(事例紹介)さいたま地裁で無罪判決 覚醒剤所持・覚醒剤使用事件
(事例紹介)さいたま地裁で無罪判決 覚醒剤所持・覚醒剤使用事件
~事例~
2020年12月、覚醒剤を所持と摂取したとして、覚醒剤取締法違反の罪に問われた女性(43)の判決公判が4日、さいたま地裁で開かれ、一場修子裁判官は「交際男性が覚醒剤を摂取させるなどした可能性が否定できない」として無罪(求刑4年6月)の判決を言い渡した。
女性は警察官の任意同行に応じ、尿検査と所持品検査を受けた際、覚醒剤の所持と摂取が発覚。女性は「知らない間に交際男性に覚醒剤を入れられた」などと主張していた。
一場裁判官は判決で、交際男性と女性は、男女関係の問題から度々口論になり、逮捕前も口論になったと説明。2人は同居生活をしていたことなどから、「気付かないうちに男性が女性に覚醒剤を摂取させたり、バッグに入れたりすることは十分に可能で容易」と指摘し、「女性が覚醒剤の使用と所持の認識があったとするには合理的な疑いが残る」とした。
(後略)
(※2022年10月5日9:40YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~無罪を求める弁護活動~
今回取り上げた事例では、覚醒剤を所持・摂取したとして覚醒剤取締法違反で起訴された女性が無罪判決を受けています。
この事例でも問題になっている覚醒剤の所持や使用による覚醒剤取締法違反という犯罪は、「故意犯」と呼ばれる犯罪であり、その犯罪が成立するには、その犯罪に当たる行為をしているという事情だけでなく、その犯罪をするという認識や、その犯罪に当たる行為をするのだという認識を持っていなければならないという犯罪です。
つまり、自身が覚醒剤を所持しているという認識なく覚醒剤を持っていたり、自身が覚醒剤を摂取する認識のないまま覚醒剤を摂取してしまったといった場合には、覚醒剤の所持や使用による覚醒剤取締法違反は成立しないということなります。
今回取り上げた事例では、女性は、知らないうちに交際相手の男性からバッグに覚醒剤を入れられたり、覚醒剤を摂取させられたりした可能性が残ると判断されています。
すなわち、女性が覚醒剤を所持していたり、尿検査で覚醒剤の成分が検出された=覚醒剤を使用していたという事実はあれど、女性にはその覚醒剤の所持や使用の故意がなかったということから、覚醒剤取締法違反は成立しない=無罪であると判断されたのです。
今回の事例のように、かけられている容疑を否認し、刑事裁判で無罪を主張するためには、その犯罪が成立するのかどうかということに対して合理的な疑いがあるということを訴えていくことになります。
そのためには、取調べを受けている段階から慎重に対応して刑事裁判に臨む必要があります。
例えば、取調べでは被疑者の方の話を基に供述調書が作成されますが、不本意な供述や誘導された供述が調書となってしまえば、それを刑事裁判の場で覆すことは困難になってしまうことが予想されます。
もちろん、供述調書の内容は本意ではないということや、誘導に乗ってしまったのだということを刑事裁判の場で主張することもできますが、一度証拠として採用されたものを覆すことは非常に難しいことでもありますので、そもそもそういった調書を作らずきちんと自分の認識を適切に伝えていくということが重要になるのです。
こうしたことから、無罪を求めていく上で、刑事裁判になる前から取調べ対応のアドバイスをするということは、重要な弁護活動の1つなのです。
日本の刑事裁判では、有罪判決を受ける確率が99.9%とも言われており、無罪を勝ち取ることは非常に難しいことです。
だからこそ、無罪を主張したい場合には、信頼できる弁護士にできる限りの弁護活動をしてもらうことが望ましいです。
まずは弁護士に会って話を聞くことが必要ですから、刑事事件の当事者になった段階から早めに弁護士への相談・依頼をしてみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕・勾留されている方にも在宅捜査を受けている方にも弁護士によるアドバイスを受けられるよう、サービスをご用意しています。
0120-631-881では、スタッフがご相談者様の状況に合わせたサービスをご案内していますので、まずはお気軽にご相談ください。