MDMA所持事件を起こし起訴 保釈に向けて活動する弁護士

2020-12-17

今回は、MDMAを所持していた疑いで起訴された被告人の保釈を目指す弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

Aさんは、自宅の食器棚においてMDMAを所持していた公訴事実により、埼玉地方裁判所へ起訴されてしまいました。
早朝にAさんの自宅にやってきた埼玉県朝霞警察署の警察官により、麻薬及び向精神薬取締法違反の疑いで逮捕・勾留され、起訴された今も勾留されています。
Aさんは保釈を実現し、外に出たいと考えています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)

~Aさんにはどのような疑いがかけられているか?~

Aさんには、MDMAの所持罪が成立する可能性が高いでしょう。

麻薬及び向精神薬取締法第66条1項は、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持」する行為を禁止しています。
ジアセチルモルヒネ等とは、一般に「ヘロイン」のことを意味します。
MDMAは、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に該当します。

「所持」とは、「事実上の実力支配関係」をいい、自宅の食器棚においてMDMAを保管する行為は、当然「所持」に該当します。
また、人から預かってMDMAを保管している場合であっても、「所持」に該当します。

MDMAの所持については、7年以下の懲役が予定されています。

起訴されたということは、Aさんに刑事罰が必要であると判断されたからです。
また、AさんによるMDMA所持行為を立証する証拠の収集も完了していると考えられます。

被疑者が犯罪を犯したことが証拠上明らかであっても、裁判にかけられない場合もあります(起訴猶予処分)。
しかし、MDMA所持罪をはじめとする薬物犯罪は、起訴される可能性が類型的に高いです。
捜査手続の適法性、収集できた証拠に問題がなければ、多くの場合、起訴されることになるでしょう。
検察官は、収集した証拠を用い、Aさんの犯罪行為を立証することになります。

~保釈の実現を目指す~

MDMA所持事件の身体拘束期間は長引く傾向にありますが、起訴された後、保釈が許される場合も多いです。
なお、起訴前、すなわち、被疑者の段階にあっては、保釈の請求を行うことはできません。
この場合は、「準抗告」や「勾留取消請求」など、保釈とは異なる身柄解放活動を実施する必要があります。

「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
裁判所が保釈を許す決定をすれば、保釈保証金を納付して、外に出ることができます。
保釈保証金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。

~保釈を実現するメリット~

保釈を実現することができれば、身体拘束という負担から解放されます。
さらに、薬物依存の治療プログラムを開始することにより、再犯防止に努めていることをアピールできます。
勾留されている場合は、このようなプログラムは受けられません。

~執行猶予付き判決の獲得を目指す~

AさんがMDMAを所持していたことを立証できる証拠が存在する限り、有罪判決を免れることは極めて難しいと思われます。
ただし、有罪判決を受ける場合であっても、執行猶予付き判決を獲得することができれば、刑務所に入らずにすみます。

執行猶予付き判決を獲得するためには、裁判において、裁判官にAさんが再び薬物事件に手を染めないということを納得してもらう必要があります。

早期に弁護士を依頼し、アドバイスを受けながら有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がMDMA所持の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。