【大阪市内で麻薬取締官と知らずに大麻を売り逮捕】おとり捜査を弁護士が解説
【大阪市内で麻薬取締官と知らずに大麻を売り逮捕】おとり捜査を弁護士が解説
~事件例~
Pは、大麻の密売人Aに対し、大麻を1キログラム購入したい旨を申し込み、日を改めて大阪市内のホテルの一室で受け取ることになった。
Aが仕入れを完了し、Pをホテルに呼び出したところ、Pは「麻薬取締官だ」と告げるや否や、捜索差押許可状を執行し、Aは大麻の営利目的所持罪の疑いで現行犯逮捕された。(最高裁平成16年7月12日第一小法廷決定をモデルとしたフィクションです)
~おとり捜査の問題点~
おとり捜査とは、「捜査機関又はその依頼を受けた捜査協力者が、その身分や意図を相手方に秘して犯罪を実行するように働き掛け、相手方がこれに応じて犯罪の実行に出たところで現行犯逮捕等により検挙するもの」をいいます。
このような捜査手法の問題点としては、正義の実現を目指す国家がおとりを使い、犯人に犯罪を行わせるというものであるから、果たして適法に行うことができるのか、という点が挙げられます。
~事件例ではどうなる?~
最高裁平成16年7月12日決定は、「少なくとも」、①直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、②通常の捜査方法のみでは当該犯罪の摘発が困難である場合に、③機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象におとり捜査を行うことは、任意捜査として許容されるとしました。
「少なくとも」とは、おとり捜査として許容される場合が①~③の場合に限られないことを示す趣旨といわれています。
Aの被疑事実は薬物犯罪である大麻の営利目的所持罪であり、また、Aは大麻の密売人であることから、機会があれば犯罪を行う意思があると考えられます。
さらに、Aが主に水面下で薬物を取引しているとか、特定のルートでの申し込みしか受け付けていないなど、犯罪の発覚を困難にさせる工作を行っているのであれば、通常の捜査方法による摘発が困難であると考えられるので、Pの捜査は適法とされる可能性が高いと思われます。
それでも、納得のいかない取調べや、強引な調書へのサイン要求などがあれば、しっかりと抗議をする必要があります。
大麻の営利目的所持罪につきお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。(無料相談予約は、0120-631-881)