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麻薬で逮捕された後の流れは?麻薬の種類や実際に逮捕された事例を紹介

ヘロインやコカイン、LSDなどが該当する麻薬は麻薬及び向精神薬取締法によって厳しく規制されています。
麻薬及び向精神薬取締法で禁止されている行為に違反してしまうと逮捕されてしまう可能性が非常に高く、厳しい刑罰が科せられることも少なくありません。
本記事では、麻薬で逮捕された後の流れや実際に麻薬で逮捕された事例について紹介していきます。
麻薬の種類や麻薬で逮捕された場合の対処法についても解説していくので、ご自身で麻薬を使用してしまったという方やご家族が麻薬で逮捕されて不安だという方は、ぜひ本記事をご覧ください。
麻薬で逮捕された場合に問われる罪は?
麻薬を所持したり使用したりすると、麻薬及び向精神薬取締法違反として逮捕される可能性があります。ここでは、この法律がどのような目的で制定され、何を規制しているのかを説明します。
麻薬及び向精神薬取締法とは
麻薬及び向精神薬取締法は、麻薬と向精神薬の乱用を防止し、中毒者に必要な医療を提供するなど、公共の福祉を守るために制定された法律です。この法律は刑法の特別法にあたり、覚醒剤取締法や大麻草の栽培の規制に関する法律などとともに、いわゆる「麻薬五法」を構成しています。
法律が守ろうとしている利益は、麻薬や向精神薬の濫用による保健衛生上の危害を防ぐこと。つまり、国民の健康と安全を守ることが最大の目的となっています。
麻薬及び向精神薬取締法に違反すると、行為の内容や目的に応じて様々な罰則が適用されます。所持や使用だけでなく、輸入・輸出・製造・譲渡など、あらゆる形態の行為が厳しく規制されているのです。
なお、令和6年12月12日からは、大麻も「麻薬」として位置付けられ、この法律で規制されるようになりました。それ以前は大麻取締法で規制されていましたが、法改正により麻薬及び向精神薬取締法の適用対象となっています。
麻薬の種類
麻薬及び向精神薬取締法で規制される「麻薬」には、様々な種類があります。ここでは、代表的な麻薬の種類とその特徴について解説します。
ヘロイン
ヘロインは、正式名称をジアセチルモルヒネといい、麻薬及び向精神薬取締法において「麻薬」に該当する薬物です。ヘロインは特に依存性が強い薬物とされているため、他の麻薬よりも重い刑罰が定められています。
ヘロインの所持や譲渡は10年以下の拘禁刑、製造や輸出入は1年以上の拘禁刑という非常に重い罰則が設けられています。これは、ヘロインが心身に与える影響の大きさと、依存性の高さを反映したものです。
法律上は「ジアセチルモルヒネ等」という表現が用いられており、ジアセチルモルヒネやその塩類、またはこれらを含有する麻薬が該当します。
大麻|ヘロイン以外の麻薬
令和6年12月12日に施行された法改正により、大麻は麻薬及び向精神薬取締法における「麻薬」として位置付けられました。これは大きな変更点です。
改正以前は、大麻は大麻取締法という別の法律で規制されていました。しかし、法改正により大麻草から製造された医薬品の施用を可能にする一方で、不正な使用については他の麻薬と同様に厳しく取り締まる体制が整備されたのです。
麻薬及び向精神薬取締法における「大麻」とは、大麻草の種子と成熟した茎を除いた部分、およびその製品を指します。また、有害成分であるテトラヒドロカンナビノール(THC)も麻薬として規制されています。
大麻の使用や所持は、改正法により7年以下の拘禁刑となっており、以前の5年以下の拘禁刑から罰則が強化されました。営利目的の場合はさらに重い刑罰が科されます。
その他(コカイン・LSD等)|ヘロイン以外の麻薬
ヘロインと大麻以外にも、麻薬及び向精神薬取締法で規制される麻薬は多数存在します。代表的なものがコカインとLSD、そしてMDMAです。
コカインは、南米産のコカの木の葉を原料とした薬物で、無色の結晶または白色の結晶性粉末です。覚醒剤と同様に神経を興奮させる作用があり、気分の高揚や疲労感の消失といった効果をもたらしますが、その持続時間は30分程度と短いのが特徴。依存性が高く、乱用を続けると幻覚などの症状が現れ、大量摂取すると死亡する危険もあります。
LSDは、幻覚剤の一種で、国際的には向精神薬と認識されていますが、日本の法律上は麻薬として扱われています。視覚や聴覚を変化させる作用があり、不安や不眠などの症状を引き起こす可能性があります。
MDMAは、俗に「エクスタシー」と呼ばれ、色のついた錠剤の形で密売されることが一般的です。MDAは「ラブドラッグ」とも呼ばれています。これらは視覚や聴覚を変化させたり、不安や不眠を引き起こしたりし、使用を続けると錯乱状態に陥ることもあります。腎臓や肝臓の機能障害、記憶障害などの深刻な症状も報告されています。
これらヘロイン以外の麻薬については、所持や譲渡で7年以下の拘禁刑、製造や輸出入で1年以上10年以下の拘禁刑という刑罰が定められています。
麻薬(ヘロイン)で逮捕された場合の刑罰
ヘロインは特に依存性が強いため、他の麻薬よりも重い刑罰が設けられています。ここでは、行為類型ごとの具体的な刑罰内容を解説します。
輸入・輸出・製造
ヘロインの輸入・輸出・製造を行った場合、1年以上の有期拘禁刑に処せられます。これは非常に重い刑罰です。
なお、従来は「懲役刑」や「禁錮刑」という呼び方でしたが、2025年6月から刑法改正により「拘禁刑」に統一されました。拘禁刑とは、刑事施設に収容して自由を奪う刑罰を指します。
ヘロインの製造や国際的な取引は、薬物の供給源を絶つという観点から特に厳しく処罰されているのです。
製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持
ヘロインの製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持を行った場合、10年以下の拘禁刑に処せられます。
「所持」とは、法律上、事実上の実力支配関係をいい、自宅や車に保管している場合も所持に該当します。自分の意思で管理・支配できる状態にあれば、所持と認められるのです。
製剤とは薬剤の形にすること、小分けとは大きな単位の薬物を小さく分けること、譲渡とは他人に渡すこと、譲受とは他人から受け取ることを意味します。これらすべての行為が処罰の対象となっています。
施用・廃棄・受施用
ヘロインの施用・廃棄・受施用を行った場合、10年以下の拘禁刑に処せられます。
「施用」とは、薬物を使用することを意味します。つまり、ヘロインを自分で使用した場合も、この罰則の対象となるのです。
「廃棄」とは、不要になった薬物を処分すること。適切な手続きを経ずに廃棄すれば違法行為となります。「受施用」とは、他人から薬物を施用されること、つまり他人にヘロインを打たれたり吸わされたりすることを指します。
これらの行為はすべて、ヘロインの乱用を助長し、社会に害を及ぼす可能性があるため、厳しく処罰されているのです。
【営利目的】輸入・輸出・製造
営利目的でヘロインの輸入・輸出・製造を行った場合、無期または3年以上の拘禁刑に処せられます。また、情状により無期または3年以上の拘禁刑及び1000万円以下の罰金が併科される可能性もあります。
営利目的とは、金銭的な利益を得る目的で行為を行うことを意味します。薬物の密売組織などが該当するでしょう。
この罰則は、麻薬犯罪の中でも最も重いものの一つです。無期拘禁刑が選択肢に含まれていることからも、その重大性が分かります。薬物の供給を営利目的で行うことは、社会全体に深刻な害を及ぼすため、このような重罰が設けられているのです。
【営利目的】製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持
営利目的でヘロインの製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持を行った場合、1年以上の有期拘禁刑に処せられます。また、500万円以下の罰金が併科される可能性もあります。
営利目的での所持や譲渡は、薬物の流通に直接関わる行為として、単純な所持や譲渡よりも重く処罰されます。
たとえ少量の所持であっても、それが営利目的であると判断されれば、この重い罰則が適用される可能性があるのです。
【営利目的】施用・廃棄・受施用
営利目的でヘロインの施用・廃棄・受施用を行った場合、1年以上の有期拘禁刑に処せられます。また、500万円以下の罰金が併科される可能性もあります。
営利目的での施用というのは、例えば金銭を受け取って他人にヘロインを使用させる行為などが該当すると考えられます。
ヘロインに関するすべての行為について、営利目的があれば刑罰が加重されるという構造になっているのです。これは、薬物犯罪の経済的な動機を強く抑止する目的があります。
麻薬(ヘロイン以外の麻薬)で逮捕された場合の刑罰
ヘロイン以外の麻薬についても、行為類型ごとに刑罰が定められています。ヘロインよりはやや軽い刑罰設定ですが、それでも非常に重い罰則です。
輸入・輸出・製造・麻薬原料植物の栽培
ヘロイン以外の麻薬の輸入・輸出・製造、または麻薬原料植物の栽培を行った場合、1年以上10年以下の拘禁刑に処せられます。
麻薬原料植物とは、麻薬の原料となる植物のことです。コカの木やケシなどが該当します。これらの植物を栽培すること自体が、麻薬の製造につながるため禁止されているのです。
ヘロインの場合と比較すると、上限が10年となっている点が異なります。しかし、1年以上という下限があるため、執行猶予が付かない限り実刑となる可能性が高いでしょう。
製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持
ヘロイン以外の麻薬の製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持を行った場合、7年以下の拘禁刑に処せられます。
ヘロインの場合は10年以下でしたが、ヘロイン以外の麻薬については7年以下となっています。とはいえ、7年という期間は決して軽いものではありません。
大麻、コカイン、MDMA、LSDなどの所持や譲渡がこの罰則の対象となります。自己使用目的であっても、所持していれば処罰される可能性があるのです。
施用・施用のための交付
ヘロイン以外の麻薬の施用、または施用のための交付を行った場合、7年以下の拘禁刑に処せられます。
施用のための交付とは、他人が使用することを目的として麻薬を渡す行為を指します。友人に麻薬を分け与えるような行為も、この罰則の対象となるのです。
令和6年12月12日の法改正により、大麻についても使用罪(施用罪)が新設されました。以前は大麻の使用自体は処罰されていませんでしたが、現在は他の麻薬と同様に使用も違法行為となっています。
【営利目的】輸入・輸出・製造・麻薬原料植物の栽培
営利目的でヘロイン以外の麻薬の輸入・輸出・製造、または麻薬原料植物の栽培を行った場合、1年以上の有期拘禁刑に処せられます。また、500万円以下の罰金が併科される可能性もあります。
営利目的がある場合は、上限がなくなり「1年以上の有期拘禁刑」となります。有期拘禁刑の上限は20年ですので、最高で20年の拘禁刑が科される可能性があるということです。
薬物の密売や組織的な栽培は、社会に与える影響が極めて大きいため、このような重い刑罰が設定されているのです。
【営利目的】製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持
営利目的でヘロイン以外の麻薬の製剤・小分け・譲渡・譲受・交付・所持を行った場合、1年以上10年以下の拘禁刑または1年以上10年以下の拘禁刑及び300万円以下の罰金に処せられます。
営利目的の所持や譲渡については、罰金刑が併科される可能性がある点が特徴です。薬物犯罪で得た利益を経済的にも剥奪するという趣旨があります。
たとえ初犯であっても、営利目的と判断されれば1年以上の拘禁刑となるため、執行猶予が付かない限り刑務所に収容されることになります。
【営利目的】施用・施用のための交付
営利目的でヘロイン以外の麻薬の施用、または施用のための交付を行った場合、1年以上10年以下の拘禁刑または1年以上10年以下の拘禁刑及び300万円以下の罰金に処せられます。
営利目的での施用や交付は、薬物依存を広げる行為として厳しく処罰されます。金銭を受け取って他人に麻薬を使用させたり、使用のために麻薬を渡したりする行為がこれに該当します。
麻薬事件では、罰金刑のみで済むケースはほとんどありません。起訴されれば拘禁刑が科される可能性が高いため、早期の段階で弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
実際に麻薬で逮捕された事例紹介
ここでは、実際に麻薬で逮捕された事例を紹介します。
事例①:職務質問を受けた際に大麻の所持が発覚して逮捕
福岡県東区に住むAさんは、博多区で友人と遊ぶために車で向かっていたところ、通りがかった警察車両に停止を求められたため車を路肩に停車させました。
近づいてきた警察官に挙動が不審であったと言われ、職務質問とそれに付随する所持品検査を受けることになりましたが、その際に車内にあった乾燥大麻が見つかり現行犯逮捕されました。
事例②:家宅捜索を受けた際に自宅からMDMAが見つかり逮捕
Aさんは、SNS上で知り合ったXさんからMDMAを購入して使用していましたが、Xさんは麻薬厚生局の内偵捜査を受けていました。
その過程で、AさんのMDMAの所時と使用の疑いが浮上したため、麻薬厚生局がAさんの自宅を家宅捜索したところ、パケに入ったMDMAが見つかったためその場で逮捕しました。
麻薬で逮捕された後の流れ
麻薬で逮捕されると、その後どのような手続きが進んでいくのか、不安に感じる方も多いでしょう。ここでは、逮捕から判決までの一連の流れを、時系列に沿って詳しく解説します。刑事手続きの全体像を理解することで、今後の対応を考える手がかりになるはずです。
逮捕による身柄拘束|48時間
麻薬事件で逮捕されると、まず警察署の留置場に収容されます。この段階で、逮捕から48時間以内という時間制限が設けられています。
警察は、この48時間の間に被疑者から事情を聴取し、必要な証拠を収集します。取り調べでは、麻薬の入手経路、使用回数、所持していた理由などについて詳しく聞かれることになるでしょう。
逮捕直後は家族との面会も制限され、外部との連絡が取れない状態が続きます。ただし、弁護士との接見は認められているため、この段階で弁護士に依頼することが非常に重要です。
48時間が経過する前に、警察は検察官に事件を送致(送検)するかどうかを判断します。証拠が不十分な場合や逮捕の必要性がないと判断されれば、釈放される可能性もありますが、麻薬事件では多くの場合、送検されることになります。
検察官による勾留請求|24時間
警察から事件を送致された検察官は、送致から24時間以内に勾留請求をするかどうかを決定します。つまり、逮捕から最長72時間(48時間+24時間)の間に、勾留請求の判断がなされるのです。
検察官は、送致された事件記録を検討し、被疑者本人と面談して、さらに身柄を拘束する必要があるかを判断します。この面談は「弁解録取」と呼ばれ、被疑者の言い分を聞く機会となります。
勾留請求がなされると、検察官は裁判所に対して勾留状の発付を求めます。裁判官は被疑者と面談し、勾留の要件を満たしているかを審査するのです。
勾留の要件とは、住所不定や証拠隠滅のおそれ、逃亡のおそれがあることです。麻薬事件では、関係者との口裏合わせや証拠隠滅の可能性が高いと判断されやすく、勾留が認められるケースが大半となっています。
勾留決定による身柄拘束|最長20日間
裁判官が勾留を認めると、最初の10日間身柄が拘束されます。さらに、やむを得ない事由がある場合は最長10日間の延長が認められるため、合計で最長20日間の勾留となります。
勾留中は、警察署の留置場または拘置所で生活することになります。この期間中も、検察官や警察による取り調べが続きます。
勾留中の生活は厳しく制限されています。外出はもちろん認められず、家族との面会も制限される場合があります。ただし、弁護士との接見は原則として認められており、弁護活動を受けることができます。
麻薬事件の場合、尿検査や毛髪検査などの鑑定が必要となるため、勾留が延長されるケースが多いのが実情です。鑑定結果が出るまでには一定の時間がかかるためです。
検察官による終局処分(起訴・不起訴)
勾留期間が満了する前に、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。これを「終局処分」といいます。
起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求めることです。起訴されると、被告人として刑事裁判を受けることになります。麻薬事件では、証拠が明確なケースが多いため、起訴される確率は非常に高いといえるでしょう。
一方、不起訴とは、検察官が裁判にかけないと判断することです。証拠不十分、起訴猶予(情状により起訴を見送る)などの理由で不起訴となる場合があります。不起訴になれば、前科はつきません。
麻薬事件における不起訴は容易ではありませんが、初犯で所持量が微量、使用回数も少なく、深く反省しているなどの事情があれば、弁護士の適切な弁護活動により不起訴を目指せる可能性もあります。
刑事裁判・判決
起訴されると、刑事裁判が開かれます。起訴後も、原則として身柄は拘束されたままです。ただし、保釈が認められれば、保釈金を納付することで一時的に釈放される可能性があります。
刑事裁判では、検察官が起訴した犯罪事実について、被告人が認めるか否かを確認します。麻薬事件の多くは、被告人が事実を認める「認め事件」です。
認め事件の場合、裁判は通常1回から数回で結審します。弁護人は、被告人に有利な事情(初犯であること、反省していること、家族の監督が期待できること、薬物依存治療を受ける意思があることなど)を主張し、執行猶予付き判決や軽い量刑を求めます。
判決では、有罪か無罪か、有罪の場合はどのような刑罰を科すかが言い渡されます。麻薬事件で有罪となれば、拘禁刑が科されることになるでしょう。初犯で情状が良ければ、執行猶予が付く可能性もあります。
麻薬で逮捕された場合の影響
麻薬で逮捕されると、刑罰を受けるだけでなく、生活のさまざまな面で深刻な影響が生じます。ここでは、逮捕による具体的な影響について解説します。
長期的な身柄拘束
麻薬で逮捕されると、最長23日間(逮捕後48時間+勾留最長20日間+送検24時間)もの間、身柄を拘束されることになります。これは非常に長い期間です。
長期間の身柄拘束は、精神的にも肉体的にも大きな負担となります。留置場や拘置所での生活は、自由を大きく制限されるものです。限られた空間での生活、プライバシーのない環境、厳格な日課に従う必要があるなど、ストレスは計り知れません。
また、起訴されて保釈が認められなければ、判決が出るまでさらに数か月間拘束が続きます。実刑判決となれば、刑務所での服役が始まるのです。
身柄拘束が長期化すると、仕事や学業を続けることが困難になります。会社を長期間欠勤すれば解雇されるリスクが高まりますし、学校も休学や退学を余儀なくされる可能性があります。
会社・学校から処分を受ける可能性がある
長期的な身柄拘束により、会社や学校に逮捕の事実が発覚する可能性が高くなります。数日間の欠勤であれば病気などと説明できるかもしれませんが、数週間から数か月となれば、理由を説明せざるを得ません。
会社の就業規則には、多くの場合、「刑事事件で起訴された場合」や「会社の名誉を著しく傷つけた場合」などを懲戒解雇の事由として定めています。麻薬事件で逮捕・起訴されれば、これらの事由に該当すると判断される可能性が高いでしょう。
学校でも同様です。大学や専門学校の校則には、刑事事件を起こした学生に対する処分規定が設けられています。退学処分や停学処分を受ける可能性があります。
さらに、麻薬事件が報道されてしまうと、社会的な信用を失うことになります。特に公務員や教師、医療従事者など、社会的信用が重要な職業に就いている場合、その影響は深刻です。
前科が付く可能性が高い
麻薬事件では、起訴されて有罪判決を受ける可能性が非常に高いといえます。有罪判決を受ければ、「前科」が付くことになるのです。
前科とは、有罪判決を受けた経歴のことです。執行猶予付き判決であっても前科は付きます。つまり、実際に刑務所に入らなくても、裁判で有罪とされれば前科者となってしまうのです。
前科が付くことのデメリットは多岐にわたります。まず、履歴書に前科を記載する義務が生じる場合があります。特定の資格(弁護士、医師、看護師、教員免許など)は、前科があると取得できない、または剥奪される可能性があります。
また、海外渡航にも影響が出ます。国によっては、前科がある人の入国を制限している場合があります。ビザの取得が困難になる可能性もあるのです。
さらに、社会的な信用を失い、就職活動や転職活動においても不利になります。前科の事実が知られれば、採用を見送られる可能性が高いでしょう。
家族が麻薬で逮捕された場合の対処法
家族が麻薬で逮捕されたという連絡を受けたら、どのように対応すればよいのでしょうか。
まず、冷静さを保つことが重要です。動揺する気持ちは当然ですが、適切な対応をとるためには落ち着いて行動する必要があります。
**最優先すべきは、早急に弁護士に相談することです。**逮捕後72時間以内の対応が、その後の結果を大きく左右します。刑事事件に詳しい弁護士に連絡し、状況を説明して依頼を検討しましょう。
弁護士に依頼すれば、すぐに留置場や拘置所で接見してもらえます。被疑者本人は精神的に不安定な状態にあるため、弁護士からアドバイスを受けることで冷静さを取り戻せるでしょう。
また、弁護士は警察や検察との交渉を通じて、勾留阻止や早期釈放を目指します。取り調べへの対応方法についてもアドバイスしてくれるため、不利な供述を避けることができます。
家族としては、本人の更生をサポートする意思を示すことも大切です。薬物依存治療を受けさせる準備をする、監督を誓約するなど、具体的な更生計画を立てることが、執行猶予を得る上で重要な要素となります。
麻薬で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット
麻薬事件で逮捕された場合、弁護士に刑事弁護活動を依頼することには大きなメリットがあります。ここでは、具体的なメリットを解説します。
逮捕後72時間以内の迅速な対応
逮捕後72時間以内の対応は、事件の結果を左右する極めて重要な時間です。この時間内に検察官による勾留請求がなされるため、迅速な対応が求められます。
弁護士に依頼すれば、逮捕直後から接見に駆けつけ、被疑者本人にアドバイスを与えることができます。取り調べでどのように対応すべきか、供述調書にサインする前に確認すべきことなど、具体的な助言を受けられるのです。
また、弁護士は検察官に対して意見書を提出し、勾留の必要性がないことを主張します。住所が定まっていること、証拠隠滅のおそれがないこと、家族の監督が期待できることなどを具体的に示すことで、勾留請求の回避を目指すのです。
勾留請求がなされても、裁判官に対して勾留決定をしないよう意見書を提出します。勾留が回避されれば、その場で釈放されることになります。
72時間以内の弁護活動により、その後の長期的な身柄拘束を避けられる可能性があるのです。これは、社会生活への影響を最小限に抑える上で非常に重要といえるでしょう。
釈放・保釈を目指す早期の身柄開放
勾留されてしまった場合でも、弁護士は釈放を目指して活動します。勾留に対しては「準抗告」という不服申立てができるため、この手続きを通じて釈放を求めるのです。
また、起訴後の段階では保釈請求が可能になります。保釈とは、保釈金を納付することで一時的に身柄を解放してもらう制度です。
弁護士は裁判所に対して保釈請求書を提出し、保釈を許可するよう求めます。その際、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないこと、家族の監督体制が整っていることなどを具体的に説明します。
麻薬事件の保釈金は、一般的に150万円から300万円程度とされています。経済状況によってはさらに高額になることもありますが、保釈が認められれば、自宅で生活しながら裁判に臨むことができるのです。
保釈されている期間に薬物依存治療プログラムに参加することで、更生への真摯な姿勢を示すことができます。これは、執行猶予を得る上で非常に有利な情状となるでしょう。
不起訴・執行猶予付き判決に向けた弁護活動
弁護士は、不起訴処分や執行猶予付き判決を目指して、さまざまな弁護活動を行います。
まず、検察官に対して意見書を提出し、起訴猶予による不起訴処分を求めます。初犯であること、所持量が微量であること、使用回数が少ないこと、深く反省していること、家族の監督が期待できることなどを具体的に主張するのです。
不起訴が難しい場合でも、執行猶予付き判決を目指します。裁判では、被告人に有利な情状を積極的に主張し、実刑を回避するよう求めるのです。
具体的には、情状証人として家族に出廷してもらい、監督を誓約する証言をしてもらいます。また、薬物依存治療を受けている事実を示し、更生への意欲を証明します。さらに、就労先が決まっていることや、社会復帰の具体的な計画があることも重要な情状となります。
麻薬や覚醒剤の初犯の場合、所持量が少なく短期間の使用であれば、拘禁刑1年6か月に執行猶予3年程度の判決となることが多いとされています。弁護士の適切な弁護活動により、この相場を実現できる可能性が高まるのです。
再犯防止策の提案・サポート
麻薬事件は再犯率が非常に高く、覚醒剤事件では同一罪名の再犯者率が約6割から7割に達するというデータがあります。薬物依存症から完全に離脱することは容易ではないため、再犯防止策が極めて重要です。
弁護士は、薬物依存の専門クリニックや治療施設を紹介してくれます。薬物依存症は病気であり、適切な治療が必要なのです。専門的な治療プログラムに参加することで、薬物への依存から脱却する道筋が見えてきます。
また、自助グループ(NA=ナルコティクス・アノニマスなど)への参加を勧めることもあります。同じ経験を持つ人々との交流を通じて、薬物を断つ決意を維持できるのです。
弁護士は、家族に対しても助言を行います。家族がどのように本人をサポートすべきか、どのような監督体制を整えるべきかなど、具体的なアドバイスを提供します。
再犯防止策をしっかりと実行することは、執行猶予を得る上でも重要ですし、何より本人の人生を取り戻すために不可欠なのです。
【解決実績】弊所で依頼を受けた麻薬関連事件
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は数多くの刑事事件の弁護活動を担当した実績を誇る法律事務所です。
実際に弊所で依頼を受けた麻薬事件について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
麻薬の逮捕に関するQ&A
麻薬事件でよく寄せられる質問について、Q&A形式で回答します。
Q.麻薬で逮捕されたら必ず勾留される?
A.麻薬で逮捕された場合、勾留される可能性は非常に高いといえます。
麻薬事件では、証拠隠滅や関係者との口裏合わせのおそれが高いと判断されやすいため、勾留の要件を満たすと認定されるケースが大半です。特に、麻薬の入手経路を解明する必要があるため、捜査機関は慎重に捜査を進めます。
ただし、すべてのケースで必ず勾留されるわけではありません。住所が明確で家族の監督が期待でき、証拠隠滅のおそれがないと判断されれば、勾留されずに釈放される可能性もあります。
弁護士が早期に介入し、検察官や裁判官に対して勾留の必要性がないことを説得的に主張すれば、勾留を回避できる可能性が高まります。そのためにも、逮捕後できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。
Q.麻薬で逮捕されたら必ず起訴される?
A.麻薬事件では、起訴される可能性が非常に高いといえます。
麻薬を所持していた事実や使用した事実は、物的証拠(押収された麻薬や尿検査・毛髪検査の結果)によって明確に証明されるケースが多いため、検察官は確実に有罪判決を得られると判断するのです。
ただし、すべてのケースで必ず起訴されるわけではありません。初犯で所持量が微量、使用回数も少なく、深く反省しており、家族の監督体制が整っているなどの事情があれば、起訴猶予による不起訴処分となる可能性もゼロではありません。
弁護士が検察官に対して意見書を提出し、不起訴処分を求めて交渉することで、不起訴を獲得できる可能性が生まれます。ただし、麻薬事件における不起訴は容易ではないことを理解しておく必要があるでしょう。
Q.麻薬で逮捕されたら初犯でも実刑になる?
A.初犯であっても、事案の内容によっては実刑判決となる可能性があります。
初犯で営利目的がなく、所持量が少量で使用回数も少ない場合は、執行猶予付き判決となる可能性が高いとされています。一方で、以下のような場合は、初犯でも実刑となる可能性が高くなります。
- 営利目的で麻薬を所持・譲渡していた場合
- 所持量が大量(例えば1キロ以上)の場合
- 長期間にわたって常習的に使用していた場合
- 麻薬の密売に関与していた場合
- 製造や輸入に関与していた場合
覚醒剤などの麻薬事件では、初犯の場合、拘禁刑1年6か月・執行猶予3年程度の判決が相場とされています。再犯の場合は、2年前後の実刑判決となることが多いとされています。
執行猶予を得るためには、弁護士による適切な弁護活動が不可欠です。情状証人の準備、薬物依存治療の開始、更生計画の立案など、具体的な対策を講じることで、執行猶予を獲得できる可能性が高まります。
家族が麻薬で逮捕されたら弁護士へ
家族が麻薬で逮捕されてしまったら、一刻も早く刑事事件に詳しい弁護士に相談してください。
麻薬事件では、逮捕後72時間以内の対応が極めて重要です。この時間内に適切な弁護活動を開始することで、勾留を回避できる可能性が生まれます。勾留を回避できれば、長期的な身柄拘束を避けられ、社会生活への影響を最小限に抑えられるのです。
弁護士は、被疑者本人への接見を通じて精神的なサポートを提供するとともに、取り調べへの対応方法をアドバイスします。また、検察官や裁判官に対して意見書を提出し、勾留の必要性がないことを主張します。
起訴された後も、弁護士は保釈請求や執行猶予獲得に向けた弁護活動を継続します。情状証人の準備、薬物依存治療の手配、更生計画の立案など、多角的なサポートを受けることができるのです。
麻薬事件は再犯率が高い犯罪です。だからこそ、初犯の段階で適切な対応をとり、薬物依存から完全に離脱することが重要です。弁護士は、専門クリニックや自助グループを紹介し、再犯防止に向けたサポートも提供します。
一人で悩まず、まずは弁護士に相談してください。早期の相談が、最良の結果につながります。