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MDMA所持事件を起こし起訴 保釈に向けて活動する弁護士

2020-12-17

今回は、MDMAを所持していた疑いで起訴された被告人の保釈を目指す弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、自宅の食器棚においてMDMAを所持していた公訴事実により、埼玉地方裁判所へ起訴されてしまいました。
早朝にAさんの自宅にやってきた埼玉県朝霞警察署の警察官により、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで逮捕・勾留され、起訴された今も勾留されています。
Aさんは保釈を実現し、外に出たいと考えています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~Aさんにはどのような疑いがかけられているか?~

Aさんには、MDMAの所持罪が成立する可能性が高いでしょう。

麻薬及び向精神薬取締法第66条1項は、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持」する行為を禁止しています。
ジアセチルモルヒネ等とは、一般に「ヘロイン」のことを意味します。
MDMAは、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に該当します。

「所持」とは、「事実上の実力支配関係」をいい、自宅の食器棚においてMDMAを保管する行為は、当然「所持」に該当します。
また、人から預かってMDMAを保管している場合であっても、「所持」に該当します。

MDMAの所持については、7年以下の懲役が予定されています。

起訴されたということは、Aさんに刑事罰が必要であると判断されたからです。
また、AさんによるMDMA所持行為を立証する証拠の収集も完了していると考えられます。

被疑者が犯罪を犯したことが証拠上明らかであっても、裁判にかけられない場合もあります(起訴猶予処分)。
しかし、MDMA所持罪をはじめとする薬物犯罪は、起訴される可能性が類型的に高いです。
捜査手続の適法性、収集できた証拠に問題がなければ、多くの場合、起訴されることになるでしょう。
検察官は、収集した証拠を用い、Aさんの犯罪行為を立証することになります。

~保釈の実現を目指す~

MDMA所持事件の身体拘束期間は長引く傾向にありますが、起訴された後、保釈が許される場合も多いです。
なお、起訴前、すなわち、被疑者の段階にあっては、保釈の請求を行うことはできません。
この場合は、「準抗告」や「勾留取消請求」など、保釈とは異なる身柄解放活動を実施する必要があります。

「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
裁判所が保釈を許す決定をすれば、保釈保証金を納付して、外に出ることができます。
保釈保証金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。

~保釈を実現するメリット~

保釈を実現することができれば、身体拘束という負担から解放されます。
さらに、薬物依存の治療プログラムを開始することにより、再犯防止に努めていることをアピールできます。
勾留されている場合は、このようなプログラムは受けられません。

~執行猶予付き判決の獲得を目指す~

AさんがMDMAを所持していたことを立証できる証拠が存在する限り、有罪判決を免れることは極めて難しいと思われます。
ただし、有罪判決を受ける場合であっても、執行猶予付き判決を獲得することができれば、刑務所に入らずにすみます。

執行猶予付き判決を獲得するためには、裁判において、裁判官にAさんが再び薬物事件に手を染めないということを納得してもらう必要があります。

早期に弁護士を依頼し、アドバイスを受けながら有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がMDMA所持の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

覚せい剤使用事件で執行猶予判決

2020-12-10

覚せい剤使用事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事件】

千葉県君津市在住のAさんは、市内の飲食店に勤める会社員です。
Aさんは、夜勤が多いことや勤務時間が長いことに対しストレスを感じ、体調の悪い日々が続いていました。
ある日、深夜に常連客のBさんが来店し、Aさんが疲れているように見えたことから、知人のCさんを紹介しました。
Aさんは、Cさんから疲れの取れる薬と称した覚せい剤を無料で入手し、実際に使用したところ疲れが一気に消し飛んだような感覚を得ました。
しかし、その効果は長続きせず、再度覚せい剤を欲するようになり、Cさんから覚せい剤の購入を続けました。
Aさんは、会社も休みがちになり、勤務中も集中力がないことから解雇となり、自宅で引きこもる生活を送るようになりました。
その後、Cさんが覚せい剤取締法違反で逮捕されたことをきっかけに、Cさんの顧客であるAさんも千葉県君津警察署覚せい剤取締法違反逮捕されることになりました。
Aさんは、逮捕後に接見に来た弁護士に、執行猶予について詳しく聞くことにしました。
(フィクションです。)

【覚せい剤反応が出る時期】

覚せい剤の使用は、注射器で注射する方法や、火で炙って吸引する方法、口から飲む方法等がありますが何れにしても、採尿された尿から覚せい剤反応が出るのは、使用直後から使用後10日~2週間だと言われています。
Aさんの様に、覚せい剤を使用して1週間しか経っていないうちに採尿された場合は覚せい剤反応が出る可能性が高いといえます。
またAさんの様に、覚せい剤を使用した後に採尿された方からの法律相談でよくあるのが
Q1 覚せい剤反応が出たら逮捕されるのですか?
A1 覚せい剤使用事件は逮捕される可能性が高いですが、逮捕されるまでに逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれ等を消滅させることによって勾留を阻止できる可能性があります。
Q2 採尿されてから逮捕までの期間はどれくらいですか?
A2 尿の鑑定は科学捜査研究所で行われます。
   警察から科学捜査研究所に尿が持ち込まれて早くて2,3日、遅くても1週間~10日で鑑定結果がでますが、逮捕には裁判官の発付する逮捕状が必要になります。
そのため逮捕される時期は千差万別で、早く1週間以内、遅い場合は採尿から1ヶ月以上経って逮捕される場合もあります。

【覚せい剤で執行猶予】

覚せい剤で逮捕され、その後執行猶予判決を受けたという芸能人や有名人の報道を目にする機会があると思います。
覚せい剤に手を染めた原因としては、ストレスが溜まっていたことや軽い気持ちでやった等、様々な理由があります。
有名人や一般人を問わず、初犯で覚せい剤の使用や所持で逮捕後に起訴された場合、執行猶予判決となることが多いと言われています。
執行猶予とは、執行猶予期間中に他の犯罪を犯さなければ、判決の効力を生じさせない、つまり執行猶予期間を経過すれば刑の言渡し無かったことになります。
執行猶予期間中は、刑務所に服役することなく今までと変わらない生活を送ることができます。
ただし、覚せい剤取締法違反で執行猶予判決を受けた者の再犯率は60%を超えていると言われ、本人の努力だけでは覚せい剤を辞められないという問題が指摘されています。
執行猶予期間中に、病院や薬物依存症の患者をサポートする施設に通っている人もいますが、全員が通って再犯防止に努めているとは言えないのが現状です。

【覚せい剤事件の弁護活動】

覚せい剤事件で初犯の場合執行猶予判決が多いと言われていますが、何もしないで全員が執行猶予判決を受けれるとは限りません。
反省の態度が見えない場合や再犯防止に努めていると見えない場合には、初犯でも実刑判決が言い渡されることもあります。
事件毎によって弁護活動が異なりますが、弁護士のアドバイスに従って取り調べや公判の対応をすることで、執行猶予判決を獲得できる可能性が高くなります。
ですので、覚せい剤事件で執行猶予判決を獲得したい方は刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

千葉県の刑事事件で弁護士をお探しの方、ご家族やご友人が覚せい剤取締法違反で逮捕された方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

捜査機関の種類を解説

2020-12-03

今回は、刑事手続における捜査機関の種類について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪市此花区に住むAさんは、自宅でMDMAを所持し、その薬理作用を得るため使用するなどしていました。
AさんがMDMAを所持・使用しているとの情報を得た麻薬取締官は、内偵を行い、捜索差押許可状の発付を得ました。
麻薬取締官は、Aさんの自宅に赴き、Aさんに捜索差押許可状を示した後、自宅の捜索を開始しました。
捜索の結果、Aさんの机の引き出しからMDMAの錠剤が発見されたので、これを押収された後、Aさんは麻薬及び向精神薬取締法違反(MDMAの所持)の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~MDMAの所持・使用行為の規制~

(MDMAの所持)
麻薬及び向精神薬取締法第66条1項は、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持」する行為を禁止しています。
ジアセチルモルヒネ等とは、一般に「ヘロイン」のことを意味します。
MDMAは、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に該当します。

「所持」とは、「事実上の実力支配関係」をいい、自宅にある机の引き出しの中でMDMAを保管する行為は、当然「所持」に該当します。

MDMAの所持については、7年以下の懲役が予定されています。

(MDMAの使用)
MDMAを「施用」(条文上「施用」となっています)する行為も処罰の対象です(麻薬及び向精神薬取締法第27条1項・66条の2第1項)。

「施用」とは、「麻薬を注射、経口、粘膜への塗布、鼻腔からの吸入等の方法によって、自己又は他人の身体に用いること」をいいます。

Aさんが逮捕された被疑事実はMDMAの「所持」ですが、MDMAを使用していた嫌疑もかけられるでしょう。
尿検査などを受けた結果、MDMAの使用を示す反応が検出されれば、MDMAの使用行為についても捜査を受けることになります。
場合によっては、MDMA所持の件とは別に、MDMAを使用した罪について、改めて逮捕されてしまうことも考えられます。
身体拘束が長引かないよう、所持の件と使用の件とを並行して捜査するよう申し入れる必要があるかもしれません。

~犯罪捜査の主体~

犯罪の捜査は、「検察官」、「司法警察職員」が行います。
「検察事務官」は、検察官の指揮を受けて、犯罪の捜査を行うことになっています。

(司法警察職員)
「司法警察職員」は、「一般司法警察職員」と「特別司法警察職員」からなり、麻薬取締官は特別司法警察職員に該当します。
そのため、警察官ではありませんが、薬物事件に関して捜査権限を持ち、被疑者の逮捕、捜索・差押えを行うことができます。
麻薬取締官は厚生労働省の職員で、薬物事件の捜査に特化したノウハウを有しており、中には、薬剤師の資格を持つ麻薬取締官もおられます。

他の特別司法警察職員の例として、「海上保安官」、「労働基準監督官」などがあります。

(検察官)
Aさんは逮捕後、逮捕時から48時間以内に、検察へ身柄が送致されることになるでしょう。
検察へ送致された後は、「検察官」が取調べを行います。
ケースのような事件では、司法警察職員において捜査を行い、捜査が熟した後、検察へ送致する、という手続がとられますが、経済事件、汚職事件などにあっては、最初から検察官が捜査を行うこともあります。
検察官も、捜索・差押え、取調べを行うことができますし、被疑者を逮捕することもできます。
また、捜査の最終段階において、被疑者を起訴するか、不起訴にするかは、検察官が決定しています。
警察官や麻薬取締官は起訴・不起訴の別を決定することはできません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がMDMA所持の疑いで、麻薬取締官により逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

薬物事件における違法な所持品検査

2020-11-26

薬物事件における違法な所持品検査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事例~

大阪府茨木市に在住のAさん(22歳)は、禁止薬物の密売人が地域において、大阪府茨木警察署の警察官2人組に突然職務質問をされました。
Aさんの言動を不審に思った警察官に、Aさんが背負っていたリュックサックの中身を見せるように言われましたが、Aさんは頑なに拒否しました。
すると、Aさんは1人の警察官に身動きができないようにされ、もう1人の警察官に勝手にリュックサックを開けられてしまいました。
リュックサックの中には覚せい剤が入っており、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(これはフィクションです)

~所持品検査~

所持品検査は、職務質問の効果をあげるうえで、必要性や有効性が認められるならば、職務質問に付随する行為として行うことができるとされています。
職務質問については、警察官職務執行法(警職法)で以下の様に規定されています。

警職法 第2条1項 質問
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者~を停止させて質問することができる。
~警察比例の原則~
警察活動には、警察比例の原則というものがあります。
警察比例の原則とは、「警察活動は、必要性に見合った相当なものでなければならない」とする原則のことです。

所持品検査も例外ではなく、警察比例の原則に従わなければなりません。
つまり、所持品検査には「必要性」と「相当性」が求められます。
所持品捜査の「必要性」や「相当性」には、明確な基準はなく、具体的状況の下で判断されるとされています。

~違法な所持品検査~

所持品検査が必要ではなかったり、相当ではなかったりする場合、つまり警察比例の原則に反するような違法な所持品検査であるときは、その後の刑事手続きにも影響が及ぶことがあります。

例えば、違法な所持品検査によって、覚せい剤が発見され、覚せい剤取締法(所持)違反現行犯逮捕された場合、違法に収集された証拠は証拠として認められませんので、その後の刑事裁判では無罪判決が言い渡されることもあるのです。

~薬物事件のときの弁護活動~

覚せい剤取締法違反等の薬物事件で警察の捜査を受ける方のほとんどは、証拠隠滅や、逃走等のおそれを理由に、逮捕や勾留といった身体拘束を受けてしまいます。
そこで、ご家族の方から弁護士に初回接見サービスの依頼をすることをおすすめします。
初回接見とは、弁護士が、逮捕されてしまった方のもとに面会(接見)に行くサービスのことです。
弁護士は、立会人無しで逮捕されてしまった方と話し合うことができるので、事件に関して伝えたいことを正直に話すことができます。
また、今後の取調べで自分に不利なことにならないような対応の仕方を伝えることもできます。

今回の事例では、所持品検査違法となる可能性があります。
弁護士はそのような違法な捜査活動に対応できるスペシャリストです。
逮捕されてしまった方との接見をもとに、所持品検査が違法であったという証拠を集め、釈放するように働きかけることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、薬物事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

大麻取締法違反で執行猶予

2020-11-19

大麻取締法違反事件における執行猶予について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

【事例】

神戸市兵庫区に住むAさんは、吸引する目的で購入した大麻を車に隠していました。
先日、この車を貸した友人が、神戸市内で交通事故を起こしてしまい、友人は車を放置したまま逃走しました。
車は、事故現場を管轄する兵庫県兵庫警察署に押収されてしまい、その後、友人から車内から大麻が発見、押収されたと聞きました。
Aさんは、出頭を考え、大麻取締法違反などの薬物事件に強い弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

【大麻取締法違反】

大麻取締法で、大麻の所持、栽培、譲渡、譲受、輸出入等が禁止されています。
非営利で大麻を所持した場合の罰則規定は「5年以下の懲役」ですが、営利目的で大麻を所持した場合の罰則規定は「10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科」という非常に厳しいものです。

【所持の概念】

今回の事件でAさんの行為は、大麻を所持していたことになるのでしょうか?
大麻取締法でいう「所持」とは、大麻を物理的に把持する必要はなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態であれは足りるとされています。
これは銃刀法(銃砲刀剣類所持等取締法)で禁止されている刃物の「携帯」とは異なります。
例えば、コインロッカーに入れて保管していたり、管理権の及ばない他人の建物に隠匿している場合でも「所持」と認定される場合があります。
ただ、所持する物が「大麻」である認識は必要とされています。
例えば、友人から頼まれて預かっていた荷物の中に、大麻が紛れていた場合は、所持する者に大麻を所持している認識がないので、大麻取締法違反でいう「所持」には抵触しない可能性があります。

今回の事件でAさんは、大麻を隠していた車を友人に貸していますが、大麻を実質的に所持していたのはAさんだと考えられるので、大麻取締法における大麻所持違反に抵触するでしょう。
車を運転していた友人について検討すると、Aさんから、車に大麻を隠している事実を知らされていなければ、大麻所持の故意がないので大麻取締法違反に抵触する可能性は極めて低いですが、もしAさんから、この事実を知らされていた場合は、実際の大麻を支配下においているので大麻取締法の所持違反になる可能性が高く、この場合、Aさんと友人は共犯関係になります。

【薬物事件における執行猶予】

大麻に関する罪は、①大麻という信用性の高い物的証拠が存在する、②法律上罰金刑を選択する余地がない、という特徴があります。
そのため、家宅捜索などをきっかけに大麻に関する罪を疑われると、非常に高い確率で逮捕・勾留および起訴に至ると考えられます。
大麻所持を含む薬物事件では、初犯かつ犯情がさほど重くなければ、執行猶予が付される可能性が十分あります。
執行猶予とは、事件の内容や被告人の反省の程度などを考慮して、一定期間刑の執行の全部または一部を猶予する制度です。
刑の全部の執行猶予が行われると、判決が言い渡された直後に刑務所へ収容されるという事態を回避できます。
執行猶予の範囲が一部にとどまっても、刑期が短くなる可能性があると考えればやはり有用です。

期間中に執行猶予が取り消されなければ、その期間が経過した時点で刑の執行を受けることはなくなります。
執行猶予が取り消される事情には、①裁判官の裁量で必要に応じて取り消されるものと、②選択の余地なく必ず取り消されるものがあります。
執行猶予の言い渡し後に気をつけることをピックアップすると、新たに罪を犯さない、保護観察の遵守事項を守る、といったことがあります。
弁護士がついていれば、事件終了後に注意すべき点を含めて様々なアドバイスを受けることができます。
特に、薬物事件は逮捕・勾留や裁判の可能性が高いので、一度は弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、大麻所持をはじめとする薬物事件においても充実した弁護活動を提供いたします。
ご家族などが大麻取締法違反の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

覚醒剤所持の疑いで現行犯逮捕

2020-11-12

今回は、覚醒剤所持の疑いで現行犯逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、京都府福知山市の人気の少ない駐車場に車を停め、覚醒剤を使用していたところ、パトロール中の京都府福知山警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんは警察官を認めた瞬間に、覚醒剤等をダッシュボードのケースに隠しましたが、隠すところを警察官に見られてしまいました。
警察官が「何か隠さなかったか」と聞くので、Aさんは「何も隠しませんよ」と答えたところ、「じゃあダッシュボードの中みてもいいな、特に見せられないものはないよな」と告げられました。
観念したAさんがダッシュボードのケースを開けたところ、粉末の入ったパケットが発見されました。
簡易検査の結果、粉末が覚醒剤であることが確認されたので、Aさんは覚醒剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~覚醒剤所持罪、及び使用罪について解説~

覚醒剤取締法第41条の2第1項は、覚醒剤をみだりに所持する行為につき、10年以下の懲役を予定しています。

また、Aさんには覚醒剤使用罪の嫌疑もかかるでしょう。
警察署に引致されてから、尿検査を求められることになると思われます。
提出した尿から覚せい剤の使用を示す反応が検出されれば、Aさんの覚醒剤使用行為を立証する有力な証拠となります。
法定の除外事由がないのに、覚醒剤を使用する行為については、10年以下の懲役が予定されています(覚醒剤取締法第41条の3第1項1号)。

~逮捕後の手続~

現行犯逮捕された後は、警察署に引致されます。
その後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。

留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。

勾留の請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間、勾留されます。
やむを得ない事由があると認められるときは、最長10日間、勾留が延長されます。

Aさんが勾留されている場合は、勾留の満期日までに、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決定します。

時に、覚醒剤所持の被疑事実による勾留が満期になった際にAさんを釈放し、改めて覚醒剤使用の疑いで逮捕されてしまう場合もあります。
このような場合は、身体拘束を受ける期間が非常に長くなってしまいます。
Aさんの負担が過大にならないようにするため、覚醒剤所持と、覚醒剤使用の捜査を並行して行うよう求めていく必要があります。

~起訴後の弁護活動~

捜査に違法な点があり、証拠能力を否定されることが見込まれる証拠が存在するなど、特殊な場合を除いては、覚醒剤取締法違反事件は起訴される可能性が高いといえます。
しかし、個人使用目的で覚醒剤を所持し、これを使用していたにすぎない場合には、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付判決を獲得できる可能性があります。

起訴後の弁護活動として、Aさんが再び薬物に手を染めないことをアピールすることが重要となります。
具体的には、
①信頼できる身元引受人を用意し、出廷してもらった上で、証言をしてもらうこと、
②薬物依存の治療プログラムを開始すること(これは保釈を実現していないと困難です)、
③自助グループ(ダルクなど)に参加し、周囲の支援を得ながら、環境の改善や薬物の断絶を図ること
が挙げられます。

~さいごに~

覚醒剤事案は非常に再犯者が多く、事件が終了した後、ふたたび覚醒剤に手を染める方も少なくありません。
薬物から手を断ち切ることができなければ、犯罪を繰り返すことになってしまいますし、自身の健康にも悪影響を与えます。
弁護士や周囲の支援を受けながら、薬物を断ち切るよう努力を続けることが大切と思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

薬物事犯捜査の違法性を追及する弁護士

2020-11-05

今回は、覚せい剤取締法違反被疑事件において、捜査の適法性に疑いがある場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

覚せい剤取締法違反の前科(覚せい剤の所持・使用)があるAさんは、外出中、警察官から職務質問を受けたため、任意で福岡県八幡西警察署に同行しました。
Aさんは薬物から手を断ち切ることができず、時々覚せい剤を使用するなどしていましたが、職務質問を受けた際には、特に問題となる物件を所持していなかったので、堂々と所持品検査にも応じ、問題のないことが確認されました。

警察官らは、八幡西署において、Aさんに対し、任意で尿を提出するよう求めましたが、数日前に覚せい剤を使用したことを思い出したAさんは、尿の任意提出を拒みました。
Aさんはその後の取調べを拒否し、取調室を出ようとしましたが、警察官らはAさんの肩を掴み、「尿に問題がなければ無事に帰れる」、「あまり拒むようなら、カテーテルで強制的に尿を採取する。痛いし恥ずかしいぞ」などと告げ、5時間にわたり、尿を任意提出するよう説得を続けました。

Aさんは任意提出を拒み続けるのに疲れてしまったため、仕方なく尿を提出しました。
尿からは覚せい剤の使用を示す反応が検出されたため、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~手続の違法性を主張し、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指す~

判例によれば、手続に「令状主義の精神を没却するような重大の違法があり、これを証拠として許容することが、将来における違法な捜査の抑制の見地からして相当でないと認められる場合」においては、証拠の証拠能力が否定されます。
これを、違法収集証拠排除法則といいます。
証拠能力が否定されると、どれほどその証拠に証明力が認められるとしても、裁判で証拠とすることができません。

ケースにおいては、Aさんが覚せい剤を使用したことを立証するため、尿の鑑定書や、Aさんの供述調書が作成されるでしょう。
これらの証拠についても、先行する違法な手続と密接に関連するものと判断された場合、その証拠能力が否定される可能性があります。
この場合には、Aさんの覚せい剤使用行為を立証することができなくなります。
裁判所がAさんの覚せい剤使用行為を認定できなければ、当然、覚せい剤使用行為について有罪とされることはありません。
また、検察官が覚せい剤使用行為を立証できないと判断した場合には、不起訴処分がなされる場合もあります。

~ケースにおいて問題となりうる点~

薬物を使用しているとみられる被疑者を警察署に任意同行し、尿を任意提出するよう求める捜査手法はよく用いられるものです。
しかし、任意捜査として認められる限度を超えて、長時間にわたり説得が続けられた場合や、取調官の言動に強制などの問題があった場合には、手続に違法があったと認められることがあります。

捜査機関による説得が何時間を超えると違法である、という線引きはできません。
被疑者の態度や、嫌疑の程度などを総合考慮し、個別具体的に決定されることになります。

~ケースの場合はどうか?~

Aさんが覚せい剤を使用していると疑われている理由は、①同種前科があること、②尿の任意提出を頑なに拒んでいるからであると思われます。
しかし、先に行われた所持品検査において、覚せい剤やその使用器具が発見されたわけでもなく、Aさんにおいて特異な言動がみられるわけでもありません。
この程度の嫌疑で、明示に取調べを拒む被疑者を5時間も取調室に留め置き、説得行為を続けた点については、違法とされる可能性があります。

また、強制採尿に伴う苦痛の内容を告げるなどした点についても、問題とされる余地があります。
さらに、強制採尿令状が当然に発付されるかのように振る舞い、尿の任意提出を求めている点についても、「令状審査の先取り」として、違法とされる可能性があります(東京地方裁判所平成23年3月15日決定)。

~捜査の適法性に疑問を感じたら、弁護士に相談~

捜査機関は、捜査を行うにあたり、強大な権限を行使することができますが、あらゆる手法が許容されるわけではありません。
適法な捜査がなされるよう監視することも、弁護士の大切な使命です。
捜査の適法性に疑問を感じたら、すぐに弁護士と相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

大麻所持事件の解決を目指す弁護士

2020-10-29

今回は、大麻所持の疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

東京都文京区に住むAさんは、大麻と、大麻を吸引する器具とをカバンに入れて街を歩いていたところ、警視庁大塚警察署警察官から職務質問を受けました。
Aさんは大麻の所持行為が発覚するとまずいと思い、職務質問を無視しましたが、警察官により行く手を阻まれ、カバンの中や腕の皮膚を見せるよう求められました。
腕は素直に見せましたが、カバンの開披は頑なに拒んだため、警察官はいよいよ疑いを深め、Aさんは警察官と1時間ほど押し問答を繰り返しました。
Aさんがしぶしぶカバンの中身を見せたところ、大麻様の物件が発見されました。
当該物件が大麻であることが確認された後、Aさんは大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
現在、Aさんには勾留決定がなされています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~大麻所持罪について~

大麻取締法第24条の2第1項は、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」としています。
法定の除外事由がないのに、大麻をカバンに入れて携帯する行為は、上記「所持」に該当する可能性が高いでしょう。

~Aさんは今後どうなる?~

(警察段階での手続)
取調べでは、どのようにして大麻を入手したのかについて、詳しく尋ねられるでしょう。
余罪についても追及される可能性が極めて高いです。
もし、尿検査などを受け、覚せい剤の使用を示す反応が検出されれば、覚せい剤取締法違反の疑いもかけられることになります。

Aさんを留置する必要がある場合は、逮捕時から48時間以内に、Aさんを検察へ送致しなければなりません。

(検察段階)
送致後は、検察官もAさんを取り調べます。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決定しなければなりません。
ケースの場合、勾留請求がなされる可能性が非常に高いと思われます。

(勾留請求をされた場合)
勾留請求をされると、「勾留質問」のため、裁判所に連れて行かれます。
勾留質問は、裁判官が、Aさんを勾留する要件を満たしているかどうかを判断するために行う手続です。

(勾留決定がなされた場合)
勾留決定が出ると、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されます。

(起訴、不起訴が決められる)
検察官は勾留の満期日までに、Aさんを裁判にかけるか否かを決めなければなりません。
もっともケースの事件は、類型的に起訴される可能性が高いといえます。
捜査段階から、起訴された後の弁護活動をも視野に入れる必要があるでしょう。

~保釈の実現及び執行猶予付き判決の獲得を目指す~

薬物事件は、捜査段階において勾留が付きやすく、起訴されやすい傾向にありますが、起訴後に保釈が許される場合が多いことも特徴です。
裁判所が保釈を許す決定をすれば、保釈保証金を納付して、外に出ることができます。

また、Aさんが初犯であれば、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付き判決を獲得できる可能性も十分あります。
そのためには、裁判官において、Aさんが再び薬物犯罪に手を染めないということを納得してもらう必要があります。

要するに、再犯防止策を法廷において十分アピールすることが重要ということです。
薬物依存の治療プログラムを開始する、信頼できる身元引受人を用意し、法廷で証言してもらうなど、様々な方法が考えられます。
信頼できる弁護士に弁護活動を依頼し、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ケースのような薬物事件の解決実績も豊富です。
ご家族が大麻所持の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

薬機法違反(危険ドラッグ所持)で即決裁判

2020-10-22

薬機法違反(危険ドラッグ所持)で即決裁判

兵庫県神戸市兵庫区に住むAさんは、ライブ会場で知人から「体に効くから。」などと言われてピンク色の錠剤を勧められました。Aさんは、このところ仕事が多忙で疲れていたため、体に効くならと思い知人から譲り受け、それをズボンの右ポケットの中に入れました。ところが、Aさんは自宅へ帰宅途中、兵庫県兵庫警察署の警察官の職務質問に遭いました。Aさんは、警察官からポケットの中身を全て出すよう求められましたが、ズボンの右ポケットに錠剤を入れており、これが「何か怪しい薬だ」と思っていたことから警察官の要求を断りましたが、説得の末、警察官に錠剤を提出しました。検査の結果、錠剤が薬機法の「指定薬物」に該当する危険ドラッグであることが判明し、Aさんは薬機法の指定薬物所持罪現行犯逮捕されてしまいました。その後、Aさんは勾留され、検察官から即決裁判を受けるための書類にサインを求められました。
(フィクションです)

~ 薬機法とは ~

薬機法とは、正式名称、

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性確保等に関する法律

といい、かつての薬事法から改名された法律です。

薬機法2条15項(一部省略)では

中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物(大麻、覚醒剤、麻薬、向精神薬、あへん、けしがらを除く)

を「指定薬物」とし(一般的には「危険ドラッグ」「脱法ドラッグ」などと言われているもの)、

医療等の用途以外の用途に供するための
・製造
・輸入
・販売
・授与
・所持
・購入
・譲り受け

又は
医療等の用途以外の
・用途の使用

を禁止しています(薬機法76条の4)。

~ 罰則 ~

上記の禁止行為については2種類の罰則が設けられています。

まず、①業として指定薬物を製造、輸入、販売、授与した、又は②指定薬物を所持した(販売又は授与の目的で貯蔵し、又は陳列した場合に限る)場合

5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科

③単に製造、輸入、販売、授与、購入、譲り受けた場合

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科

とされています。

~ 即決裁判 ~

即決裁判とは、①死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件を除く事件(簡単に言えばさほど重大でない事件)について、②事案が明白かつ軽微であって、③証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに、原則、1回の審理で判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。

即決裁判を受けるメリットとしては、

1 審理は申立て後、原則、14日以内に開かれ1回で終わること
2 必ず執行猶予判決を言い渡されること(実刑判決は言い渡されない)
3 1、2に関連し、審理当日(判決当日)に釈放され、早期の社会復帰が可能となること

などが挙げられます。

他方,デメリットとしては
1 必ず有罪判決が言い渡されること
2 量刑不当を理由に控訴できるが、事実誤認を理由とする控訴はできないこと

などが挙げられます。

~ 薬機法と即決裁判 ~

即決裁判

死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件

については対象から除かれるということでした。この点、上記でご紹介した罪、罰則を見ると、

短期1年以上の懲役

には当たらず、上記でご紹介した薬機法の罪に関しては、少なくとも即決裁判対象事件には当たります(ただし、事案が明白かつ軽微であって、証拠調べが速やかに終わるなどの事情がある、との要件はまた別個に判断されます)。

~ 即決裁判をするには同意が必要 ~

即決裁判を希望する場合は、その旨の同意をする必要があります(刑事訴訟法350条の16第2項)。検察官から同意書にサインを求められますので、書かれてあること、説明を受けたことに納得してからサインしましょう。また、同意は後で撤回することも可能です(刑事訴訟法350条の22条第1号等)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件少年事件でお悩みの方は,まずは,0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間,無料法律相談初回接見サービスの受け付けを行っております。

麻薬で逮捕

2020-10-15

横浜市内の麻薬事件について、弁護士法人あいち刑事総合法律事務所の弁護士が解説します。

【事件】

若いころから覚せい剤の密売で生計を立てているAさんは、知人を通じて、ヨーロッパから100キロ単位の覚せい剤の密輸を企てました。
ヨーロッパの密売人が、重機の輸入品に覚せい剤を隠して日本に輸入しようとしたのですが、この取引を察知した、麻薬取締局と、神奈川県警察本部薬物対策課によって、重機に隠されて輸入された覚せい剤が、覚せい剤を模した結晶に入れ替えられたのです。
その事実を知らないAさんは、重機が搬入された倉庫に覚せい剤を取りに行き、そこで捜査当局によって逮捕されてしまいました。
(フィクションです)

【麻薬特例法】

「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」を省略して「麻薬特例法」といいます。
麻薬特例法は、平成4年に施行された法律で、薬物犯罪による薬物犯罪収益等のはく奪、規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図ることなどを目的にしています。

麻薬特例法で規制されている薬物は、麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚せい剤です。
麻薬特例法でいう「薬物犯罪」とは、覚せい剤に限った場合、覚せい剤の輸出入、製造の罪(営利目的を含む)、又はこれらの未遂罪、所持、譲渡し及び譲受けの罪(営利目的を含む)、又はこれらの未遂罪、譲渡しと譲受け(営利目的を含む)の周旋の罪です。

【薬物等の譲り受け等】

規制薬物としての薬物等の譲り受け等の罪に関しては麻薬特例法第8条第2項に規定があります。
ここでは、薬物犯罪(規制薬物の譲渡し、譲受け又は所持に係るものに限る)を犯す意思をもって、薬物その他の物品を規制薬物として譲り渡し、若しくは譲り受け、又は規制薬物として交付を受け、若しくは取得した薬物その他の物品を所持した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する旨が明記されています。
ここでの「薬物」とは、規制薬物でないことが明らかである薬物のほか、規制薬物であるか否かの証明が十分でない薬物を含みます。
つまり、譲り受けなどした物が覚せい剤などの現物(薬物)でなくても、本罪による逮捕、処罰が可能になるのです。
この規定は、覚せい剤等の規制薬物に係る不正行為を助長する行為を防止するために設けられています。
つまり、規制薬物として譲り受けする行為は、覚せい剤等の規制薬物に係る不正行為を助長し、社会に害悪を及ぼす行為と考えられているのです。
覚せい剤取締法の譲り受け事件は、覚せい剤そのものが存在しなければ立件することが困難ですが、麻薬特例法ではその必要はありません。
ただ、現物が覚せい剤等の薬物ではないことから、本罪の法定刑は覚せい剤取締法よりもかなり軽くなっています。

【執行猶予を目指して】

麻薬所持を含む薬物事犯は、基本的に不起訴で終わるということがあまり期待できません。
ですので、もし事件が発覚すれば、よほどのことがない限り起訴されて裁判に至ると考えて構いません。
逮捕および勾留による身体拘束の可能性も高くなっています。

上記の点と罰則の重さを踏まえると、麻薬所持事件において第一に目指すべきは執行猶予の獲得だと考えられます。
執行猶予が獲得できれば、裁判が確定してから直ちに刑務所に収容されるという事態を回避できます。
そのため、裁判が終わってから社会復帰をすることが可能となっています。
更に、執行猶予期間中に罪を犯すなどして執行猶予が取り消されなければ、期間の満了をもって刑を免れることができます。
有罪となって刑を言い渡された事実が消えるわけではありませんが、もはや刑の執行を憂う必要がない点は有益です。

執行猶予を獲得するうえで重要なのは、裁判で更生の意思をきちんと示し、目指すべき将来があることを裁判官に訴えることです。
そのためには相応の労力を費やすことが必要であり、闇雲に行うのは賢明ではありません。
少しでも執行猶予の可能性を高めるのであれば、ぜひ法律の専門家である弁護士に相談しましょう。
もし事件を依頼すれば、執行猶予獲得に向けた手厚いサポートが受けられるはずです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件の経験豊富な弁護士が、執行猶予の獲得に向けて手を尽くします。
ご家族などが麻薬事件で逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。

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