覚醒剤で実刑になるのはどんなケース?初犯と再犯で実刑の期間が変わる?

覚醒剤事件を起こして「このまま刑務所に行くことになるのか」と強い不安を抱えている方、あるいはご家族が覚醒剤事件で起訴されてしまったという方もいるのではないでしょうか。
覚醒剤取締法違反で逮捕・起訴された場合、実刑になるかどうかは初犯か再犯かによって大きく変わります。初犯だからと言って必ず実刑を回避できるわけでもありません。
この記事では、覚醒剤で実刑になるケースや初犯・再犯別の量刑相場、弁護活動で実刑を回避・減刑できる可能性について、刑事事件専門の弁護士が解説します。
覚醒剤で実刑になるのはどんなケース?
「実刑」とは執行猶予なしに拘禁刑刑の執行が確定することを指します。つまり、判決が下りたその日から刑務所に収監されることになります。
覚醒剤事件では、初犯か再犯か、どのような行為をしていたか、どのような事情があるかによって、実刑になるかどうかが変わってきます。
初犯でも実刑になることはある
覚醒剤事件の初犯(前科がない場合)では、自己使用や単純所持であれば執行猶予がつくケースが多いものの、必ずしも執行猶予が保証されるわけではありません。以下のような事情があると、初犯でも実刑になるリスクが高まります。
・営利目的で覚醒剤を所持・譲渡・密輸していた場合
・大量の覚醒剤を所持していた場合
・組織的な薬物密売に関わっていた場合
・事件への関与を否認し、反省の態度が認められなかった場合
初犯であることは量刑上有利に働く事情のひとつではありますが、事件の態様や本人の姿勢によっては、執行猶予がつかずに実刑となる判決が下ることもあります。
再犯・執行猶予中の再犯はほぼ実刑になる
覚醒剤事件で一度有罪判決を受けたことがある方(再犯者)や、前回の判決で執行猶予中にまた逮捕された方の場合は、実刑になる可能性が非常に高くなります。
特に執行猶予中に覚醒剤で再逮捕された場合は、執行猶予が取り消されて前の刑が復活するうえ、新しい事件でも実刑判決が下ることがほとんど。つまり、前回の残りの刑期と今回の刑期を合わせて服役しなければならないという、非常に厳しい状況になります。
執行猶予が終了した後の再犯であっても、前科があることは裁判官の量刑判断に大きく影響し、再度の執行猶予が認められるケースはかなり限られます。
量刑を重くする要素・軽くする要素
実刑になるかどうか、また拘禁刑の期間がどの程度になるかは、以下のような事情によって左右されます。
【量刑を重くする要素】
・営利目的があること(密売・密輸等)
・覚醒剤の量が多いこと
・組織犯罪・暴力団との関わり
・否認・反省の態度がないこと
・前科・前歴があること(特に薬物犯罪)
・執行猶予中であること
【量刑を軽くする要素】
・初犯であること
・自己使用目的で量が少ないこと
・起訴事実を認め、深く反省していること
・薬物依存の治療を開始していること
・家族や職場など周囲のサポート体制が整っていること
・贖罪寄付など社会的責任への取り組み
これらの事情は、弁護士の弁護活動によって裁判で適切にアピールすることができます。
覚醒剤取締法違反の量刑の相場
覚醒剤取締法が禁じる行為は一つではありません。行為の種類によって法定刑(法律上の刑の上限・下限)が異なります。実際の量刑はその法定刑の範囲内で、先ほど述べた加重・軽減事情を考慮したうえで裁判官が決定します。
使用・所持で捕まった場合
覚醒剤の自己使用や単純所持(営利目的なし)の場合、法定刑は「10年以下の拘禁刑」です。
実際の量刑相場は、初犯の自己使用・少量所持であれば「拘禁刑1年〜1年6か月程度、執行猶予3年」というケースが最も多く見られます。ただし、使用歴が長い、所持量が多い、複数の態様が重なるといった場合は、この相場より重くなることがあります。
再犯の場合は「拘禁刑1年6か月〜3年程度の実刑」というケースが増え、前科の回数が重なるほど実刑期間も長くなる傾向があります。
営利目的や製造・密輸は刑がさらに重い
覚醒剤を売るために所持・譲渡していた場合(営利目的)、または輸出入・製造に関わっていた場合は、法定刑が大幅に重くなります。
・営利目的の所持・譲渡・譲受:1年以上の有期拘禁刑(または情状により500万円以下の罰金を併科)
・輸出・輸入・製造:1年以上の有期拘禁刑
・営利目的の輸出入・製造:無期若しくは3年以上の拘禁刑(または情状により1,000万円以下の罰金を併科)
特に営利目的・密輸の案件は、初犯であっても実刑になるケースが多くあります。拘禁刑3年〜5年以上の判決が下ることも珍しくありません。密売組織に関わっている場合はさらに重い判決になることがあります。
覚醒剤事件で執行猶予はつく?
執行猶予とは、有罪判決が出て拘禁刑が言い渡されても一定期間(通常3〜5年)問題を起こさなければ刑の執行が免除される制度です。
執行猶予がつくかどうかは、逮捕・起訴された本人やご家族にとって最も気になる点の一つ。ここからは、覚醒剤事件で執行猶予がつくのかについて、初犯と再犯の場合に分けて解説していきます。
初犯なら執行猶予がつくことが多い
覚醒剤事件の初犯で自己使用・少量所持といった態様であれば、執行猶予がつく可能性は比較的高いといえます。
裁判所は、初めて犯罪をした人については更生の可能性を重視するため、反省の態度や再発防止策、周囲のサポート体制などが整っていれば、執行猶予付き判決が出やすい傾向があります。
ただし、「初犯だから必ず執行猶予がつく」というわけではありません。否認を続けた場合、態様が悪質な場合(営利目的・大量所持など)、反省の態度が見られない場合などは、初犯でも実刑になることがあります。
弁護士が早期に介入し、反省を示す活動・再発防止策の構築・家族のサポート体制の準備などを進めることで、執行猶予付判決獲得の可能性を高めることができます。
2回目(再犯)でも執行猶予がつく場合はある
2回目以降の覚醒剤事件(再犯)では執行猶予が認められる可能性はかなり低くなります。しかし、状況によっては執行猶予が認められるケースもゼロではありません。
前回の執行猶予が終了してから5年以上経過している場合、刑法上「前に拘禁刑以上の刑に処せられたことのない者」に準ずる扱いを受けられる場合があり、再度の執行猶予が認められる余地があります。
また、前回が罰金刑だった場合(略式命令)は執行猶予の障壁が下がります。
再犯でも執行猶予の可能性を追うためには、薬物依存の治療を具体的に開始していることの証明、誠実な反省の態度、家族・職場の強固なサポート体制など、弁護士と連携した情状弁護の積み重ねが不可欠です。
一部だけ猶予がつく制度もある
刑事弁護の場面であまり知られていない制度として、「刑の一部執行猶予」があります。これは、拘禁刑の一部について執行を猶予するという制度で、2016年に施行されました。
例えば「拘禁刑2年、そのうち6か月の執行を3年間猶予する」という判決が下された場合、実際に服役するのは1年6か月となり、残りの6か月は猶予期間中に問題を起こさなければ免除されます。
薬物犯罪では特に、社会内での治療・更生プログラムへの参加を促す目的でこの制度が活用されることがあります。「完全な執行猶予は無理でも、「刑期を少しでも短くしたい」という場合に有効な弁護方針のひとつです。
一部執行猶予の適用を目指すためには、薬物依存の治療計画を具体的に示すことや、釈放後の居住・就労環境を整えておくことが重要です。弁護士に早めに相談し、裁判に向けた準備を進めることをお勧めします。
覚醒剤で逮捕された後の流れ
覚醒剤で逮捕された後は、法律で定められた手続きに従って刑事手続きが進んでいきます。どのような流れで進むのか見ていきましょう。
逮捕から起訴・不起訴が決まるまで
覚醒剤で逮捕されると、まず警察署に連行されて48時間以内に検察官に送致されます(送検)。検察官はさらに24時間以内に「勾留請求」をするかどうかを判断し、裁判官が認めれば最大20日間の勾留(身柄拘束)が続きます。
逮捕から勾留満期まで最大23日間の間に、検察官は「起訴する(裁判にかける)か」「不起訴にする(裁判にかけない)か」を決定します。覚醒剤事件の場合、起訴率は非常に高く、自己使用・所持でも高確率で起訴されるとお考えください。
不起訴になる可能性がゼロではないケースとしては、証拠が不十分な場合や、薬物と知らずに所持させられたと主張できる場合(否認事件)などがあります。弁護士が早期接見し、取り調べへの対応方針を整えることが重要です。
起訴された後の裁判と判決までの期間
起訴されると、通常は1〜2か月後に最初の公判期日(裁判)が開かれます。覚醒剤事件の多くは争いのない自白事件として、1〜2回の公判で審理が終わり、最終的に判決が下ります。逮捕から判決まで、おおむね3〜4か月程度かかるのが一般的です。
否認事件(事実を争う場合)の場合、公判回数が増えるため半年〜1年以上かかることも珍しくありません。
起訴後は裁判所に保釈を請求することもできます(保釈保証金が必要)。保釈が認められれば、裁判期間中は自宅から裁判所に通うことが可能。弁護士が保釈請求の手続きを行い、釈放を早める活動も重要な弁護活動のひとつです。
実刑を回避・軽減するために弁護士ができること
覚醒剤事件において、弁護士への早期相談は結果を大きく左右します。逮捕直後から弁護士が動き始めることで、取り調べ対応・情状整備・裁判での弁護活動を一貫してサポートすることができます。
早期接見で取り調べの不利を防ぐ
逮捕直後から取り調べは始まります。この段階で本人が不用意な発言をすると、後から訂正しても裁判で不利な証拠として使われるリスクがあります。弁護士が早期に「接見(面会)」することで、取り調べにどう対応すべきかを的確にアドバイスすることができます。
逮捕後すぐに接見することができるのは弁護士だけ。ご家族は面会できない段階でも、弁護士は接見できるため、ご家族から弁護士に依頼して、いち早く本人に会いに行くことが重要です。
再発防止の取り組みを示して情状を整える
裁判官が執行猶予を付けるかどうかを判断する際、「この人は釈放しても再び薬物に手を出さないか」という点を重視します。そのため、薬物依存症の治療プログラムへの参加・通院の実績、家族・職場など周囲のサポート体制、居住先や就労先の確保などを証拠として裁判所に示すことが非常に効果的です。
弁護士は、専門のクリニックや回復支援施設を紹介し、治療の開始・継続を支援します。また、家族に意見書の作成を依頼したり、贖罪寄付などの取り組みをアレンジしたりすることも、弁護活動の一環です。
これらの準備は時間がかかるため、逮捕・起訴から裁判までの期間を最大限に活用するためにも、弁護士への早期相談が不可欠です。
実刑が避けられない場合も刑期を短くできる可能性がある
再犯や執行猶予中の再犯など、実刑を免れることが難しいケースでも弁護士ができることはあります。
まず、弁護活動によって「量刑の軽減」を目指すことができます。たとえ実刑判決が避けられない状況でも、拘禁刑2年と拘禁刑3年では服役期間が大きく異なります。情状証拠を丁寧に積み上げ、裁判官に量刑を少しでも軽くするよう働きかけることが重要です。
また、前述の「刑の一部執行猶予」の適用を求める弁護方針も有効です。さらに、実刑判決後も仮釈放(刑期の3分の1以上服役した段階で申請できる早期釈放制度)に向けた支援を行う弁護士もいます。
「もう手遅れだ」と諦めずに、まずは弁護士に相談してください。
【事務所紹介】薬物事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、刑事事件に精通した専門の弁護士が多数在籍しています。薬物関連事件にも強く、多くのご依頼を受けてきました。
ここからは、弊所の特徴をご紹介します。
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弊所では、刑事事件・少年事件に関するご相談は土日祝日も含めて24時間体制で受付中。刑事事件・少年事件の当事者となりお困りの方、ご家族等が当事者となりお困りの方など、どなたでも初回無料でご利用いただけます。
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弊所の特徴④:安心明確な料金体系
弁護士費用は弁護士に相談・依頼する際に心配なことの一つ。弊所は安心して高いクオリティの弁護サービスを受けていただくためにシンプルかつ明朗会計となっております。
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【解決事例】覚醒剤事件で実刑を回避・軽減した事例
ここからは、実際に弊所が弁護活動の依頼を受けた覚醒剤事件をいくつかご紹介します。事案の内容や具体的な弁護活動について紹介していくので、ぜひ参考にしてください。
事例①:覚醒剤使用の初犯で実刑回避
友人と一緒に覚醒剤を使用して逮捕・起訴されてしまったというケースです。ご依頼を頂いた時点では起訴から25日が経過していましたが、追起訴予定の余罪があったため身柄拘束はされたままでした。
弁護士は保釈請求書を作成・提出といった身柄開放活動に尽力し、追起訴前に保釈が認められ身柄拘束から解放することができました。
また、公判では事実を素直に認め、二度と覚醒剤を使用しないための再犯防止策等を主張した結果、執行猶予付判決を獲得しています。
事件・弁護活動の詳細はこちらから▼
事例②:覚醒剤使用の再犯で実刑回避
自宅で覚醒剤を使用した数日後に警察が捜索差押に来て、任意提出した尿から覚醒剤の成分が検出されたことで逮捕されたというケースです。
さらに、弁護士が接見で事情を聞いた際に同種前科があることが確認でき、今回の事件は覚醒剤の再犯ということが判明。再犯事件ということもあり、当初弁護士は実刑判決が下される可能性が極めて高い事件と考えていました。
しかし、弁護士が公判で本人が事実を認めて反省していることや再犯防止に向けた取り組みを行っていること等を主張した結果、再犯事件でしたが執行猶予付判決を獲得することができました。
事件・弁護活動の詳細はこちらから▼
事例③:執行猶予中の覚醒剤事件で実刑を大幅軽減
過去に覚醒剤で執行猶予付判決を受けており、執行猶予中に覚醒剤の再犯をして逮捕されてしまったというケースです。
弁護士が接見で事情を確認したところ、前回同様に覚醒剤事件であることに加え、今回は自動車を運転して人身事故を起こしていることも確認できたため、起訴されてしまえば実刑判決を受ける見込みが濃厚でした。
捜査機関は当初人身事故について「危険運転致傷罪」として扱っていましたが、覚醒剤の影響による事故とは思われなかったため捜査段階から法的責任を一部争う主張をしたところ、「過失運転致傷罪」の限りで起訴となりました。
公判でも自分がしてしまったことについては素直に認めるという反省の態度を示し、再犯防止に向けた取り組み等を主張しました。結果として、検察官の求刑から大幅に減刑された判決を獲得することができました。
【FAQ】覚醒剤の実刑に関するよくある質問
Q. 覚醒剤の初犯で実刑になる確率はどのくらいですか?
覚醒剤の自己使用・少量所持の初犯であれば、弁護士による情状弁護がしっかり行われた場合、執行猶予付き判決になるケースが多い傾向にあります。
ただし、初犯=執行猶予ではありません。営利目的・大量所持・否認などの事情があれば、初犯でも実刑になることがあり、個別の事情によって大きく異なります。まずは弁護士に事案の詳細を相談し、見通しを確認することをおすすめします。
Q. 覚醒剤で執行猶予中にまた逮捕されたら必ず刑務所に行きますか?
執行猶予中に再び覚醒剤で逮捕された場合、執行猶予が取り消された上で前回の刑が復活することが原則です。
また、新しい事件でも実刑判決が下る可能性が非常に高く、両方の刑期を合わせて服役しなければならない状況になります。ただし、弁護活動によって新しい事件の刑期を少しでも軽くすること(量刑の軽減)や、一部執行猶予の適用を目指すことは可能です。諦めずに弁護士に相談してください。
Q. 覚醒剤で逮捕されたらすぐに弁護士に連絡したほうがいいですか?
逮捕直後から取り調べが始まるため、できる限り早く弁護士に連絡することが重要です。
弁護士が早期に接見することで、取り調べでの不利な発言を防ぎ、その後の弁護方針を早期に固めることが可能。逮捕された本人はすぐには連絡できない場合も多いため、ご家族が代わりに弁護士事務所に連絡することが一般的です。
Q. 覚醒剤事件の弁護士費用はどのくらいかかりますか?
弁護士費用は、事案の複雑さや接見の回数、裁判の内容などによって異なります。
まずは初回無料の法律相談に行くことをおすすめします。そこで、費用の詳細や支払い方法について確認することで不安な点が解消されやすくなります。
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