覚醒剤で逮捕されたら|覚醒剤の刑罰・流れ・対処法を弁護士が解説

覚醒剤に関する事件で逮捕された場合、初犯であっても勾留されて長期の身体拘束を受ける可能性があります。初犯であれば、判決は「懲役1年6月・執行猶予3年」となる可能性が高いです。再犯の場合や営利目的が認められた場合は実刑判決となる可能性があるので注意してください。
本記事では、覚醒剤に関する事件で逮捕された場合の刑罰・逮捕後の流れ・早期釈放のための対処法を、刑事事件専門の弁護士がわかりやすく解説します。
ご家族が突然逮捕されて何をすべきかわからない方や実刑回避を目指したいという方は、まずは本記事参考にしてください。
覚醒剤で逮捕されたら知っておくべきこと
覚醒剤事件では逮捕後の勾留率・起訴率が他の刑事事件と比べて高いことから、早期に刑事裁判を見据えた弁護活動を開始することが非常に大切です。
覚醒剤で逮捕された場合に知っておくべき重要なポイントは以下の3点です。
- 刑罰が重い
単純所持・使用であっても10年以下の拘禁刑が法定刑であり、営利目的の輸出入・製造は無期拘禁刑の可能性もあります。 - 身体拘束が長期化しやすい
逮捕から最長23日間の身体拘束が続き、起訴された場合はさらに勾留が続く可能性が高いです。接見禁止(家族との面会禁止)がつくケースもあります。 - 弁護士の早期介入が重要
逮捕直後から弁護士が接見(面会)することで、取調べでの不利な供述を防ぎ、早期釈放や不起訴処分の可能性が出てきます。
覚醒剤事件は他の薬物事件と比べても法定刑が重く、捜査機関も積極的に身体拘束・起訴に動く傾向があります。逮捕から72時間以内の対応が、その後の結果を大きく左右します。
覚醒剤とは|規制している法律と特徴
覚醒剤は覚醒剤取締法によって規制される薬物であり、所持・使用・譲受渡・輸出入・製造等が規制されています。
覚醒剤の主成分はアンフェタミンおよびメタンフェタミンであり、中枢神経を強力に興奮させる作用を持ちます。使用すると一時的に眠気が消え、気分が高揚する一方で、使用を繰り返すことで依存性が形成され、幻覚・妄想などの精神症状が現れることがあります。薬理的な依存性が極めて強いため、刑事手続においても再犯防止の観点が重視され、量刑判断にも影響を与えます。
覚醒剤取締法は、覚醒剤本体のほかに「覚醒剤原料」(フェニル酢酸等、覚醒剤の製造に使われる物質)も規制対象としており、原料の所持・使用にも刑罰が定められています。
覚醒剤で成立する罪と刑罰
覚醒剤に関連する犯罪の法定刑は、行為の種類と目的によって大きく異なります。単純所持・使用は、10年以下の拘禁刑である一方、営利目的の輸出入・製造は無期拘禁刑の可能性もあります。(覚醒剤取締法41条以下)。
覚醒剤の所持
覚醒剤を所持することは、覚醒剤取締法により10年以下の拘禁刑に処せられます。自分で使用するための単純な所持だと、この法定刑が適用されます。
この他、覚醒剤の所持罪には営利目的での所持があり、営利目的が認められると刑が加重され1年以上の有期拘禁刑となります。警察に押収された覚醒剤の量が多いほど、営利目的と判断されやすくなる傾向があります。
覚醒剤の使用
覚醒剤を使用することも所持と同様に10年以下の拘禁刑が定められています。覚醒剤の使用は、採尿した尿の鑑定結果で立証されるケースがほとんど。尿から覚醒剤成分が検出されるということは、何らかの方法で覚醒剤を使用したことの裏付けとなります。
実務上、覚醒剤事件では所持と使用の両方の罪名で起訴されるケースもあります。また、毛髪鑑定によって使用の常習性が裏付けられることもあります。
覚醒剤の譲渡・譲受
覚醒剤を他者に渡す行為(譲渡)、または他者から受け取る行為(譲受)は、10年以下の拘禁刑に処せられます(覚醒剤取締法41条の2)。
密売してる場合は営利目的と認定される可能性が高く、その場合は1年以上の有期拘禁刑が科せられます。つまり、売人として活動していたと認定されると、単純な譲渡よりもはるかに重い刑事責任を問われることになります。
覚醒剤の輸出入・製造
覚醒剤を日本に持ち込む(輸入)、または日本から持ち出す(輸出)行為、さらに覚醒剤を製造する行為は、1年以上の有期拘禁刑という重い刑が定められています(覚醒剤取締法41条)。これは、単純な所持や使用よりも重い法定刑です。
輸出入・製造は組織的な薬物犯罪と結びつくことが多く、捜査機関も高い優先度で捜査を行います。少量であっても「輸入」と認定されれば重い刑事責任を負う点は覚えておきましょう。
営利目的の輸出入・製造は裁判員裁判の対象
営利目的で覚醒剤を輸出入・製造した場合は、無期拘禁刑または3年以上の拘禁刑が科せられ、裁判員裁判(一般市民が裁判に参加する制度)の対象事件となります(覚醒剤取締法41条2項・裁判員法2条1項)。
裁判員裁判の対象となるのは、法定刑に死刑または無期拘禁刑を含む重大事件のみ。覚醒剤事件で裁判員裁判に該当するのは「営利目的の輸出入・製造」の場合であり、一般の覚醒剤所持・使用事件は対象になりません。
裁判員裁判では法律の専門家ではない市民が判断に加わるため、弁護活動にも専門的な対応が求められます。
覚醒剤原料の所持・使用も罪に問われる
覚醒剤そのものではなく、覚醒剤の製造に使われる「覚醒剤原料」(フェニル酢酸・エフェドリン等)の所持・使用・輸出入・製造も覚醒剤取締法の規制対象です。
法定刑は覚醒剤本体より低く設定されていますが、覚醒剤原料と知りながら所持・使用した場合は刑事責任を問われます。「覚醒剤じゃないから大丈夫」という認識は通用しません。
覚醒剤で逮捕された場合の量刑相場
覚醒剤事件の量刑(実際に宣告される刑の重さ)は、初犯・再犯・行為の種類によって大きく異なります。初犯の単純所持・使用は執行猶予(実際には収監されない判決)がつくことが多い一方、再犯や営利目的の場合は実刑(実際に刑務所に入る)となる可能性が高まります。
初犯の単純所持・使用|懲役1年6月・執行猶予3年が相場
初めて覚醒剤事件で逮捕・起訴された場合、自己使用目的の所持・使用であれば、懲役1年6月・執行猶予3年という判決が量刑の目安とされています。執行猶予とは、有罪判決ではあるものの、一定期間(執行猶予期間)問題を起こさなければ実際には刑務所に入らなくて済む制度です(刑法25条)。
ただし、以下のような事情があると初犯でも実刑になり得ます。
- 大量所持(販売目的が疑われる量)
- 営利目的の認定
- 他の事件も起こしている場合
弁護士が早期に介入し、依存治療への取り組みや監督者の確保などを立証することで、執行猶予付き判決の可能性を高めることができます。
2回目の逮捕|実刑判決となる可能性が高い
2回目の覚醒剤逮捕では、前回の執行猶予期間中に再犯した場合は原則として実刑判決となり、前回の刑と今回の刑が合算される形で執行されます。
前回の執行猶予期間が満了した後の再犯であれば、条件によっては再度の執行猶予(刑法25条2項)が認められる可能性も残されています。ただし、依存性のある薬物犯罪における2回目の逮捕は、裁判所から「再犯のリスクが高い」と判断されやすく、執行猶予獲得は簡単ではありません。
3回目以降の逮捕|実刑+刑期も長期化
3回目以降の覚醒剤逮捕では実刑判決の可能性が高くなり、刑期も長期化する傾向があります。裁判所は覚醒剤依存による再犯リスクを重視し、「社会内での更生が困難」と判断することが多くなります。
それでも、長期間にわたる断薬の取り組み、専門治療機関での入院歴、家族による強固な監督体制といった事情があれば、量刑を少しでも軽くする余地はあります。あきらめずに弁護士に相談することが重要です。
営利目的・大量所持の場合の量刑見通し
営利目的が認められた場合は、法定刑の下限が引き上げられ、たとえ初犯であっても相当な重さの実刑判決となるケースが多くなります。
大量所持の場合は起訴段階で「営利目的」と評価されやすく、捜査機関も資金の流れや通信履歴などを徹底的に調べます。営利目的の輸出入・製造については前述のとおり無期拘禁刑まで含まれるため、早期から経験豊富な弁護士による対応が不可欠です。
2回目の覚醒剤事件でも執行猶予がつくことはある?
再度の執行猶予(刑法25条2項)が認められる可能性はありますが、適用には厳格な要件があり、実務上認められるケースは限定的です。
執行猶予中の再犯は原則として実刑
前回の執行猶予期間がまだ続いている状態(執行猶予中)に覚醒剤で再び有罪判決を受けた場合、原則として執行猶予は取り消され、前回分の刑も合わせて実刑として服役することになります(刑法26条)。
例外的に再度の執行猶予が認められるには、今回の事件で「2年以下の拘禁刑」の言い渡しを受けることなど、極めて限定的な要件を満たす必要があります(刑法25条2項)。覚醒剤事件では法定刑が重いため、この例外要件を満たすことは実務上非常に困難です。
執行猶予が終わった後の再犯なら可能性はある
前回の執行猶予期間がすでに満了した後に覚醒剤で再び逮捕された場合は、執行猶予が検討される余地があります。
もっとも、覚醒剤は依存性が強く、再犯率が高い薬物として裁判所にも認識されています。執行猶予を獲得するためには、単に「反省している」と述べるだけでは不十分であり、前科判決から相当な年月が経過していることや薬物依存からの脱却に向けた具体的な取り組みを弁護活動で立証することが求められます。
再度の執行猶予を獲得するために必要なこと
再度の執行猶予獲得を目指す場合、弁護活動で立証すべき事情は以下のとおりです。
- 専門医療機関(精神科・依存症専門クリニック等)での治療プログラムへの参加・継続
- ダルク(DARC:薬物依存者の回復支援施設)や自助グループへの参加実績
- 家族による具体的な監督・支援体制の構築(身元保証書の提出等)
- 薬物を入手・使用できない環境(住居・交友関係の変更)への移行
- 断薬期間の確保(保釈中の尿検査等による定期的な確認)
これらの事情を弁護士が証拠として裁判所に提出し、「社会内での更生が可能である」ことを具体的に示すことで、再度の執行猶予の可能性を高めることができます。
覚醒剤で逮捕された後の流れ
覚醒剤で逮捕されると、逮捕→送検→勾留→起訴・不起訴という流れで手続きが進みます。最長で逮捕から23日間の身体拘束が続き、起訴された場合は、保釈が認められない限り裁判中も身体拘束が続きます。
逮捕から72時間|警察による取り調べと送検
覚醒剤で逮捕されると、まず警察署の留置場に収容されます。そして逮捕から48時間以内に検察官に送致(送検)され、検察官はその後24時間以内に勾留を請求します。
この72時間の間、弁護士(国選・私選を問わず)は本人と面会(接見)できますが、家族は原則として面会できません。逮捕直後から弁護士が接見することで、取調べでの不利な供述を防ぐためのアドバイスを受けられます。
勾留決定から最長20日間|起訴・不起訴が決まるまで
検察官が勾留を請求し、裁判官がそれを認めると、最初の10日間の勾留(起訴前勾留)が始まります。さらにやむを得ない事情があると認められる場合、もう10日間の延長が可能です(刑事訴訟法208条)。つまり、逮捕から最長で23日間(逮捕後72時間+勾留20日間)の身体拘束を受ける可能性があるということです。
この期間中に検察官は捜査を進め、起訴するかどうかを判断します。起訴とは、検察官が裁判所に刑事裁判を求める手続きのこと。不起訴となれば釈放されますが、覚醒剤事件は証拠がハッキリしているケースが多い分、他の刑事事件と比べると起訴率が高い傾向にあります。
覚醒剤事件は勾留率・起訴率が高い
覚醒剤事件で勾留率・起訴率が高い理由は、主に以下の点にあります。
- 証拠隠滅のおそれ:共犯者や売人との口裏合わせ、残存する覚醒剤の廃棄が懸念される
- 逃亡のおそれ:薬物事件は組織犯罪との関連も多く、逃亡リスクが高いと判断されやすい
- 依存性による再犯リスク:依存性の高い薬物は、釈放後すぐに再使用・再犯に至る可能性があると評価される
- 証拠が明確:尿検査・血液検査・現物押収など、物的証拠が揃いやすく不起訴になりにくい
これらの事情から、捜査機関は覚醒剤事件では積極的に身体を拘束し、起訴に向けた手続きを進める傾向があります。
起訴された場合|刑事裁判から判決まで
起訴されると刑事裁判が始まります。起訴後も勾留は続き、裁判が終わるまで身体拘束が継続するのが原則。保釈(一定の条件のもとで釈放される制度)が認められれば、身体拘束が解かれ、裁判中は帰宅することができます。
覚醒剤の単純所持・使用事件では、公判(裁判の審理期間)は比較的短く、起訴から1か月半程度で判決が出るケースも多くあります。一方、否認事件(無罪を主張する事件)や営利目的の複雑な事件では、審理が長期化することがあります。
不起訴になった場合|釈放と前科の扱い
不起訴処分(検察官が起訴しないと判断した場合)になれば、その時点で釈放され、前科(有罪判決の記録)もつきません。不起訴処分には主に「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類があり、覚醒剤事件で多いのは「起訴猶予」です。起訴猶予とは、証拠は十分あるが諸事情を考慮して起訴しないと判断されたケースです。
起訴猶予による不起訴処分を獲得するためには、犯行が軽微であること、深く反省していること、再犯防止のための環境が整っていることを弁護士が捜査段階から積極的に主張していく必要があります。
覚醒剤で逮捕されるパターンと発覚のきっかけ
覚醒剤で逮捕されるきっかけは複数あります。現行犯逮捕されるケースと後日逮捕されるケースがあり、発覚経路によって逮捕後の対応も変わってきます。
職務質問・所持品検査・簡易尿検査で現行犯逮捕
最も多い逮捕パターンのひとつが、警察官による職務質問をきっかけとするものです。挙動不審と判断された場合などに職務質問を受け、所持品検査で覚醒剤が発見されて現行犯逮捕されます。
覚醒剤の使用に関しては現行犯逮捕というケースはほぼありません。通常逮捕以外のケースでは、職務質問が端緒となり、採尿に発展し、その尿を簡易鑑定されて陽性反応が出ると、その場で緊急逮捕されるというケースがよくあります。
なお、任意の職務質問や任意採尿は原則として拒否することが可能ですが、令状が取得された場合は強制的な採尿が認められます。その場での対応を誤ると不利な状況に陥ることがあるため、早期に弁護士に連絡することが望ましいです。
家宅捜索で現行犯逮捕
捜査機関が令状(捜索差押許可状)を取得し、自宅やその他の場所を家宅捜索した際に覚醒剤が発見されて逮捕されるケースも少なくありません。家宅捜索が行われる場合、すでに捜査機関がある程度の証拠を持っている段階であることが多いです。
家宅捜索は立会人のもとで行われますが、対応の仕方によっては不利な証拠が追加で発見されることもあるので注意が必要です。
共犯者・売人の供述から後日逮捕
覚醒剤の売人や共犯者が先に逮捕され、その供述から購入者・使用者が特定されて後日逮捕されるケースもあります。売人らが逮捕された段階で、すでに本人も捜査対象になっている可能性があるので注意してください。
「売人が捕まったかもしれない」と不安を感じている段階から弁護士に相談することで、任意の取調べへの対応方法や今後の見通しについてアドバイスを受けることができます。
身内・第三者からの通報で後日逮捕
家族や知人、近隣住民からの情報提供が端緒となって捜査が開始されて、後日逮捕されるケースもあります。覚醒剤依存による言動の変化や、家族に覚醒剤や注射器等が見つかって警察に通報されるケースもあります。
ちなみに、覚醒剤そのものを自宅で発見してしまったような場合には、警察に届け出ず、自宅に保管していることで、発見者が覚醒剤所持に問われてしまう可能性があるため、注意が必要です。
税関・国際郵便で発覚
海外から覚醒剤を輸入しようとした場合、税関での荷物検査や国際郵便の検査で発覚するケースがあります。このようなケースで発覚した場合は「覚醒剤の輸入」として、単純所持よりも重い罪名が適用される可能性が大です。
自分で持ち込もうとした場合は荷物を受け取る現場で逮捕される可能性が高く、国際郵便で配達しようとした場合は荷物が届かず、後日逮捕される可能性が高いでしょう。いずれの場合も「中身を知らなかった」という弁解を立証するには早期の弁護士介入が不可欠です。
覚醒剤を無理やり使わされた・身に覚えがない場合
覚醒剤事件は「故意犯」(わざと行ったことが要件となる犯罪)であるため、覚醒剤だと認識していなかった場合や強制的に使用させられた場合には、犯罪が成立しない可能性があります。
ただし、こうした主張を認めさせるためには客観的な証拠による裏付けが必要です。
「故意がない」ことを主張できるケース
覚醒剤取締法違反は故意犯のため、「覚醒剤だとは知らなかった」「違法な薬物だと認識していなかった」という場合、犯罪の成立要件(故意:わざとやったという認識)を欠くことになります。
もっとも、捜査機関は「知らなかったはずがない」という立場をとることが多く、単に「知らなかった」と供述するだけで、故意がなかったと認定される可能性は非常に低いと考えた方がよいでしょう。故意を否認するには、どうして覚醒剤等の違法物と分からなかったのかという具体的な根拠を説明すると共に、それを裏付けるための客観的事実が必要となりますので、弁護士に相談して、どのように供述するのかをしっかりと検討する必要があります。
中身を知らずに運ばされた場合の弁護方針
「頼まれた荷物を運んだだけで、中身が覚醒剤だとは知らなかった」という、いわゆる「運び屋」として利用されたケースでは、故意の有無が争点になることがよくあります。
弁護活動においては、以下のような事情を客観的証拠とともに示すことで、故意がなかったことの立証を目指します。
- 依頼者との関係(面識・連絡手段・依頼の経緯)
- 報酬の有無と金額の妥当性
- 荷物の外観・梱包状態
- 疑わしいと感じた機会があったかどうか
重要なのは、逮捕直後の取調べで不用意な供述をしてしまうと、後から故意がないことを主張しにくくなる点です。逮捕された際の供述内容については特に注意する必要があります。
違法な捜査によって証拠が得られた場合
捜査機関が令状なく所持品を検査したり、違法な方法で採尿・捜索を行った場合、その捜査によって得られた証拠は「違法収集証拠」として証拠能力が否定される可能性があります。違法収集証拠排除法則(最高裁昭和53年9月7日判決)により、手続きの適正を確保するために違法に収集した証拠を排除できる場合があります。
違法捜査の有無は専門的な判断が必要であり、捜査の状況を詳しく把握した弁護士でなければ適切に主張できません。「おかしな手続きをされた」と感じた場合は、その詳細を弁護士に伝えることが重要です。
家族が覚醒剤で逮捕されたらやるべきこと
家族が覚醒剤で逮捕された場合、時間との戦いになります。逮捕直後の72時間以内に弁護士が介入するかどうかが、その後の結果を大きく左右します。
①刑事事件専門の弁護士に連絡する
家族が逮捕されたと知った時点で、最初にすべきことは刑事事件に詳しい弁護士への連絡です。逮捕直後は家族でも面会(接見)できませんが、弁護士はいつでも本人と接見できます。弁護士が早期に接見することで、取調べでの不利な供述を避けることができます。
また、弁護士に依頼することで、逮捕された事実、本人の言い分、また留置場所を知ることができます。家族だけでは得ることが困難な情報を、弁護士を介入させることで知ることができるので、早期に弁護士に依頼するメリットは非常に大きいといえます。
②本人の留置場所と容疑内容を確認する
逮捕された場合、どの警察署に留置されているかは弁護士を通じて確認できます。容疑内容(何の罪で逮捕されたか)も、弁護士が本人と接見することで把握できます。
家族からの問い合わせでは、捜査情報を理由に警察から情報が開示されることは中々ありませんが、弁護士が介入することで、これからの手続きや処分の見通しを判断するために必要な情報を得ることができます。
③本人や報道機関に余計な発信をしない
SNSへの投稿や、報道機関からの取材に応じることは、本人の権利保護の観点から避けるべきです。捜査段階での情報発信が証拠隠滅と疑われる可能性もあるので注意してください。
また、関係者への連絡も、捜査機関に口裏合わせと判断されるリスクがあります。家族として何か行動したい気持ちは当然ですが、弁護士の指示に従って動くことが本人を守ることにつながります。
覚醒剤事件で弁護士ができる弁護活動
覚醒剤事件において弁護士ができる活動は、身体解放・不起訴・執行猶予・無罪獲得など多岐にわたります。捜査の初期段階から弁護士が介入することで、最終的な結果が変わる可能性もあります。
早期の身体解放(釈放・保釈)に向けた活動
逮捕直後から弁護士が接見し、捜査機関に対して勾留の必要がないことを積極的に主張することで、勾留期間の短縮や早期釈放の可能性を高めることができます。勾留が決定した後でも、裁判所への準抗告(勾留決定に対する不服申立て)や勾留取消請求を行うことが可能です。
起訴後は保釈(一定の条件のもとで釈放される制度)を請求することができます。保釈が認められれば、判決確定まで自宅から裁判所に通いながら生活を送れます。
不起訴処分の獲得に向けた活動
起訴前の捜査段階において、依存症治療への取り組みや反省の態度、再犯防止のための環境整備を検察官に対して示すことで、起訴猶予(起訴しないという判断)を獲得することを目指します。
特に初犯で自己使用目的の所持量が若干量といえる事案であれば、不起訴処分の可能性があります。
執行猶予判決の獲得に向けた活動
起訴された場合、実刑判決を回避して執行猶予付き判決を目指す弁護活動を行います。
具体的には、薬物依存の治療を受けていることの証明、家族による監督体制の構築、断薬の意思を示す誓約書や診断書の収集などを行い、「社会内でも更生できる」という見通しを裁判官に示します。
否認事件における無罪・嫌疑なし獲得に向けた活動
「身に覚えがない」「故意がなかった」と主張する否認事件では、無罪判決または不起訴処分(嫌疑なし・嫌疑不十分)の獲得を目指します。
取調べでの不利な供述をしないための初期対応、証拠の精査、アリバイや経緯に関する証拠の収集など、専門的な弁護活動が必要です。
裁判員裁判対象事件における公判前整理手続への対応
営利目的の覚醒剤輸出入・製造事件は裁判員裁判の対象となり、公判前整理手続(裁判の争点と証拠を事前に整理する手続き)が必ず行われます。公判前整理手続では、争点の明確化・証拠の採否・公判の見通しなどを検察官・弁護人・裁判官の三者で協議します。
裁判員裁判では法律の専門家ではない一般市民が裁判に加わるため、弁護活動においても専門用語を避けた平易な説明、視覚的な資料の活用など、裁判員に伝わる弁護を行うことが重要です。通常の裁判手続とは大きく異なるため、経験のある弁護士による対応が特に求められます。
覚醒剤依存からの脱却と再犯防止のサポート
覚醒剤事件における再犯防止は、量刑判断においても重要な要素です。依存症の治療と社会復帰への取り組みを、弁護活動と並行して進めることが、本人の将来にとっても、執行猶予獲得の観点からも重要です。
専門医療機関による治療プログラム
覚醒剤依存は精神科・心療内科などの医療機関で診断・治療を受けることができます。薬物依存専門の外来プログラムや入院治療では、認知行動療法(薬物使用につながる考え方や行動パターンを修正する治療法)などが行われています。
治療への参加が証拠書類として裁判所に提出されると、「本人が依存症を病気として認識し、回復に向けて具体的に行動している」という事情が量刑判断においてプラスに働く可能性があります。
ダルク・自助グループとの連携
DARC(ダルク:Drug Addiction Rehabilitation Center)は、薬物依存からの回復を支援する民間の施設・団体です。全国各地に拠点があり、回復者による相互支援(ピアサポート)を中心としたプログラムを提供しています。
ダルクや断酒会・NA(ナルコティクス・アノニマス)等の自助グループへの参加実績は、裁判所において再犯防止の取り組みとして評価されます。弁護士と連携しながら、逮捕・勾留中から参加の意思表明と受け入れ体制の調整を進めることが有効です。
家族の関わり方と環境整備
覚醒剤依存からの回復には、家族の関わり方も大きく影響します。家族が本人を非難するだけでは回復につながらず、かといって庇いすぎると依存を深める場合があります。
家族向けの支援としては、依存症家族会や医療機関でのカウンセリングが利用できます。また、弁護活動において家族が監督誓約書を提出し、具体的な監督体制(住居・就労・治療への同行など)を示すことが、執行猶予獲得に向けた重要な証拠となります。
覚醒剤事件における当事務所の解決事例
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には刑事事件に精通した専門の弁護士が多数在籍しています。薬物関連事件にも強く、多くのご依頼を受けてきました。
ここからは、弊所が実際に依頼を受けた覚醒剤に関連する事件を紹介します。
事例1:初犯の覚醒剤所持で執行猶予を獲得したケース
街中を歩いていたところ職務質問されて任意採尿を求められ、後日、覚醒剤の使用容疑で逮捕されたというケースです。
逮捕後、10日間の勾留の後に起訴されてしまいましたが、起訴直後の保釈に成功しています。裁判では、薬物依存者のミーティングに参加してもらう等したことから、更生に期待できると判断してもらうことができ、結果として執行猶予を得ることができました。
事例2:覚醒剤使用の再犯で再び執行猶予を獲得できたケース
インターネットの交流サイトで知り合った人に勧められて覚醒剤を使用してしまい、使用した数日後に職務質問を受けて採尿されたというケースです。本ケースでは、前刑の覚醒剤使用罪で言い渡された執行猶予があけて3年ほどしか経過していませんでした。
採尿された数日後に逮捕されてしまい、勾留後に起訴されています。弁護士は、専門家の治療を受けて薬物依存から脱却しようと積極的に取り組んでいる旨や、その取り組みに交際相手が協力していること等を主張し、更生するためには、服役よりも、こういった取り組みを継続することの方が効果的である旨を主張し執行猶予を求めました。
その結果、再犯事件ではありましたが、再び執行猶予を獲得することに成功しています。
当事務所では即日接見・24時間365日対応可能
覚醒剤事件は逮捕直後の対応が結果を左右する重要なポイント。弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、夜間・休日・土日であっても弁護士が即日対応できる体制を整えています。
ご相談からご依頼までの流れ(最短即日)
当事務所では、弁護士を逮捕された方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスを提供しております。初回接見サービスのご予約は24時間年中無休で承っておりますので、まずはフリーダイヤルまでお問い合わせください。
基本的には、ご予約いただいたその日のうちに逮捕されている方のもとに弁護士を派遣し、接見した上で、その結果をご家族様に報告させていただくと共に、今後の弁護活動のプランを提供させていただいております。
全国対応・初回接見の費用と内容
初回接見サービスについては全国対応しており、弊所の支部がない県についても対応可能です。「私の住んでいる県には事務所がないから」と諦めず、まずはフリーダイヤルにお問い合わせください。
初回接見サービスの費用については、事務所から片道2時間以内であれば33,000円(交通費込み)でご案内しております。その他の地域についてはフリーダイヤルにお問い合わせください。
初回接見サービスについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください▼
夜間・休日・土日でも対応可能
初回接見サービスについては、24時間365日、何時でも、何処からでもご予約受付中。GW等の大型連休中でも、お盆・お正月の期間であってもご予約可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
覚醒剤で逮捕された場合の影響
覚醒剤で逮捕された場合、刑事手続き上の問題だけでなく、職場・家族・将来への影響も生じる可能性があります。こうした社会的影響への対応も、弁護活動の一環として考える必要があります。
会社に知られた場合の影響と解雇リスク
逮捕されただけで会社を即解雇されるとは限りませんが、起訴・有罪判決と手続きが進むに連れて解雇される可能性は高くなるでしょう。会社は、就業規則の「信用失墜行為の禁止」や「前科・逮捕歴に関する規定」を根拠に解雇を決定するからです。
また逮捕、留置による2,3日の欠勤であれば会社に事情を知られなくて済む可能性もありますが、勾留期間が長期化することで長期欠勤が生じ、会社に事情を知られてしまう可能性が高くなります。早期の身体解放が、職場への影響を最小限に抑えることにつながります。
報道される可能性と実名公表のリスク
覚醒剤事件は逮捕段階で報道機関に発表されることがあります。特に社会的に知名度のある人物や、大量の覚醒剤が押収された場合などは実名報道されるリスクが高くなります。一方で、一般の方の初犯の事案が実名報道されるケースは相対的に少ない傾向があります。
報道への対応は本人や家族が単独で行うことは難しく、弁護士に相談しながら対応することが望ましいです。
前科がついた場合の将来への影響
有罪判決が確定すると前科がつき、その記録は検察庁に保管されます(刑事訴訟法53条の2等)。前科があると、一部の国家資格の取得に制限が生じたり、就職活動において不利に働く場合があります。また、次に別の事件を起こした際に量刑が重くなる事情にもなります。
前科をつけないためにも、不起訴処分または無罪判決の獲得を目指す弁護活動が重要です。執行猶予付き判決であっても前科は残るため、不起訴を目指すことが本人の将来にとって最も望ましい結果です。
【FAQ】覚醒剤の逮捕に関するよくある質問
Q1: 覚醒剤で逮捕されたら初犯でも実刑になりますか?
A: 単純所持・自己使用目的であれば、執行猶予付き判決となるケースが多い傾向にあります。
懲役1年6月・執行猶予3年が量刑の目安とされている一方で、営利目的・大量所持の場合は、初犯でも実刑になり得ます。営利目的の輸出入・製造の場合は法定刑に無期拘禁刑が含まれ、裁判員裁判の対象ともなります。
Q2: 2回目の覚醒剤逮捕で再度の執行猶予はつきますか?
A: 執行猶予中の再犯は原則として実刑となります。
再度の執行猶予(刑法25条2項)が認められるには極めて限定的な要件が必要で、覚醒剤事件では実務上非常に困難です。
一方、前回の執行猶予期間が満了した後の再犯であれば、薬物依存からの脱却に向けた環境整備等を立証することで、再度の執行猶予を獲得できる可能性はあります。
Q3: 職務質問で覚醒剤の尿検査を求められたら拒否できますか?
A: 任意の場合は拒否が可能ですが、警察が裁判官から強制採尿するための令状を取得した場合は強制採尿が認められます。
また、毛髪検査によって過去数か月分の使用歴が発覚する場合もあります。対応を誤ると不利な状況になり得るため、その場ですぐに弁護士に連絡することが望ましいです。
Q4: 覚醒剤と知らずに運ばされていた場合、罪に問われますか?
A: 覚醒剤事件は故意犯のため、違法な薬物だという認識がなければ原則として罪は成立しません。
ただし「知らなかった」という弁解は捜査機関に通用しにくく、運搬の経緯・依頼者との関係・報酬の有無などの客観的事情をもとに故意がなかったことを立証する必要があります。供述する前に必ず弁護士に相談してください。
Q5: 家族が覚醒剤で逮捕されました。本人と面会できますか?
A: 逮捕直後の72時間(送検前)は家族でも面会できないのが原則です。
勾留決定後も、覚醒剤事件では接見禁止処分(弁護士以外との面会を禁じる処分)がつくことが多くあります。弁護士は接見禁止の有無に関わらず本人と面会できるため、弁護士接見を通じて状況を把握することができます。
Q6: 覚醒剤で逮捕されると保釈は認められますか?
A: 覚醒剤事件は証拠隠滅・逃亡のおそれが高いと判断されやすく、否認していると保釈が認められにくい類型です。
それでも、証拠隠滅や逃亡のおそれがないこと、薬物依存の治療体制や監督体制が整っていることを具体的に立証することで、保釈が認められる場合があります。
Q7: 覚醒剤で逮捕されると会社をクビになりますか?
A: 逮捕されただけでは即解雇とは限りませんが、起訴・有罪判決となると解雇されるリスクは高まります。
勾留が長期化することで長期欠勤が生じ、発覚につながる場合もあります。早期の身体解放と報道リスクへの対応が、職場への影響を最小限に抑える上で重要です。
覚醒剤で逮捕されたら早急に弁護士へ相談を
覚醒剤で逮捕された場合、初犯の単純所持・使用では懲役1年6月・執行猶予3年が量刑の目安ですが、再犯・営利目的・大量所持では実刑判決の可能性が高くなります。
逮捕から最長23日間の身体拘束が続く中、弁護士の早期介入が身体解放・不起訴・執行猶予獲得のカギを握ります。また、「知らずに運ばされた」「無理やり使わされた」という場合でも、弁護士が故意の有無を適切に主張することで、無罪・不起訴を目指せる可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。初回相談は無料、24時間365日受付中・即日対応が可能ですので、ご家族が逮捕されてどうすればよいかわからない方、再犯で実刑を避けたい方は、まずはお電話でご相談ください。