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(事例紹介)電子たばこにHHC 薬機法違反で逮捕
(事例紹介)電子たばこにHHC 薬機法違反で逮捕
~事例~
「ヘキサヒドロカンナビノール(HHC)」と呼ばれる指定薬物を所持したとして、神奈川県警磯子署は14日、医薬品医療機器法(旧薬事法)違反の疑いで、横浜市港北区菊名6丁目、会社員の男(36)を逮捕した。
HHCは3月施行の厚生労働省令で指定薬物に追加され、製造や所持、使用などが原則禁止された。
中枢神経系に作用し、高揚感などが得られるという。
(中略)
逮捕容疑は3月22日、同市磯子区滝頭3丁目の路上に止めた乗用車内で、HHC約0・2グラムを所持した疑い。
「自分で吸うために持っていた」と容疑を認めているという。
署によると、職務質問で見つかった電子たばこのカートリッジに、HHCが含まれていた。
(※2022年7月15日5:01YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
・HHCと薬機法違反
以前も記事として取り上げたことがありますが、今回の報道にあるHHCとは、「ヘキサハイドロカンビナール」という成分のことです。
HHCは、大麻に含まれる成分を加工したものであり、大麻に含まれるTHC(「テトラヒドロカンナビノール」)という成分に似た、向精神作用などがあるとされています。
THCは元々違法とされている成分でしたが、引用元の記事にもある通り、HHCは今年の3月から指定薬物となり、薬機法での規制が開始されたばかりです。
薬機法(正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)では、「指定薬物」とされた薬物を規制しています。
「危険ドラッグ」と呼ばれる薬物も薬機法の「指定薬物」として規制されていますが、HHCもこの危険ドラッグ同様に、薬機法によって規制されることとなったのです。
薬機法第76条の4
指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
このように、薬機法では規制薬物を所持することも禁止されています。
ですから、HHCを所持しているだけでも薬機法違反という犯罪になるのです。
薬機法第84条
次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第28号 第76条の4の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)
HHCは、電子たばこのブースターに、HHCの入ったリキッドを使用するという方法で吸われることが多いようです。
近年普及している電子たばこという身近な存在を介することもあり、使用のハードルが下がってしまうということもあるかもしれません。
しかし、上述した通り、HHCは所持しているだけでも犯罪となる違法薬物ですから、手を出さないことが一番です。
それでも、もしもHHCを所持してしまった、使用してしまったという容疑で薬機法違反となってしまった場合には、速やかに弁護士に相談し、刑事手続きに適切に対応するためのアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、薬機法違反事件を含む薬物事件のご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽に0120-631-881までお問い合わせください。
(事例紹介)営利目的譲渡による大麻取締法違反事件と保釈
(事例紹介)営利目的譲渡による大麻取締法違反事件と保釈
~事例~
群馬、沖縄両県警の合同捜査本部は7日、大麻取締法違反(営利目的譲渡)の疑いで、埼玉県熊谷市の無職男=当時(25)=ら20代の男4人を逮捕した。
(中略)
4人の逮捕容疑は共謀して昨年8月~10月、埼玉県内のコンビニエンスストアから3回にわたり、それぞれ大麻草約100グラムを代金29万~32万円で、大分市内の顧客宛に宅配便で発送し、営利目的で大麻を譲り渡した疑い。
(※2022年6月7日上毛新聞配信記事より引用)
~大麻の営利目的譲渡による大麻取締法違反事件~
大麻取締法3条は、大麻取扱者(大麻取締法2条2項・3項に定められた都道府県知事の免許を得た者)以外の者が大麻を譲り渡すことを禁止しています。
大麻取締法3条
大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
そして、大麻取締法24条の2は、大麻をみだりに譲り渡すことを禁止しています。
特に、大麻取締法24条の2第2項は、営利目的譲渡し行為を厳しく罰しています。
大麻取締法24条の2第1項
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
大麻取締法24条の2第2項
営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
大麻取締法24条の2第1項の「譲り渡し」とは、大麻について何らかの処分権を与えてその所持を移転することをいいます。
刑事事件例では、AさんはVさんに大麻を売り渡しており、このAさんの行為は大麻取締法24条の2第1項の「譲り渡し」に該当すると考えられます。
また、大麻取締法24条の2第1項の「みだりに」とは、法律に大麻の譲渡しを適法とする除外事由がないことをいいます。
例えば、大麻取締法3条は「大麻取扱者でなければ」大麻を譲り渡してはいけないと規定しています。
この場合、大麻取扱者であることは、大麻取締法に規定された大麻の譲渡しを適法とする除外事由に当たります。
今回取り上げた事例では、逮捕された男性らの大麻の譲渡し行為を適法とさせる法定の除外事由は報道からは見当たりません。
大麻の譲渡しは大麻取締法24条の2第1項の「みだりに」行われたと判断されたのでしょう。
さらに、大麻取締法24条の2第2項の「営利の目的」とは、財産上の利益を得る目的をいいます。
今回取り上げた事例でも、男性らは顧客相手に大麻を販売していたようです。
売り渡すという意味通り、男性らは財産上の利益(代金)を得る目的があった、すなわち大麻取締法24条の2第2項の「営利の目的」があったと考えられます。
以上より、男性らには大麻取締法違反の罪(営利目的譲渡し)が成立すると考えられます。
~保釈~
刑事訴訟法89条は、同条1号から6号がない限り、被告人の方の権利として保釈を許可しなければならないとしています。
刑事訴訟法89条
保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
刑事訴訟法89条の「次の場合」とは、①重大犯罪であること、②重大犯罪の有罪判決を受けたことがあること、③常習して犯罪を犯していること、④罪証隠滅のおそれがあること、⑤証人威迫等のおそれがあること、⑥氏名又は住所不定であることです。
また、刑事訴訟法90条は、権利保釈が認められなくとも、裁量により保釈を許可することができると規定しています。
刑事訴訟法90条
裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。
もしも権利保釈が認められなくとも、例えば会社を解雇されるおそれがある、家族の介護が必要である、被告人本人の通院が必要であるといった保釈を認めてもらう必要性などを合わせて主張していくことで、この裁量保釈を求めていくこともできます。
保釈は何度でも請求することができますので、弁護士と共に保釈に十分な環境を整えながら粘り強く保釈を求めていくことが重要です。
今回の事例では、まだ男性らは逮捕されて捜査されている段階ですが、この後男性らが身体拘束されたまま事件が起訴されるとなれば、こうした保釈制度を利用して釈放を求めていくことも考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
営利目的譲渡による大麻取締法違反事件での保釈についてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
(事例紹介)覚醒剤使用と危険運転致傷罪
(事例紹介)覚醒剤使用と危険運転致傷罪
~事例~
鳥栖署は1日、自動車運転処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで、住居、職業ともに不詳の男(47)を再逮捕した。
再逮捕容疑は2021年10月16日午後0時10分ごろ、鳥栖市原町の国道3号で、覚醒剤などの影響により正常な運転が困難な状態で軽ワゴン車を運転し、信号停車中のトラックに後方から衝突、トラック運転者の首や腰に12日間のけがを負わせた疑い。
(中略)
鳥栖署によると、尿から覚醒剤、血液から睡眠導入剤が検出された。
(後略)
(※2022年8月1日19:15佐賀新聞配信記事より引用)
~覚醒剤使用と危険運転致傷罪~
今回取り上げた事例では、男性が危険運転致傷罪の容疑で再逮捕されています。
報道によれば、男性はすでに覚醒剤使用による覚醒剤取締法違反の容疑で逮捕・起訴されているとのことで、取り上げた報道はそのあと危険運転致傷罪の容疑で再逮捕されたという経緯のものです。
覚醒剤を使用すれば、覚醒剤取締法違反という犯罪になることは多くの方がご存知のことと思います。
しかし、その覚醒剤の使用に関連して成立する犯罪もあります。
今回取り上げた報道にある、危険運転致傷罪はその1つです。
危険運転致傷罪は、いわゆる自動車運転処罰法(正式名称:自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律)に定められている犯罪です。
自動車運転処罰法第2条
次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
第1号 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
危険運転致傷罪は、自動車運転処罰法第2条に定められており、第1号~第8号に定められている危険運転行為によって人を負傷させた場合に成立します。
第1号~第8号に定められている8つの危険運転行為のうち、第1号の危険運転行為は、上記の通り「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為」とされています。
この「薬物」には、睡眠薬などの病院などで処方される薬のほか、今回問題となっている覚醒剤などの違法薬物も含まれています。
ですから、例えば覚醒剤を使用して意識が混濁しているような状態で自動車を運転し人身事故を起こしたという場合には、この自動車運転処罰法第2条第1号に当てはまる危険運転致傷罪に問われるということになります。
今回取り上げた事例では、男性はまさに覚醒剤などを使用した影響で正常な運転が困難な状態で自動車を運転して人身事故を起こしてしまったという容疑をかけられています。
かけられた容疑の内容が事実だとすれば、危険運転致傷罪が成立する可能性があるということになるでしょう。
対して、容疑の内容と事実が異なり、危険運転行為はなかったということであれば、危険運転致傷罪ではなく過失運転致傷罪(自動車運転処罰法第5条)にとどまるとされる可能性もあります。
「正常な運転が困難な状態」といえるかどうかなど、危険運転致傷罪の成立には専門的な観点から検討すべき点が多く存在します。
もちろん、覚醒剤を使用したことに対する覚醒剤取締法違反への対応も必要です。
今回のケースのように、覚醒剤の使用に関連して、薬物犯罪以外の部分で複数の犯罪が成立するケースもありますから、刑事事件に幅広く対応している弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、覚醒剤取締法違反事件はもちろん、交通事件から暴力事件、性犯罪事件まで幅広い刑事事件を手掛けています。
お困りの際はお気軽にご相談ください。
(事例紹介)合成麻薬MDMA輸入事件で逮捕された事例
(事例紹介)合成麻薬MDMA輸入事件で逮捕された事例
~事例~
兵庫県警薬物銃器対策課などは13日までに、麻薬取締法違反などの疑いで、ナイジェリア国籍、会社員の男(28)=大阪市住吉区=とフィリピン国籍のパート従業員の女性(49)=西宮市=を逮捕、送検した。
逮捕容疑は4月23日、営利目的で合成麻薬MDMA4871錠(末端価格約2435万円)をベルギーから輸入した疑い。
男は容疑を否認しているという。同課によると、大阪税関で下着などが入った段ボール箱からMDMAが発見された。箱の内側が二重構造になっており、袋に詰まった錠剤が隠されていた。
荷物の送付先は女性の自宅マンションだったが、女性は「荷物は男のもので『受け取って』と頼まれた」と容疑を否認。
神戸地検は13日、女性を処分保留で釈放し、男を麻薬取締法違反罪で起訴した。
(※2022年7月13日18:34YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~MDMA輸入と麻薬取締法違反~
MDMAは、合成麻薬の一種で、覚醒剤と同様、使用すると高揚感や多幸感が得られるとされています。
しかし、使用により精神障害や肝不全などを引き起こすおそれがあり、MDMAは麻薬取締法によって規制されています。
麻薬取締法では、MDMAなどの麻薬の輸入について、以下のように定めています。
麻薬取締法第65条
第1項 次の各号の一に該当する者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第1号 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第69条第1号から第3号までに該当する者を除く。)
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
条文上に出てくる「ジアセチルモルヒネ」とは、いわゆるヘロインのことであり、MDMAはヘロイン以外の麻薬ということになりますので、MDMAの輸入はこの条文で規制されることとなります。
今回取り上げた事例でも、逮捕された男性らは麻薬取締法違反などの容疑をかけられているようです。
報道によれば、先ほど挙げた麻薬取締法第65条第2項にあたる、営利目的のMDMAの輸入という容疑がかけられていると思われます。
~MDMA輸入とその他の犯罪~
MDMAを国際郵便などを利用して輸入して摘発されるというケースは度々起こっており、今回取り上げた事例以外にも、以下のような報道が見られます。
・サプリメントのボトルやコーヒー豆の袋にMDMAの錠剤を詰め、空輸で輸入をし自宅まで送ったという容疑で、すでに麻薬取締法違反の容疑で逮捕されていた容疑者が、名古屋税関清水税関支署から関税法違反で静岡地検に告発された事例(2022年2月22日あなたの静岡新聞配信記事より)
・コーヒー豆の袋の中にMDMAの錠剤を入れて国際郵便で送ったという容疑で、すでに麻薬特例法違反などで大阪地検に起訴され、大阪税関から関税法違反でも告発されていた被告人が、麻薬特例法違反などの容疑で逮捕されたという事例(2022年3月1日産経新聞配信記事より)
・すでに麻薬特例法違反などの容疑で起訴されている被告人について、食品の中にMDMAの錠剤を入れて国際郵便物に隠して輸入したという容疑で、麻薬取締法違反の罪で再逮捕した事例(2022年5月9日産経新聞配信記事より)
これらの報道を見ると、先ほど条文を挙げた麻薬取締法以外にも、MDMA輸入によって麻薬特例法違反や関税法違反といった別の犯罪が成立しているということが分かります。
MDMA輸入事件の場合、単に麻薬取締法違反が成立するだけで終わらないというところに注意が必要です。
例えば、MDMAなどの違法薬物は、関税法によって輸入してはいけないものとして指定されており、輸入すると関税法違反となります。
また、MDMAの輸入を業として行っていた場合には、業として行う薬物犯罪を麻薬取締法よりもさらに厳しく取り締まるために設けられている麻薬特例法に違反することになります。
こうしたことから、今回取り上げた報道でも、逮捕容疑が麻薬取締法違反「など」とされていたり、紹介した報道の事例でも関税法違反や麻薬特例法違反での摘発・告発がされていたと考えられます。
違法薬物の輸入事件では、刑罰の重さが重くなることが予想されることはもちろん、成立する犯罪も複数となる可能性もありますから、早めに弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕・勾留によって身体拘束されている方向けのサービスも準備しておりますので、MDMA輸入事件などによって逮捕・勾留されてしまった場合でも、スピーディーに対応できます。
まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
(事例紹介)アパートでの大麻栽培による大麻取締法違反事件
(事例紹介)アパートでの大麻栽培による大麻取締法違反事件
~事例~
石川署は15日、うるま市石川のアパートで大麻草310株を栽培していたほか、乾燥大麻約630グラム、LSD、MDMAなどの麻薬を複数所持していたとして、大麻取締法違反(営利目的栽培・所持)と麻薬取締法違反(所持)などの容疑で、住所不定の無職の男(44)を逮捕したと発表した。県警による大麻草の押収量としては過去5年で最多。
那覇地検は同日までに、大麻取締法違反や麻薬取締法違反の罪などで起訴した。
逮捕容疑は2021年6月ごろから22年3月ごろにかけて、うるま市内のアパートで、営利目的で大麻草310株を栽培するなどした疑い。
(※2022年7月18日10:59YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~大麻栽培と大麻取締法違反~
今回取り上げた事例では、男性がアパートで大麻栽培行為をしていたことや麻薬を所持していたことにより、大麻取締法違反や麻薬取締法違反の容疑により逮捕・起訴されています。
今回は、このうち大麻栽培による大麻取締法違反に焦点を当てていきます。
まず、大麻取締法では、みだりに大麻を栽培することを禁止しています。
大麻取締法第24条
第1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻取締法では、大麻栽培行為の目的が営利目的かどうかということによって、その刑罰の重さを変えています。
例えば、自分で大麻を使用するためだけに大麻を栽培した場合には、大麻取締法第24条第1項の「7年以下の懲役」という刑罰になりますが、他人に販売する目的など営利の目的で大麻栽培行為をしていた場合には、同法同条第2項の「10年以下の懲役」もしくは「10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」という刑罰になります。
このように、営利目的で大麻栽培行為をした方が重く処罰されますが、営利目的かどうかは、当事者の供述内容だけでなく、栽培されていた大麻の量や事件関係者の有無、関係者がいる場合にはそのやり取りの内容などから総合的に判断されます。
今回取り上げた報道の事例では、逮捕された男性の供述内容と合わせて、310株という大量の大麻を栽培されていたことなどから営利目的の大麻栽培であったと判断されたのでしょう。
では、大麻栽培に関連した大麻取締法違反事件では、実際にどういった判決がくだされているのでしょうか。
過去に報道された事例では、以下のようなものが見られます。
・園芸販売店の元経営者が、約7年に渡って客に対して大麻栽培に必要な器具の使い方などを教えたことで大麻取締法違反幇助の罪に問われ、反省が書けていることや海外の大麻の工場へ見学に行った事情などから大麻への関心と親和性が高いと考えられること、動機も自己中心的であることなどから、懲役4年の実刑判決が言い渡された事例(2021年3月12日11:56神戸新聞NEXT配信記事より)
・少年院の元法務教官が、自室で大麻草1株を栽培したほか、合成麻薬MDMA1錠や覚醒剤の原材料を所持したことによる大麻取締法違反などの罪に問われ、少年の更生指導に携わる立場から言語道断であるとされたものの、被告人が薬物再乱用防止プログラムを受けていることなどが考慮され、懲役2年6カ月執行猶予4年の判決が言い渡された事例(2020年11月9日朝日新聞デジタル配信記事より)
大麻栽培事件では、栽培されていた大麻の量やその目的、大麻栽培行為をしていた期間や、事件後の取り組みなどによってその量刑が判断されます。
法定刑が「7年以下の懲役」や「10年以下の懲役(あるいは10年以下の懲役及び300万円の罰金)」と期間に幅のある懲役刑となっているだけに、当事者だけでは簡単に見通しが分からず不安を感じることも多いでしょう。
だからこそ、まずは弁護士に事件の詳細を話したうえで、見通しや可能な弁護活動を聞いておくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大麻栽培事件などの薬物事件も取り扱っています。
刑事事件を中心に取り扱う弁護士が、逮捕から判決までフルサポートしますので、見通しや刑事手続についての不安を感じた際にはお気軽にご相談いただけます。
まずはご遠慮なくお問い合わせください。
[事例紹介]滋賀県守山市の麻薬取締法違反・準強制わいせつ事件
[事例紹介]滋賀県守山市の麻薬取締法違反・準強制わいせつ事件
滋賀県守山市で起きた麻薬取締法違反・準強制わいせつ事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
滋賀県守山市で昨年12月、薬物中毒で死亡した女子高校生=当時(19)=に大量の向精神薬を渡したなどとして、麻薬取締法違反と準強制わいせつの罪などに問われた無職の男(39)の論告求刑公判が5日、大津地裁であり、検察側は懲役4年を求刑した。判決は28日。
被告人質問で被告は「薬をどんなに飲んでも死にはしないと思っていた」と話し、薬の多量摂取(オーバードーズ)目的で知り合った女性(22)=麻薬取締法違反の罪で有罪確定=や女子高校生に向精神薬を渡したことについて、「渡すと2人がすごく喜んでくれた」と述べた。また、最初からわいせつ行為をする目的はなかった、と主張した。
検察側は論告で、「積極的に薬を譲渡すると言って女性らを自宅に誘い出した」と指摘した。
起訴状によると、被告は昨年12月10日、守山市の自宅で女性に向精神薬の錠剤約100錠を無償で譲り渡し、翌日、女性と共謀し、50錠を女子高校生に無償で譲り渡した。また、同12日、薬物の影響で抵抗できない女性の下半身を触った、としている。
(7月5日 京都新聞 「「オーバードーズ」で女子高生死亡、大量の向精神薬渡した男に懲役4年求刑」より引用)
麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)
向精神薬の譲渡は麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)第50条の16で規定されており、原則向精神薬営業者以外の者の向精神薬の譲渡を禁止しています。
向精神薬を無闇に譲渡し、譲渡目的で所持した場合には3年以下の懲役に処されます。(麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)第66条の4)
今回取り上げた事例では、男性は女子高生に向精神薬を渡していることから、この麻薬取締法に違反する形となっています。
準強制わいせつ罪
準強制わいせつ罪は刑法第178条1項で「人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心身を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。」と規定されています。
準強制わいせつ罪は、大まかにいえば、心神喪失や抗拒不能など、被害者が抵抗することが困難な状態であることに乗じたりそういった状態にさせたりしてわいせつなことをしたときに適用されます。
準強制わいせつ罪で有罪となった場合には、6月以上10年以下の懲役に処されることになります。(刑法第176条)
今回取り上げた事例では、男性は向精神薬を使用した影響で抵抗できない状態=「心神喪失」状態にある女子高生にわいせつな行為をしたと判断され、準強制わいせつ罪に問われたのだと考えられます。
薬物事件というと、薬物を所持していたり使用したりといったイメージが強いですが、薬物犯罪に関連して性犯罪や暴力犯罪など、他の犯罪に発展してしまうケースも存在します。
その場合、当然薬物犯罪をしてしまったときよりも重い刑罰が下される可能性は高くなりますし、被害者対応など、薬物犯罪だけでは発生することの少ない弁護活動が求められるケースも生じるでしょう。
臨機応変に刑事手続きに対応できるよう、早い段階から弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、相談者様の状況に合わせ、無料法律相談や初回接見サービスを行なっております。
ご予約・お問い合わせは0120ー631ー881までお電話ください。
【解決事例】少年の大麻使用事件で保護観察処分獲得
【解決事例】少年の大麻使用事件で保護観察処分獲得
~事例~
京都市左京区に住んでいるAさん(19歳)は、アルバイトをしながら1人暮らししているうち、アルバイト先の知人たちに誘われ、大麻を使用するようになりました。
しばらくしてから、Aさんは、京都府川端警察署により大麻取締法違反の容疑で逮捕されました。
Aさんの母親は、Aさんが逮捕されたことを知り、Aさんの力になれないかと考え、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスを利用することにしました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
Aさんは、アルバイト先の交友関係をきっかけに大麻に手を出すようになっていました。
Aさんは、今回の大麻取締法違反事件を契機に生活を改め、更生したいと考えていました。
Aさんの母親も、こうしたAさんのサポートをしたいと思っており、弁護士に弁護活動や付添人活動を依頼することとしました。
弁護士は、Aさんへの接見を重ねるとともに、Aさんの母親とも密に連絡を取り、Aさんの今後の環境を整えるための活動を行いました。
AさんとAさんの母親は、同居してAさんの生活を根本から改善することを決め、Aさんの就職先や進学先など、将来の進路を具体的に検討・決定し、社会復帰のための準備に取り掛かりました。
そして、Aさん自身も今回の大麻取締法違反事件を深く反省し、交友関係の精算などを行いました。
弁護士は、こうした事情を家庭裁判所の審判で提示し、社会内でAさんが更生することのできる環境が整っていると主張しました。
その結果、Aさんは保護観察処分となり、Aさんの母親の下で生活していけるようになりました。
少年事件では、その後の少年の更生を図ることのできる環境が整えられているのかどうかという事情が、処分を決める際の重要な要因の1つとなります。
特に、今回のAさんの事例のような大麻取締法違反事件などの薬物事件では、再犯率が高いこともあり、丁寧な環境調整活動、再犯防止活動が求められます。
少年事件や刑事事件の知識のある弁護士に相談することで、より効果的な活動のご提案が可能となります。
まずは弁護士に相談してみることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕された方向けの初回接見サービスなど、様々な事情に合わせたサービスをご用意しています。
大麻取締法違反事件などの薬物事件や少年事件にお悩みの際は、一度弊所弁護士までご相談ください。
(事例紹介)高校生の大麻取締法違反事件で再逮捕
(事例紹介)高校生の大麻取締法違反事件で再逮捕
~事例~
神奈川県警神奈川署は24日、大麻取締法違反(所持)の疑いで、横浜市神奈川区の高校2年の少年(17)を再逮捕した。
再逮捕容疑は、14日、自宅近くで、紙に巻いた大麻1本(約0・305グラム)を所持した、としている。
容疑を認めているという。
署によると、同日、少年の母親が「息子が暴れそう」と署に通報。
駆け付けた署員が自宅近くにいた少年に所持品検査をしたところ、少年が捜査に必要な許可状を破くなどしたため、署が公務執行妨害の疑いで翌15日に逮捕していた。
この時の所持品から大麻が見つかった。
(※2022年5月24日20:11YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~高校生の大麻取締法違反事件~
今回取り上げた事例は、17歳の高校生が大麻を所持していたことで再逮捕されたという事例です。
大麻取締法違反などの薬物犯罪は大人の起こす犯罪というイメージをもつ方もいらっしゃるかもしれませんが、実は中高生などの若年層に全く関わりのない犯罪ではありません。
そもそも、昨今、大麻取締法違反等で検挙される人員は増加傾向にあります。
法務省の統計である、「令和3年版犯罪白書」では、大麻取締法違反で検挙された人員が、平成29年から令和2年まで過去最多を更新し続けて増加しており、令和2年には前年比15.1%増しの5,260人が大麻取締法違反で検挙されているというデータが出ています。
そして、この大麻取締法違反で検挙された人員のうち、20歳未満の者の人数は平成26年から増加し続けており、令和2年の検挙人員は887人(前年比45.6%増)だったとのデータも出ています。
このうち、検挙された人の就学状況を見ると、中学生が8人(前年比2人増)、高校生が159人(前年比50人増)となっており、中高生による大麻取締法違反が増加していることが分かります。
中学生・高校生などの若年層が大麻に手を出しやすい理由としては、覚醒剤などの他の違法薬物に比べて大麻の価格が安価であることや、電子タバコを利用して使用する大麻リキッド(大麻の成分を抽出・濃縮した液体)など使用のハードルが低いものがあることなどが挙げられます。
しかし、ご存知の方も多い通り、大麻は持っているだけで犯罪になりますし、大麻を入口として覚醒剤やLSD、MDMAや危険ドラッグといった他の違法薬物にも手を染めてしまうといった危険もあります。
大麻に手を出さないようにすることは当然気を付けなければならないことですが、もし手を出してしまったのであれば、刑事事件・少年事件の手続への対応だけでなく、今後の更生に向けた活動も行っていかなければなりませんから、早期に薬物事件を取り扱う弁護士に相談すべきと言えるでしょう。
今回取り上げた事例のように、20歳未満の高校生などが犯罪をしてしまった場合には、少年事件として取り扱われることとなります。
少年事件では、その後の少年の更生にとってどういった処分を下すことが一番適切かといったことが重視されますから、大麻取締法違反事件であれば、今後再度大麻に関わらないように環境を整えていくことが求められるでしょう。
こうした活動のためにも、少年事件を取り扱う弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、通常の刑事事件だけでなく、少年事件についても取り扱っています。
大麻取締法違反を含む薬物犯罪のご相談・ご依頼も承っていますので、お子さんが大麻取締法違反で逮捕されてしまった、ご家族が大麻取締法違反事件を起こしてしまったとお困りの際は、遠慮なくご相談ください。
(お問い合わせ:0120-631-881)
(事例紹介)指定薬物のHHC所持で薬機法違反に
(事例紹介)指定薬物のHHC所持で薬機法違反に
~事例~
5月下旬、大麻の成分を合成した「HHC」と呼ばれる指定薬物を所持していたとして浜松市に住む19歳の少年が逮捕されました。
「HHC」は、ことし3月に規制の対象になったばかりで、警察は「違法な薬物なので手を出さないでほしい」と呼びかけています。
(中略)
警察によりますと5月25日、浜松市内の自宅で、大麻成分を合成して作られた「HHC」を含む液体0.5グラムと、大麻を液体状に加工した大麻リキッド0.5グラムを不法に所持していたとして、医薬品医療機器法違反と大麻取締法違反の疑いがもたれています。
(※2022年6月6日19:02NHK NEWS WEB配信記事より引用)
~HHCと薬機法違反~
今回の事例で取り上げているHHCとは、「ヘキサハイドロカンビナール」というものです。
HHCは、大麻に含まれる成分を加工したものであり、HCCを使用すると大麻を使用する際と同じような症状、例えば、高揚感や幻覚作用が出るとされています。
こうしたことから、HHCは「合成大麻」と呼ばれることもあるようです。
このHHCは、引用元の記事にもある通り、今年の3月まで規制されていない薬物でした。
しかし、先述したように、大麻を使用した際のような作用があることなどから、今年3月に薬機法内の「指定薬物」に追加され、規制されるに至ったのです。
薬機法(正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)では、「指定薬物」とされた薬物を規制しています。
いわゆる「危険ドラッグ」も薬機法の「指定薬物」であり、危険ドラッグもこの薬機法で規制されています。
薬機法第76条の4
指定薬物は、疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し、輸入し、販売し、授与し、所持し、購入し、若しくは譲り受け、又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。
この条文にある通り、「指定薬物」とされた薬物については、所持することも薬機法違反という犯罪になります。
ですから、HHCも、所持しているだけで薬機法違反という犯罪になるのです。
薬機法第84条
次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
第28号 第七十六条の四の規定に違反した者(前条に該当する者を除く。)
※注:「前条」とは、薬機法第83条の9にある、「業として」「指定薬物」の製造や輸入、所持などをすること禁止したものを指しています。
「指定薬物」を所持したことによる薬機法違反では、「三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科」という刑罰が定められています。
HHCのように、今までは規制されていなかったが新たに規制されることになったという薬物も存在します。
HHC所持による薬機法違反についても、早期に弁護士に相談しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、薬物事件のご相談・ご依頼についても受け付けています。
まずはお気軽にご相談ください。
(事例紹介)覚醒剤を大量に輸入して逮捕された事例
(事例紹介)覚醒剤を大量に輸入して逮捕された事例
~ケース~
営利目的で覚醒剤を密輸入した疑いなどとして、静岡市に住む男ら3人が逮捕されました。押収した覚醒剤は静岡県警が去年1年間に押収した量のおよそ25倍です。
(中略)
警察によりますと、配送業の男は今年3月、アメリカから覚醒剤およそ340グラムを輸入した疑いがもたれています。覚醒剤は、ろうそく容器の中に隠して輸入されていたということです。
配送業の男の身辺調査で会社員の男が浮上し、捜査をしたところ、キャンプ用のいすのひじ掛け部分などに覚醒剤を隠して所持していたことがわかりました。
(中略)
今回の事件では、あわせて3㎏を超える量の覚醒剤が押収されていて、2021年1年間に静岡県警が押収した覚せい剤のおよそ25倍の量だということです。
(※令和4年5月27日18:11SBSNEWS配信記事より引用)
~営利目的での覚醒剤輸入罪について~
覚醒剤の営利目的輸入の罪は、営利の目的で、覚醒剤を、みだりに、本邦に輸入する犯罪です。
法定刑は無期若しくは3年以上の懲役、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1000万円以下の罰金となっています(覚醒剤取締法第41条2項)。
法定刑を参照すれば、相当の重罪とされていることがわかります。
また、裁判員裁判法第2条1項1号により、裁判員裁判対象事件となります。
~関税法違反の疑い~
報道では記載されていませんが、ケースの事件では関税法違反の疑いももたれることになるかもしれません。
覚醒剤は関税法により「輸入してはならない貨物」とされています(関税法第69条の11第1項1号)。
これに違反した場合には、「十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」とされています(関税法第109条1項)。
~今後の捜査~
冒頭のケースでは大量の覚醒剤が押収されており、常識に照らせば、明らかに個人で使用する目的の量ではありません(報道によれば、薬物乱用者の通常使用量において、およそ11万回分に相当するとのことです)。
覚醒剤の密売計画があったのか、あるとすればどのようなルートで密売するのか、他にも事件の関係者がいるのか、など、捜査によって解明されるべきポイントは多岐にわたります。
その関係上、かなり捜査が長引くことが予想されます。
このように、覚醒剤の営利目的輸入の場合は、単なる所持や使用よりも覚醒剤の量が多く、捜査も広範に行われ、長期化します。
そして、捜査機関の取り調べも厳しくなります。
覚醒剤の営利目的輸入の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後のアドバイス、サポートを受けることが重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
ご家族が覚醒剤の営利目的輸入の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。