(事例紹介)京都府の大麻譲渡事件で有罪判決 執行猶予となった事例

2022-09-13

(事例紹介)京都府の大麻譲渡事件で有罪判決 執行猶予となった事例

~事例~

舞鶴工業高等専門学校の学生に大麻を売ったとして、大麻取締法違反の罪に問われた元学生で無職の男(22)=兵庫県三田市=の判決公判が22日、京都地裁舞鶴支部であり、堀河民与裁判官は懲役8月、執行猶予2年(求刑懲役8月)を言い渡した。
判決で、男は舞鶴高専に在学していた2016年ごろから大麻を使い始め、卒業後も後輩と大麻を使用したり、譲り渡したりしたとした。
(中略)
起訴状などによると、男は9月27日、舞鶴市内で舞鶴高専生の少年(19)に乾燥大麻を4500円で譲り渡した、としている。
(※2021年12月22日19:17京都新聞配信記事より引用)

~大麻譲渡事件~

今回取り上げた事例では、大麻譲渡による大麻取締法違反で、男性が執行猶予判決を受けたと報道されています。
大麻は所持しているだけでも犯罪となる違法薬物ですが、大麻を他人に譲渡す行為も大麻取締法違反という犯罪になります。

大麻取締法第第24条の2
第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻取締法では、大麻所持行為大麻譲渡行為の目的によって刑罰の重さが異なり、条文も第1項と第2項で分かれています。
大麻取締法第24条の2第1項では、単に大麻を所持したり他人に譲渡したりすることについて定めています。
例えば、自分で施用するために大麻を所持していたり、単に相手に大麻を分け与えたりといったケースでは、この条文が適用されます。
第2項に定められているものと比較して、第1項の条文にあたる大麻所持行為大麻譲渡行為大麻の「単純所持」「単純譲渡」などと呼ばれたりします。

一方、大麻取締法第24条の2第2項では、大麻所持行為大麻譲渡行為を営利目的で行っていた場合について定めています。
簡単に言えば、客に売却してもうけを出すために大麻を所持していたり実際に売却していたりするようなケースでは、この第2項の条文が適用されることとなります。
こちらについては、大麻の「営利目的所持」「営利目的譲渡」などと呼ばれることもあります。

今回取り上げた事例では、報道からは、男性に適用された条文が単純譲渡のものなのか営利目的譲渡のものなのかは定かではありません。
男性は少年に大麻を有償で譲渡していたとのことですから、営利目的譲渡と判断された可能性もありますし、もらっていた金額が儲けが出るほどのものではなく単純譲渡と判断された可能性もあるといえます。

大麻取締法違反事件は初犯であれば比較的執行猶予が付きやすいと言われており、今回取り上げた事例でも執行猶予がついていますが、大麻の所持していた量や目的、譲渡などの頻度や期間などによっては、当然初犯でも実刑判決が下る可能性があります。
「大麻だから」「初犯だから」と軽く考えず、再犯防止の意味も込めて、早い段階から弁護士のサポートを受けつつ、執行猶予獲得刑罰の減軽を目指して活動していくことが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件を数多く取り扱う弁護士大麻取締法違反事件などの薬物事件に対応しています。
捜査段階から刑事裁判まで、弁護士がフォローしていきますので、刑事事件や刑事手続きにご不安のある方はお気軽にご相談ください。