薬物別―その他麻薬

1 代表的なものとその薬効

①LSD(リゼルギン酸ジエチルアミド)

LSDは、合成麻薬の一種で、「麻薬及び向精神薬取締法」の規制の対象とされ、水溶液をしみこませた紙片、錠剤、カプセル、ゼラチン等があり、経口又は飲み物とともに飲むなどして乱用されています。

LSDを乱用すると、幻視、幻聴、時間の感覚の欠如などの強烈な幻覚作用が現れます。特に幻視作用が強く、ほんのわずかな量だけで物の形が変形、巨大化して見えたり、色とりどりの光が見えたりする状態が8~12時間続きます。

また、乱用を続けると、長期にわたって神経障害を来すこともあります。

 

②マジックマッシュルーム

いわゆる「マジックマッシュルーム」は、麻薬成分であるサイロシン、サイロシビンを含有するキノコ類の俗称で、これを摂取すると幻覚作用が現れることがあります。

マジックマッシュルームは平成14年6月、「麻薬及び向精神薬取締法」の麻薬原料植物として指定され、その栽培、輸入、譲渡、譲受、所持、使用等が禁止されています。

マジックマッシュルームを食べて幻覚が現れ、攻撃的な行動や自殺を試みる例があります。

 

③ケタミン

ケタミンは、昭和45年から人を対象とした医薬品として市販され、現在では動物用医薬品としても用いられているものですが、平成19年1月に「麻薬及び向精神薬取締法」の麻薬として指定され、輸入、輸出、譲渡、譲受、所持、施用等が規制されています。

薬理作用として、麻酔・鎮痛作用を有し、幻覚作用もあり、血圧降下、頻脈、脳脊髄液圧上昇、脳血流量増加、呼吸抑制等の作用があります。

 

2 法定刑と裁判の種類

(1)輸出・輸入・製造

ア 営利目的がない場合
法定刑は1年以上10年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。

イ 営利目的がある場合
法定刑は1年以上の懲役で、情状により500万円以下の罰金が併科されます。
通常の公判手続に付されます。

 

(2)譲渡・譲受・所持・施用

ア 営利目的がない場合
法定刑は7年以下の懲役です。
通常の公判手続に付されます。

イ 営利目的がある場合
法定刑は1年以上10年以下の懲役で、情状により300万円以下の罰金を併科されます。
通常の公判手続に付されます。

 

3 弁護活動

①身に覚えがない場合

身に覚えがないにも関わらず、麻薬取締法違反の容疑を掛けられてしまった場合には、弁護人を通じて、捜査機関(警察署・検察庁)が十分な証拠を持っていないことを指摘して、不起訴処分になるよう弁護活動を行います。

しかし、使用罪については尿検査の結果が陽性だったために逮捕・勾留されていることがほとんどです。よって、無罪主張はまずありません。

 

②身に覚えがある場合

実際に、覚醒剤取締法違反をしていた場合は、罪を認め、情状等をアピールしたとしても、不起訴や保釈などは殆ど認められず、長期の勾留や起訴される可能性は非常に高いです。

なぜなら共犯者と通謀して、口裏を合わせたり、証拠の毀損、隠匿、ねつ造をしたりするのではないかと考えられるからです。

裁判官は、被告人が公判中に、再度薬物を使用するのではないか危惧していますし、被告人に薬物の使用を中断させ、薬物を遠ざけるには勾留が最善の手段と考えているため、保釈についても、認められるには、相当の努力が必要です。

ただし、興味本位の初犯で薬物依存がない等の場合は、本人の反省や親族の援助監督が可能であれば、その旨の資料を検察官に提出して、起訴猶予処分にむけてアクションを起こすことも可能です。

 

③裁判になった場合

裁判になった場合は、本人の再犯可能性がないことを裁判官に理解してもらい、量刑を軽減するような弁護活動を行います。

そのためには、薬物の入手経路や仲間を明らかにし、再使用の改善、親族等の協力を得ること、 病院への入通院の手配など、客観的な環境も含めたうえで、再犯の可能性がないことを示さなくてはなりません。
  
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