逮捕されてしまったら

薬物事件で逮捕された後の流れは?薬物犯罪で逮捕されると実刑判決になる?

2026-02-27

大麻や覚醒剤、危険ドラッグの所持や使用等による薬物事件。逮捕される可能性も非常に高く、初犯であっても実刑判決となる可能性は少なくありません

本記事では、薬物事件で逮捕された後の流れや薬物事件で逮捕された場合に起こり得る影響について解説していきます。規制されている薬物や問われる罪、刑罰についても徹底解説。

「薬物を使用してしまって逮捕されるか心配、、」
「家族が薬物事件で逮捕されてしまった、、」

といった方は、ぜひ最後まで本記事をご覧ください。

薬物事件とは

薬物事件とは、法律で規制されている薬物の所持・使用・譲渡・製造・輸入などの行為により成立する犯罪を指します。日本では複数の法律によって様々な薬物が規制されており、これらに違反した場合には刑事罰の対象となります。

薬物犯罪は被害者のいない犯罪と思われがちですが、薬物依存による健康被害や社会的影響の大きさから、厳しく取り締まられている犯罪類型です。近年では著名人の逮捕も相次いでおり、社会的な関心も高まっています。

では、具体的にどのような法律で薬物が規制されているのでしょうか?

薬物を規制している法律一覧

日本で薬物を規制している主な法律と、それぞれが対象とする薬物を以下の表にまとめました。

法律名 規制対象薬物
大麻取締法 大麻草(栽培)
覚醒剤取締法 覚醒剤(メタンフェタミン等)
麻薬及び向精神薬取締法 ヘロイン、MDMA、コカイン、LSD、大麻等の麻薬、向精神薬
あへん法 あへん、けしがら
毒物及び劇物取締法 シンナー等の有機溶剤
医薬品医療機器等法 危険ドラッグ(指定薬物)

それぞれの法律は独立して存在しており、違反した場合の罰則内容も異なります。次の章では、各薬物の特徴と具体的な罰則について詳しく見ていきましょう。

薬物犯罪となる薬物と問われる罪

薬物犯罪として処罰される薬物は多岐にわたります。ここでは代表的な薬物について、その特徴と問われる罪、そして罰則内容を詳しく解説します。

同じ薬物であっても、所持なのか使用なのか、あるいは営利目的なのかによって刑罰の重さは大きく変わってきます。正確な知識を持つことが重要です。

大麻

大麻とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)およびその製品を指します。マリファナ、ハシシ(大麻樹脂)、ハシシオイル(大麻樹脂から抽出した液体)などの形態があります。

大麻の栽培は大麻取締法によって規制されており、以下の行為が禁止されています

禁止行為 罰則
栽培 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での栽培 1年以上の拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科

2024年12月12日に大麻取締法は改正され、大麻の使用や所持などは後述の麻薬取締法違反になりました。ただし、大麻草の栽培に関しては、改正後も大麻取締違反となります。

覚醒剤

覚醒剤とは、中枢神経を興奮させる作用を持つ薬物で、代表的なものにメタンフェタミン(ヒロポン)やアンフェタミンがあります。強い精神依存性があり、乱用による健康被害が深刻な薬物です。

覚醒剤は覚醒剤取締法によって厳しく規制されています

禁止行為 罰則
所持 10年以下の拘禁刑
使用 10年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 10年以下の拘禁刑
製造 1年以上の有期拘禁刑
輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 無期若しくは3年以上の拘禁刑、情状により1,000万円以下の罰金併科

覚醒剤犯罪は日本で最も検挙件数が多い薬物犯罪であり、再犯率も高いことが特徴です。初犯でも実刑判決となるケースがあります

ヘロイン(麻薬)

ヘロインは、モルヒネを化学的に合成した麻薬で、極めて強い身体依存性と精神依存性を持ちます。医療用途での使用も一切認められていない、最も危険性の高い薬物の一つです。

ヘロインは麻薬及び向精神薬取締法によって規制されています

禁止行為 罰則
所持 10年以下の拘禁刑
使用 10年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 10年以下の拘禁刑
製造 1年以上の有期拘禁刑
輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 無期または3年以上の拘禁刑、情状により1,000万円以下の罰金併科

ヘロインは海外から密輸入されるケースが多く、組織的な犯罪として扱われることがあります。罰則も非常に重く設定されています

ヘロイン以外の麻薬(MDMA・コカイン等)

ヘロイン以外にも、MDMA(エクスタシー)、コカイン、LSD、マジックマッシュルーム、大麻など、多くの物質が麻薬として規制されています。これらは若者を中心に乱用が広がっており、クラブやパーティーでの使用が問題となっています。

これらの麻薬も麻薬及び向精神薬取締法で規制されています

禁止行為 罰則
所持 7年以下の拘禁刑
使用 7年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 7年以下の拘禁刑
製造 1年以上10年以下の拘禁刑
輸入・輸出 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上10年以下の拘禁刑、情状により300万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科

ヘロインと比較すると罰則はやや軽いものの、それでも重い刑罰が科される可能性があります。

向精神薬

向精神薬とは、中枢神経系に作用し、精神機能に影響を及ぼす薬物の総称です。睡眠薬や抗不安薬として医療現場で使用されるものもありますが、乱用すると依存性が生じます。

向精神薬は麻薬及び向精神薬取締法で規制されており、医師の処方なく使用・所持することが禁止されています

禁止行為 罰則
所持 3年以下の拘禁刑
使用 3年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 3年以下の拘禁刑
製造 5年以下の拘禁刑
輸入・輸出 5年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 5年以下の拘禁刑、情状により100万円以下の罰金併科
営利目的での製造・輸入・輸出 7年以下の拘禁刑、情状により200万円以下の罰金併科

処方薬の横流しなどが問題となっており、安易な気持ちで手を出すと犯罪となる点に注意が必要です。

シンナー

シンナーは有機溶剤の一種で、塗料やラッカーの薄め液として使用される工業用品です。吸引すると幻覚や興奮状態を引き起こしますが、脳や内臓に深刻なダメージを与えます。

シンナーは毒物及び劇物取締法によって規制されています

禁止行為 罰則
吸引目的での所持 1年以下の拘禁刑、50万円以下の罰金、またはその併科
吸引 1年以下の拘禁刑、50万円以下の罰金、またはその併科
吸引目的での譲渡・譲受 2年以下の拘禁刑、100万円以下の罰金、またはその併科
吸引目的での提供 3年以下の拘禁刑、200万円以下の罰金、またはその併科

未成年者の乱用が多いことから、販売時の身分確認などの対策も強化されています。

危険ドラッグ

危険ドラッグとは、麻薬や覚醒剤と似た作用を持ちながら、法律の規制を逃れるために化学構造を少し変えた物質です。以前は「脱法ドラッグ」「合法ハーブ」などと呼ばれていました。

危険ドラッグは医薬品医療機器等法で指定薬物として規制されています

禁止行為 罰則
所持 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
使用 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
譲渡・譲受 3年以下の拘禁刑、300万円以下の罰金、またはその併科
製造 5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその併科
輸入・輸出 5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその併科
販売目的での陳列 5年以下の拘禁刑、500万円以下の罰金、またはその併科

危険ドラッグは成分や効果が不明確なため、予想外の健康被害が発生するリスクが高く、極めて危険です。

あへん

あへんは、けしの実から採取される薬物で、モルヒネやヘロインの原料となります。古くから鎮痛剤として使用されてきましたが、強い依存性があるため厳しく規制されています。

あへんはあへん法によって規制されています

禁止行為 罰則
所持 7年以下の拘禁刑
譲渡・譲受 7年以下の拘禁刑
吸食 7年以下の拘禁刑
けしの栽培 1年以上10年以下の拘禁刑
輸入・輸出 1年以上10年以下の拘禁刑
営利目的での所持・譲渡・譲受 1年以上10年以下の拘禁刑、情状により300万円以下の罰金併科
営利目的での栽培・輸入・輸出 1年以上の有期拘禁刑、情状により500万円以下の罰金併科

現在日本ではあまり見られませんが、依然として厳しい罰則が定められています。

薬物事件は逮捕される可能性が高い?

結論から言えば、薬物事件は逮捕される可能性が非常に高い犯罪類型です。他の犯罪と比較しても、逮捕率が高いことが特徴となっています。

なぜ薬物事件で逮捕される可能性が高いのでしょうか? その理由は主に3つあります。

第一に、証拠隠滅のおそれが高いためです。薬物は物的証拠そのものであり、容疑者が自由な状態では薬物を処分したり、共犯者に連絡して証拠を隠滅したりする可能性があります。警察としては、確実に証拠を確保するために身柄を拘束する必要があるのです。

第二に、逃亡のおそれがあると判断されやすいためです。薬物犯罪で有罪となれば実刑判決を受ける可能性が高く、容疑者が逃亡を図る動機が強いと考えられます。特に営利目的の事案や組織的な犯罪の場合、この傾向は顕著です。

第三に、余罪の追及や共犯者の特定が必要なためです。薬物犯罪は単独犯ではなく、売人や仲間との関係性があることが多くあります。警察は取り調べを通じて薬物の入手ルートや他の関係者を明らかにする必要があり、そのためには身柄を確保して集中的に捜査を進める必要があるのです。

これらの理由から、薬物事件では在宅での捜査ではなく、逮捕・勾留という身柄拘束を伴う捜査が選択されやすくなっています。軽微な事案であっても、逮捕されるケースは珍しくありません

薬物事件で逮捕されるパターン

薬物事件での逮捕には、いくつか典型的なパターンがあります。ここでは代表的な2つのパターンについて、具体的な流れを見ていきましょう。

逮捕のパターンを知っておくことで、万が一の際に適切な対応を取ることができます。

職務質問

職務質問から薬物の所持や使用が発覚するケースは、最も多い逮捕パターンです。

警察官は、挙動不審な様子や薬物使用を疑わせる兆候がある人物を見つけると、職務質問を行います。具体的には、深夜の繁華街で目が虚ろな状態でふらついている、不自然に警察を避けようとする、注射痕があるなどの特徴が見られた場合です。

職務質問の段階では任意の協力であり、強制力はありません。しかし、警察官が薬物所持の疑いを強めた場合、所持品検査を求められます。この時点でバッグやポケットから薬物が発見されれば、その場で現行犯逮捕となります

また、尿検査への協力を求められるケースもあります。尿検査自体は任意ですが、拒否すると逆に疑いが深まる場合があります。尿検査で陽性反応が出れば、薬物使用の疑いで逮捕されることになります

職務質問への対応は慎重に行う必要があります。虚偽の説明をすると状況が悪化する可能性があるため、弁護士への相談を検討すべきでしょう。

他の仲間や売人が逮捕される

薬物犯罪では、芋づる式に逮捕者が広がっていくパターンも非常に多く見られます

まず売人や薬物仲間の一人が逮捕されると、警察はその人物のスマートフォンや連絡先、取引記録などを詳しく調べます。メッセージアプリの履歴や通話記録から、他の購入者や関係者の情報が明らかになることがあるのです。

逮捕された人物が取り調べで供述すれば、さらに具体的な情報が警察に渡ります。「誰にいつ売ったか」「誰と一緒に使用したか」といった内容が明らかになり、警察は順次捜査対象を広げていきます。

この場合、まったく予兆なく突然自宅や職場に警察が来て逮捕されることになります。過去に薬物を使用・所持していたとしても、時間が経っているからといって安心はできません。証拠や供述が揃えば、数か月前の行為であっても逮捕される可能性があります。

薬物の売人や使用仲間との関係は、将来的に自分への捜査につながるリスクがあることを認識しておく必要があります。

薬物事件で逮捕された後の流れ

薬物事件で逮捕されると、その後どのような手続きが進んでいくのでしょうか? ここでは逮捕から刑事裁判までの具体的な流れを解説します。

刑事手続きの流れを理解しておくことは、適切な対応を取るために不可欠です。

逮捕・勾留

逮捕されると、まず警察署の留置場に身柄を拘束されます。逮捕後48時間以内に、警察は事件を検察官に送致しなければなりません

検察官に送致されると、検察官は24時間以内(逮捕時から通算72時間以内)に、裁判所に勾留請求を行うかどうかを判断します。勾留請求とは、さらに身柄拘束を継続することを裁判所に求める手続きです。

勾留が認められると、原則10日間の身柄拘束が続きます。この期間中、警察や検察による取り調べが行われます。捜査の必要性が認められれば、さらに最大10日間の勾留延長が認められることがあります。つまり、最長で20日間の勾留が可能ということです

勾留中は原則として外部との連絡が制限されます。ただし、弁護士との接見(面会)は制限されないため、早期に弁護士を依頼することが重要となります。家族との面会も、捜査への影響がないと判断されれば認められることがあります。

この段階での対応が、その後の処分に大きく影響します。取り調べでの供述内容は慎重に考える必要があります。

検察官の終局処分(起訴・不起訴)

勾留期間が終了するまでに、検察官は起訴するか不起訴にするかを決定します。これを終局処分と呼びます。

起訴とは、検察官が裁判所に対して刑事裁判を求める手続きです。起訴されると正式に被告人となり、刑事裁判が開かれることになります。日本では起訴された場合の有罪率が99%以上と非常に高く、起訴されることは実質的に有罪を意味すると言えるでしょう。

一方、不起訴とは、検察官が裁判を求めない処分です。証拠不十分、起訴猶予(情状により訴追を見合わせる)などの理由で不起訴となった場合、刑事手続きはそこで終了し、前科もつきません

薬物事件の場合、初犯で所持量が少量であり、本人が反省して治療を受ける意思を示しているようなケースでは不起訴(起訴猶予)となる可能性があります。ただし、覚醒剤やヘロインなど重大な薬物の場合や、営利目的の場合、再犯の場合は、起訴される可能性が高くなります。

不起訴を獲得するためには、弁護士による適切な弁護活動が必要不可欠です

刑事裁判(公判)

起訴されると、刑事裁判(公判)が開かれます。裁判では、検察官が証拠を提出して犯罪事実を立証し、弁護人が被告人に有利な事情を主張します。

薬物事件の量刑相場は、初犯か再犯か、薬物の種類、所持量などによって大きく異なります

初犯の場合、大麻の単純所持であれば執行猶予付き判決となる可能性が高いでしょう。具体的には、6か月〜1年の拘禁刑、執行猶予3年程度が一般的です。覚醒剤の所持・使用の初犯でも、所持量が少量で反省の態度が見られれば、1年6か月の拘禁刑、執行猶予3年程度の判決となることが多くあります。

一方、再犯の場合は厳しい判断がなされます。特に執行猶予期間中の再犯や、執行猶予明け5年以内の再犯では、実刑判決となる可能性が極めて高くなります。覚醒剤の再犯では2年〜3年の実刑判決が一般的で、複数回の前科がある場合はさらに重い刑が科されます。

営利目的での所持・譲渡や、大量の薬物を扱っていた場合、組織的な犯行の場合は、初犯であっても実刑判決となる可能性があります。このようなケースでは5年以上の重い刑が科されることも珍しくありません。

執行猶予を獲得できるかどうかは、本人の更生意欲や再犯防止の取り組み、家族のサポート体制などが重要な判断要素となります。

薬物事件で逮捕・起訴された場合の影響

薬物事件で逮捕・起訴されると、刑事罰だけでなく社会生活にも深刻な影響が及びます。ここでは具体的な影響について解説します。

将来への影響を最小限に抑えるためにも、早期の対応が重要です。

会社から解雇される恐れがある

薬物事件で逮捕されると、会社から解雇される可能性が高くなります

まず、逮捕・勾留によって長期間会社を欠勤することになります。無断欠勤が続けば、それだけで就業規則違反として懲戒処分の対象となり得ます。また、多くの企業の就業規則には「刑事事件で起訴された場合」や「会社の名誉を著しく傷つけた場合」を懲戒解雇の事由として定めています。

特に問題となるのは、報道されるケースです。逮捕の事実が新聞やテレビで報道されれば、会社の社会的信用が損なわれる恐れがあります。企業としては、そのような従業員を雇用し続けることは難しいと判断せざるを得ません。

公務員の場合はさらに厳しく、薬物犯罪で有罪判決を受けると法律上当然に失職します。資格職(医師、弁護士、教員など)の場合も、資格停止や剥奪の処分を受ける可能性があります。

ただし、不起訴となった場合や、起訴されても執行猶予判決となった場合は、必ずしも解雇されるとは限りません。会社との信頼関係の修復に努めることで、雇用を継続できる可能性もあります

学校から退学処分を受ける恐れがある

学生が薬物事件で逮捕された場合、学校から退学処分を受ける恐れがあります

多くの学校の校則や学則には、「犯罪行為を行った場合」「学校の名誉を著しく傷つけた場合」を懲戒処分の事由として定めています。薬物犯罪は重大な刑事事件であり、退学処分の対象となり得ます

特に中学・高校の場合、義務教育後の段階であり、学校側は教育的配慮よりも他の生徒への影響や学校の評判を重視する傾向があります。逮捕の事実が他の生徒や保護者に知られれば、退学処分となる可能性は高まるでしょう。

大学の場合も同様です。大学は社会的な責任を負う立場にあるため、薬物犯罪を起こした学生に対しては厳しい処分を下すことが一般的です。特に医学部や薬学部などの専門課程では、将来の職業倫理の観点からも厳格な対応がなされます。

ただし、不起訴となった場合や、本人が深く反省して更生の意思を示している場合、停学処分など退学以外の処分で済むケースもあります。学校側との誠実な対話が重要となります。

薬物事件で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリット

薬物事件で逮捕された場合、できるだけ早く弁護士に依頼することが極めて重要です。弁護士に依頼することで得られる具体的なメリットを見ていきましょう。

適切な弁護活動によって、処分や刑罰が大きく変わる可能性があります。

メリット①:逮捕直後・勾留前に接見ができる

逮捕直後から弁護士は本人と接見(面会)することができます。これは弁護士だけに認められた権利であり、家族であっても逮捕直後の面会は原則として認められません。

逮捕直後は本人が最も不安を感じている時期です。今後の流れがわからず、どう対応すればいいのかパニックになっている状態では、取り調べで不利な供述をしてしまう恐れがあります。

弁護士が早期に接見することで、以下のようなサポートが可能になります。

まず、今後の手続きの流れを説明し、本人の不安を和らげることができます。また、取り調べでの対応方法についてアドバイスを行い、黙秘権の行使や不当な取り調べへの対処法を伝えることができます。

さらに、勾留請求に対して意見書を提出するなど、身柄拘束の長期化を防ぐための活動を迅速に開始できます。初動が早ければ早いほど、勾留阻止の可能性は高まります

家族への連絡や職場への対応についても、弁護士を通じて適切に進めることができるでしょう。

メリット②:保釈に向けた弁護活動ができる

起訴された後は、保釈請求を行うことで身柄拘束から解放される可能性があります

保釈とは、一定の保証金を納付することで、裁判が確定するまで身柄を釈放してもらう制度です。保釈が認められれば、仕事を続けながら裁判に臨むことができ、家族と一緒に更生のための取り組みを進められます。

弁護士は、保釈請求書を作成し、裁判所に対して保釈を認めるべき理由を詳細に主張します。具体的には、逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、家族の監督体制が整っていること、治療や更生プログラムへの参加意思があることなどを説得的に示します。

薬物事件では、薬物依存の治療プログラムへの参加や、専門クリニックでの治療計画を提示することで、保釈が認められやすくなります。弁護士は医療機関との連携も含めて、包括的な更生計画を立案します。

保釈保証金の金額は事案によって異なりますが、一般的に200万円程度となることが多いでしょう。この金額についても、弁護士が適正な額となるよう裁判所に働きかけます。

メリット③:執行猶予を目指す弁護活動ができる

刑判決を回避して執行猶予付き判決を獲得することは、薬物事件における弁護活動の最重要目標す。

執行猶予が付けば、刑務所に入ることなく社会生活を続けながら更生を図ることができます。仕事や学業を継続でき、家族との生活も維持できるため、社会復帰への道が大きく開けます。

弁護士は、執行猶予を得るために以下のような弁護活動を行います。

まず、本人が深く反省していることを示すための反省文や謝罪文の作成をサポートします。また、薬物依存からの脱却に向けた具体的な計画を立て、専門医療機関での治療や自助グループへの参加を手配します。

家族による監督体制の構築も重要です。弁護士は家族と面談し、本人を支えるための環境整備について助言します。場合によっては、家族からの嘆願書や監督誓約書を作成し、裁判所に提出します。

さらに、情状証人として家族や雇用主に法廷で証言してもらうための準備も行います。こうした総合的な活動によって、執行猶予判決の可能性を高めることができるのです。

被害者のいない薬物犯罪では、いかに本人の更生可能性を示せるかが判決を左右します。

メリット④:再犯防止のためのサポートができる

薬物犯罪の最大の問題は、高い再犯率です。薬物依存は病気であり、適切な治療とサポートがなければ再び薬物に手を出してしまう可能性があります。

弁護士は、再犯防止のための包括的なサポート体制の構築を支援します

具体的には、薬物依存症の治療を専門とするクリニックや病院を紹介し、継続的な通院治療を受けられるよう手配します。精神科医やカウンセラーとの連携も重要です。

また、ダルクやNA(ナルコティクス・アノニマス)などの自助グループへの参加を勧め、同じ問題を抱える仲間との支え合いの場を提供します。こうした取り組みは、裁判での情状面でもプラスに評価されます。

家族に対しても、薬物依存症への正しい理解を促し、本人を支えるための方法をアドバイスします。家族が適切に関与することで、再犯リスクは大きく低減できます

執行猶予期間中や刑務所出所後も、弁護士は継続的な相談相手として本人や家族をサポートします。法的な問題だけでなく、社会復帰全般について助言を得られることは大きな安心材料となるでしょう。

実際に依頼を受けた薬物事件の事例紹介

実際にあった薬物の事件をもとに、薬物事件で考えられる弁護活動について紹介します。

事例①:大麻の薬物事件で接見禁止を一部解除

こちらの事件は、大麻を所持していたことが勤務先で発覚して逮捕されたという大麻取締法違反事件(※事件当時の罪名)でした。

本来、勾留が付いたとしても接見(面会)を行うことができますが、本事件では接見禁止が付いたため、家族も面会ができないような状態でした。しかし、接見禁止が付いた状態でも弁護士は例外として接見することができます

依頼を受けた弁護士は、まずはご家族が本人と面会できるように接見禁止一部解除の申立てを行うことから始めました。接見禁止の一部解除とは、裁判所に許可をもらって家族など一部の人達だけ接見を可能にすることです。

接見を禁止するのは、共犯者が来て証拠隠滅を依頼する可能性を考えてのことです。そのため、弁護士が家族は事件に無関係であることを書面で主張した結果、接見禁止の一部解除が認められ、ご家族は面会ができるようになりました

事例②:麻薬の薬物事件で保釈許可を獲得~

こちらの事件は、麻薬の売人が逮捕されたことで芋づる式に購入者も逮捕されたという麻薬及び向精神薬取締法事件でした。

起訴されて正式に裁判を受けることになった後にご家族から依頼を受けたため、弁護士は最初に保釈を目指した弁護活動を始めました。保釈を認めてもらうには、まず逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを主張することが重要です。さらに、薬物事件の場合は薬物を再度使わないことの主張も重要になってきます。

また、薬物治療のために病院に通う予定であることと、社会に戻った場合は家庭と職場双方で事情を理解している人たちが監督できること等を確認した上で、保釈を求めるための保釈請求書を裁判所に提出しました。弁護士からの懸命な保釈を求める主張もあり、結果として保釈が認められて身柄拘束から解放されることになりました

このように薬物による再犯を防ぐ取り組みをすることが、薬物事件で保釈許可を獲得する際に効果的です。保釈を認めてもらいやすくするためにも、具体的な対策を立てて弁護活動を行うことが重要です。

薬物事件で逮捕されたら早急に弁護士へ相談を

薬物事件で逮捕された場合、その後の人生を大きく左右する重要な局面を迎えます。

逮捕から起訴までの初動対応、保釈の実現、執行猶予の獲得、そして再犯防止—これらすべての段階で、弁護士による専門的なサポートが不可欠。特に逮捕直後の72時間は、勾留を阻止できるかどうかの重要な分岐点となります

薬物犯罪は依存症という病気の側面があり、処罰だけでは解決しません。適切な治療と更生プログラムを組み合わせた総合的なアプローチが必要です。

もし本人や家族が薬物事件で逮捕されてしまったら、一刻も早く刑事事件に精通した弁護士に相談してください。早期の対応が、より良い結果につながる可能性を高めます。

一人で抱え込まず、専門家の力を借りることが更生への第一歩となるでしょう。