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(事例紹介)静岡県の覚醒剤使用事件で逮捕された事例
(事例紹介)静岡県の覚醒剤使用事件で逮捕された事例
~事例~
清水署と静岡県警機動捜査隊は26日までに、覚醒剤取締法違反の疑いで富士市今泉、建設作業員の男(44)を逮捕した。
逮捕容疑は5月上旬から中旬までの間、県内などで覚醒剤を使用した疑い。
(※2022年5月27日あなたの静岡新聞配信記事より引用)
~静岡県内の覚醒剤取締法違反事件~
今回取り上げた事例は、静岡県において、男性が覚醒剤を使用したことによる覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されたという事例です。
覚醒剤取締法違反事件では、その証拠となる覚醒剤そのものが隠滅しやすいこと(例えば、覚醒剤自体を捨てられてしまえば、簡単に証拠隠滅されてしまいます。)や、覚醒剤の授受に際して複数の人が関わっていることが多い=事件関係者が多いために口裏合わせなどのおそれがあることなどから、今回の事例のように、逮捕されて身体拘束を受けた上で捜査されるケースがよくみられます。
さて、今回取り上げた覚醒剤取締法違反事件は、静岡県で起きたケースです。
静岡県警のホームページにまとめられている薬物事犯統計資料によると、令和3年に検挙された薬物事犯の総数は397人であり、そのうち204人が覚醒剤事犯であるとされています。
静岡県内で検挙されている薬物事犯の約半数が覚醒剤事犯であることからも、薬物事件のうち、覚醒剤取締法違反事件などはメジャーなものであることが分かります。
さらに、この令和3年に静岡県で検挙された覚醒剤事犯204名のうち、再犯者であった者は136名と、再犯者率が66.7%であるとされています。
世間一般にも知られている通り、覚醒剤には依存性があり、一度覚醒剤に手を出してしまうとなかなか簡単には縁を切れない実情を数字からも見ることができます。
~覚醒剤取締法違反事件と刑罰~
こうした覚醒剤使用事件を含む覚醒剤取締法違反事件で起訴され有罪となれば、当然刑罰を受けることになります。
令和3年版犯罪白書によると、令和2年に覚醒剤取締法違反等事件で全国の地方裁判所で下された有期刑の状況としては、刑の全部執行猶予(一般に「執行猶予」と言われるものはこれを指すことが多いです。)がつく判決が36.6%、一部執行猶予がつく判決が16.5%、全部実刑(いわゆる「実刑判決」)が46.9%だったとされています。
もちろん、覚醒剤取締法違反事件などの薬物犯罪の再犯の有無や、単なる覚醒剤の使用なのか、それとも営利目的で売買していたのか、輸出入をしていたのかなど、犯行態様によっても刑罰の重さは変わります。
しかし、刑事裁判となった事件の半分近くが実刑判決となっていることも無視はできません。
覚醒剤取締法違反事件の当事者となってしまったら、刑事裁判を適切に進めるためにも、再犯を繰り返さないためにも、弁護士に早期に相談し、活動してもらうことが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、覚醒剤取締法違反事件などの薬物事件についてのご相談・ご依頼も承っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)職務質問から覚醒剤取締法違反事件が発覚
(事例紹介)職務質問から覚醒剤取締法違反事件が発覚
覚醒剤取締法違反事件の報道をテーマに、薬物事件の捜査の端緒について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
青森県警青森署と県警機動捜査隊は11日、むつ市の中学校教諭の男(36)(むつ市)を覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。容疑を認めているという。
発表によると、男は11日午前11時50分頃、青森市内のインターネットカフェの駐車場に止めた自家用車内に、ビニール袋に入った覚醒剤を所持した疑い。車内からは注射器も見つかった。署員が職務質問して発覚した。
(※2021年7月13日18:52読売新聞オンライン配信記事より引用)
~薬物事件の捜査の端緒~
捜査の端緒とは、簡単に言い換えると、「捜査が開始されるに至ったきっかけ」をいいます。
覚醒剤取締法違反事件などの薬物事件においては、今回取り上げたケースのように、しばしば職務質問が捜査の端緒となります(もちろん、他者からの告発により捜査が開始される場合や、捜査機関が自ら犯罪事実を認識し、捜査が開始される場合もありえます。)。
職務質問は、「警察官職務執行法」という法律で警察官に許可されている行為であり、簡単に言えば、犯罪をした者や犯罪をしようとしている者を見つけるために行われるものです。
ですから、職務質問は、まさに先ほど触れた「捜査の端緒」となるべくしてなる行為なのです。
警察官職務執行法第2条第1項
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
覚醒剤取締法違反事件などの薬物事件では、薬物を使用した影響から挙動不審となったり、薬物の所持や売買という事実があることに緊張したり警察官を見かけて焦ったりという様子を見せたりするなどの事情から、職務質問されるケースが考えられます。
薬物の取引についての情報を捜査機関が掴んでいれば、捜査機関が付近を警戒し、そこから周囲の人を職務質問していって薬物事件が発覚というケースもあるでしょう。
今回取り上げたケースは、報道によれば逮捕された男性は容疑を認めているということですが、職務質問や所持品検査を頑なに拒否する被疑者も少なくありません。
時には、捜査に当たって違法な手続が行われ、収集した証拠の証拠能力が否定されるケースもあります。
2020年6月19日には、覚醒剤が入ったスーツケースを成田空港に持ち込んだなどとして起訴された男性被告人につき、税関の検査に重大な違法があるとして無罪判決を言い渡しています。(THE SANKEI NEWS 2020年6月20日 「「違法な検査」と無罪判決 覚醒剤密輸事件で千葉地裁」より)
しかし、捜査の端緒となった職務質問が適法なものなのか違法なものなのかといった判断をするには、事件ごとの個別の事情によるところもあり、専門的な知識が求められます。
だからこそ、薬物事件の捜査の端緒に疑問のある方は、すぐに弁護士と相談し、今後の対応についてアドバイスを受けましょう。
職務質問が違法だった場合はもちろんのこと、適法な職務質問によって薬物事件が発覚した場合でも、その後の刑事手続で弁護士のサポートをこまめに受けられることは被疑者・被告人の方にとって大きなメリットとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
薬物事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(事例紹介)公務執行妨害事件から大麻所持事件が発覚
(事例紹介)公務執行妨害事件から大麻所持事件が発覚
~事例~
宮城県警仙台東署は26日、仙台市宮城野区萩野町の大学生(20)を大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕した。
発表によると、大学生は8月中旬頃、自宅アパートで乾燥大麻を所持した疑い。容疑を認めている。自宅からは乾燥大麻約160グラム(約96万円相当)、高さ約1・6メートルの栽培用テント、吸煙器具、栽培道具など31点が押収された。
大学生は今月17日、自宅前の路上で、自分が119番して駆けつけた救急車に体当たりしたとして、公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された。服用している薬を調べるため自宅を捜索して大麻などが見つかった。同署は大麻の入手ルートなどを調べている。
(※2021年8月27日11:20読売新聞オンライン配信記事より引用)
~薬物事件が発覚する経緯とは~
今回取り上げた事例では、大麻取締法違反の容疑をかけられた大学生は、元々公務執行妨害罪という他の犯罪の容疑をかけられていたようです。
大麻取締法違反のような薬物犯罪の発覚の経緯の例としては、以下のようなものがあります。
・挙動などから職務質問されて所持品検査や薬物の簡易鑑定などから薬物の所持や使用が発覚するパターン
・薬物の売人など、薬物事件の関係者が検挙され、その連絡履歴などから芋づる式に捜査の手が伸びて発覚するパターン
・家族や近所の住人など、生活に近しい人から見て様子がおかしいといった事情から捜査機関や病院に通報・相談が入って発覚するパターン
・薬物によって体調を崩し、救急車を呼んだり病院へ行ったりして検査を通じて発覚するパターン
・薬物使用の影響で他の犯罪を起こしてしまい、その捜査の過程で発覚するパターン
今回の大学生の事例は、一番最後のパターンで大麻取締法違反が発覚したといえます。
大麻に限らず、違法薬物を使用した際には、通常時と気持ちのもちようが変わることが多いです。
大麻も、使用中はいわゆる「ハイになる」感覚があるとされており、気が大きくなってしまうことも考えられます。
また、薬物によっては使用によって幻覚や幻聴を引き起こすものもあります。
こうした作用によって、違法薬物の使用者が暴行事件や傷害事件、事例にあったような公務執行妨害事件を起こしてしまい、その捜査の過程で違法薬物の所持や使用が発覚することもあるのです。
暴力犯罪だけでなく、違法薬物の使用後に自動車の運転を行い、正常な運転ができず交通事故を起こしてしまい、そこから薬物犯罪が発覚するということもあります。
さらに、大麻などの違法薬物を購入する資金を手に入れるために、窃盗事件や強盗事件といった財産事件を起こしてしまうというケースもあります。
大麻取締法違反のような薬物犯罪というと、職務質問や売人の検挙などから発覚するケースが想像されがちですが、今回の事例のように、他の犯罪をしてしまったことがきっかけで発覚することもあるのです。
こうしたケースでは、薬物犯罪への対処はもちろんのこと、他にしてしまった犯罪についての対処もしなければなりませんから、様々な種類の刑事事件に対処する必要が出てきます。
刑事事件を数多く取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、薬物犯罪だけでなく、暴力犯罪や財産犯罪、交通事件まで、幅広い種類の刑事事件のご相談・ご依頼を承っています。
他の犯罪から薬物犯罪が発覚して困っている、刑事事件への対処に悩んでいるという方は、お気軽にご相談下さい。
【解決事例】保護観察中の少年による麻薬特例法違反事件
【解決事例】保護観察中の少年による麻薬特例法違反事件
~事例~
大阪府池田市に住んでいるAさん(10代)は、大麻を使用するために、友人Xさんから大麻を購入しました。
こうした行為を続けていたAさんでしたが、大阪府池田警察署の捜査により、麻薬特例法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
その後、Aさんは大阪家庭裁判所へ送致され、観護措置を採られることになりました。
実はAさんは1年前に全くの別の少年事件を起こしており、その件の保護観察中でした。
そのため、今回の麻薬特例法違反事件は保護観察中の犯行ということで、厳しい処分が見込まれました。
Aさんの両親は、Aさんの今後を心配し、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談に来られました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
事例で書いたように、Aさんは別件の保護観察中であり、保護観察中に別の非行をしてしまったという状況でした。
さらに、Aさんは保護観察となった別件の少年事件で友人Xさんと共犯関係であったこともあり、更生のために友人Xさんと今後接触しないという約束もしていました。
保護観察中に少年事件を起こしてしまったこと、さらに保護観察の際に約束した交友関係の整理もしなかったことなどが重なっており、Aさんには厳しい処分が下されることが予想されました。
弁護士は、付添人として選任されてから、こまめにAさんに接見し、今回Aさんがしたことの何が悪かったのか、前回の少年事件を踏まえて今回少年事件を起こしてしまったことがどうして悪いのかといったことを、課題を出しながらAさんに考えてもらい、反省を深められるようにしました。
また、Aさんのご両親に対してもそれぞれ課題を出し、Aさんの周囲の環境について、ご両親の立場から改善策などを考えてもらいました。
こうした付添人活動を通じて、Aさんご本人はもちろん、Aさんのご両親にも環境改善のために少年事件を振り返ってもらい、そのことを家庭裁判所に主張していきました。
結果として、Aさんは少年院送致となったものの、期間は短期(6カ月以内)の処遇となりました。
少年院への送致も、保護処分と呼ばれる少年の更生のための処分とされていますが、少年院に行くということはその期間社会から切り離されてしまうということでもあります。
こうした事情もあり、少年院に行くことを回避したい、少年院へ行く期間を少しでも短い期間にしたいと考えられる方も少なくありません。
そのためには、社会内での更生が可能であることを訴える必要があり、少年本人はもちろん、ご家族など周りの方も含めて積極的に環境を改善していくことが必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件も多く取り扱う弁護士が、薬物事件の少年事件についても、環境を改善する活動(環境調整活動)のサポートを行っています。
少年の薬物事件にお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
【解決事例】覚醒剤使用事件の勾留から保釈を獲得
【解決事例】覚醒剤使用事件の勾留から保釈を獲得
~事例~
仙台市青葉区に住んでいるAさんは、覚醒剤を使用したことにより、宮城県仙台中央警察署に覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕され、その後勾留されました。
逮捕から5日経ってようやく国選弁護人からの連絡を受けたAさんのご両親は、Aさんの様子をこまめに知りたい、保釈などの身体解放活動に取りかかってほしいと考え、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談されました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
Aさんが覚醒剤の使用によって逮捕・勾留されたことが初めてであったこともあり、Aさんのご家族は、Aさんが覚醒剤に依存してしまう前に対策を取り、再犯を繰り返してしまうことを防ぎたいと考えていました。
そのためには、専門家の力を借りて依存症治療をする必要がありました。
また、Aさんがうつを患っており、病院に通院して治療も行っていたこともあり、すぐにAさんを病院に受診させ、治療に専念してもらいたいということでした。
弁護士は、こうした事情から早急にAさんを保釈する必要があると裁判所に訴え、Aさんの保釈を求めました。
その結果、Aさんの保釈は認められ、Aさんは無事に通院し治療を開始することができました。
その後の刑事裁判では、Aさんとそのご家族の再犯防止の努力が弁護士から提示され、Aさんは執行猶予を獲得することができました。
覚醒剤使用事件などの薬物事件では、Aさんのように逮捕・勾留されたうえで捜査を進められるというケースが多いです。
再犯防止の対策を実行するためにも、保釈などによって釈放を実現することは非常に重要ですから、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けていますので、お気軽にご相談ください。
【事例紹介】京都府の覚醒剤使用事件で無罪判決
【事例紹介】京都府の覚醒剤使用事件で無罪判決
今回は、覚醒剤を使用したとして起訴された男性が無罪判決を獲得した事例につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
2017年8月に京都市右京区のホテルで覚醒剤を使用したとして起訴された男性に対し、京都地方裁判所は2021年3月19日、「京都府警の強制採尿の手続きに重大な違法がある」として、無罪を言い渡しました。
裁判官は捜査報告書において、「尿の任意提出を求めるも、応じず無視する態度が継続した」などと事実と異なる記載があると認定し、強制採尿令状の請求を受けた裁判官の判断に影響を与え、違法な捜査によって得られたものとして採尿結果などの証拠能力を否定しました。
(2021年3月20日 京都新聞 「「採尿手続き違法」覚醒剤事件で男性無罪 京都地裁判決、警官撮影にも言及」より引用)
~有罪になりうる証拠があっても無罪となりうる~
刑事手続法上、「違法収集証拠排除法則」というルールがあり、判例上、「令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定される」としています(最高裁昭和53年9月7日判決)。
これにより証拠能力が否定され、起訴された内容(公訴事実)を認定することができない場合においては、仮に有罪を認定しうる証拠であったとしても、無罪判決が言い渡されることになります。
~相次ぐ違法捜査~
2021年3月26日にも、警視庁が捜査した薬物事件において違法な所持品検査が行われたとして、東京地裁が被告人につき一部無罪(同じく起訴されていた使用罪については有罪を言い渡しました)の言渡しをしています(2021年3月30日 朝日新聞デジタル 「「17分間取り囲み、強制的捜索の疑い」 一部無罪判決」より)。
違法な捜査によって得られた証拠や、これに関連する証拠については、証拠能力を争い、無罪判決や不起訴処分を獲得できる可能性があります。
捜査の経緯に納得ができない点がある場合には、すぐに弁護士のアドバイスを受け、今後の対策を検討することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族が覚醒剤使用の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚醒剤取締法違反事件で裁判員裁判に?
覚醒剤取締法違反事件で裁判員裁判に?
覚醒剤取締法違反事件で裁判員裁判になるケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
〜事例〜
札幌市東区に住んでいるAさんは、X国から覚醒剤を輸入し、販売して大金を得ていました。
しかしある日、Aさんが輸入していた覚醒剤が発見され、Aさんは覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
札幌方面東警察署に留置されたAさんの元にAさんの家族が依頼した弁護士が訪れたため、Aさんは今後の刑事事件の流れや見通しを詳しく聞きました。
そこでAさんは、弁護士からこのまま起訴されれば裁判員裁判になるということを聞き、非常に驚きました。
Aさんは裁判員裁判について詳しくなかったため、弁護士から裁判員裁判の特徴や弁護活動についてさらに詳しく聞いてみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)
・覚醒剤取締法違反でも裁判員裁判になる
裁判員裁判とは、刑事裁判に法律の専門家である裁判官・検察官・弁護士以外に一般人から選ばれた裁判員が参加して被告人の有罪・無罪や有罪とする場合の刑罰の重さを決める裁判のことを指します。
裁判員裁判は2009年から行われているため、裁判員裁判が登場してから10年以上が経過しています。
そのため、この記事をご覧の皆さんにも裁判員裁判という言葉は聞き馴染みのある言葉となったのではないでしょうか。
この裁判員裁判は、全ての犯罪・刑事裁判に適用されるわけではなく、ある一定の重大犯罪に適用されるとされています。
特にイメージが強いのは、殺人事件など人の命に関わるような刑事事件の裁判ではないでしょうか。
しかし、今回のAさんの事例のように、覚醒剤取締法違反という薬物犯罪でも裁判員裁判の対象となります。
裁判員裁判の対象となる犯罪はどのように決められているのでしょうか。
裁判員裁判がどういった刑事事件を対象にしているのかは、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」(通称:裁判員法)で決められています。
裁判員法第2条第1項
地方裁判所は、次に掲げる事件については、次条又は第3条の2の決定があった場合を除き、この法律の定めるところにより裁判員の参加する合議体が構成された後は、裁判所法第26条の規定にかかわらず、裁判員の参加する合議体でこれを取り扱う。
第1号 死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件
第2号 裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの(前号に該当するものを除く。)
つまり、原則として、刑罰に「死刑または無期の懲役もしくは禁錮」が定められている犯罪については、起訴されれば裁判員裁判が開かれることになるのです。
これを念頭に置いて、今回のAさんが犯した覚醒剤取締法違反について確認してみましょう。
覚醒剤取締法第41条
第1項 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
覚醒剤の輸入は、輸入の目的によって刑罰の重さが異なります。
例えば自己使用の目的で覚醒剤を輸入したような場合は覚醒剤取締法第41条第1項に当てはまり(1年以上の有期懲役)、販売する目的で覚醒剤を輸入したような場合は同法同条第2項に当てはまる(無期若しくは3年以上の懲役、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金)ということになります。
今回の事例のAさんは、 X国から販売目的で覚醒剤を輸入していますから、覚醒剤取締法第41条第2項の「無期若しくは3年以上の懲役、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金」が科される可能性があります。
ここで、先ほど確認した裁判員裁判の対象事件は「死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係る事件」ですから、Aさんの覚醒剤取締法違反事件は裁判員裁判となるのです。
裁判員裁判というと薬物事件のイメージは薄いかもしれませんが、犯罪の種別に関係なく、裁判員裁判の対象となります。
裁判員裁判は通常の刑事裁判と異なる手続きも多く、刑事事件に詳しい弁護士にフォローしてもらいながら対応に臨むことが望ましいです。
刑事事件を中心に取り扱う弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、裁判員裁判となる覚醒剤取締法違反事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。
覚醒剤取締法違反(所持・使用)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(所持・使用)事件で逮捕
覚醒剤取締法違反(所持・使用)事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
東京都八王子市に住むAさんは、東京都八王子市内の路地裏において覚醒剤を使用しました。
ところが、偶然パトロールをしていた警視庁八王子警察署の警察官に、覚醒剤をポケットに所持していたところを見つかり、任意に応じた採尿検査の結果、Aさんが覚醒剤を使用したことが発覚しました。
Aさんは覚醒剤を使用したことを認め、結果としてAさんは覚醒剤取締法違反(所持・使用)の容疑で逮捕されました。
(2021年1月19日に中京テレビNEWSに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【覚醒剤取締法違反(所持)とは】
覚醒剤取締法14条は、原則として、覚醒剤の所持を禁止しています。
覚醒剤取締法14条
覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。
そして、覚醒剤取締法41条の2第1項は、覚醒剤をみだりに所持した者を罰しています。
覚醒剤取締法41条の2第1項
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
覚醒剤取締法14条・41条の2第1項における「所持」とは、覚醒剤を自己の支配内に置く行為をいいます。
刑事事件例のAさんは覚醒剤をポケットに所持していたところを警視庁八王子警察署の警察官に見つかっており、Aさんが覚醒剤を「所持」していたことは明らかです。
よって、Aさんには覚醒剤取締法違反(所持)の罪が成立すると考えられます。
【覚醒剤取締法違反(使用)とは】
覚醒剤取締法19条は、原則として、覚醒剤の使用を禁止しています。
覚醒剤取締法19条1号から5号に覚醒剤の使用が許される例外事由が規定されています。
覚醒剤取締法19条
次に掲げる場合のほかは、何人も、覚醒剤を使用してはならない。
1 覚醒剤製造業者が製造のため使用する場合
2 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者が施用する場合
3 覚醒剤研究者が研究のため使用する場合
4 覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
5 法令に基づいてする行為につき使用する場合
そして、覚醒剤取締法41条の3第1項は、覚醒剤をみだりに使用した者を罰しています。
覚醒剤取締法41条の3
次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
1 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
覚醒剤取締法19条・41条の3第1項の「使用」とは、覚醒剤をその用途に従って用いる一切の行為をいいます。
覚醒剤取締法19条・41条の3第1項の「使用」の例としては、覚醒剤をパイプで加熱して吸引する行為、覚醒剤を水に溶かし注射器で静脈注射する行為などが代表的です。
また、覚醒剤取締法19条・41条の3第1項の「使用」があったというためには、使用する物が覚醒剤であることを認識していること(故意)が必要です。
刑事事件例では、任意に応じた採尿検査の結果、Aさんが覚醒剤を使用したことが発覚しています。
また、Aさん自身、覚醒剤を使用したことを認めています。
よって、Aさんには覚醒剤取締法違反(使用)の罪が成立すると考えられます。
【覚醒剤取締法違反(所持・使用)事件の刑事弁護活動】
覚醒剤取締法違反(所持・使用)事件の場合、証拠隠滅のしやすさなどの理由から、被疑者の方が逮捕・勾留により身体拘束をなされる可能性が高いといえます。
また、覚醒剤の所持・使用には罰金刑の規定もなく、覚醒剤取締法違反(所持・使用)の罪で起訴をされる可能性も高いといえます。
覚醒剤取締法違反(所持・使用)の罪で起訴された場合、刑事弁護士としては早期に身体拘束が解かれるよう、保釈を請求することができます。
また、弁護活動としては、覚醒剤取締法違反(所持・使用)の罪で起訴された場合、執行猶予や減刑が得られるよう、被告人の方に反省の気持ちや更生意欲があること、治療や家族の協力により再犯防止を図っていくことなどを裁判所に示していくことができると考えられます。
このように弁護士に依頼することで可能となる活動も多いことから、覚醒剤取締法違反事件では早期に弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、数多くの刑事事件を取り扱っており、その中には覚醒剤取締法違反のような薬物事件も含まれます。。
覚醒剤取締法違反(所持・使用)事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
大麻取締法違反事件(営利目的譲渡し)の保釈
大麻取締法違反事件(営利目的譲渡し)の保釈
大麻取締法違反事件(営利目的譲渡し)の保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、東京都千代田区の繁華街で飲食店の客引きをしていた男子大学生に「大麻吸ってみないか」と声を掛け、後日、大麻約3グラムを1万8千円で譲り渡しました。
その後、Aさんは、警視庁麹町警察署の警察官により、大麻取締法違反(営利目的譲渡し)の容疑で逮捕されました。
Aさんは、なるべく早く身柄を解いてほしい、保釈をしてほしいと考えています。
(2021年1月14日に静岡新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【大麻取締法違反(営利目的譲渡し)とは】
大麻取締法3条は、大麻取扱者(大麻取締法2条2項・3項に定められた都道府県知事の免許を得た者)以外の者が大麻を譲り渡すことを禁止しています。
大麻取締法3条
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
そして、大麻取締法24条の2は、大麻をみだりに譲り渡すことを禁止しています。
特に、大麻取締法24条の2第2項は、営利目的譲渡し行為を厳しく罰しています。
大麻取締法24条の2第1項
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
大麻取締法24条の2第2項
営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
大麻取締法24条の2第1項の「譲り渡し」とは、大麻について何らかの処分権を与えてその所持を移転することをいいます。
刑事事件例では、AさんはVさんに大麻を売り渡しており、このAさんの行為は大麻取締法24条の2第1項の「譲り渡し」に該当すると考えられます。
また、大麻取締法24条の2第1項の「みだりに」とは、法律に大麻の譲渡しを適法とする除外事由がないことをいいます。
例えば、大麻取締法3条は「大麻取扱者でなければ」大麻を譲り渡してはいけないと規定しています。
この場合、大麻取扱者であることは、大麻取締法に規定された大麻の譲渡しを適法とする除外事由に当たります。
本件刑事事件例では、Aさんの譲渡し行為を適法とさせる法定の除外事由はありません。
よって、Aさんの譲渡しは大麻取締法24条の2第1項の「みだりに」行われたといえます。
さらに、大麻取締法24条の2第2項の「営利の目的」とは、財産上の利益を得る目的をいいます。
刑事事件例では、AさんはVさんに大麻を売り渡しています。
売り渡すという意味通り、Aさんには財産上の利益(代金)を得る目的があった、すなわち大麻取締法24条の2第2項の「営利の目的」があったと考えられます。
以上より、Aさんには大麻取締法違反の罪(営利目的譲渡し)が成立すると考えられます。
【保釈とは】
刑事訴訟法89条は、同条1号から6号がない限り、被告人の方の権利として保釈を許可しなければならないとしています。
刑事訴訟法89条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
刑事訴訟法89条の「次の場合」とは、①重大犯罪であること、②重大犯罪の有罪判決を受けたことがあること、③常習して犯罪を犯していること、④罪証隠滅のおそれがあること、⑤証人威迫等のおそれがあること、⑥氏名又は住所不定であることです。
刑事事件例の大麻取締法違反事件でも、例えば家族の協力のもと被告人を監督できる環境が整えられていることといった事情があれば、その事情を基に上記の権利保釈の例外事由がないことを主張する保釈請求書を提出することができると考えられます。
また、刑事訴訟法90条は、権利保釈が認められなくとも、裁量により保釈を許可することができると規定しています。
刑事訴訟法90条
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
もしも権利保釈が認められなくとも、例えば会社を解雇されるおそれがある、家族の介護が必要である、被告人本人の通院が必要であるといった保釈を認めてもらう必要性などを合わせて主張していくことで、この裁量保釈を求めていくこともできます。
保釈は何度でも請求することができますので、弁護士と共に保釈に十分な環境を整えながら粘り強く保釈を求めていくことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
大麻取締法違反事件(営利目的譲渡し)での保釈についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
覚醒剤所持で保護観察付執行猶予
覚醒剤所持で保護観察付執行猶予
覚醒剤を所持したことで問題となる罪と保護観察付執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
Aさんは、埼玉県蕨市の自宅にて覚醒剤を保管していた疑いで、埼玉県蕨警察署に逮捕されました。
その後、Aさんは覚醒剤取締法違反でさいたま地方検察庁により、さいたま地方裁判所に公判請求されました。
Aさんの両親は、初めての経験で今後どうなるか分からなかったため薬物事件に強い法律事務所に相談することにしました。
(フィクションです。)
覚醒剤所持について
・覚醒剤所持とは
覚醒剤所持は、覚醒剤取締法第14条に規定されています。
覚醒剤取締法第十四条 覚醒剤製造業者、覚醒剤施用機関の開設者及び管理者、覚醒剤施用機関において診療に従事する医師、覚醒剤研究者並びに覚醒剤施用機関において診療に従事する医師又は覚醒剤研究者から施用のため交付を受けた者のほかは、何人も、覚醒剤を所持してはならない。
覚醒剤取締法第14条では、覚醒剤を条文記載の資格を持っていない人が、覚醒剤を所持することを規制する法律です。
”所持”というのは、条文上の解釈では、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」とされています。
簡単に言えば、覚醒剤を物理的に持っている状態である必要はなく、その存在を認識し管理、支配可能な状態であれば”所持”と認定されることになります。
今回の事案のような、覚醒剤を自宅で保管していたという場合でも、通常”所持”と認定されることになります。
覚醒剤所持の罰則については、覚醒剤取締法第41条の2第1項に規定されています。
覚醒剤取締法第四十一条の一 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
覚醒剤所持の罰則は、10年以下の懲役となっており、非常に厳しい罰則が規定されています。
また、上記の条文には覚醒剤所持がどのように成立するかも規定されています。
①覚醒剤を、②みだりに、③所持する
以上の要件を満たすことで覚醒剤所持は成立することになります。
②の”みだりに”とは、社会通念上正当な理由が認められないという意味です。
保護観察付執行猶予について
まず執行猶予とは、裁判官が被告人に対し、要件を満たした場合、猶予付きの判決を宣告することができる制度です。
しかし、執行猶予にはいくつかの条件があります。
1、(1)前に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと、又は、
(2)前に禁錮上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日またはその執行の免除を得た日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがないこと。
2、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金の言渡しをする場合。
3、執行猶予を相当とするに足りる情状があること。
以上の条件を満たすことで、裁判官は刑の執行を猶予するという判決を宣告することができます。
この執行猶予に保護観察が付いたものが保護観察付執行猶予と呼ばれるものです。
保護観察とは、社会に戻る中で更生できるように、保護観察官や保護司による支援、指導を行っていき、再犯防止の為に設けられた制度です。
初犯の場合は、裁判官が保護観察を要すると判断した時など、裁判所の裁量で付することができます。
執行猶予中の再犯事件で執行猶予になった場合は、再度の執行猶予として、保護観察を付さなければならないとされています。
今回の事案のような覚醒剤などの薬物事件では、再犯率が高い為、初犯であっても保護観察付執行猶予になる可能性があります。
保護観察の対象者には、事前に遵守事項と呼ばれる約束事が定められており、それを破れば執行猶予が取り消される可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では覚醒剤所持等の薬物事件に強い弁護士が数多く在籍しております。
今回の事案のような薬物事件で執行猶予を目指したい、保釈をお願いしたい等ございましたら、0120-631-881までお電話ください。
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