(事例紹介)大阪地方裁判所で覚せい剤密輸の被告に無罪判決
事例
覚醒剤を荷物に隠してマレーシアから密輸したとして、覚醒剤取締法違反などの罪に問われたイベント企画業の男性被告の裁判員裁判の判決が大阪地裁であった。
末弘陽一裁判長は「受け取った荷物に違法薬物が隠されているかもしれないとの認識があったと認定するのは困難だ」と述べ、無罪を言い渡した。検察側は懲役11年などを求刑していた。
判決によると、被告はSNSで知り合った相手から荷受けを頼まれ、受諾。マレーシアから輸入された荷物を引き取るため堺市の運送会社を訪れたところ、大阪府警の警察官に現行犯逮捕された。荷物には覚醒剤約2キロが入っていた。
(5月31日配信のJIJI.COMの記事から引用しています。なお、日付や被告人の氏名は当事務所の判断で伏せています。)
覚せい剤密輸の被告に無罪判決
今回の事件について、無罪が言い渡された理由としては、「受け取った荷物に違法薬物が隠されているかもしれないとの認識があったとするのは困難」だということがあげられています。
これは、覚せい剤取締法違反の故意が否定されたことになります。
覚せい剤取締法は、覚醒剤及び覚醒剤原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用行為等を禁止しています。
もっとも、これらの行為による罪が成立するためには、対象となった物が「覚せい罪」であることの認識つまり故意を有していることが必要となります。
故意の内容としては、未必的な認識・認容で足りるとされているため、「これは覚醒剤かもしれないし、他の違法薬物かもしれない。」と認識・認容していた場合には、故意が認められます。
今回の判決は、被告人には「覚せい罪かもしれないし、他の違法薬物かもしれない」という認識さえ認めることは困難と判断されたことで無罪判決になったようです。
覚せい剤取締法違反の弁護活動
覚せい罪を「輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受及び使用」してしまった場合でも、それが覚せい剤であるとの認識を有していなかった場合には、今回のように故意が否定され無罪判決を獲得できる可能性があります。
実際に、どのような認識を有していたかを明らかにすることは、大変難しく、覚せい剤事件の経験が豊富な弁護士に弁護を依頼することが重要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、覚せい剤事件の経験が豊富な弁護士が数多く在籍しています。
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