(事例紹介)コカイン・大麻の営利目的輸入事件で実刑求刑

2022-09-06

(事例紹介)コカイン・大麻の営利目的輸入事件で実刑求刑

~事例~

米軍基地内郵便局の私書箱を使い、米国からコカインや大麻を営利目的で密輸するなどしたとして、麻薬取締法や大麻取締法違反などの罪に問われた、住所不定、無職の被告(30)の公判が8月31日、那覇地裁(小野裕信裁判長)で開かれた。
検察側は懲役18年、罰金500万円を求刑。
弁護側は無罪を主張した。
判決は9月30日。
(後略)
(※2022年9月2日11:54YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~刑事裁判の流れと刑罰の決まり方~

今回の記事では、アメリカからコカインや大麻といった薬物を営利目的で輸入したという、麻薬取締法違反大麻取締法違反といった容疑で起訴された被告の事例を取り上げています。
報道では、検察側は懲役18年、罰金500万円という刑罰を求刑したとされていますが、そもそも何か犯罪を疑われて裁判となった場合にどのように刑事裁判が進んでいき、有罪となった場合にはどのように刑罰が言い渡されるのでしょうか。

事件の捜査を経て、検察官が有罪に足る証拠があるという判断をした場合には、検察官が事件を起訴し、刑事裁判となります。
起訴されてから実際に刑事裁判が行われるまでの期間は、その刑事事件の事情によってまちまちですが、一般には起訴から2か月以内に1回目の刑事裁判が開かれることが多いです。
ただし、事件関係者が多数存在したり、事件内容が複雑であったりすれば、刑事裁判本番が開かれる前にその準備の手続(公判前整理手続など)が行われる場合もあり、そうした場合には起訴されてから裁判本番となるまでに年単位の時間がかかることもあります。

こうして刑事裁判が開かれると、その裁判の中で有罪・無罪や有罪であった場合の刑罰の重さを決定していくことになります。
刑事裁判では、被告人が起訴されている内容を確認した後、被告人の認否を確認し、検察官側の冒頭陳述を経て検察側・弁護側の証拠を調べていきます。
そして、弁護側に情状証人がいればその証人の尋問を行った上で、被告人本人への尋問が行われます。
これらの証拠調べや尋問を経て、検察官が最終的に意見を述べ(論告)、被告人に対してどれほどの刑罰を与えることを求めるか示します(求刑)。
その後、弁護側が最終的な意見を述べて被告人に与えるに適切な刑罰についても意見します(弁論)。
検察側の論告・求刑と弁護側の弁論が終わると、裁判所がそれぞれの意見やそれまでの証拠などを踏まえて判決を出し、刑事裁判が終了します。

こうした流れで刑事裁判が開かれますが、今回取り上げた事例では、検察官の論告・求刑と弁護側の弁論までが終了し、次回の刑事裁判の期日で判決が出るということです。
報道では、検察側は「懲役18年、罰金500万円」を求刑したとされていますが、執行猶予は言い渡される刑罰が懲役3年以下の場合に限られますから、検察側としては被告人に対して実刑を求めているということになるでしょう。

検察側の求刑に対し、弁護側は弁論によって、その求刑よりも軽い刑罰を裁判所に求めたり、今回取り上げた事例のように、無罪を主張したりするということになります。
そのためには、刑事裁判までに被告人に有利な事情を調査したり、それらを証拠化したりする準備が必要になります。
特に、無罪を争うというケースであれば、起訴前の段階から慎重に取調べなどに対応していかなければなりません。
刑事裁判本番だけ主張をすればよいというわけではなく、裁判よりも前から準備をして臨まなければいけないのです。
だからこそ、早い段階で弁護士に相談し、刑事裁判になる可能性があるかどうか、刑事裁判となるならどういった準備が必要なのかといったことを把握しておくことが重要なのです。

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