、資格を取得することができるようになります。

就職や転職、資格の取得など、前科が付くことによる影響は多岐にわたり、長期的に人生に影響を及ぼすことになります。

家族が薬物事件で現行犯・現行犯以外で逮捕された場合の対処法

家族が薬物事件で逮捕されたら、まずは冷静に状況を把握し、早急に弁護士に相談することが最も重要です。

逮捕の連絡を受けたら、まず逮捕された警察署と罪名を確認しましょう。警察署からの連絡がない場合でも、家族が突然帰宅しないなど不審な点があれば、近隣の警察署に問い合わせることができます。ただし、捜査の状況によっては詳しい情報を教えてもらえないこともあります。

次に、できるだけ早く弁護士を選任することが重要です。弁護士は逮捕直後から接見(面会)できる唯一の人物であり、本人の状況を確認し、適切なアドバイスを与えることができます。初回接見で本人の精神状態を確認し、取り調べへの対応方法を助言してもらえます。

また、本人に有利な事情があれば、それを示す証拠を集めておくことも大切です。例えば、就職先からの評価書、家族の監督誓約書、更生施設への入所準備などが情状酌量の材料となります。弁護士と相談しながら、早期釈放や執行猶予獲得に向けた活動を進めていきましょう。

薬物事件で現行犯逮捕された事例・現行犯逮捕以外の理由で逮捕された事例

弁護士法人あいち刑事事件総合法律所は、薬物犯罪を含む数多くの刑事事件の弁護活動を担当した実績を誇る法律事務所です。

ここからは、実際に弊所が担当した薬物事件の事例を紹介します。

事例①:大麻を所持し現行犯逮捕された事例

Aさんは職務質問を受けることになり、所持品検査が行われました。検査の結果、乾燥大麻とMDMAが見つかり、麻薬及び向精神薬取締法違反(大麻所持)の疑いで現行犯逮捕されました。

その後、Aさんは麻薬及び向精神薬取締法違反(大麻・MDMA所持、MDMA施用)の疑いで起訴されました。弁護士は裁判所へ保釈請求書を提出しAさんの保釈を求めました。保釈請求書の提出により、Aさんの保釈は認められました。

事例②:有償で大麻を譲り渡し後日逮捕(通常逮捕)された事例

Aさんは、Aさんが大麻草を譲渡した者が逮捕されたことをきっかけに、営利目的で大麻草を有償で譲り渡したとして、譲渡した日から約2か月後に大麻取締法違反(営利目的による有償譲渡)で通常逮捕されました。また、Aさんは60株にも及ぶ大麻草を栽培していたとして大麻取締法違反(営利目的による栽培・所持)で再逮捕されました。※法改正前のため大麻取締法が適用されています。

Aさんは大麻草の有償譲渡や所持、栽培は認めていましたが、営利目的については否認していました。否認事件では接見禁止決定がついてしまうことが多々あるのですが、Aさんも例外ではなく、家族も含め面会等が禁止されてしまいました。弁護士による接見等禁止一部解除の申し立てにより、Aさんは家族らに限り、面会や手紙の差し入れ等が許されることになりました。

起訴後、弁護士はAさんの保釈を裁判所に求めました。保釈請求書の提出により、Aさんは保釈が認められました。

【お客様の声】ご依頼者様から頂いた感謝の手紙

ご依頼者様から頂いた感謝の手紙を紹介します。

家族が薬物事件で現行犯・現行犯以外で逮捕されたら弁護士へ

薬物事件で逮捕されたら、一刻も早く弁護士に刑事弁護活動を依頼することを強く推奨します。

弁護士に依頼するメリットは数多くあります。まず、逮捕直後から本人に接見して精神的なサポートを提供できます。また、取り調べへの適切な対応方法をアドバイスし、不利な供述を避けることができます。さらに、早期釈放に向けた勾留阻止・勾留取消の活動や、不起訴処分を目指した検察官への働きかけも可能です。

起訴された場合でも、弁護士は執行猶予獲得に向けた弁護活動を展開します。情状証人の手配、更生計画の立案など、量刑を軽くするための様々な活動を行います。薬物事件は専門的な知識が必要な分野であるため、刑事事件に精通した弁護士に依頼することが重要です。

薬物事件は現行犯以外でも逮捕される可能性が十分にあり、逮捕後の影響は非常に大きなものとなります。早期の段階で適切な法的サポートを受けることが、その後の人生を左右することになるでしょう。家族が逮捕された場合は、すぐに弁護士に相談し、最善の対応を取ることをお勧めします。

薬物事件で逮捕された後の流れは?薬物犯罪で逮捕されると実刑判決になる?

2026-02-27

大麻や覚醒剤、危険ドラッグの所持や使用等による薬物事件。逮捕される可能性も非常に高く、初犯であっても実刑判決となる可能性は少なくありません

本記事では、薬物事件で逮捕された後の流れや薬物事件で逮捕された場合に起こり得る影響について解説していきます。規制されている薬物や問われる罪、刑罰についても徹底解説。

「薬物を使用してしまって逮捕されるか心配、、」
「家族が薬物事件で逮捕されてしまった、、」

といった方は、ぜひ最後まで本記事をご覧ください。

薬物事件とは

薬物事件とは、法律で規制されている薬物の所持・使用・譲渡・製造・輸入などの行為により成立する犯罪を指します。日本では複数の法律によって様々な薬物が規制されており、これらに違反した場合には刑事罰の対象となります。

薬物犯罪は被害者のいない犯罪と思われがちですが、薬物依存による健康被害や社会的影響の大きさから、厳しく取り締まられている犯罪類型です。近年では著名人の逮捕も相次いでおり、社会的な関心も高まっています。

では、具体的にどのような法律で薬物が規制されているのでしょうか?

薬物を規制している法律一覧

日本で薬物を規制している主な法律と、それぞれが対象とする薬物を以下の表にまとめました。

法律名 規制対象薬物
大麻取締法 大麻草(栽培)
覚醒剤取締法 覚醒剤(メタンフェタミン等)
麻薬及び向精神薬取締法 ヘロイン、MDMA、コカイン、LSD、大麻等の麻薬、向精神薬
あへん法 あへん、けしがら
毒物及び劇物取締法 シンナー等の有機溶剤
医薬品医療機器等法 危険ドラッグ(指定薬物)

それぞれの法律は独立して存在しており、違反した場合の罰則内容も異なります。次の章では、各薬物の特徴と具体的な罰則について詳しく見ていきましょう。

薬物犯罪となる薬物と問われる罪

薬物犯罪として処罰される薬物は多岐にわたります。ここでは代表的な薬物について、その特徴と問われる罪、そして罰則内容を詳しく解説します。

同じ薬物であっても、所持なのか使用なのか、あるいは営利目的なのかによって刑罰の重さは大きく変わってきます。正確な知識を持つことが重要です。

大麻

大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)およびその製品を指します。マリファナ、ハシシ(大麻樹脂)、ハシシオイル(大麻樹脂から抽出した液体)などの形態があります。

大麻の栽培は大麻取締法によって規制されており、以下の行為が禁止されています

禁止行為 罰則
栽培 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での栽培 1年以上の拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科

2024年12月12日に大麻取締法は改正され、大麻の使用や所持などは後述の麻薬取締法違反になりました。ただし、大麻草の栽培に関しては、改正後も大麻取締違反となります。

覚醒剤

覚醒剤とは、中枢神経を興奮させる作用を持つ薬物で、代表的なものにメタンフェタミン(ヒロポン)やアンフェタミンがあります。強い精神依存性があり、乱用による健康被害が深刻な薬物です。

覚醒剤は覚醒剤取締法によって厳しく規制されています

禁止行為 罰則
所持 10年以下の拘禁刑
使用 10年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 10年以下の拘禁刑
製造 1年以上の有期拘禁刑
輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 無期若しくは3年以上の拘禁刑、情状により1,000万円以下の罰金併科

覚醒剤犯罪は日本で最も検挙件数が多い薬物犯罪であり、再犯率も高いことが特徴です。初犯でも実刑判決となるケースがあります

ヘロイン(麻薬)

ヘロインは、モルヒネを化学的に合成した麻薬で、極めて強い身体依存性と精神依存性を持ちます。医療用途での使用も一切認められていない、最も危険性の高い薬物の一つです。

ヘロインは麻薬及び向精神薬取締法によって規制されています

禁止行為 罰則
所持 10年以下の拘禁刑
使用 10年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 10年以下の拘禁刑
製造 1年以上の有期拘禁刑
輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 無期または3年以上の拘禁刑、情状により1,000万円以下の罰金併科

ヘロインは海外から密輸入されるケースが多く、組織的な犯罪として扱われることがあります。罰則も非常に重く設定されています

ヘロイン以外の麻薬(MDMA・コカイン等)

ヘロイン以外にも、MDMA(エクスタシー)、コカイン、LSD、マジックマッシュルーム、大麻など、多くの物質が麻薬として規制されています。これらは若者を中心に乱用が広がっており、クラブやパーティーでの使用が問題となっています。

これらの麻薬も麻薬及び向精神薬取締法で規制されています

禁止行為 罰則
所持 7年以下の拘禁刑
使用 7年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 7年以下の拘禁刑
製造 1年以上10年以下の拘禁刑
輸入・輸出 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上10年以下の拘禁刑、情状により300万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科

ヘロインと比較すると罰則はやや軽いものの、それでも重い刑罰が科される可能性があります。

向精神薬

向精神薬とは、中枢神経系に作用し、精神機能に影響を及ぼす薬物の総称です。睡眠薬や抗不安薬として医療現場で使用されるものもありますが、乱用すると依存性が生じます。

向精神薬は麻薬及び向精神薬取締法で規制されており、医師の処方なく使用・所持することが禁止されています

禁止行為 罰則
所持 3年以下の拘禁刑
使用 3年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 3年以下の拘禁刑
製造 5年以下の拘禁刑
輸入・輸出 5年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 5年以下の拘禁刑、情状により100万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 7年以下の拘禁刑、情状により200万円以下の罰金併科

処方薬の横流しなどが問題となっており、安易な気持ちで手を出すと犯罪となる点に注意が必要です。

シンナー

シンナーは有機溶剤の一種で、塗料やラッカーの薄め液として使用される工業用品です。吸引すると幻覚や興奮状態を引き起こしますが、脳や内臓に深刻なダメージを与えます。

シンナーは毒物及び劇物取締法によって規制されています

禁止行為 罰則
吸引目的での所持 1年以下の拘禁刑、50万円以下の罰金、またはその併科
吸引 1年以下の拘禁刑、50万円以下の罰金、またはその併科
吸引目的での譲渡・譲受 2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、またはその併科
吸引目的での提供 3年以下の拘禁刑、200万円以下の罰金、またはその併科

未成年者の乱用が多いことから、販売時の身分確認などの対策も強化されています。

危険ドラッグ

危険ドラッグとは、麻薬や覚醒剤と似た作用を持ちながら、法律の規制を逃れるために化学構造を少し変えた物質です。以前は「脱法ドラッグ」「合法ハーブ」などと呼ばれていました。

危険ドラッグは医薬品医療機器等法で指定薬物として規制されています

禁止行為 罰則
所持 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
使用 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
譲渡・譲受 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
製造 5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその併科
輸入・輸出 5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその併科
販売目的での陳列 5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその併科

危険ドラッグは成分や効果が不明確なため、予想外の健康被害が発生するリスクが高く、極めて危険です。

あへん

あへんは、けしの実から採取される薬物で、モルヒネやヘロインの原料となります。古くから鎮痛剤として使用されてきましたが、強い依存性があるため厳しく規制されています。

あへんはあへん法によって規制されています

禁止行為 罰則
所持 7年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 7年以下の拘禁刑
吸食 7年以下の拘禁刑
けしの栽培 1年以上10年以下の拘禁刑
輸入・輸出 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上10年以下の拘禁刑、情状により300万円以下の罰金併科
営利目的での栽培・輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科

現在日本ではあまり見られませんが、依然として厳しい罰則が定められています。

薬物事件は逮捕される可能性が高い?

結論から言えば、薬物事件は逮捕される可能性が非常に高い犯罪類型です。他の犯罪と比較しても、逮捕率が高いことが特徴となっています。

なぜ薬物事件で逮捕される可能性が高いのでしょうか? その理由は主に3つあります。

第一に、証拠隠滅のおそれが高いためです。薬物は物的証拠そのものであり、容疑者が自由な状態では薬物を処分したり、共犯者に連絡して証拠を隠滅したりする可能性があります。警察としては、確実に証拠を確保するために身柄を拘束する必要があるのです。

第二に、逃亡のおそれがあると判断されやすいためです。薬物犯罪で有罪となれば実刑判決を受ける可能性が高く、容疑者が逃亡を図る動機が強いと考えられます。特に営利目的の事案や組織的な犯罪の場合、この傾向は顕著です。

第三に、余罪の追及や共犯者の特定が必要なためです。薬物犯罪は単独犯ではなく、売人や仲間との関係性があることが多くあります。警察は取り調べを通じて薬物の入手ルートや他の関係者を明らかにする必要があり、そのためには身柄を確保して集中的に捜査を進める必要があるのです。

これらの理由から、薬物事件では在宅での捜査ではなく、逮捕・勾留という身柄拘束を伴う捜査が選択されやすくなっています。軽微な事案であっても、逮捕されるケースは珍しくありません

薬物事件で逮捕されるパターン

薬物事件での逮捕には、いくつか典型的なパターンがあります。ここでは代表的な2つのパターンについて、具体的な流れを見ていきましょう。

逮捕のパターンを知っておくことで、万が一の際に適切な対応を取ることができます。

職務質問

職務質問から薬物の所持や使用が発覚するケースは、最も多い逮捕パターンです。

警察官は、挙動不審な様子や薬物使用を疑わせる兆候がある人物を見つけると、職務質問を行います。具体的には、深夜の繁華街で目が虚ろな状態でふらついている、不自然に警察を避けようとする、注射痕があるなどの特徴が見られた場合です。

職務質問の段階では任意の協力であり、強制力はありません。しかし、警察官が薬物所持の疑いを強めた場合、所持品検査を求められます。この時点でバッグやポケットから薬物が発見されれば、その場で現行犯逮捕となります

また、尿検査への協力を求められるケースもあります。尿検査自体は任意ですが、拒否すると逆に疑いが深まる場合があります。尿検査で陽性反応が出れば、薬物使用の疑いで逮捕されることになります

職務質問への対応は慎重に行う必要があります。虚偽の説明をすると状況が悪化する可能性があるため、弁護士への相談を検討すべきでしょう。

他の仲間や売人が逮捕される

薬物犯罪では、芋づる式に逮捕者が広がっていくパターンも非常に多く見られます

まず売人や薬物仲間の一人が逮捕されると、警察はその人物のスマートフォンや連絡先、取引記録などを詳しく調べます。メッセージアプリの履歴や通話記録から、他の購入者や関係者の情報が明らかになることがあるのです。

逮捕された人物が取り調べで供述すれば、さらに具体的な情報が警察に渡ります。「誰にいつ売ったか」「誰と一緒に使用したか」といった内容が明らかになり、警察は順次捜査対象を広げていきます。

この場合、まったく予兆なく突然自宅や職場に警察が来て逮捕されることになります。過去に薬物を使用・所持していたとしても、時間が経っているからといって安心はできません。証拠や供述が揃えば、数か月前の行為であっても逮捕される可能性があります。

薬物の売人や使用仲間との関係は、将来的に自分への捜査につながるリスクがあることを認識しておく必要があります。

薬物事件で逮捕された後の流れ

薬物事件で逮捕されると、その後どのような手続きが進んでいくのでしょうか? ここでは逮捕から刑事裁判までの具体的な流れを解説します。

刑事手続きの流れを理解しておくことは、適切な対応を取るために不可欠です。

逮捕・勾留

逮捕されると、まず警察署の留置場に身柄を拘束されます。逮捕後48時間以内に、警察は事件を検察官に送致しなければなりません

検察官に送致されると、検察官は24時間以内(逮捕時から通算72時間以内)に、裁判所に勾留請求を行うかどうかを判断します。勾留請求とは、さらに身柄拘束を継続することを裁判所に求める手続きです。

勾留が認められると、原則10日間の身柄拘束が続きます。この期間中、警察や検察による取り調べが行われます。捜査の必要性が認められれば、さらに最大10日間の勾留延長が認められることがあります。つまり、最長で20日間の勾留が可能ということです

勾留中は原則として外部との連絡が制限されます。ただし、弁護士との接見(面会)は制限されないため、早期に弁護士を依頼することが重要となります。家族との面会も、捜査への影響がないと判断されれば認められることがあります。

この段階での対応が、その後の処分に大きく影響します。取り調べでの供述内容は慎重に考える必要があります。

検察官の終局処分(起訴・不起訴)

勾留期間が終了するまでに、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。これを終局処分と呼びます。

起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求める手続きです。起訴されると正式に被告人となり、刑事裁判が開かれることになります。日本では起訴された場合の有罪率が99%以上と非常に高く、起訴されることは実質的に有罪を意味すると言えるでしょう。

一方、不起訴とは、検察官が裁判を求めない処分です。証拠不十分、起訴猶予(情状により訴追を見合わせる)などの理由で不起訴となった場合、刑事手続きはそこで終了し、前科もつきません

薬物事件の場合、初犯で所持量が少量であり、本人が反省して治療を受ける意思を示しているようなケースでは不起訴(起訴猶予)となる可能性があります。ただし、覚醒剤やヘロインなど重大な薬物の場合や、営利目的の場合、再犯の場合は、起訴される可能性が高くなります。

不起訴を獲得するためには、弁護士による適切な弁護活動が必要不可欠です

刑事裁判(公判)

起訴されると、刑事裁判(公判)が開かれます。裁判では、検察官が証拠を提出して犯罪事実を立証し、弁護人が被告人に有利な事情を主張します。

薬物事件の量刑相場は、初犯か再犯か、薬物の種類、所持量などによって大きく異なります

初犯の場合、大麻の単純所持であれば執行猶予付き判決となる可能性が高いでしょう。具体的には、6か月〜1年の拘禁刑、執行猶予3年程度が一般的です。覚醒剤の所持・使用の初犯でも、所持量が少量で反省の態度が見られれば、1年6か月の拘禁刑、執行猶予3年程度の判決となることが多くあります。

一方、再犯の場合は厳しい判断がなされます。特に執行猶予期間中の再犯や、執行猶予明け5年以内の再犯では、実刑判決となる可能性が極めて高くなります。覚醒剤の再犯では2年〜3年の実刑判決が一般的で、複数回の前科がある場合はさらに重い刑が科されます。

営利目的での所持・譲渡や、大量の薬物を扱っていた場合、組織的な犯行の場合は、初犯であっても実刑判決となる可能性があります。このようなケースでは5年以上の重い刑が科されることも珍しくありません。

執行猶予を獲得できるかどうかは、本人の更生意欲や再犯防止の取り組み、家族のサポート体制などが重要な判断要素となります。

薬物事件で逮捕・起訴された場合の影響

薬物事件で逮捕・起訴されると、刑事罰だけでなく社会生活にも深刻な影響が及びます。ここでは具体的な影響について解説します。

将来への影響を最小限に抑えるためにも、早期の対応が重要です。

会社から解雇される恐れがある

薬物事件で逮捕されると、会社から解雇される可能性が高くなります

まず、逮捕・勾留によって長期間会社を欠勤することになります。無断欠勤が続けば、それだけで就業規則違反として懲戒処分の対象となり得ます。また、多くの企業の就業規則には「刑事事件で起訴された場合」や「会社の名誉を著しく傷つけた場合」を懲戒解雇の事由として定めています。

特に問題となるのは、報道されるケースです。逮捕の事実が新聞やテレビで報道されれば、会社の社会的信用が損なわれる恐れがあります。企業としては、そのような従業員を雇用し続けることは難しいと判断せざるを得ません。

公務員の場合はさらに厳しく、薬物犯罪で有罪判決を受けると法律上当然に失職します。資格職(医師、弁護士、教員など)の場合も、資格停止や剥奪の処分を受ける可能性があります。

ただし、不起訴となった場合や、起訴されても執行猶予判決となった場合は、必ずしも解雇されるとは限りません。会社との信頼関係の修復に努めることで、雇用を継続できる可能性もあります

学校から退学処分を受ける恐れがある

学生が薬物事件で逮捕された場合、学校から退学処分を受ける恐れがあります

多くの学校の校則や学則には、「犯罪行為を行った場合」「学校の名誉を著しく傷つけた場合」を懲戒処分の事由として定めています。薬物犯罪は重大な刑事事件であり、退学処分の対象となり得ます

特に中学・高校の場合、義務教育後の段階であり、学校側は教育的配慮よりも他の生徒への影響や学校の評判を重視する傾向があります。逮捕の事実が他の生徒や保護者に知られれば、退学処分となる可能性は高まるでしょう。

大学の場合も同様です。大学は社会的な責任を負う立場にあるため、薬物犯罪を起こした学生に対しては厳しい処分を下すことが一般的です。特に医学部や薬学部などの専門課程では、将来の職業倫理の観点からも厳格な対応がなされます。

ただし、不起訴となった場合や、本人が深く反省して更生の意思を示している場合、停学処分など退学以外の処分で済むケースもあります。学校側との誠実な対話が重要となります。

薬物事件で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット

薬物事件で逮捕された場合、できるだけ早く弁護士に依頼することが極めて重要です。弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを見ていきましょう。

適切な弁護活動によって、処分や刑罰が大きく変わる可能性があります。

メリット①:逮捕直後・勾留前に接見ができる

逮捕直後から弁護士は本人と接見(面会)することができます。これは弁護士だけに認められた権利であり、家族であっても逮捕直後の面会は原則として認められません。

逮捕直後は本人が最も不安を感じている時期です。今後の流れがわからず、どう対応すればいいのかパニックになっている状態では、取り調べで不利な供述をしてしまう恐れがあります。

弁護士が早期に接見することで、以下のようなサポートが可能になります。

まず、今後の手続きの流れを説明し、本人の不安を和らげることができます。また、取り調べでの対応方法についてアドバイスを行い、黙秘権の行使や不当な取り調べへの対処法を伝えることができます。

さらに、勾留請求に対して意見書を提出するなど、身柄拘束の長期化を防ぐための活動を迅速に開始できます。初動が早ければ早いほど、勾留阻止の可能性は高まります

家族への連絡や職場への対応についても、弁護士を通じて適切に進めることができるでしょう。

メリット②:保釈に向けた弁護活動ができる

起訴された後は、保釈請求を行うことで身柄拘束から解放される可能性があります

保釈とは、一定の保証金を納付することで、裁判が確定するまで身柄を釈放してもらう制度です。保釈が認められれば、仕事を続けながら裁判に臨むことができ、家族と一緒に更生のための取り組みを進められます。

弁護士は、保釈請求書を作成し、裁判所に対して保釈を認めるべき理由を詳細に主張します。具体的には、逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、家族の監督体制が整っていること、治療や更生プログラムへの参加意思があることなどを説得的に示します。

薬物事件では、薬物依存の治療プログラムへの参加や、専門クリニックでの治療計画を提示することで、保釈が認められやすくなります。弁護士は医療機関との連携も含めて、包括的な更生計画を立案します。

保釈保証金の金額は事案によって異なりますが、一般的に200万円程度となることが多いでしょう。この金額についても、弁護士が適正な額となるよう裁判所に働きかけます。

メリット③:執行猶予を目指す弁護活動ができる

刑判決を回避して執行猶予付き判決を獲得することは、薬物事件における弁護活動の最重要目標す。

執行猶予が付けば、刑務所に入ることなく社会生活を続けながら更生を図ることができます。仕事や学業を継続でき、家族との生活も維持できるため、社会復帰への道が大きく開けます。

弁護士は、執行猶予を得るために以下のような弁護活動を行います。

まず、本人が深く反省していることを示すための反省文や謝罪文の作成をサポートします。また、薬物依存からの脱却に向けた具体的な計画を立て、専門医療機関での治療や自助グループへの参加を手配します。

家族による監督体制の構築も重要です。弁護士は家族と面談し、本人を支えるための環境整備について助言します。場合によっては、家族からの嘆願書や監督誓約書を作成し、裁判所に提出します。

さらに、情状証人として家族や雇用主に法廷で証言してもらうための準備も行います。こうした総合的な活動によって、執行猶予判決の可能性を高めることができるのです。

被害者のいない薬物犯罪では、いかに本人の更生可能性を示せるかが判決を左右します。

メリット④:再犯防止のためのサポートができる

薬物犯罪の最大の問題は、高い再犯率です。薬物依存は病気であり、適切な治療とサポートがなければ再び薬物に手を出してしまう可能性があります。

弁護士は、再犯防止のための包括的なサポート体制の構築を支援します

具体的には、薬物依存症の治療を専門とするクリニックや病院を紹介し、継続的な通院治療を受けられるよう手配します。精神科医やカウンセラーとの連携も重要です。

また、ダルクやNA(ナルコティクス・アノニマス)などの自助グループへの参加を勧め、同じ問題を抱える仲間との支え合いの場を提供します。こうした取り組みは、裁判での情状面でもプラスに評価されます。

家族に対しても、薬物依存症への正しい理解を促し、本人を支えるための方法をアドバイスします。家族が適切に関与することで、再犯リスクは大きく低減できます

執行猶予期間中や刑務所出所後も、弁護士は継続的な相談相手として本人や家族をサポートします。法的な問題だけでなく、社会復帰全般について助言を得られることは大きな安心材料となるでしょう。

実際に依頼を受けた薬物事件の事例紹介

実際にあった薬物の事件をもとに、薬物事件で考えられる弁護活動について紹介します。

事例①:大麻の薬物事件で接見禁止を一部解除

こちらの事件は、大麻を所持していたことが勤務先で発覚して逮捕されたという大麻取締法違反事件(※事件当時の罪名)でした。

本来、勾留が付いたとしても接見(面会)を行うことができますが、本事件では接見禁止が付いたため、家族も面会ができないような状態でした。しかし、接見禁止が付いた状態でも弁護士は例外として接見することができます

依頼を受けた弁護士は、まずはご家族が本人と面会できるように接見禁止一部解除の申立てを行うことから始めました。接見禁止の一部解除とは、裁判所に許可をもらって家族など一部の人達だけ接見を可能にすることです。

接見を禁止するのは、共犯者が来て証拠隠滅を依頼する可能性を考えてのことです。そのため、弁護士が家族は事件に無関係であることを書面で主張した結果、接見禁止の一部解除が認められ、ご家族は面会ができるようになりました

事例②:麻薬の薬物事件で保釈許可を獲得~

こちらの事件は、麻薬の売人が逮捕されたことで芋づる式に購入者も逮捕されたという麻薬及び向精神薬取締法事件でした。

起訴されて正式に裁判を受けることになった後にご家族から依頼を受けたため、弁護士は最初に保釈を目指した弁護活動を始めました。保釈を認めてもらうには、まず逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張することが重要です。さらに、薬物事件の場合は薬物を再度使わないことの主張も重要になってきます。

また、薬物治療のために病院に通う予定であることと、社会に戻った場合は家庭と職場双方で事情を理解している人たちが監督できること等を確認した上で、保釈を求めるための保釈請求書を裁判所に提出しました。弁護士からの懸命な保釈を求める主張もあり、結果として保釈が認められて身柄拘束から解放されることになりました

このように薬物による再犯を防ぐ取り組みをすることが、薬物事件で保釈許可を獲得する際に効果的です。保釈を認めてもらいやすくするためにも、具体的な対策を立てて弁護活動を行うことが重要です。

薬物事件で逮捕されたら早急に弁護士へ相談を

薬物事件で逮捕された場合、その後の人生を大きく左右する重要な局面を迎えます。

逮捕から起訴までの初動対応、保釈の実現、執行猶予の獲得、そして再犯防止—これらすべての段階で、弁護士による専門的なサポートが不可欠。特に逮捕直後の72時間は、勾留を阻止できるかどうかの重要な分岐点となります

薬物犯罪は依存症という病気の側面があり、処罰だけでは解決しません。適切な治療と更生プログラムを組み合わせた総合的なアプローチが必要です。

もし本人や家族が薬物事件で逮捕されてしまったら、一刻も早く刑事事件に精通した弁護士に相談してください。早期の対応が、より良い結果につながる可能性を高めます。

一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが更生への第一歩となるでしょう。