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覚せい剤使用事件が違法捜査で不起訴や無罪に

2019-11-22

覚せい剤使用事件が違法捜査で不起訴や無罪に

覚せい剤使用事件において、違法捜査が行われた場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは覚せい剤を使用して神奈川県川崎市内の繁華街を歩いていたところ、パトロール中の警察官から、挙動不審を理由に職務質問を受けました。
ところが、Aさんは明確に応答を拒否し、「警察官から注射痕の有無を確かめさせて欲しい」と告げられたときも、上着の袖を押さえて見せないようにしました。
このようなやりとりが4時間近く行われましたが、警察官はついにAさんのベルトを数人で掴んでパトカーの中に押し込み、後部座席でAさんの袖を強引に捲ると、多数の注射痕を認めました。
Aさんは神奈川県中原警察署に連れて行かれたあと、警察官から「強制的に尿を採取することもできるんだぞ」と告げられ、観念し、尿を提出しました。
検査の結果、尿からは覚せい剤の使用を示す反応が検出されたので、Aさんは覚せい剤使用の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~ケースにおいて想定される弁護活動~

Aさんが提出した尿、Aさんが覚せい剤を使用したことを示す尿の鑑定書などの証拠能力を争い、不起訴処分無罪判決を目指すことが考えられます。

最高裁第一小法廷昭和53年9月7日判決は、
証拠物の押収等の手続に、憲法三五条及びこれを受けた刑訴法二一八条一項等の所期する令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合においては、その証拠能力は否定されるものと解すべきである
と判示しています。

要するに、違法捜査(違法の程度は「重大」であることが必要です)によって取得された証拠物については、裁判で有罪を立証するための証拠として利用できない場合がある、ということを意味します。

Aさんの覚せい剤使用行為を立証するためには、Aさんの尿、Aさんの尿の鑑定書などが極めて重要な証拠となります。
これらを覚せい剤使用行為の認定に用いることができない場合、裁判所が覚せい剤使用罪につき無罪判決を言い渡すことが期待できます。
さらに、検察官が裁判を維持することができないと判断し、不起訴処分を行うことも考えられます。
不起訴処分が得られれば、裁判にかけられることはなく、したがって有罪となり処罰されることも基本的にありません。

~ケースの場合はどうか?~

ケースの警察官は、職務質問の範疇でAさんに対し、腕の注射痕を見せるよう求めています。
しかし、Aさんは4時間近くにわたり、上着の袖を押さえるなどして、明確に拒んでいます。
職務質問は、任意の処分ですから、強制的に移動させたり、強制して上腕部の注射痕を確認することは原則としてできません。
強制的に注射痕を確認するためには、それを正当化するために裁判官が発付する令状が必要となります。

ところが、ケースの警察官は、身体検査令状の発付を受けることなく、Aさんのベルトを掴んでパトカーに押し込み、強引にAさんの袖を捲って注射痕を確認しています。

(職務質問において)

Aさんのベルトを掴んでパトカーに押し込む行為は、Aさんの意思を制圧し、行動の自由を奪う強度の実力行使と評価できそうです。
逮捕の要件を満たしている場合は別ですが、何の令状もなく、明確に拒否の意思を示しているAさんに対して上記行為を行った場合は、違法な実力行使として違法捜査だと評価される可能性があります。

(強引にAさんの腕を捲り、注射痕を確認した点)

上記に続いてAさんの袖を強引に捲った点は、無令状で強制的に身体検査を行ったものと評価される可能性があります。

(警察署における尿の提出)

ケースですと、尿の提出自体は任意のように思われます。
しかし、ケースの警察官はAさんに対して、強制的にパトカーに押し込んだり、強引に袖をめくったうえで、さらにそのまま警察署に連行しています。
警察官は、強制的雰囲気を出さないように努めるどころか、これまでの強制的な手段に続いて、「強制的に尿を採尿するぞ」と告げ、Aさんに尿を提出させ、検査を行っています。
このようなやり方は、違法な捜査によって作られた状況を利用して採尿したと評価できます。

~ケースの後に考えられる弁護活動~

このような経緯で取得されたAさんの尿、Aさんの尿の鑑定書等は、重大な違法性を帯びた手続により得られた違法収集証拠に当たる可能性があります。
もしそうであれば、鑑定書等を証拠として利用できない結果、証拠の不存在により無罪となることがありえます。
そこで、弁護士としては、裁判を行っても有罪を立証できる見込みがないとして、不起訴処分をするよう検察官に働きかけることが考えられます。
また、起訴された場合には、Aさんの覚せい剤使用行為を認定できる証拠がないとして、無罪の主張をすることが考えられます。

覚せい剤使用事件における捜査の適法性に疑問を感じた場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(無料法律相談のご予約はこちら

大麻取締法違反で逮捕

2019-11-17

大麻取締法違反で逮捕

大麻取締法について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~今回のケース~

埼玉県行田市在住のAさん(21歳)は近所の大学に通っています。
深夜、Aさんは友人たちと近所の駐車場にバイクを止めて話をしていると、そこに埼玉県行田警察署の警察官がやってきて職務質問をされました。
Aさんは警察官にかばんを確認され、中に大麻があったため、現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は今後の対応について、薬物事件に強い弁護士に相談することにしました。
(フィクションです)

~大麻に関して問題となる条文~

大麻取締法 第24条の2 第1項
大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

条文にもある通り、大麻を「所持する」「譲り受ける」「譲り渡す」といった行為をすると、起訴されて有罪が確定すれば、「5年以下の懲役」が科されます。
大麻を「使用」する行為は大麻取締法違反にはならないので注意が必要です。
ただし、大麻を使用するために所持していた場合は上述の「所持」にあたるので、大麻取締法違反となります。

また、営利目的で所持、譲り受け、譲り渡しを行った者は、「7年以下の懲役、または情状により7年以下の懲役および200万円以下の罰金」(同条2項)となり、法定刑が1項よりも重くなります。

さらに、第24条の2には未遂犯も処罰する規定があるので(同条3項)、譲り受けようとした者や譲り渡そうとした者も処罰されることになるでしょう。

~大麻取締法違反への弁護士の対応~

〇初回接見

薬物事件では、入手先等事件に関係する仲間との接触などの証拠隠滅が疑われて、逮捕されてしまった後、そのまま勾留される可能性が非常に高いです。
そこで、ご家族の方から弁護士を身体拘束されてしまった方の元へ派遣する初回接見を行うことをおすすめします。

薬物事件では、ご家族の方でさえも、身体拘束されてしまった方への接見(面会)を禁じられる場合があり、誰とも会えないような状況では身体拘束されてしまった方へかなりの精神的な負担がかかります。

例え接見禁止となっていても弁護士であれば身体拘束を受けている方と自由に面会ができます。
そこで弁護士は、今後の対応について話し合ったり、ご家族の方の伝言を伝えたりすることで、身体拘束を受けている方の精神的負担が和らぐように努めます。

〇身柄解放への活動

弁護士は検察官に対して、身体拘束を受けている方に証拠隠滅や薬物関連の仲間との接触の可能性が無いことを訴えて、勾留請求をしないように働きかけることが可能です。
また、裁判所から勾留決定が出されたとしても、勾留決定に対する異議申立てを行うことが可能です。

このように、弁護士であれば、身体拘束されてしまった方が少しでも早く身体拘束から解放できるように努めることが可能です。

〇違法捜査がなかったかの確認

職務質問に伴い、所持品を検査されるような場合には警察官が違法な捜査行為を行っていないかを判断する必要があります。
その判断をするために、「警察(捜査)比例の原則」というものがあります。
警察比例の原則というのは、「捜査は①必要性があり、②必要性に見合った相当なものである必要がある」というものです。
この警察比例の原則に反するような捜査は違法なものと判断され、そのような違法な捜査によって得られた証拠として認められない可能性があります。

弁護士は、所持品を検査することに必要性、相当性があったかを見極め、警察官の行為が適法かどうかを検討します。

大麻取締法違反に対する弁護士の弁護活動は以上のように様々なことが可能です。
そこで、一度薬物事件に強い弁護士に相談することを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士無料法律相談初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、埼玉県行田市の薬物事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

覚せい剤所持で逮捕

2019-11-12

覚せい剤所持で逮捕

覚せい剤所持逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、宮城県仙台市内の自宅において、覚せい剤を所持し、使用するなどしていました。
東北厚生局麻薬取締部麻薬取締官は、かねてからAさんをマークしており、Aさんの覚せい剤所持の証拠を集め、Aさんの自宅を捜索場所とする捜索差押許可状を取得しました。
麻薬取締官は、捜索差押許可状を携え、Aさんの自宅を捜索したところ、覚せい剤が発見されたので、覚せい剤所持の疑いで現行犯逮捕しました。(フィクションです)

~覚せい剤所持罪、覚せい剤使用罪について解説~

(覚せい剤所持罪)

覚せい剤所持罪とは、その名の通り、覚せい剤をみだりに所持する犯罪です(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由が認められない、という意味です。
覚せい剤を所持する正当な理由として、覚せい剤を取り扱う施設や機関に勤務する医師や研究者であることなどがあげられます(覚せい剤取締法第14条1項及び2項各号を参照)。
Aさんにはそのような正当な理由がないのにも関わらず、自宅において覚せい剤を保管していたのですから、上記の覚せい剤所持罪が成立する可能性が極めて高いと思われます。
覚せい剤所持罪の法定刑は10年以下の懲役です。

(覚せい剤使用罪)

覚せい剤取締法第19条に違反して覚せい剤を使用する犯罪です(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合(覚せい剤取締法第19条1号)、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合(覚せい剤取締法第19条2号)などは、覚せい剤使用罪に該当しません。
Aさんが逮捕された理由は、覚せい剤所持罪の嫌疑があることによるものですが、麻薬取締官はAさんが覚せい剤を使用しているのではないか、という疑いも持っています。
覚せい剤所持罪の件で捜査が行われている際に、尿検査が行われ、覚せい剤の使用を示す反応が検出されれば、覚せい剤使用罪の嫌疑もかけられることになります。
覚せい剤使用罪の法定刑は、10年以下の懲役となっています。

~麻薬取締官とは?~

麻薬取締官は、薬物犯罪の捜査権限を与えられた特別司法警察職員です(麻薬及び向精神薬取締法第54条5項)。
そのため、警察官ではありませんが、薬物事件に関して捜査権限を持ち、被疑者の逮捕、捜索・差押えを行うことができます。
麻薬取締官は厚生労働省の職員であり、薬物事件の捜査に特化したノウハウを有しており、中には、薬剤師の資格を持つ麻薬取締官もおられます。

~逮捕後の手続~

逮捕された後は、麻薬取締官の取調べを受けます。
留置された場合は、拘置所に連行されることになると思われます。
この場合は、逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致し、検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めなければなりません。
勾留請求を受け、裁判官が勾留決定を出すと、検察官が勾留請求をした日から10日間勾留されます。
加えて、やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間勾留が延長されます。

~弁護士に身柄解放活動を依頼~

薬物事件の捜査においては、薬物の流通ルート、Aさんの背後に存在する組織など、明らかにすべき点が多く、身体拘束が長期化する傾向があります。
そのため、起訴前の段階で早期に身柄解放を実現するのは、一般的に難しいと言って差し支えありません。
反面、起訴され、捜査で明らかにすべき点がすべて明らかになれば、保釈決定が出やすいのが特徴です。
Aさんに必要な身柄解放活動として、勾留されている期間が少しでも短くなるよう、勾留に対する不服申し立て制度を利用すること(準抗告)、保釈保証金を用意し、保釈の実現を目指すことが挙げられます。

~起訴されてしまった場合~

覚せい剤所持罪覚せい剤使用罪につき有罪判決を受け、執行猶予がつかない場合、実刑判決となって刑務所への収容を余儀なくされてしまいます。
薬物依存者向けの更生プログラムを受けるなど、真摯に薬物を断つつもりであることを裁判所に納得してもらい、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが重要です。
仮に執行猶予獲得には至らなかったとしても、刑の減軽を認める事情としてプラスになる可能性はあるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、覚せい剤に関する犯罪について何でもご相談いただけます。
ご家族が覚せい剤所持事件覚せい剤使用事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談をご利用ください。

覚せい剤譲受事件の身柄解放活動

2019-11-07

覚せい剤譲受事件で保釈

覚せい剤譲受事件保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、大阪府大阪市内の路上において、薬物の売人から覚せい剤を3万円で譲り受けました。
ところが、パトロール中の警察官に上記行為を現認されてしまい、職務質問を受けました。
Aさんは「ただの塩だ」などと弁解していましたが、薬物担当刑事による簡易検査の結果、覚せい剤であることを示す反応が検出されたので、覚せい剤譲受の罪で逮捕されてしまいました。
大阪府西成警察署でAさんと接見した弁護士は、Aさんの釈放を目指すことにしました。(フィクションです)

~覚せい剤譲受罪について解説~

罪名の通り、覚せい剤をみだりに譲り受ける犯罪です(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
法定刑は10年以下の懲役となっており、かなり重い犯罪ということができます。

「譲り受け」とは、相手方から、物についての法律上又は事実上の処分権限を与えられて、その所持の移転を受けることをいいます。
なお、取引について、有償、無償を問いませんので、ケースの場合と異なり覚せい剤を無料で受け取った場合であっても、覚せい剤の譲受罪が成立します。

~ Aさんは今後どうなる? ~

まずは、警察署に引致され、弁解を聞かれた後、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められると、留置場に入らなければなりません。
その場合、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。

送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
薬物事件は、薬物の入手ルートの解明、Aさんの背後にある組織の解明など、捜査により明らかにしなければならない事項が多く、一般的に勾留される可能性が高いということができます。
勾留請求に対し、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
そして、やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間勾留が延長されます。

捜査では、Aさんの余罪についても尋ねられることが予想されます。
覚せい剤を譲り受けたことに関連し、覚せい剤の使用の嫌疑もかけられる可能性が高いです。
尿検査を受け、Aさんの尿から覚せい剤の使用を示す成分が検出されれば、覚せい剤使用の点でも捜査が行われることになります。

~覚せい剤譲り受け事件の身柄解放活動(保釈)~

前述の通り、薬物事件においては、身体拘束が長期化することが見込まれます。
また、余罪につき再逮捕されると、さらに捜査段階における身体拘束が長期化することになります。
Aさんの弁護士は、Aさんを勾留し続ける要件を満たしていないことなどを主張し、身体拘束が長期化しないように、なるべく早期に解放されるように働きかけます。
ですが、薬物事件の傾向からして、功を奏さないことも充分考えられます。

それに対し、捜査が終了し、Aさんの事件の全容が明らかになってから起訴されると、起訴後の身柄解放の手段である保釈が請求できるようになります。
薬物事件においては、この保釈釈放を実現する有力な手段と言えます。
保釈とは、保釈保証金を納付し、少なくとも裁判が終わるまで勾留を解く処分をいいます。
保釈保証金は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が設定されます。
保釈保証金は先に納めなければなりませんが、Aさんが逃亡せず、無事に裁判が終了すれば返還されます。
ただし、逃亡するなどして保釈を取り消されると、裁判官の判断で保釈保証金の一部または全部を没収される場合があります。

保釈決定が出ると、本来の生活に戻ることができます。
身体拘束を受けながら事件解決を目指すのと、保釈された状態で事件解決を目指すのでは、Aさんの負担が大きく違います。
また、薬物事件においては、薬物対策のための医療機関を受診する等保釈された状態でなければできない活動があります。
まずは、接見にやってきた弁護士に早期の身柄解放について相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースの事件についても相談いただけます。
ご家族が覚せい剤譲受事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談をご利用ください。 

覚せい剤使用事件で強制採尿

2019-11-02

覚せい剤使用事件で強制採尿

覚せい剤を使用し強制採尿された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

兵庫県丹波篠山市在住のAさんは、覚せい剤を使用し、自宅付近を歩いていたところ、兵庫県篠山警察署の警察官に声をかけられ、職務質問を受けました。
警察官は、Aさんの受け答えが覚せい剤などの薬物の使用をうかがわせものであったことから、Aさんに尿検査を求めました。
Aさんが頑なに拒否するため、警察官は強制採尿令状を取得し、病院へ連れていくことを検討しています。(フィクションです)

~覚せい剤使用罪について解説~

覚せい剤取締法第19条は、
① 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
② 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
③ 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
④ 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
⑤ 法令に基いてする行為につき使用する場合
を除き、何人も、覚せい剤を使用してはならないとしています。
これに違反し、覚せい剤を使用すると、10年以下の懲役に処せられます(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。

~警察による強制採尿の可否~

Aさんに声をかけた警察官は、令状により、強制的にAさんの尿を取得し、鑑定しようとしています。
このような強制採尿を伴う捜査を行うことはできるのでしょうか。

判例(最高裁昭和55年10月23日決定)は、
「(強制採尿は)被疑事件の重大性、嫌疑の存在、当該証拠の重要性とその取得の必要性、適当な代替手段の不存在等の事情に照らし、犯罪の捜査上真にやむをえないと認められる場合には、最終的手段として、適切な法律上の手続を経てこれを行うことも許されてしかるべきであり、ただ、その実施にあたつては、被疑者の身体の安全とその人格の保護のため十分な配慮が施されるべきものと解するのが相当である」
と判示しており、強制力を用いた採尿を適法に行い得る場合があることを認めています。

そして、捜査機関が強制採尿をするには捜索差押令状(家宅捜索などに利用される令状)によるべきであり、右令状には、医師をして医学的に相当と認められる方法で行わせなければならない旨の条件の記載が不可欠であるとしています。

上記の強制採尿令状が発付されたとして、令状により、Aさんを採尿場所まで強制的に連れて行くことができるか否かが問題となります。
Aさんに強制採尿を行う段階では逮捕が行われておらず、Aさんの身体の自由を制約する根拠がないように思えるからです。
この点につき、判例(最高裁平成6年9月16日決定)は、任意同行が不可能な場合に、強制採尿令状の効力として、採尿に適する最寄りの場所まで被疑者を連行することができ、その際、必要最小限度の有形力を行使することができるとしています。

~Aさんに強制採尿令状は発付されるか?~

強制採尿令状による採尿は、判例も「最終的手段」と位置付けており、Aさんが尿検査を拒んだからといって、直ちに強制採尿令状が発付されるわけではありません。
もっとも、Aさんに十分な覚せい剤使用の嫌疑があり、警察官の再三にわたる尿検査の説得にも応じない、という場合には、強制採尿令状が発付される可能性が高まります。

強制採尿令状により取得した尿とその鑑定書は、Aさんの覚せい剤使用を立証する重要な証拠となります。

~ケースの場合、取得された尿から陽性反応が検出されるとどうなるか?~

覚せい剤使用の疑いで現行犯逮捕される可能性が極めて高いと思われます。
逮捕され、勾留決定がなされると、最長23日間も身体拘束を受けることになります。
その間に捜査が行われることになりますが、警察がAさんの自宅を捜索し、覚せい剤やその使用に用いる器具などを押収されることが十分考えられます。
その場合、覚せい剤所持罪の嫌疑もかけられることになると思われます。

~身柄解放活動~

薬物使用事件においては、捜査中に釈放されにくく、起訴後に保釈請求をすることでやっと釈放されるケースが多いです。
したがって、薬物使用事件における身柄解放活動は、保釈の実現に向けて重点が置かれることになります。

~執行猶予付き判決の獲得を目指す~

覚せい剤使用事件の場合、初犯であれば執行猶予付き判決を得られる見込みが相当程度あります。
執行猶予を目指すに際しては、保釈中に薬物依存の治療を受ける、信頼できる身元引受人を用意するなど、自身に有利な事情を見つけ出すことが重要です。
ですので、起訴されて保釈が認められた場合は、弁護士のアドバイスを受けながら、執行猶予付き判決の獲得を目指して行動することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、覚せい剤使用事件についてもご相談いただけます。
ご家族が覚せい剤使用事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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大麻栽培で逮捕

2019-10-28

大麻栽培で逮捕

大麻栽培逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

京都府木津川市に住むAさんは,自宅の庭に野菜畑を所有しており,そこで採れた野菜を近所の住人に無償で譲り渡したりしていた。
ある日近所の住人Bさんが,Aさんから野菜の育て方を教わるために野菜畑を見学していたところ,野菜畑の中に「春菊」と書かれた立て札があるのを見つけた。
しかし,そこに栽培されていたものの形状が明らかに春菊ではなかったことから,不審に思ったBさんは,後日警察を呼んで確認したところ,「春菊」と書かれた立て札がある場所に栽培されていた草が大麻草であることが発覚した。
発覚後すぐに,Aさんは,無許可で大麻を栽培したとして,大麻取締法違反の罪で京都府木津警察署逮捕されてしまった。
(上記の事例はフィクションです)

~大麻取締法~

大麻取締法第3条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し,栽培し,譲り受け,譲り渡し,又は研究のため使用してはならない。

大麻取締法第24条 大麻を,みだりに,栽培し,本邦若しくは外国に輸入し,又は本邦若しくは外国から輸出した者は,七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は,十年以下の懲役に処し,又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は,罰する。

大麻取締法第24条の2 大麻を,みだりに,所持し,譲り受け,又は譲り渡した者は,五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は,七年以下の懲役に処し,又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は,罰する。

このように,大麻取扱者以外の者が,大麻の栽培を行った場合には,7年以下の懲役に処せられ,営利目的での栽培の場合には,10年以下の懲役,又は情状により10年以下の懲役と300万円の罰金の両方が科されることになります。

「大麻取扱者」とは,「大麻栽培者及び大麻研究者をいう」(大麻取締法2条1項)と規定されており,「大麻取扱者」になるためには,厚生労働省令の定めるところにより,都道府県知事の免許を受けなければならないと定められています(同法5条1項)。
上記事例のAさんは,都道府県知事の免許を取得していない以上,「大麻取扱者」にはあたりません。

「栽培」とは,種をまいてから収穫までの育成行為をいいます。
播種を行った時点で実行の着手が認められ,栽培の未遂として処罰の対象となります。
その後発芽した時点で栽培の既遂に達し,大麻を刈り取るまで犯罪は継続すると解されています(継続犯)。
なお,大麻取締法違反は,実行の着手の前段階,つまり種子や栽培道具を提供するといった協力行為についても処罰の対象としており,「3年以下の懲役」という罰則が設けられています(24条の6)。
また,業として栽培を行っていたとされた場合,無期又は5年以上の懲役及び1千万円以下の罰金という非常に重い処罰を受けることになります(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為等を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)5条2号)。

大麻取締法は,大麻の単純使用については罰則規定がなく,大麻を吸う行為そのものは処罰されないといえます。
大麻の使用が禁止されていないのは,大麻が医薬品や研究の用途などに広く使われており,自然界に自生しているからです。
もっとも,大麻を所持したり譲り受けたりせずに大麻を使用することは不可能ですので,実際は,所持や譲り受け行為を認定されてしまうことになります。

大麻については,日本でも合法化のための運動などがなされていますが,少なくとも現段階では,日本国内に合法の大麻は存在しません。

大麻所持の罪などで有罪となってしまった場合であっても,どれだけの量をどれだけの期間栽培していたのかなどケースにもよりますが,初犯であれば営利目的がなかったり業として行っていたとはいえない場合,執行猶予が付く可能性が十分にあります。
そのため,弁護士を選任して積極的に弁護活動を行うことが重要になってきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,薬物犯罪において行われる捜査について深い知識や経験をもつ弁護士が在籍しています。
弊所では24時間,無料相談及び初回接見のご依頼を受け付けておりますので,0120-631-881までお気軽にお電話ください。

麻薬特例法違反で逮捕

2019-10-23

麻薬特例法違反で逮捕

麻薬特例法違反について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

福岡県福岡市中央区に住むAさんは、若いころから覚せい剤の密売で生計を立てていました。ある日、Aさんは、知人を通じて外国から100キロ単位の覚せい剤を密輸することを企てました。ところが、Aさんは、捜査当局に「覚せい剤の密売に関与している」との情報を入手されてしまいました。そして、博多港で大量の覚せい剤が押収されました。Aさんは、自宅で覚せい剤が配達されるのを待っていたところ、「配達です」との声がして玄関ベルが鳴ったため玄関へ行き、荷物を受け取りました。その際、配達員を装った福岡県中央警察署の警察官に麻薬特例法違反逮捕されてしまいました。荷物の中には丸められた新聞紙や古本のみが在中し、覚せい剤は入っていませんでした。警察が港で覚せい剤を押収した際、覚せい剤を抜き取った上で追跡捜査していたようです。Aさんは逮捕勾留された後、接見禁止決定により弁護人以外の者との面会が禁じられています。
(フィクションです。)

~ 麻薬特例法とは ~

麻薬特例法は、正式名称「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(以下、法律)といいます。
薬物犯罪による薬物犯罪収益等のはく奪、規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的としており(法律1条)、平成4年7月1日から施行されています。

「規制薬物」とは、麻薬向精神薬大麻あへんけしがら覚せい剤をいいます(法律2条1項)。
また、「薬物犯罪」とは、覚せい剤に限っていえば、

・覚せい剤の輸出入、製造の罪(営利目的を含む)、又はこれらの未遂罪
・所持、譲渡し及び譲受けの罪(営利目的を含む)、又はこれらの未遂罪
・譲渡しと譲受け(営利目的を含む)の周旋の罪

をいいます(法律2条2項5号)。

~ 規制薬物等の譲り受け等 ~

規制薬物等の譲り受け等の罪は法律8条2項に規定されています。

法律8条2項
 薬物犯罪(規制薬物の譲渡、譲受け、又は所持に係るものに限る。)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、又は譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

「規制薬物として」とされている点がポイントです。
つまり、譲り渡したり、譲り受けたりする対象や規制薬物そのものでなくてもよいわけです。
麻薬特例法が、規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的としている所以です。

ただし、本罪の故意として「薬物犯罪(規制薬物の譲渡、譲受け、又は所持に係るものに限る。)を犯す意思」が必要です。
本罪で検挙される前に多数の薬物取引が証拠上認められる場合などは、「薬物犯罪(規制薬物の譲渡、譲受け、又は所持に係るものに限る。)を犯す意思」があると認められてしまう可能性が大きいといえます。
また、実際の対象物が薬物そのものではないことから、法定刑は薬物を譲り受けた場合よりも低くなっています。
ちなみに、覚せい剤の譲り受け罪の法定刑は「10年以下の懲役」、営利目的が認められる場合は「1年以上の有期懲役(上限20年)」、情状によっては「1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」です。

~ 接見禁止 ~

薬物事件では、勾留によっては罪証隠滅行為を防止できないとして接見禁止決定を出されることが多いと思われます。接見禁止決定とは、弁護人あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁止する決定を言います。
接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める

などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、麻薬特例法をはじめとする薬物事件刑事事件少年事件専門の法律事務所です。お困りの方は、0120-631-881までお気軽のお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

覚せい剤の「使用」とは何か

2019-10-18

覚せい剤の「使用」とは何か

東京都新宿区に住むAさん(23歳)は、仕事や職場での人間関係からストレスが溜まっていました。そんなとき、Aさんは、久しぶりに覚せい剤前科を多数有する地元の先輩Bさん(30歳)と会いました。AさんとBさんは覚せい剤のことで話が盛り上がりました。そして、AさんはBさんに最近の悩みなどについて相談すると、覚せい剤を勧められました。Aさんははじめ躊躇しましたが、Bさんからあまりにしつこく勧められたため、「1回くらいならいいや」という気持ちでBさんの誘いに乗り、Bさんから覚せい剤を譲り受けました。Aさんは覚せい剤を使うのが初めてだったため、Bさんに「覚せい剤を注射してくれ。」と頼んだところ、Bさんはこれを快く引き受けました。そして、Aさんは自宅で、Bさんから覚せい剤入りの注射器を打ってもらいました。数日後、Aさんは警視庁戸塚警察署覚せい剤取締法違反逮捕されてしまいました。覚せい剤を注射してもらった数日後、Aさんが自宅で暴れ、家族が戸塚警察署に通報したことがきっかけでした。Aさんの家族は、Aさんとの接見薬物事件に強い弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)

~ 覚せい剤は違法! ~

覚せい剤麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては死亡することもあります。
また、薬物の乱用による幻覚・妄想が、殺人、放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こします。また、覚せい剤は暴力団組織などの犯罪組織の活動資金のネタとしても使われており、その活動資金を基に新たな犯罪、新たな被害者を生み出しかねません。
このように、覚せい剤は、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害を及ぼしかねないものです。
こうしたことから、覚せい剤麻薬等の使用、所持等は法律により厳しく禁止されています。

覚せい剤取締法19条 左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。 

一 覚せい剤剤製造業者が製造のため使用する場合
二 覚せい剤剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
三 覚せい剤剤研究者が研究のため使用する場合
四 覚せい剤剤施用機関にお取締法いて診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
五 法令に基いてする行為につき使用する場合

覚せい剤取締法41条の3 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。

一 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者

~ 覚せい剤取締法における「使用」とは? ~

覚せい剤取締法でいうところの「使用」とは、覚せい剤等を用法に従って用いる、すなわち「薬品」として消費する一切の行為をいいます。
使用方法に制限はなく、水に溶かした覚せい剤を注射器によって血管に注入する方法や、覚せい剤の結晶を火に炙って、気化した覚せい剤を吸引する方法、覚せい剤を飲み物に溶かすなどして経口摂取する方法などがあります。

なお「使用」には

①他人の身体に覚せい剤を注射する行為
②他人に注射してもらう行為

も含まれます。そして、通常、①の場合、自己の身体に注射された人も、②の場合、他人の身体に注射した人も覚せい剤使用罪の共犯として処罰されます。

~ 覚せい剤使用罪の量刑 ~

初犯者に対する量刑は

懲役1年6月

で、執行猶予判決が付くのが相場です。
しかし、Aさんに前科がある場合は、さらに重くなる可能性はあります。
前の前科からどの程度の期間を経て今回の犯行を犯したか、にもよるでしょう。また、前科の種類でも異なるでしょう。前の前科が同じ薬物事犯である場合は「実刑」となる可能性も否定しきれません。異なる前科であっても、執行猶予期間中であったり、累犯前科(刑法56条)である場合はやはり実刑となる可能性が高いでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

大麻と運転

2019-10-13

大麻と運転

東京都東久留米市に住むAさん(26歳)は、数年前に友人から大麻をもらって使用したのがきっかけで、大麻を日常的に使用していました。そして、ある日、Aさんは車を運転していたところ、蛇行運転が理由で警視庁田無警察署の警察官が運転するパトカーに停止を求められました。Aさんは、職務質問、所持品検査の結果、ズボンの右ポケットから大麻を見つけられ、大麻所持現行犯逮捕されました(また、後日、道路交通法違反(薬物運転の罪)でも追送検されてしまいました)。Aさんの母親から依頼を受けた弁護士がAさんと接見しました。

~ 大麻の危険性 ~

大麻は,その成分中のテトラヒドカンナノビールが中枢神経に作用し,精神に種々の影響をもたらすものです。
作用の程度等は,摂取方法,量等によって異なりますが,一般的に,精神的には陶然となり,多幸感をもたらす反面,衝動的で興奮状態になり,感情の不安定から暴力的な行動を取ることがあると言われています。大麻覚せい剤ほど依存性はないと言われているものの,覚せい剤のほか多数の違法薬物の入口となっているとも言われており,薬物に対する抵抗感をなくすという意味でも大変危険な薬物と言えます。

~ 大麻所持の罪 ~

大麻取締法では所持罪について以下の規定を設けています。

3条1項
 大麻取扱者でなければ大麻を所持し,栽培し,譲り受け,譲り渡し,又は研究のため使用してはならない。

24条の2第1項
 大麻を,みだりに,所持し,譲り受け,又は譲り渡した者は,5年以下の懲役に処する。

なお、覚せい剤と異なり、使用罪についての規定はありません。
これは、大麻を合法的な目的のために栽培する方をも処罰することになるという不都合を避けるために、使用罪に関する規定が設けられていないのであって、決して、

大麻が合法

とか

大麻使用を合法

と認めたわけではありませんから注意が必要です。

~ 大麻と交通違反 ~

また、薬物などの影響により車などを運転した場合は道路交通法違反に問われる場合があります。
道路交通法66条には次の規定が設けられています。

道路交通法66条
 何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。

「薬物の影響」とは、大麻覚せい剤などの使用、睡眠薬の飲用、シンナーなどの吸引により、正常な身体又は精神の状態に変化を生じ、運転に際し注意力の集中、距離感の確保等ができないため、運転者に課せられた注意義務を果たすことができないおそれがあること、をいいます。
なお、「前条第一項」とは、酒気帯び運転の規定をさします。したがって、「薬物の影響その他の理由」には、アルコールの影響によるものは含まれません。

薬物運転の罪の罰則は

5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

です(道路交通法117条の2第3号)。

~ 大麻と交通事故 ~

薬物の影響により交通事故(人身事故)を起こした場合は、さらに重い罪に問われる可能性があります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条の1号から6号には「危険運転」に関する類型が規定されており、その1号では

アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為

とされているからです。

そして、危険運転によって人を負傷させた場合は

(1か月以上)15年以下の懲役

人を死亡させた場合は

1年以上(20年以下)の懲役

を科せられるおそれがあります。

~ 大麻関連で逮捕された場合は? ~

逮捕されたご家族にとっては、この先ご本人がどんな罪に問われ、どのようになっていくのか不安になられることと思います。
そんなときは、弁護士接見を依頼し、今後の事件の見通しなどについて弁護士から説明を受けることも一つの方法です。
お困りの方は一度、ご検討ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

覚せい剤使用で自首

2019-10-08

覚せい剤使用で自首

神奈川県横浜市栄区在住のAさん(40代男性)は、学生時代の友人らとの同窓会があった際に、ある友人から覚せい剤を譲り受けて、これを使用してしまった。
Aさんは覚せい剤使用後に、自己の行為を深く反省して、神奈川県栄警察署自首しようと考えている。
Aさんは警察に自首する前に、刑事事件に強い弁護士と法律相談して、自首するべきか自首しないべきかの判断や、自首した際にどのように警察の取調べで供述していくかを、弁護士と綿密に打合せした上で、今後の弁護対応を検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~自首により刑罰が軽くなる要件とは~

薬物使用事件などの刑事事件において、事件の発覚前に警察に自首した場合には、その後の刑事処罰が軽くなる可能性があります。
自首が成立して、刑罰軽減が実現するためには、「捜査機関に発覚する前の申告であること」「自発的申告であること」「自己の訴追を含む処分を求めること」という各要件を満たす必要があります。

・刑法 42条1項(自首等)
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」

警察側に、犯行事実が全く発覚していない場合や、犯行事実は発覚しているけれども犯人が誰かが発覚していない場合には、「捜査機関に発覚する前」という要件を満たし、自首が成立します。
逆に、犯行事実や犯人は発覚しているけれども、犯人の所在が分からないといった場合には、自首は成立しません。

「自発的申告」の要件とは、自分から進んで捜査機関に対して自己の犯罪事実を申告した場合に、自首が成立することをいいます。
逆に、警察から嫌疑をかけられて取調べを受けている最中に、自己の犯罪事実を自供した場合には、自首は成立しません。
ただし、取調べを受けている事件とは別の余罪について取調べ最中に自供した場合に、その余罪が捜査機関側に発覚前のものであれば、余罪の自首は成立します。

「自己の訴追を含む処分を求めること」が、自首成立の要件となります。
逆に、犯行の一部を殊更に隠すような申告であったり、自己の責任を否定するような申告であるときは、自首は成立しません。

自首の成立要件を満たして、自首が成立した場合でも、必ず刑罰が軽くなるというわけではなく、裁判所が刑罰を軽くするかどうかを判断する形になります。
他方で、もし自首の要件を満たさず自首が成立しないようなケースであっても、被疑者が反省して、自分から警察に犯罪事実を申告したような場合には、裁判官や検察官が刑事処罰の量刑を判断する際に、被疑者が反省している事情が考慮されて、刑罰を軽くする方向に影響する可能性はあります。

覚せい剤取締法違反による覚せい剤使用罪の刑事処罰は、営利目的ではない場合、「10年以下の懲役」とされています
覚せい剤使用罪の法定刑は「懲役刑のみ」であるため、起訴されれば裁判となり、執行猶予付きの懲役刑判決が出るか、あるいは、刑務所に入ることとなる実刑判決が出る可能性があります。
執行猶予付き判決を得るためには、被疑者本人の過去の前科前歴の有無が大きく影響するとともに、今回の事件の経緯を、警察での取調べでどう供述したかという事情や、今後の薬物更生に向けた治療方針が整っている事情などが、判決に影響すると考えられます。

覚せい剤使用事件自首の法律相談を受けた弁護士は、自首することによるメリット・デメリットについて検討し、自首が成立して刑罰減軽されるかどうかや、今後の刑事処罰の見通しや、警察の取調べにおいてどのように供述していくかを、被疑者本人と綿密に打合せした上で、その後の弁護方針について法律相談いたします。

神奈川県横浜市覚せい剤使用事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

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