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覚せい剤の「使用」とは何か
覚せい剤の「使用」とは何か
東京都新宿区に住むAさん(23歳)は、仕事や職場での人間関係からストレスが溜まっていました。そんなとき、Aさんは、久しぶりに覚せい剤の前科を多数有する地元の先輩Bさん(30歳)と会いました。AさんとBさんは覚せい剤のことで話が盛り上がりました。そして、AさんはBさんに最近の悩みなどについて相談すると、覚せい剤を勧められました。Aさんははじめ躊躇しましたが、Bさんからあまりにしつこく勧められたため、「1回くらいならいいや」という気持ちでBさんの誘いに乗り、Bさんから覚せい剤を譲り受けました。Aさんは覚せい剤を使うのが初めてだったため、Bさんに「覚せい剤を注射してくれ。」と頼んだところ、Bさんはこれを快く引き受けました。そして、Aさんは自宅で、Bさんから覚せい剤入りの注射器を打ってもらいました。数日後、Aさんは警視庁戸塚警察署に覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまいました。覚せい剤を注射してもらった数日後、Aさんが自宅で暴れ、家族が戸塚警察署に通報したことがきっかけでした。Aさんの家族は、Aさんとの接見を薬物事件に強い弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~ 覚せい剤は違法! ~
覚せい剤や麻薬等は、それを乱用する人間の精神や身体をボロボロにし、人間としての生活を営むことをできなくするだけでなく、場合によっては死亡することもあります。
また、薬物の乱用による幻覚・妄想が、殺人、放火等の凶悪な犯罪や交通事故を引き起こします。また、覚せい剤は暴力団組織などの犯罪組織の活動資金のネタとしても使われており、その活動資金を基に新たな犯罪、新たな被害者を生み出しかねません。
このように、覚せい剤は、乱用者本人のみならず、周囲の人、さらには社会全体に対しても、取り返しのつかない被害を及ぼしかねないものです。
こうしたことから、覚せい剤、麻薬等の使用、所持等は法律により厳しく禁止されています。
覚せい剤取締法19条 左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない。
一 覚せい剤剤製造業者が製造のため使用する場合
二 覚せい剤剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合
三 覚せい剤剤研究者が研究のため使用する場合
四 覚せい剤剤施用機関にお取締法いて診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者が施用する場合
五 法令に基いてする行為につき使用する場合
覚せい剤取締法41条の3 次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
一 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
~ 覚せい剤取締法における「使用」とは? ~
覚せい剤取締法でいうところの「使用」とは、覚せい剤等を用法に従って用いる、すなわち「薬品」として消費する一切の行為をいいます。
使用方法に制限はなく、水に溶かした覚せい剤を注射器によって血管に注入する方法や、覚せい剤の結晶を火に炙って、気化した覚せい剤を吸引する方法、覚せい剤を飲み物に溶かすなどして経口摂取する方法などがあります。
なお「使用」には
①他人の身体に覚せい剤を注射する行為
②他人に注射してもらう行為
も含まれます。そして、通常、①の場合、自己の身体に注射された人も、②の場合、他人の身体に注射した人も覚せい剤使用罪の共犯として処罰されます。
~ 覚せい剤使用罪の量刑 ~
初犯者に対する量刑は
懲役1年6月
で、執行猶予判決が付くのが相場です。
しかし、Aさんに前科がある場合は、さらに重くなる可能性はあります。
前の前科からどの程度の期間を経て今回の犯行を犯したか、にもよるでしょう。また、前科の種類でも異なるでしょう。前の前科が同じ薬物事犯である場合は「実刑」となる可能性も否定しきれません。異なる前科であっても、執行猶予期間中であったり、累犯前科(刑法56条)である場合はやはり実刑となる可能性が高いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
大麻と運転
大麻と運転
東京都東久留米市に住むAさん(26歳)は、数年前に友人から大麻をもらって使用したのがきっかけで、大麻を日常的に使用していました。そして、ある日、Aさんは車を運転していたところ、蛇行運転が理由で警視庁田無警察署の警察官が運転するパトカーに停止を求められました。Aさんは、職務質問、所持品検査の結果、ズボンの右ポケットから大麻を見つけられ、大麻所持の現行犯で逮捕されました(また、後日、道路交通法違反(薬物運転の罪)でも追送検されてしまいました)。Aさんの母親から依頼を受けた弁護士がAさんと接見しました。
~ 大麻の危険性 ~
大麻は,その成分中のテトラヒドカンナノビールが中枢神経に作用し,精神に種々の影響をもたらすものです。
作用の程度等は,摂取方法,量等によって異なりますが,一般的に,精神的には陶然となり,多幸感をもたらす反面,衝動的で興奮状態になり,感情の不安定から暴力的な行動を取ることがあると言われています。大麻は覚せい剤ほど依存性はないと言われているものの,覚せい剤のほか多数の違法薬物の入口となっているとも言われており,薬物に対する抵抗感をなくすという意味でも大変危険な薬物と言えます。
~ 大麻所持の罪 ~
大麻取締法では所持罪について以下の規定を設けています。
3条1項
大麻取扱者でなければ大麻を所持し,栽培し,譲り受け,譲り渡し,又は研究のため使用してはならない。
24条の2第1項
大麻を,みだりに,所持し,譲り受け,又は譲り渡した者は,5年以下の懲役に処する。
なお、覚せい剤と異なり、使用罪についての規定はありません。
これは、大麻を合法的な目的のために栽培する方をも処罰することになるという不都合を避けるために、使用罪に関する規定が設けられていないのであって、決して、
大麻が合法
とか
大麻使用を合法
と認めたわけではありませんから注意が必要です。
~ 大麻と交通違反 ~
また、薬物などの影響により車などを運転した場合は道路交通法違反に問われる場合があります。
道路交通法66条には次の規定が設けられています。
道路交通法66条
何人も、前条第一項に規定する場合のほか、過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない。
「薬物の影響」とは、大麻、覚せい剤などの使用、睡眠薬の飲用、シンナーなどの吸引により、正常な身体又は精神の状態に変化を生じ、運転に際し注意力の集中、距離感の確保等ができないため、運転者に課せられた注意義務を果たすことができないおそれがあること、をいいます。
なお、「前条第一項」とは、酒気帯び運転の規定をさします。したがって、「薬物の影響その他の理由」には、アルコールの影響によるものは含まれません。
薬物運転の罪の罰則は
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
です(道路交通法117条の2第3号)。
~ 大麻と交通事故 ~
薬物の影響により交通事故(人身事故)を起こした場合は、さらに重い罪に問われる可能性があります。
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条の1号から6号には「危険運転」に関する類型が規定されており、その1号では
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
とされているからです。
そして、危険運転によって人を負傷させた場合は
(1か月以上)15年以下の懲役
人を死亡させた場合は
1年以上(20年以下)の懲役
を科せられるおそれがあります。
~ 大麻関連で逮捕された場合は? ~
逮捕されたご家族にとっては、この先ご本人がどんな罪に問われ、どのようになっていくのか不安になられることと思います。
そんなときは、弁護士に接見を依頼し、今後の事件の見通しなどについて弁護士から説明を受けることも一つの方法です。
お困りの方は一度、ご検討ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
覚せい剤使用で自首
覚せい剤使用で自首
神奈川県横浜市栄区在住のAさん(40代男性)は、学生時代の友人らとの同窓会があった際に、ある友人から覚せい剤を譲り受けて、これを使用してしまった。
Aさんは覚せい剤使用後に、自己の行為を深く反省して、神奈川県栄警察署に自首しようと考えている。
Aさんは警察に自首する前に、刑事事件に強い弁護士と法律相談して、自首するべきか自首しないべきかの判断や、自首した際にどのように警察の取調べで供述していくかを、弁護士と綿密に打合せした上で、今後の弁護対応を検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~自首により刑罰が軽くなる要件とは~
薬物使用事件などの刑事事件において、事件の発覚前に警察に自首した場合には、その後の刑事処罰が軽くなる可能性があります。
自首が成立して、刑罰軽減が実現するためには、「捜査機関に発覚する前の申告であること」「自発的申告であること」「自己の訴追を含む処分を求めること」という各要件を満たす必要があります。
・刑法 42条1項(自首等)
「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。」
警察側に、犯行事実が全く発覚していない場合や、犯行事実は発覚しているけれども犯人が誰かが発覚していない場合には、「捜査機関に発覚する前」という要件を満たし、自首が成立します。
逆に、犯行事実や犯人は発覚しているけれども、犯人の所在が分からないといった場合には、自首は成立しません。
「自発的申告」の要件とは、自分から進んで捜査機関に対して自己の犯罪事実を申告した場合に、自首が成立することをいいます。
逆に、警察から嫌疑をかけられて取調べを受けている最中に、自己の犯罪事実を自供した場合には、自首は成立しません。
ただし、取調べを受けている事件とは別の余罪について取調べ最中に自供した場合に、その余罪が捜査機関側に発覚前のものであれば、余罪の自首は成立します。
「自己の訴追を含む処分を求めること」が、自首成立の要件となります。
逆に、犯行の一部を殊更に隠すような申告であったり、自己の責任を否定するような申告であるときは、自首は成立しません。
自首の成立要件を満たして、自首が成立した場合でも、必ず刑罰が軽くなるというわけではなく、裁判所が刑罰を軽くするかどうかを判断する形になります。
他方で、もし自首の要件を満たさず自首が成立しないようなケースであっても、被疑者が反省して、自分から警察に犯罪事実を申告したような場合には、裁判官や検察官が刑事処罰の量刑を判断する際に、被疑者が反省している事情が考慮されて、刑罰を軽くする方向に影響する可能性はあります。
覚せい剤取締法違反による覚せい剤使用罪の刑事処罰は、営利目的ではない場合、「10年以下の懲役」とされています
覚せい剤使用罪の法定刑は「懲役刑のみ」であるため、起訴されれば裁判となり、執行猶予付きの懲役刑判決が出るか、あるいは、刑務所に入ることとなる実刑判決が出る可能性があります。
執行猶予付き判決を得るためには、被疑者本人の過去の前科前歴の有無が大きく影響するとともに、今回の事件の経緯を、警察での取調べでどう供述したかという事情や、今後の薬物更生に向けた治療方針が整っている事情などが、判決に影響すると考えられます。
覚せい剤使用事件で自首の法律相談を受けた弁護士は、自首することによるメリット・デメリットについて検討し、自首が成立して刑罰減軽されるかどうかや、今後の刑事処罰の見通しや、警察の取調べにおいてどのように供述していくかを、被疑者本人と綿密に打合せした上で、その後の弁護方針について法律相談いたします。
神奈川県横浜市の覚せい剤使用事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
MDMAと少年
MDMAと少年
埼玉県秩父市の高校に通うA君(16歳)は、友人のB君から「これを飲むと楽しい気分になるし、勉強の集中力も上がる。」と言われ、錠剤を数錠もらいました。A君は、「人から薬を勧められるなんて、きっと怪しいものに違いない」と思い、B君に「これ何?」と聞きましたが、B君から詳しい答えは返ってきませんでした。そこで、A君はB君に「遠慮しとくよ。」と言いましたが、B君から「友達じゃないか。」「おれのほかにもみんな使ってるから飲んでみなよ。」などと言われ、「長年のB君やその友人らとの縁を切るわけにはいかない。」「仲間外れにされるのが怖い。」と思い、自宅に帰って錠剤2粒を服用しました。その翌朝、A君は気がつくと埼玉県秩父警察署にいました。昨晩、A君は自宅で突然暴れだし、両親から通報を受けた警察官により保護されたようです。A君の部屋からはMDMA3錠が押収され、A君は、麻薬及び向精神薬取締法違反(麻薬所持)で事情を聴かれることになりました。
(フィクションです。)
~ MDMAは恐ろしい薬 ~
MDMAとは、正式名称をメチレンジオキシメタンフェタミンという合成麻薬のことで、別名「エクスタシー」「罰(バツ)」「タマ」とも呼ばれています。
MDMAの服用により、覚せい剤に似たような興奮作用を覚えるほか、幻覚、不安、不眠、脳・神経の破壊、心臓・腎臓・肝臓の機能不全、記憶障害等を引き起こすと言われています。
厚生労働省のポスターには、
・小さい人間がいっぱいやってきて、剣で自分を刺し殺そうとする。
・路上で暴れ、病院につれていかれた。入院すると「暑い、暑い」と全裸になり、1ヶ月の興奮状態がつづき、「バカヤロー、部屋から出せ」と大声でわめき散らして食事を床に投げつけたり、医者などになぐりかかり、「自分は鬼になっている」と妄想に取りつかれてしまった。
・「MDMAを飲んだら眠れなくなってしまった。頭が回転しなくなり、気分が落ち込んでしまって、学校の先生の話が1割も頭に入らなくなってしまった。もう6ヶ月もたつのに一向に元に戻らない。つらくて仕方がない。死んだ方がましだ。」
などの使用者の体験談が掲載されています。
まずは、こうした声も参考に、薬物、MDMAの恐ろしさを実感することが大切です。
もちろん、MDMAを「所持」すること、「使用(施用)」することは麻薬及び向精神薬取締法という法律により禁止され、「所持」については
7年以下の懲役
または、営利目的で所持した場合は、
1年以上10年以下の懲役、又は1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
という罰則が設けられています。
~ 少年と薬物事件 ~
もっとも、少年の場合、ただちにこれらの罰則が科されるのは通常考え難いです。
少年の場合、捜査機関に発覚すると、
発覚→逮捕(されない場合あり)→捜査機関での捜査→家庭裁判所送致→調査→少年審判
という流れに乗ります。
薬物事件の場合、事案の重大性からほぼ家庭裁判所に送致されると考えた方がよろしいかと思います。
ただし、「調査」の過程で、少年審判を開くまでもないと判断された場合は「不開始決定」を受けることが考えられますし、少年院送致、保護観察などの保護処分を受けさせるまでもないと判断された場合は「不処分決定」を受けることも考えられます。
少年院送致を受けた場合は少年院へ収容されることになり、保護観察を受けた場合は社会復帰は許されるものの、一定期間、保護観察所の監督の下で更生していくことになります。
薬物に手を染めてしまう少年については、その少年自身に問題があることはもちろん、その少年を取り巻く環境にも問題があることが多いと思われます。
そのため、「調査」では家庭環境、学校、友人関係などでの問題点を明らかにし、そこで現れた問題点を解決するべく、少年を取り巻く環境を整備していく必要があります。
その過程で、少年に更生の兆しがみえ、環境が整い、少年が再非行を犯すおそれがないと認められる場合は少年にとってよりよい結果を得られることができるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
大麻所持で逮捕
大麻所持で逮捕
~ケース~
大阪府大阪市阿倍野区に住むAさんは、窃盗の疑いで自宅を捜索されていた際、押し入れに隠していた大麻を発見されてしまいました。
大麻であることを確認された後、Aさんは、大麻取締法違反(所持)の疑いで大阪府阿倍野警察署に現行犯逮捕されてしまいました。
それにより、窃盗事件の証拠だけでなく、大麻等も押収されました。(フィクションです)
~大麻所持罪を解説~
大麻所持罪とは、その名の通り、大麻をみだりに所持する犯罪です(大麻取締法第24条の2第1項)。
「みだりに」とは、社会通念上正当な理由があると認められないことを意味します。
たとえば、「大麻栽培者」、「大麻研究者」が業務の一環として行う所持行為は、大麻所持罪に該当しません。
「所持」とは、「事実上の実力支配関係」をいい、自宅の押し入れに大麻を保管する行為は、「所持」に該当します。
大麻所持罪につき、有罪判決が確定すると、5年以下の懲役に処せられます(大麻取締法第24条の2第1項)。
10年以下の懲役を定める覚せい剤所持罪に比べると法定刑は軽いと言えますが、覚せい剤所持罪と同じく、法定刑に懲役刑以外の刑種がありません。
したがって、起訴され、有罪判決を受けた場合、執行猶予がつかない限りそのまま刑務所に行かなければならないことになります。
~逮捕後の手続~
逮捕後、留置の必要があると認められるときは、逮捕時から48時間以内にAさんの身柄を検察へ送致します。
身柄を受け取った検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、釈放するかを決めます。
検察官の勾留請求に対し、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間勾留が延長されます。
~身柄解放活動を弁護士に依頼~
大麻所持罪に限らず、何らかの刑事事件を起こして逮捕されてしまった場合、身柄解放活動のタイミングがいくつかあります。
(勾留請求前)
逮捕された後、留置場に入れられ、検察へ送致されると、検察官が被疑者を勾留するか、あるいは釈放するかを判断するタイミングがあります。
弁護士としては、このときに勾留の要件を満たさないことを主張し、勾留請求をしないよう働きかけることが考えられます。
弁護士の主張が容れられれば、勾留されずに釈放されることが期待できます。
(勾留請求後、勾留決定前)
検察官が勾留請求をし、かつ、裁判官が勾留決定をした場合に初めて勾留されることになります。
裁判官に対しても、勾留の要件を満たさないことを主張し、勾留決定を阻止する活動が考えられます。
(勾留決定後)
勾留されてしまった後は、「準抗告」、「勾留取消請求」などの制度を通じ、勾留の取消しを求めることができます。
勾留決定に違法があった、あるいは、勾留の要件を満たさなくなった、ということが認められると、釈放されます。
また、裁判官の職権発動を促し、「勾留の執行停止」の実現に向けて活動することも考えられます。
(起訴後の保釈請求)
大麻所持罪においては、大麻の入手ルートなど、捜査によって解明しなければならないことが多いため、勾留となることが多く、身体拘束が長引きがちになります。
上記の身柄解放活動が功を奏さず、さらに起訴されてしまった場合は、保釈の実現を目指すことになります。
保釈が許される場合であっても、保釈保証金を納付した上で釈放されることになります。
保釈保証金を用意しにくい場合は、その立替を行う機関も存在します。
逃亡、罪証隠滅を図ったり、裁判所の付した条件(住居の制限など)に違反するなどした場合は、保釈を取り消されることがあります。
保釈が取り消された場合は、納付した保釈保証金の全部又は一部を没取されることがあります。
反対に、裁判が無事に終了すれば、納付した保釈保証金は返ってきます。
接見にやってきた弁護士と相談し、早期の身柄解放の実現に向けて行動しましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、大麻所持事件についても相談いただけます。
ご家族が大麻所持事件を起こし逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
覚せい剤取締法違反で逮捕
覚せい剤取締法違反で逮捕
〈ケース〉
東京都渋谷区の代々木上原駅周辺で、Aさんは挙動不審であることを理由に警察官に職務質問を受けた。
その後も,Aさんは警察官の質問に対して要領を得ない応答をし,時々意識が朦朧とした様子も見せた。
そのため,警察官は覚せい剤使用の疑いが高いと判断し,その場でAさんの同意のもと所持品検査を行った。
その結果,Aさんの所持品から白い粉末入りのビニール小袋,注射器を発見した。
試薬検査の結果,覚せい剤の陽性反応が出た為,警察官はAさんを覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。
警視庁代々木警察署にて警察官がAさんの採尿検査をしたところ,検査薬に陽性反応が出たため,警察官は尿検査の結果を証拠として裁判所に通常逮捕令状を請求し,後日Aさんを覚せい剤取締法違反(使用)としても逮捕した。
(事例はフィクションです)
〈覚せい剤の所持、使用および譲渡の罰則〉
覚せい剤取締法は、覚せい剤(フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン)の所持、使用、譲渡、譲受等を禁止しています。
覚せい剤を所持・譲渡した場合の刑罰は,営利目的の有無で異なります。
覚せい剤の所持・譲渡について営利目的がない場合は10年以下の懲役になる(41条の2第1項)一方,営利目的がある場合は1年以上の有期懲役(上限20年)となります(同2項)。
また,後者は、懲役に加えて500万円以下の罰金刑も科される可能性もあります。
覚せい剤の使用についても,10年以下の懲役が科されます(41条の3第1項)。
通常,営利目的なく覚せい剤を所持・使用した場合,初犯であれば,懲役1年6ヵ月程度で執行猶予3年の処分になることが多い傾向にあります。
〈職務質問・所持品検査〉
〇警察官職務執行法(警職法2条1項)
「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、 若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。」
端的に言えば,犯罪に関わっていると思われる人物に対して,警察官はその場で停止・質問することができるということです。
職務質問の内容として,身分証の提示を求められるほか,その場所にいた理由やどこへ向かうのかといったことを質問されます。
なお,職務質問は令状を必要とする強制処分(例として逮捕や捜索)ではありませんが,停止・質問する際に必要かつ合理的な範囲内であれば有形力の行使が認められます。
具体的には、相手の肩を掴んで引き留める行為が挙げられます。
実際は職務質問に伴って所持品検査が行われることが通常です。
本事例の所持品検査を直接規定した法令はありませんが,上記の警職法の職務質問の効果を上げるうえで必要かつ有効な行為であることから,先述の警職法2条1項で認められるとされています。
所持品検査には大きく分けて以下の4つの形態があります。
①衣服・所持品の外部を観察して質問する行為
②所持品の開示を求め,開示されたら点検する行為
③相手の同意がない時に,衣服・所持品の外部に触れる行為
④相手方の同意がない時に,所持品の内容を点検し,或いは,相手方の身体について所 持品の有無を点検する行為(身体検査)
特に③・④は所持品検査を受ける人が受けるプライバシーを一定程度制限する行為であるので,やむを得ない場合など,より厳しい条件の下で許容されます。
〈採尿検査の可能性〉
覚せい剤などの薬物を使用した疑いがある場合、採尿検査を行われることがあります。
採尿検査には、採尿検査を求められた人が任意で尿を提出する場合とそうでない場合があります。
任意での採尿・提出を拒否した場合,捜査機関は疑いの程度や被疑者の態度などにより強制採尿令状を請求・執行できます。
強制採尿令状の執行は,医師の手でカテーテルを用いて行われます。
この強制採尿は、覚せい剤などの使用行為の捜査・立証する為には極めて重要です。
もっとも、採尿を受ける人に身体的にも精神的にも大きな負担を強いるものであることから,やむを得ない場合にのみ裁判所が令状を発付して許可を与えることになっています。
〈覚せい剤の所持と使用〉
Aさんは覚せい剤の所持と使用という2つの罪で逮捕されています。
この場合,どのように刑罰が科されるのでしょうか。
覚せい剤の所持と使用の罪は併合罪(刑法45条)として扱われます。
この場合,「その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期と」します。
そのため,もし覚せい剤の所持と使用の両方が起訴されると、最長で15年の懲役が科すことが可能となります。
ただし、よほど事件が重大でない限り、それほど長期の懲役刑が科されることは稀でしょう。
覚せい剤取締法違反事件で逮捕された場合,身柄の拘束が長期に及ぶ可能性が高いです。
理由としては,覚せい剤の入手経緯を詳細に捜査する必要があることや、証拠となる覚せい剤自体が隠滅しやすいことなどが挙げられます。
そして,長期の身柄拘束を受けた場合,学校や仕事への復帰が難しくなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,覚せい剤取締法違反事件の経験豊富な弁護士による,身柄解放も含めた最善のアドバイスを受けることができます。
ご家族などが逮捕された場合、最短でお申込み直後,遅くともお申込みから24時間以内に弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。
刑事事件に関するご相談は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にお任せください。
初回法律相談:無料
違法捜査で不起訴や無罪に
違法捜査で不起訴や無罪に
~ケース~
Aさんは兵庫県尼崎市内の繁華街を歩いていたところ、薬物の使用をうかがわせる挙動が認められるということで、警察官から職務質問を受けました。
Aさんは所持していた鞄の中身を見せるよう求められましたが、これを頑なに拒否しました。
すると、しびれを切らした警察官数人がAさんを地面に倒して押さえつけ、鞄を無理やり奪って中身を全て路上に出しました。
その中から覚せい剤が見つかったことから、Aさんは覚せい剤使用の疑いで現行犯逮捕されました。
その後、兵庫県尼崎東警察署にてAさんの同意のもと採尿が行われ、鑑定により尿から覚せい剤の成分が検出されたので、その旨を明らかにする鑑定書が作成されました。(フィクションです)
~覚せい剤使用罪とは?~
覚せい剤取締法第19条は、覚せい剤製造業者が製造のため使用する行為(1号)、覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合(2号)などを除き、「何人も、覚せい剤を使用してはならない」としています。
19条の規定に違反して覚せい剤を使用すると、10年以下の懲役に処せられます(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
医師や研究者ではないAさんには、覚せい剤取締法第19条1号~5号の事由はないと考えられます
また、Aさんの尿から覚せい剤の成分が検出されているので、覚せい剤を使用したことは疑いがなさそうです。
~覚せい剤が違法な捜査により得られたら~
ケースの捜査には、その適法性に疑いがある点がいくつかあります。
Aさんは薬物の使用をうかがわせる挙動が認められるという理由で、職務質問を受けています。
この職務質問を開始したこと自体は適法と判断される可能性が高いと思われますが、職務質問は原則として任意に基づくものであり(警察官職務執行法第2条3項参照)、それに付随する所持品検査も同様に考えられています。
そして、対象者の同意がない所持品検査について、判例は「必要性、緊急性、これによって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度」でのみ許容されるとしています。
ケースは、数人の警察官がAさんを地面に押さえつけて鞄を奪取し、その中から覚せい剤を発見してこれを押収した、というものです。
まず、Aさんは明確に鞄の中身を見せることを拒絶していることから、所持品検査を許容していたとは到底言えません。
次に、警察官としては、鞄を見せるよう説得し続けるなど、他により穏当な手段をとることができたはずです。
そうすると、警察官の行為は本件において相当とされる限度を超えていると言えます。
そして、覚せい剤の陽性反応が示された旨の鑑定書も、上記のような捜査がなければ得られなかった可能性があります。
以上から、本件の捜査は違法と評価される余地があるでしょう。
~捜査の違法を主張し、不起訴や無罪を獲得~
判例において、違法収集証拠排除法則という法律に明記されていないルールが認められています。
それによると、「令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合」においては、その証拠の証拠能力が否定されることがあります。
証拠能力が否定されると、どれほどその証拠が有力な価値を有するものであっても、裁判で証拠として用いることができません。
そのことを懸念した検察官としては、有罪を立証するに足りる証拠が他にないとして不起訴処分を行う可能性があります。
そこで、弁護士の活動として、検察官に対して上記理由から不起訴処分をするよう働きかけることが考えられます。
また、もし起訴された場合は、同様の理由で裁判官に無罪判決を下すべきだと主張することが考えられます。
~まずは、弁護士と相談しましょう~
薬物事件の捜査においては、捜査に違法があるという理由で、不起訴処分や無罪判決がなされることがあります。
覚せい剤使用事件につき、捜査の適法性に疑問がある場合は、弁護士から違法収集証拠排除法則の適用の可否について説明を受けましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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大麻と捜索・差押え~USBメモリの差押えの可否
大麻と捜索・差押え~USBメモリの差押えの可否
福岡県北九州市在住のAさんは、福岡県八幡西警察署の警察官に大麻を有償譲渡しているとの疑いをかけられていました。そんな中、Aさんは自宅にいたところ、突然、八幡西警察署のガサ(捜索・差押え)を受けました。そして、Aさんは、大麻の取引に関する情報が記録されている、との理由で仕事で使うUSBメモリなどを押収されました。Aさんは、押収されたUSBメモリに大麻取引に関する情報を記録していた記憶はなく、それがないと仕事にならないため、一日でも早く還付してほしいと考えています。そこで、Aさんは、どうすればいいか薬物事件に関する知識、経験豊富な弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ ガサ(捜索、差押え)の基本 ~
捜索とは、一定の場所・物・人の身体に対して、人・物の発見を目的としてなされる強制処分、差押えとは、物の占有を強制的に取得する処分、をいいます。
刑事訴訟法218条1項は、この捜索・差押えについて
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる・・・・・。(一部省略)
と規定しています。
捜索はプライバシー権、差押えは、財産権を侵害する行為ですから、その行為をためには、不当・違法な権利侵害を防止するため、予め発せられた裁判官の令状を必要としているのです。
捜索と差押えの許可状(令状)が別々に発せられることは少なく、一括して捜索差押許可状とうい令状が発せられるのが通常です。
~ 令状の基本 ~
また、裁判官の発する令状があるからといって、何から何まで差押えていい、というわけではありません。
刑事訴訟法218条1項には
犯罪の捜査のため必要があるとき
と記載されていますから、差押えられるものは、
犯罪(被疑事実)と関連のあるもの
でなければなりません。
また、令状を請求する捜査機関は
差し押さえるべき物、捜索すべき場所
などを特定して令状を請求しなければならず、令状を発布する裁判官も、これらの事項を記載した令状を発付しなければなりません。
~ 電磁的記録と電磁的記録媒体の差押え ~
ところで、差押えの対象は有体物であって、電磁的記録、すなわち、電子データのような無体物は差押えの対象ではありません。他方で、これを記録する電磁的記録媒体(USBメモリなど)は有体物であり差押えの対象です。
ただ、こうした電子データを記録した電磁的記録媒体は、実際に中身を確認しなければ、本当に犯罪に関係のある情報が記録されているかどうかわかりません。
そこで、差押えの現場で、電磁的記録媒体の内容を確認できない場合に、犯罪(被疑事実)との関連性の有無にかかわらずこれらを包括的に差押えることができるかどうかが問題となります。
この点、最高裁判所(最決平成10年5月1日)は、パソコン、フロッピーディスクなどの電磁的記録媒体の差押えの場面に関し、
・被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性
・そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは情報を破損される危険
の2つの要件を挙げ、これらの要件を満たす場合は電磁的記録媒体の中身を確認することなく差押えることも許されるとしています。
~ 還付のための法的手段 ~
よって、こうした要件が認められない場合は、当該差押えは
違法
であり、直ちに捜査機関に還付を求めなければなりません。
こうした場合に、捜査機関に物の還付を求める方法としては、裁判所がなした捜索・差押えの裁判に対する準抗告の申し立てです。
この申し立てが認められれば、捜索・差押えが取り消され、捜査機関から差押えられたものが還付されます。
なお、捜査機関の差押えが違法でない場合でも、差押えの必要がないことを理由に、捜査機関に物の還付を請求することができます。
これらの手続きは薬物事件・刑事事件の経験、知識が豊富な弁護士にお任せください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
覚せい剤使用事件で控訴
覚せい剤使用事件で控訴
東京都港区に住むAさん(23歳)は、覚せい剤の常習使用者であるBさんに「シャブ持っていないか。」「打ち方分からないから打ってくれないか。」などと頼み、Bさんに覚せい剤入り水溶液の注射器を右腕に打ってもらいました。後日、Aさんは路上を歩いていると、Aさんの行動に不審を感じた警視庁東京湾岸警察署の警察官から職務質問を受けました。そして、Aさんは尿の任意提出を求められ、これに応じたところ、尿から陽性反応が出たことからAさんは覚せい剤取締法違反(使用罪)の件で緊急逮捕されました。また、Bさんも同じ罪で逮捕されました。Aさんは逮捕、勾留を経て起訴され、裁判で懲役2年の実刑判決を受けたことから、これを不服として控訴しました。
(フィクションです)
~ 覚せい剤取締法(使用罪) ~
覚せい剤取締法には、覚せい剤の使用に関し、次の規定が設けられています。
覚せい剤取締法
19条(使用の禁止)
左の各号に掲げる場合の外は、何人も、覚せい剤を使用してはならない
1号 覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合
2号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が使用する場合
3号 覚せい剤研究者が研究のため使用する場合
4号 覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のために交付を受けた者が施用する場合
41条の3第1項 次の各号の一に該当する者は,10年以下の懲役に処する。
1号 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
「使用」とは、覚せい剤等を用法に従って用いる、すなわち、「薬品」として消費する一切の行為をいいます。覚せい剤取締法は、覚せい剤を使用する客体を特に規定いません。ただ、通常は人体に使用する例が多いかと思います。人体に使用する場合、
自分で注射する場合でも、他人に注射する場合でも「使用」
に当たりますし、反対に、
他人に注射してもらう場合でも「使用」
に当たります。
また,使用方法は問いません。注射器で使用することが多いですが,直接も飲み込む経口投与,塗布,吸入,あぶりなどがあります。
~ 覚せい剤使用の量刑と控訴 ~
覚せい剤使用の場合、初犯であると「懲役1年6月 3年間執行猶予」の判決を言い渡されることが多いかと思います。
ところが、執行猶予中の場合はもちろん、執行猶予期間が経過したとしても、その後間もなくの犯行だった場合などは実刑判決を言い渡される可能性もあります。また、前回の罪が同種の罪(薬物事件)か異種の罪かによっても大きく異なるでしょう。
Aさんは実刑判決を言い渡され、それを不服として控訴しています。
控訴とは、簡易裁判所や地方裁判所から上級の高等裁判所へ上訴することをいいます。自分は無罪と考えているが有罪と認定された(事実誤認)、有罪であることは認めるが刑の種類や重さに不満があること(量刑不当)などを理由に控訴することができます。なお、控訴できるのは裁判を受けた被告人だけと思われている方もおられるかもしれませんが、訴追する側の検察官も控訴することができます。したがって、被告人側、検察側双方が控訴するというケースもよくあることです。
* 控訴期間には期限がある *
控訴期間は14日間です。そして、その期間の起算日は、判決言い渡し日の翌日です。
たとえば、平成31年4月1日に「懲役3年」との判決の言い渡しがあったとします。すると、控訴期間の起算日は4月2日ですからその日を含めた14日間が控訴期間ということになります。したがって、4月15日が控訴期限日で、その翌日の4月16日が確定日ということになります。
では、4月15日が土曜日だった場合はどうなるでしょうか?この場合、控訴期間の末日が土日祝日、12月29日から31日、1月2日、3日の場合は期間に算入しないとうい決まりがありますので、翌月曜日の4月17日が控訴期限日で、その翌日の4月18日が確定日となります。
~ 裁判(判決)の確定とは ~
確定とは、判決の内容に対しこれ以上不服申し立てをすることができなくなった状態のことをいいます。被告側、検察側が上訴することなく、上訴期間(14日間)が経過して裁判が確定した場合を「自然確定」といいます。なぜ、自然というのかといいますと、自然確定以外の事由、すなわち、当事者(被告人、検察官)の意思で確定することができるからです。つまり、被告人、検察官は上訴権を放棄したり、すでにした上訴を「取り下げ」たりすることができます。一方が上訴権を放棄したり、上訴を取り下げれば、他方が上訴権を放棄したり、上訴を取り下げた時点で裁判が確定します。
* 確定したらどうなるの? *
刑が確定すると、刑の執行がはじまります。死刑,懲役,禁錮,拘留の場合,身柄を拘束されている方は、そのまま収容施設で刑に服することになります。他方、在宅のまま刑が確定した場合は、検察庁から出頭の要請を受けます。そして、検察庁に出頭したのち、拘置所などに収容されます。ここで出頭しなかった場合は、収容状という令状によって強制的に身柄を拘束されます。執行猶予付き判決を受けた方は,確定日から刑の猶予期間がはじまります。
罰金,科料(1万円未満)の場合は,判決の言い渡しと同時に釈放されています。そして,刑が確定すると罰金,科料を納付しなければなりません。ただし,仮納付の裁判がついた場合は,刑の確定を待たずとも,罰金,科料を納付することができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずは、0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの受け付けを行っております。
大麻共同所持で即決裁判
大麻共同所持で即決裁判
東京都小金井市で同棲していたAとBは,自宅において大麻を所持していたとして,警視庁小金井警察署の警察官は,AおよびBを大麻取締法違反(共同所持)の疑いで逮捕した。
Aの家族は,薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~近年の大麻取締法違反事件の増加~
近年,若年層を中心とした大麻の蔓延が一種の社会問題と化しています。
犯罪統計や司法統計などを見ても,ほとんどの犯罪が認知件数や公判請求数を減少させているのに対し,大麻取締法違反事件は近年逆に増加傾向を見せているのです。
本件Aも,この大麻取締法違反(共同所持)により,逮捕されてしまっています。
大麻取締法は,3条1項において,「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」と規定し,大麻の「所持」を禁じています。
そして,これを受けて24条の2第1項は,「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」と,罰則を定めています。
本件では,上記法の罰則の存在から,大麻所持での逮捕に至っていることになります。
もっとも本件のように,(捜査官の捜索差押え等に基づき)共同で住んでいる自宅から大麻が発見された場合,一方が他方の個人所持だという弁解がされることがあります。
そして,共同所持しているかどうかは微妙なケースも存在し,あくまで大麻取締法上の「所持」たる管理・処分権が一方に(例えば本件であればAに)認められなければ,あくまで大麻は個人の単独所持に留まることになる可能性があります。
共同所持が認められるかどうかは,本件のような同居・同棲の生活実態等を具体的に把握しなければ判断できないといえるでしょう。
~薬物事件における即決裁判手続の利用 ~
逮捕されてしまった場合,上記のように所持を否認(=犯罪自体を否認)することも考えられます。
もっとも,共同所持の犯罪事実を争わない場合には,即決裁判手続を利用するなど,早期に刑事手続・裁判から解放される方策も検討に値するでしょう。
平成16年に改正(18年施行)により加わった即決裁判手続は,
・「検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。」(刑訴法350条の16第1項本文)
と規定し,主に薬物事件などを想定して,迅速・簡易な裁判手続を導入しました。
即決裁判による場合,「懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない」(350条の29)とされ,罰金刑以外は,必ず刑の全部が執行猶予となることが保障されることになります。
このような即決裁判手続の利用もあり,大麻取締法違反事件では公判請求(=起訴)された事件の9割近い事件が,執行猶予付きの有罪判決で終わっていることも事実です(平成29年対象の司法統計等参照)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,大麻取締法違反事件を含む薬物事件にも力を入れている刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族等が大麻取締法違反(共同所持)事件で逮捕されてしまったという一報を得た方は,早急に24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
刑事事件専門の弁護士による初回接見など,弊所が提供するサービスを分かりやすく一からご案内させて頂きます。