大麻の共同所持とは|大麻の共同所持で逮捕されても不起訴は目指せる?

複数人で大麻を所持していた場合、大麻の共同所持として逮捕される可能性があります。しかし、場合によっては大麻の共同所持が成立しない場合もあり、大麻が見つかったからと言って必ず刑罰を受けるわけではありません。
本記事では、大麻の共同所持とはどのような行為を指すのかについて解説していきます。大麻の共同所持が認められるケースと認められにくいケースについても徹底解説しました。
「夫が自宅に隠していた大麻が見つかった、、」
「友達の車に乗っていて職務質問を受けたら大麻が見つかった、、」
このような状況で不安を抱えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
大麻の共同所持とは
大麻の共同所持とは、複数人が共同で大麻を所持している状態を指します。実際に大麻を購入したり、手に持っていなくても、実質的な支配下に大麻があれば共同所持が成立する可能性があります。
たとえば、友人が購入した大麻をあなたの家に保管し、あなたもその事実を認識していれば、例えその大麻があなたの物でなくても共同所持として認められることがあります。
大麻の共同所持かどうかは、その大麻が誰の物で、どのような目的でその場所にあるのか、大麻のある場所が誰の支配下なのか、そして、そこに大麻があることを知って(認識して)いるかどうかなどを、総合的に考慮して判断されます。
例えば、遊びに行った友達の家に、友達が大麻を隠し持っていた場合でも、そこに大麻があることを認識していれば、警察の捜査を受けることがあり、場合によっては、大麻の共同所持として有罪認定を受けることがあるので、注意が必要です。
ちなみに、令和6年12月11日以降、大麻に関する法律が改正され、大麻の所持は麻薬及び向精神薬取締法で規制されるようになりました。それ以前は大麻取締法違反として扱われていましたが、現在は麻薬及び向精神薬取締法違反として処罰され、厳罰化されているので注意が必要です。
大麻の共同所持で問われる罪
大麻の共同所持が認められた場合、麻薬及び向精神薬取締法違反の罪に問われます。ただ大麻の共同所持違反という規定はなく、麻薬及び向精神薬取締法で規制されている大麻の所持違反を、刑法でいうところの共同正犯として犯したことになります。
共同正犯とは
共同正犯とは、複数人が共同して犯罪を実行した場合に、それぞれが正犯として刑事責任を負う制度です。刑法第60条では「二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする」と定められています。
大麻の共同所持のケースでは、大麻を購入した者や、大麻が存在する場所の管理者だけでなく、その大麻を共同所持していたと認められた者全員が共同正犯として扱われ、同じ刑事責任を負うことになります。
共同正犯が成立するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 共同実行の意思:複数人が共同で犯罪を行う意思があること
- 共同実行の事実:実際に共同で犯罪を実行したこと
大麻の共同所持では、複数人が大麻を共同で管理・支配する意思と事実があれば、共同正犯として認められる可能性が高まります。
大麻の共同所持による刑罰
大麻の共同所持で有罪になった場合、麻薬及び向精神薬取締法に基づいて処罰されます。営利目的でない単純所持の場合、7年以下の拘禁刑が科せられます。
なお、令和7年6月から刑法が改正され、従来の懲役刑と禁錮刑は「拘禁刑」に統一されました。拘禁刑とは、刑事施設に収容する刑罰のことで、受刑者の改善更生を目的として作業や指導が行われます。
営利目的で大麻を所持していた場合は、さらに重い刑罰が科せられます。営利目的の所持では1年以上10年以下の拘禁刑または情状により1年以上10年以下の拘禁刑及び300万円以下の罰金となります。
営利目的でなければ、初犯の場合は執行猶予が付く可能性が非常に高いですが、前科がある場合や所持量が多い場合はその限りではありません。刑罰の重さは、所持量、態様、前科の有無などを総合的に考慮して決定されます。
大麻の共同所持が認められるケース
大麻の共同所持が成立するかどうかは、大麻に対する「実質的支配」があるか等によって総合的に判断されます。ここでは、共同所持と認められやすい具体的なケースを見ていきましょう。
大麻の保管場所を知っていた
自宅や車の中に大麻が保管されていることを知っていた場合、大麻の共同所持が認められやすくなります。大麻があることを認識しているということは、その大麻を使用したりといった処分ができる立場にあったと判断され、共同所持が認められやすくなります。
たとえば、同居している友人が自宅の引き出しに大麻を隠していて、その場所を知っていたケース。この場合、自分で購入していなくても、いつでも大麻を取り出し使用できる状態にあったと認定される可能性があります。
また、車の中に大麻が隠されていて、その場所を知っていた場合も同様です。車の所有者でなくても、日常的に車を使用していて保管場所を把握していれば、実質的支配があると判断されやすくなります。
一緒に大麻を吸っていた
同居人や知人と一緒に大麻を使用していた場合も、大麻の共同所持が認められやすくなります。共同で使用するということは、その大麻に対して支配的な立場にあったことを示すためです。
たとえば、友人が購入した大麻を定期的に一緒に使用していた場合。自分では購入していなくても、友人に頼めばいつでも一緒に吸える関係性があれば、共同で所持していたと認定される可能性が高まります。
また、大麻を吸うための道具を共同で使っていた場合や、大麻の購入費用を分担していた場合も、共同所持していたと判断される材料になります。共同で使用する行為そのものが、大麻に対する共同支配を示す証拠となるのです。
ただし、1回だけ誘われて使用した場合と、日常的に一緒に使用していた場合では、実質的支配の認定が異なる可能性があります。継続的な使用関係があるほど、共同所持と認められやすくなります。
大麻を隠すことに協力していた
自宅や車にある大麻を他人に見つからないように隠したり、大麻の持ち込みを許可していた場合も、大麻の共同所持が認められやすくなります。隠す行為や場所の提供は、大麻を所持する意思があったことを示すためです。
たとえば、友人が大麻を自宅に持ち込むことを承知していて、警察に見つからないように隠し場所を提案したケース。この場合、大麻を保管することに積極的に関与していたと判断され、共同所持していたと認定される可能性が高まります。
また、自分の部屋や車のトランクを大麻の保管場所として提供していた場合も同様です。場所を提供するということは、その大麻を実質的に支配する立場にあったことを意味します。
さらに、警察の捜索が入りそうになったときに大麻を移動させたり、処分を手伝ったりした場合も、協同所持の認識を持っていた証拠となります。こうした積極的な関与は、単なる黙認ではなく、共同で大麻を管理していたと認定される大きな要因になります。
大麻の共同所持が否定されやすいケース
大麻の共同所持が成立するには大麻を所持している意思が必要です。ここでは、共同所持が否定されやすい状況を見ていきましょう。
大麻の保管場所を知らなかった
大麻がどこに保管されているのか知らなかった場合や、そもそも大麻の存在自体を知らなかった場合は、大麻の共同所持が認められないでしょう。大麻の存在と場所を認識していないということは、大麻所持の故意が認められないからです。
たとえば、同居人が自分に内緒で部屋に大麻を隠していて、ある日突然警察の捜索で発覚したケース。この場合、大麻の存在を全く知らなかったと認定されれば、共同所持は認められないでしょう。
また、友人の車に乗っていて、その車から大麻が見つかったものの、自分は大麻があることを知らなかった場合も同様です。単に同じ空間にいただけでは、共同所持は認められません。
ただし、警察や検察は大麻所持を立証するために、尿検査を行い、大麻の使用歴があるか等を調べ、「本当に知らなかったのか」を厳しく追及します。日常的に一緒に行動していた場合や、不自然な言動があった場合は、知っていたと推認される可能性もあります。知らなかったことを証明するためには、客観的な証拠や説得力のある説明が必要になるでしょう。
自分で大麻を取り出すことができなかった
自分の判断で大麻を取り出すことができない状態だった場合も、大麻の共同所持が認められにくくなります。所持とは、「人が物を保管する実力支配関係を内容とする行為」とされているため、大麻を自由に取り出せない状況では、場合によっては共同所持とは認められない可能性があります。
さらに、一度だけ友人に誘われて大麻を使用したものの、残った大麻を友人が保管し、自分自身は、どこにあるか知らなかったような場合でも、大麻の使用罪に問われることがあっても、所持罪に問われる可能性は低いでしょう。
【事例紹介】実際に大麻の共同所持で逮捕されたケース
職務質問で車内の大麻が見つかり逮捕
建設作業員のAさん(20代)は、友人の車に同乗してドライブ中に警察官の職務質問を受けました。そこで警察官が車内から乾燥大麻を発見し、友人と共に大麻の所持罪(当時は大麻取締法違反)で現行犯逮捕されました。
Aさんは、数日前にこの友人と共に大麻を使用していましたが、職務質問を受けた際に発見された大麻については、友人が車内に隠し持っていたもので、その存在すら認識していませんでした。
Aさんは、20日間の勾留を受け、その間、友人が大麻を隠し持っていたことを知っていたのだろうと、警察から厳しい追及を受けましたが、その認識を否定し続け、結果的に不起訴処分となりました。
大麻の共同所持で逮捕された後の流れ
大麻の共同所持で逮捕されると、どのような手続きが進むのでしょうか。ここでは、逮捕から判決までの流れを時系列で解説します。
逮捕・勾留請求|72時間以内
大麻の共同所持の疑いで逮捕されると、まず警察署に連行されます。逮捕から48時間以内に、警察は取り調べを行い、検察官に事件を送致するかどうかを判断します。
検察官に送致されると、検察官は24時間以内に、裁判所に勾留請求をするかどうかを決定します。つまり、逮捕から検察官の判断まで、合計で72時間以内に重要な決定が行われるのです。
この72時間の間、逮捕された人は警察署の留置場に留め置かれ、自由に外部と連絡を取ることはできません。ただし、弁護士との面会は認められており、弁護士を通じて家族に連絡を取ることが可能です。
逮捕直後の対応が今後の処分に大きく影響します。取り調べでは黙秘権があることを理解し、不利な供述を避けることが重要になります。早い段階で弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
勾留決定・勾留|最長20日間
検察官が勾留請求をすると、裁判官が勾留の必要性を判断します。勾留が決定されると、まず10日間の身体拘束が始まります。捜査の必要性があれば、さらに最長10日間の延長が認められ、合計で最長20日間勾留される可能性があります。
勾留中は、警察や検察による取り調べが続きます。大麻所持の認識があったかどうか等、詳しく聴取されます。この期間中、家族との面会は制限される場合がありますが、弁護士との面会は引き続き可能です。
勾留中の取り調べでどのように対応するかが、その後の処分を大きく左右します。事実と異なる自白をしてしまうと、後から撤回することが難しくなるため、慎重な対応が求められます。
勾留されている間も、弁護士は検察官と交渉し、不起訴処分や保釈を求める活動を行うことができます。早期の身体解放を目指すには、弁護士の適切なサポートが不可欠です。
検察官による終局処分|起訴・不起訴
勾留期間が終了するまでに、検察官は事件を起訴するか不起訴にするかを決定します。これを終局処分と呼びます。
不起訴処分になれば、刑事裁判は開かれず、前科もつきません。不起訴の理由には、嫌疑不十分(有罪立証に足る証拠が不足している)、嫌疑なし(犯罪事実がない)、起訴猶予(犯罪は認められるが、諸般の事情を考慮して起訴しない)などがあります。
大麻の共同所持のケースでは、そもそも大麻を所持している認識がなかったことを証明できれば嫌疑なし(又は嫌疑不十分)で不起訴になる可能性があります。また、初犯で反省している場合や、被害者のいない事件であることから、起訴猶予となる可能性もあります。
一方、起訴処分になると刑事裁判が始まります。起訴には、公開の法廷で裁判が行われる「公判請求」と、書面審理のみで罰金刑が科される「略式命令請求」があります。大麻の共同所持では、罰金刑のみの法定刑がないため、公判請求されることになります。
不起訴を目指すには、早期に弁護士を選任し、大麻所持に関与していなかったことや、大麻所持の故意がなかったこと等を示す証拠を集めたり、検察官と交渉したりすることが重要です。
刑事裁判・判決
起訴されると、刑事裁判が始まります。裁判では、検察官が大麻の共同所持があったことを立証し、弁護士が無罪や減刑を主張します。被告人も法廷で意見を述べる機会があります。
裁判は複数回にわたって開かれることが多く、証拠調べや証人尋問などが行われます。大麻の共同所持のケースでは、共謀の有無や、大麻所持の故意、そもそも大麻所持に関与しているのか等が主な争点となります。自身の供述だけでなく、共犯者の供述や、メールの送受信履歴、その他、共犯者同士の関係性や、大麻使用の有無等を総合的に考慮して、共同所持が成立するかどうかが判断されます。
すべての審理が終わると、裁判官が判決を言い渡します。有罪になれば、拘禁刑等の刑事処分が科されます。初犯の場合は執行猶予が付く可能性もありますが、前科がある場合や所持量が多い場合は実刑判決となることもあります。
判決に不服がある場合は、控訴することができます。控訴審では、一審の判決が適切だったかどうかが審理されます。
刑事裁判では、弁護士の弁護活動が判決に大きく影響します。無罪を主張する場合も、減刑を求める場合も、専門的な法律知識と経験が必要になります。信頼できる弁護士に依頼し、最善の結果を目指すことが大切です。
大麻の共同所持で逮捕されても不起訴は目指せる?
大麻の共同所持で逮捕されたからといって、必ず起訴されるわけではありません。検察官の判断により、不起訴処分となる可能性もあります。不起訴になれば刑事裁判は開かれず、前科もつきません。
不起訴処分には、主に「嫌疑なし(又は嫌疑不十分)」と「起訴猶予」の2つのパターンがあります。どちらも最終的に裁判にならない点は同じですが、その理由は大きく異なります。
大麻の共同所持のケースでは、所持の認識がなかったこと等を証明できれば、嫌疑なし(又は嫌疑不十分)で不起訴になる可能性があります。また、所持量が微量であったり、初犯で反省の態度が見られる場合は、起訴猶予となることもあります。早期に弁護士に相談し、適切な対応を取ることで、不起訴の可能性を高めることができるでしょう。
嫌疑不十分(証拠不十分)による不起訴
嫌疑不十分による不起訴とは、犯罪の嫌疑はあるものの、有罪判決を得られるだけの証拠が不十分な場合に下される処分です。「証拠不十分」とも呼ばれ、検察官が裁判で有罪を立証できないと判断した場合に選択されます。
大麻の共同所持のケースでは、大麻を所持している(する)認識、つまり故意を認定する証拠が不足している場合等に、嫌疑不十分で不起訴になる可能性があります。たとえば、大麻の存在を知らなかったこと、大麻を保管している場所を知らなかったこと等を、客観的に示せれば、共同所持の故意を立証することができないとされやすくなります。
具体的には、以下のような状況が嫌疑不十分につながる可能性があります。
- 大麻の存在を認識していなかった可能性がある
- 同居人が自分に内緒で大麻を隠していた証拠がある
- 大麻を使用した形跡がなく、尿検査でも陰性だった
嫌疑不十分で不起訴になるためには、大麻所持の故意がなかったことを疑わせる証拠を集めることが重要です。弁護士は、目撃者の証言、メールやLINEのやり取り、防犯カメラの映像などを収集し、検察官に提出します。客観的な証拠が揃えば、嫌疑不十分での不起訴の可能性が高まります。
起訴猶予による不起訴
起訴猶予による不起訴とは、犯罪事実は認められるものの、被疑者の年齢、性格、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況などを考慮して、検察官が起訴しないと判断する処分です。刑事訴訟法第248条に基づく、検察官の裁量による処分になります。
大麻の共同所持のケースでは、共同所持の故意や事実があったことは認められるものの、以下のような事情がある場合に起訴猶予となる可能性があります。
- 初犯である:大麻事犯の前科がなく、今回が初めての犯行である
- 所持量が極めて少量である:1回の個人使用にも満たないくらい微量
- 深く反省している:取り調べで素直に事実を認め、二度と繰り返さないと誓っている
- 社会的制裁を受けている:逮捕により職を失ったり、家族関係が悪化したりしている
- 更生の見込みがある:家族の監督が期待でき、薬物依存の治療を受ける意思がある
起訴猶予を得るためには、反省の態度を示すことが非常に重要です。弁護士を通じて検察官に上申書を提出し、深い反省と更生の意思を伝えます。また、家族の監督を約束する誓約書や、薬物依存症の治療を受けることを証明する書類なども有効です。
さらに、大麻を処分したこと、薬物に関わる人間関係を断ち切ったことなど、具体的な更生への取り組みを示すことも起訴猶予につながります。検察官は、被疑者が本当に更生できるかどうかを総合的に判断するため、誠実な対応が求められます。
大麻の共同所持で弁護士ができる弁護活動
大麻の共同所持で逮捕された場合、弁護士に依頼することで様々な弁護活動を受けられます。弁護士は、不起訴を目指す活動から、早期釈放、減刑まで、段階に応じた適切な対応を行います。
弁護士の介入が早ければ早いほど、有利な結果を得られる可能性が高まります。逮捕直後から弁護士と連携することで、取り調べへの適切な対応、検察官との交渉、証拠の収集など、多方面から事件解決に向けた活動が可能になります。
ここでは、大麻の共同所持のケースで弁護士ができる具体的な弁護活動を見ていきましょう。
不起訴に向けた弁護活動
不起訴処分を目指す弁護活動では、弁護士は主に2つのアプローチを取ります。1つは嫌疑不十分を主張する活動、もう1つは起訴猶予を求める活動です。
嫌疑不十分を主張する活動では、大麻所持の故意がなかったことを証明するための証拠収集等が中心になります。弁護士は以下のような活動を行います。
- 大麻の保管場所を知らなかったことを裏付ける証拠の収集
- 目撃者や関係者からの事情聴取と陳述書の作成
- 尿検査の結果など、大麻を使用していなかった証拠の提示
- 検察官に対する意見書の提出
起訴猶予を求める活動では、被疑者の更生可能性と再犯防止策を検察官に訴えます。具体的には次のような活動です。
- 被疑者本人による反省文・上申書の作成支援
- 家族による監督誓約書の作成と提出
- 薬物依存症の専門医療機関への受診手配と治療計画の提示
- 職場復帰や社会復帰に向けた具体的な計画の説明
- 検察官との面談による情状の説明
弁護士は、検察官に対して「この被疑者を起訴する必要性は低い」と納得してもらうために、あらゆる角度から働きかけを行います。特に初犯の場合は、適切な弁護活動により不起訴の可能性を大きく高めることができます。
早期の釈放・保釈に向けた弁護活動
逮捕・勾留されると、最長23日間も身体を拘束される可能性があります。弁護士は、できるだけ早く被疑者を釈放させるために、様々な活動を行います。
勾留前の段階では、以下の活動を行います。
- 検察官に対する勾留請求の不要性の主張
- 逃亡や証拠隠滅のおそれがないことの説明
- 家族の監督体制があることの証明
- 裁判所に対する勾留請求却下の申立て
検察官が勾留請求をしても、裁判官が勾留の必要がないと判断すれば釈放されます。弁護士は裁判官に対して、勾留の必要性がないことを法的に主張します。
勾留後の段階では、以下の活動を行います。
- 準抗告(勾留決定に対する不服申立て)の提出
- 勾留取消請求・勾留執行停止請求の申立て
起訴後に勾留が続いている場合は、保釈請求を行います。保釈が認められれば、保釈金を納付することで身体を解放してもらえます。弁護士は以下の点を裁判所に訴えます。
- 逃亡のおそれがないこと(住所が明確、家族の監督がある)
- 証拠隠滅のおそれがないこと(捜査が終了している、共犯者との接触を避ける)
- 社会生活への影響(仕事、家族の世話など)
- 健康上の理由
早期釈放は、被疑者の社会生活を守るだけでなく、取り調べでの不利な供述を防ぐ効果もあります。身体拘束のストレスから解放されることで、冷静な判断ができるようになります。
執行猶予付き判決・減刑判決に向けた弁護活動
起訴されて刑事裁判になった場合でも、弁護士は執行猶予付き判決や減刑判決を目指して活動します。特に初犯の場合は、執行猶予を獲得できる可能性が高まります。
執行猶予を目指す弁護活動では、以下のような活動を行います。
- 被告人の反省の深さを示す陳述書の作成
- 更生計画の具体的な提示(薬物治療、就労、家族の支援)
- 情状証人の出廷依頼(家族、雇用主など)
- 薬物依存症治療の専門家による鑑定書の提出
- 社会復帰後の監督体制の説明
執行猶予は、刑務所に入らずに社会で更生する機会を与える制度です。裁判官に「この被告人なら社会で更生できる」と判断してもらうために、具体的な更生計画と支援体制を示すことが重要になります。
減刑を目指す弁護活動では、以下の点を主張します。
- 所持量が少量であること
- 営利目的ではなく自己使用目的であったこと
- 共同所持における役割が従属的であったこと
- 犯行に至る経緯や動機に酌むべき事情があること
- 前科がない、または軽微な前科のみであること
弁護士は、法廷で被告人に有利な事情を丁寧に説明し、量刑の軽減を求めます。判例や量刑相場を踏まえた的確な主張により、執行猶予や減刑の可能性を高めることができます。
また、裁判中も薬物依存症の治療を継続していることを示すことで、更生への真摯な姿勢をアピールします。治療の経過報告書や医師の意見書などを証拠として提出し、再犯のおそれが低いことを裁判官に理解してもらいます。
大麻の共同所持に関するQ&A
大麻の共同所持について、よくある質問とその回答をまとめました。疑問や不安を解消する参考にしてください。
Q.大麻の共同所持は逮捕・勾留される?
A.大麻の共同所持が認められる場合、逮捕・勾留される可能性は高くなります。
大麻の共同所持は麻薬及び向精神薬取締法違反の重大な犯罪です。警察は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断すれば、逮捕状を請求して身体を確保します。特に以下のような状況では、逮捕される可能性が高まります。
- 大麻の所持量が多い
- 営利目的での所持が疑われる
- 前科がある、または余罪がある
- 取り調べに対して虚偽の供述をしていると疑われる
- 共犯者と口裏合わせをするおそれがある
逮捕後は、検察官が勾留請求をし、裁判官が勾留を認めれば最長20日間勾留されます。勾留の要件は、罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることです。
ただし、すべてのケースで逮捕・勾留されるわけではありません。初犯で所持量が少量、住所が明確で逃亡のおそれがない、家族の監督が期待できるなどの事情があれば、在宅事件として扱われることもあります。在宅事件の場合、逮捕されずに自宅から警察に出頭して取り調べを受けることになります。
逮捕を避けるため、または早期釈放を実現するためには、弁護士に早めに相談することが重要です。弁護士は、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを警察や検察に説明し、身体拘束の回避や解除を求める活動を行います。
Q.家や車に大麻があることを知らなくても共同所持になる?
A.自宅や車に大麻があることを知らなかった場合、所持の故意がないため、大麻の共同所持は認められにくくなります。
大麻の共同所持が成立するためには、大麻がそこにあること(あるのではないか)の認識が必要です。したがって、大麻の存在を知らなければ、大麻所持の故意が認められず、共同所持は成立しません。
たとえば、以下のようなケースでは共同所持が否定される可能性があります。
- 同居人が自分に内緒で大麻を自宅に隠していた
- 友人の車に乗っていたが、車内に大麻があることを知らなかった
- 共同で使用している場所に他人が勝手に大麻を持ち込んでいた
ただし、警察や検察は「本当に知らなかったのか」を厳しく追及します。以下のような状況があると、知っていたと推認される可能性があります。
- 同居人や車の所有者と日常的に一緒に大麻を使用していた
- 大麻の保管場所を掃除したり整理したりしたことがある
- 大麻の臭いがする場所に頻繁に出入りしていた
- 大麻を隠すために協力した形跡がある
「知らなかった」という主張を通すためには、客観的な証拠が重要です。大麻を使用していなかった証拠(尿検査の陰性結果)、同居人や車の所有者との関係性(ほとんど接触がなかった)などを示す必要があります。
弁護士は、これらの証拠を集めて検察官や裁判所に提出し、共同所持の故意がなかったことを法的に主張します。早期に弁護士に相談し、適切な証拠を確保することが重要です。
Q.大麻の共同所持は初犯でも実刑になる?
A.大麻の共同所持は、初犯でかつ営利目的ではない場合には実刑となる可能性は低いでしょう。
初犯の場合の量刑相場
初犯で営利目的ではない単純所持の場合、多くのケースで執行猶予付き判決となります。一般的な量刑相場は以下の通りです。
- 執行猶予付き判決:拘禁刑(懲役)8月~1年6月、執行猶予3年〜4年
ただし、以下のような事情があると、初犯でも実刑判決となる可能性があります。
- 所持量が非常に多い(営利目的と判断される量)
- 他の薬物事犯と併せて起訴されている
- 逮捕後も反省の態度が見られない
- 更生の見込みがないと判断される
再犯の場合の量刑相場
大麻事犯の前科がある場合、実刑判決となる可能性が高まります。一般的な量刑相場は以下の通りです。
- 実刑判決:拘禁刑(懲役)8月〜2年(前科の内容や所持量による)
- 執行猶予付き判決:事情によっては再度執行猶予が付くこともあるが、可能性は低い
前科がある場合でも、前回の事件から相当期間が経過している、所持量が少量である、薬物依存症の治療を受けているなどの事情があれば、執行猶予が付く可能性もあります。
実刑を避けるためには
初犯の場合、適切な弁護活動により執行猶予を獲得できる可能性が高いです。深い反省、更生計画の提示、家族の監督体制、薬物依存症治療の実施などを裁判官に示すことで、社会内での更生が相当であると判断してもらえます。
弁護士は、被告人に有利な情状を丁寧に主張し、執行猶予判決を目指します。早期に弁護士に相談し、適切な準備を進めることが重要です。
大麻の共同所持が発覚した場合は弁護士へ相談
大麻の共同所持が発覚した場合、できるだけ早く弁護士に相談することが重要です。弁護士の介入が早ければ早いほど、有利な結果を得られる可能性が高まります。
大麻の共同所持は、管理権の有無という法的な判断が必要になる複雑な事件です。何が証拠として有効か、どのように主張すべきか、検察官とどう交渉するかなど、専門的な知識と経験が求められます。素人判断で対応すると、不利な供述をしてしまったり、重要な証拠を見逃したりする危険があります。
弁護士に依頼することで、以下のようなメリットがあります。
- 取り調べへの適切なアドバイス:黙秘権の行使や供述の仕方について助言を受けられる
- 不起訴に向けた活動:嫌疑不十分や起訴猶予を目指した証拠収集と検察官との交渉
- 早期釈放の実現:勾留阻止、勾留取消、保釈請求などによる身体解放
- 執行猶予・減刑の獲得:情状弁護による有利な判決の実現
- 精神的なサポート:不安を軽減し、冷静な判断を支援
大麻の共同所持で逮捕された、または警察から任意の取り調べを求められている場合は、すぐに刑事事件に強い弁護士に相談しましょう。初回相談は無料としている法律事務所も多くあります。早期の対応が、あなたの将来を守る鍵となります。