態様別―輸入・輸出

1 輸入、輸出の意義

輸入とは、薬物を国外から国内に搬入し、乱用の危険性のある状態を作り出す行為をいいます。

輸出とは、国外に仕向けられた船舶、航空機等の輸送機関に薬物を積載(搬入)することであると解されています。

外国で日本に向けて薬物を輸出し、それを日本で受け取った場合、その人には輸出罪と輸入罪の両方が成立します。

輸入について、船舶の場合は薬物を陸揚げした時点、航空機の場合は薬物を地上におろした時点で既遂となります。

輸出については、国外に仕向けられた輸送機関に薬物を積載(搬入)した時点で既遂となります。

 

2 法定刑

①無期または3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科

・覚醒剤(営利)、ヘロイン(営利)

 

②1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科

・覚醒剤原料(営利)、麻薬原料植物(営利)、あへん(営利)、コカイン(営利)、MDMA(営利)

 

③1年以上の有期懲役

・覚醒剤(非営利)、ヘロイン(非営利)

 

④1年以上10年以下の懲役

・コカイン(非営利)、MDMA(非営利)、麻薬原料植物(非営利)、あへん(非営利)

 

⑤10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科

・大麻(営利)

 

⑥10年以下の懲役

・覚醒剤原料(非営利)

 

⑦7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科

・向精神薬(営利)

 

⑧7年以下の懲役

・大麻(非営利)

 

⑨5年以下の懲役

・向精神薬(非営利)

 

⑩5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこの併科

・危険ドラッグ(営利)

 

⑪3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの併科

・危険ドラッグ(非営利)

 

※麻薬特例法の規制

国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)では、業として行う規制薬物の不法輸入等が規制されています。

薬物が覚醒剤であるか麻薬であるかを問わず、規制薬物であれば、それを業として不法に輸入等した場合には、無期または5年以上の懲役及び1000万円以下の罰金が科せられることになります。

 

3 裁判員裁判について

営利目的の輸出・輸入の場合には、裁判員裁判対象事件となります。

裁判員裁判では、連日の集中審理が行われますので、そのために入念な事前準備が必要となります。

弁護士としては、公判前整理手続きの中で、積極的に証拠の開示を求めるとともに、弁護側からの主張を立て、何処が争点となるのかをしっかりと把握したうえで、公判での訴訟活動に向けた準備を行う必要があります。

裁判員裁判では、集中した審理を行うために、公判までに膨大な資料を精査し、何が有利な証拠となるのかを見極めたうえで、しっかりとした主張構造を整える必要があります。

裁判員裁判において、充実した弁護を行うためには、高い弁護技術が求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を専門に扱っており、数多くの刑事事件の経験を基に、裁判員裁判についてもお力になれるはずです。

 

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