【事例解説】職務質問で大麻グミの所持が発覚(前編)
職務質問で大麻グミの所持が発覚した事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
Aさんは、クラブで知り合った男性から大麻グミを渡されました。
何個か食べた後、残りはズボンのポケットに入れました。
Aさんは、帰宅している道中で警察の職務質問を受けることになり、ズボンに入れていた大麻グミが見つかってしまいました。
大麻グミは本鑑定にまわされることになり、Aさんは帰宅を許されました。
今後、逮捕されるのではと不安になったAさんは弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
大麻グミについて
大麻グミとは、大麻由来の成分が含まれているグミのことを言います。
2023年に「大麻グミ」が問題になった際は、「HHCH」という成分が含まれていること多かったようです。
「HHCH」は、合成カンナビノイドの一つであり、THCに類似した精神作用を持ち健康被害を発生させる危険性があるため「指定薬物」として法規制の対象となっています。
大麻グミは乾燥大麻などに比べて軽い気持ちで手を出してしまうことが多くあるようですが、法規制の対象となる成分を含んでいることが多く注意が必要です。
薬機法による規制
薬機法(正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。出典/e-GOV法令検索)の第2条15号では、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものを「指定薬物」としています。
そして、厚生労働省が出す省令によって、「指定薬物」に該当する具体的な物質名を規定しています。
このような「指定薬物」は、薬機法76条の4において、疾病の診断・治療といった医療等の用途以外で所持することが禁止されていて、この規定に反して「指定薬物」を自分で使用するために所持すると、薬機法84条28号によって、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科されるか、又はこの懲役刑と罰金刑が併科される可能性があります。