(事例紹介)大麻などの違法薬物の営利目的所持事件で逮捕された事例

2022-10-11

(事例紹介)大麻などの違法薬物の営利目的所持事件で逮捕された事例

~事例~

末端価格で3200万円相当の違法薬物を営利目的で所持したとして、麻薬密売組織の指示役とみられる男が、愛知県警に再逮捕されました。
(中略)容疑者は今年7月、群馬県内のアパートの一室で、麻薬成分を含むきのこ類およそ900グラムや大麻草5.7キロ程など、合わせて末端価格3200万円相当の違法薬物を、販売目的で所持した疑いが持たれています。
警察は(中略)、今年5月からの2カ月間だけでも、ツイッターを使って少なくとも6500万円以上を売り上げていたとみて詳しく調べています。
(※2022年10月5日21:02YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~違法薬物の営利目的所持事件~

今回の事例では、男性が大麻などの違法薬物を営利目的で所持した疑いで逮捕されています。
報道では具体的な罪名は出ていませんが、男性が所持したとされている違法薬物は、大麻麻薬成分を含むきのこ類などであるとされています。
これらについては、それぞれ大麻取締法麻薬取締法で規制されていると考えられ、成立するであろう犯罪は大麻取締法違反麻薬取締法違反であると予想されます。

大麻などの違法薬物は所持するだけでも犯罪となりますが、多くの違法薬物は所持の目的が営利目的なのかそうでないのかという違いによって、刑罰の重さが異なります。
今回の事例で容疑となっていると考えられる、大麻取締法麻薬取締法を確認してみましょう。

大麻取締法第24条の2
第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

麻薬取締法第66条
第1項 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持した者(第69条第4号若しくは第5号又は第70条第5号に該当する者を除く。)は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上10年以下の懲役に処し、又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻取締法第24条の2第1項と、麻薬取締法第66条第1項では、それぞれ大麻麻薬の所持などについて処罰を定めています。
これらの所持は「単純所持」と呼ばれる所持を指しており、例えば自分で大麻麻薬を使用するために所持していたような場合は、この条文によって処罰されることとなります。

対して、大麻取締法第24条の2第2項と、麻薬取締法第66条第2項では、それぞれ大麻麻薬営利目的の所持についての処罰を定めています。
大麻の単純所持が「5年以下の懲役」という刑罰であるのに対して大麻営利目的所持が「7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」、麻薬(ジアセチルモルヒネ以外)の単純所持が「1年以上10年以下の懲役又は情状により1年以上10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」となっていることから、大麻であっても麻薬であっても、単純所持行為よりも営利目的所持行為の方が重く処罰されることが分かります。
こうした営利目的の違法薬物の所持については、大麻麻薬に限らず、覚醒剤や危険ドラッグなどでも、単純所持よりもさらに重く処罰されるように定められています。
これは、違法薬物を売買することで違法薬物を他人に拡散するということの影響や、利益目的であるという悪質性などを考慮された結果であると考えられます。

今回の事例では、男性が大麻麻薬営利目的所持の容疑をかけられて逮捕されています。
報道によれば、麻薬成分を含むきのこ類約900gや大麻草約5.7kgが見つかったとされていますが、これほど多い量を所持しているとなると、単に自己使用の目的で持っていたとは考えにくいと判断される可能性が高くなるでしょう。
また、報道によると、捜査機関は男性がSNSを利用して違法薬物を販売していたとしているようですが、SNSなどでやり取りをしているのであれば、その履歴が残っている可能性がありますから、そこから違法薬物の所持目的を調べるということも考えられます。
薬物事件では、単に当事者が「自分で使う目的だった」と供述したからといってそれが鵜呑みにされるというわけではなく、所持していた量やSNSなどのやり取りの履歴、お金の動きなど、客観的な証拠も考慮され、単純所持なのか営利目的なのかということが判断されていきます。

しかし、本当に自己使用の目的でしかなかったのに営利目的の所持だとされてしまったら、それは冤罪となります。
不当に重い刑罰を受けることは避けなければなりませんから、取調べの段階から適切に対応していく必要があるでしょう。
もちろん、営利目的の所持であった場合でも、刑罰の減軽を求めるには事前の準備を綿密に行った上で刑事裁判に臨む必要がありますから、容疑を認めていても早くからの対応が望ましいです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大麻麻薬を含む違法薬物営利目的所持事件など、違法薬物に関連した刑事事件についても、ご相談・ご依頼いただけます。
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