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大麻事件のおとり捜査
大麻事件のおとり捜査
福岡県柳川市に住むAさんはひそかに大麻を友人に販売していました。
ある日、友人から大麻が欲しいとの連絡があったためAさんはいつもの引き渡し場所に出向きました。
しかしそこにいたのは福岡県柳川警察署の警察官でした。
Aさんの友人はすでに逮捕されており、捜査官が友人と名乗って連絡していたことを知りました。
Aさんはそのまま逮捕・勾留されてしまいました。
(フィクションです)
【おとり捜査】
おとり捜査とは捜査官やその協力者が捜査をしていることを知らせずに被疑者・被告人と接触し、被疑者・被告人が犯罪行為をするのを見届け、証拠を確保するという捜査の手法です。
警察をはじめとする捜査機関は本来犯罪を抑止すべきであって犯罪が行われるのを黙って見ていて犯罪が行われてはじめて動き出すのはけしからんと思われるかもしれません。
それでは日本の法律・判例ではおとり捜査はどのように考えられているのでしょうか。
犯罪についての捜査には強制捜査と任意捜査があるとされています。
強制捜査は被疑者・被告人の意思に関わりなく、強制的に行われる捜査です。
捜索、差押え等が具体的には考えられます。
任意捜査は強制捜査以外の捜査で、主に対象者の同意を取って行われる捜査です。
職務質問の中で警察官が同意を取ったうえで持ち物を調べる場合等は任意捜査に当たるでしょう。
このように捜査は強制捜査と任意捜査に大別されますが強制捜査は人の意思に反して行われるという性質上、その人の権利を大きく制限します。
もし捜査機関が無制限に強制捜査を行えるとなると国民の権利が制約されてしまう恐れがあります。
そこで刑事訴訟法では強制捜査に関しては強制処分法定主義と令状主義を規定しています。
強制処分法定主義とは強制捜査は法律で定められた場合しか認められないというものです。
ですから、法律で定められた状況、方法といった要件を満たさなければ強制捜査はできないことになります。
令状主義とは強制捜査は裁判官もしくは裁判所の発する令状が無ければ行うことができないという原則です。
これにより、捜査機関がすぐに強制捜査を行うのではなく一度司法のチェックが入ることになり、権利の侵害が起こりにくくなります。
現在の日本の刑事訴訟法にはおとり捜査に関する規定はありません。
ですから強制処分としておとり捜査を行うことはできず任意捜査としてとらえられることとなります。
おとり捜査には機会提供型と犯意誘発型があるとされています。
機会提供型とは被疑者・被告人が既に犯罪をする意思を持っており、おとり捜査はその実行の機会を与えただけであるようなケースが該当します。
例えば、麻薬の売人に対して麻薬を買う旨を申し出る場合等です。
犯意誘発型とは捜査官の方から積極的に働きかけ犯罪をしようとする意思を惹起させる類型です。
例えば、多額の報酬と引き換えに万引きをするように働きかけることがこれにあたるでしょう。
一般に機会提供型は犯行の機会を提供しただけであるため任意捜査として許容されるのに対し、範囲誘発型は捜査官の干渉により犯罪が行われたということであるためその捜査は違法とされるべきだとされています。
もっとも具体例からも分かる通り、機会提供型と犯意誘発型は明確に二分できるものではありません。
具体例のようにすでに捕まえた共犯者等のふりをすることもあれば、新参の購入希望者を装うこと、捜査協力者を利用しておびき寄せることもあります。
捜査官の働きかけの強さの程度によってグラデーションづけられることになります。
実際判例でも機会提供型か犯意誘発型かの二分論でおとり捜査を評価しているわけではありません。
判例においてはおとり捜査の必要性、その手段の相当性等を総合的に判断しています。
必要性に関しては犯罪の内容や性質を通しておとり捜査でなければ検挙できないものであったかが判断されます。
手段の相当性に関しては捜査官の働きかけの態様が問題となってきます。
あくまで一般論ですが被害者がおらず、水面下で行われる薬物事件や密輸事件においてはおとり捜査の必要性は認められやすいと言えるかもしれません。
福岡県柳川市の薬物事件のおとり捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の相談を無料で行っております。
福岡県柳川警察署までの接見費用:42,800円
弁護人接見と接見禁止
弁護人接見と接見禁止
東京都江東区に住むAさんは,麻薬であるMDMAを所持していたとして,警視庁城東警察署に麻薬及び向精神薬取締法違反で逮捕されました。
その後,Aさんの身柄は検察庁に送られ,裁判所から勾留決定とともに,接見禁止決定も出されました。
Aさんの家族はAさんと面会できないことから,薬物・刑事事件に強い弁護士にAさんとの接見及び接見禁止の解除を依頼しました。
(フィクションです)
~ 弁護人接見 ~
逮捕・勾留により身体拘束されている被疑者・被告人と面会することを接見(接見交通)といいます。
そして,弁護人との接見のことを弁護人接見,弁護士以外の者の接見のことを一般接見と呼ばれています。
= 弁護人接見の特徴 =
弁護人接見の特徴は,
1 逮捕期間中から可能
2 接見の曜日,時間,回数に制限がない
3 立会人が付かない
4 接見禁止決定が出ても接見ができる
といった点が挙げられます。他方,一般接見の場合,
1 法律上,逮捕期間中は認められていない
2 通常,土日は不可で,1回につき15分から20分。身柄拘束を受けている方1人につき1日,1回。
3 立会人が付く
4 接見禁止決定が出ると接見できない
といった点が挙げられます。
= 弁護人接見の重要性 =
逮捕後,身柄拘束中は精神的,肉体的な苦痛が伴います。
また,警察官や検察官の取調べは決して生緩いものではありません。
そんなとき,接見が持つ意義は,弁護士から取調べに対するアドバイスを受けられることでしょう。
また,何より,自分の立場に立ってくれる「味方」がいることは,何より精神的な支えとなることでしょう。
逮捕期間中はご家族の接見も制限され,また,接見禁止が付いていれば勾留後も接見できませんから,弁護士の接見は重要といえるでしょう。
~ 接見禁止 ~
弁護士以外の者との接見を禁止することを接見禁止といいます。
薬物犯罪の場合,薬物の取引等に多くの関係者が関与している場合が多いことから,犯人(Aさん)とこれらの者との交通(接見等),罪証隠滅行為を遮断するため,接見禁止となることが比較的多いです。
= 接見禁止決定までの流れ =
接見禁止は,通常,検察官の請求にはじまり,請求を受けた裁判官が,勾留では賄いきれない逃亡又は罪証隠滅のおそれがあると判断した場合に接見禁止決定を出します。
検察官の請求は,勾留請求と同時になされることが多いです。
これは,勾留決定が出た後,時間的隙間を作らず関係者との交通を遮断するためです。
ただ,稀に,勾留されて何日か経過した後に請求される場合もあります。
接見禁止決定には「公訴の提起に至るまで」との期限を付する運用が一般的です。
これは,公訴の提起後は,ある程度捜査が終了しているものと思われ,罪証隠滅のおそれも低いと考えられるからです。
しかし,検察官が公訴提起後も接見禁止の措置が必要と判断した場合は,公訴提起(起訴)と同時に再度接見禁止請求をするのが通常です。
= 接見禁止を解除するためには? =
接見禁止を解除するための手段として,接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。
他に,接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。
これは法律上認められた手続きではなく,裁判所の職権発動を促す効果しかありません。
しかし,特に公訴提起されるまでは,裁判所は事情を何も知り得ないので,弁護士から積極的に申立てをする意義は大きいです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,麻薬及び向精神薬取締法をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
逮捕された方との接見,接見禁止が出た場合の接見禁止解除をお望みの場合は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見サービス,無料法律相談等を24時間受け付けております。
(警視庁城東警察署への初回接見費用:37,100円)
埼玉県桶川市の危険ドラッグ事件
埼玉県桶川市の危険ドラッグ事件
~ケース~
埼玉県桶川市在住の大学生4年生のAさんは就職活動が上手くいかずに悩んでいた。
ある日,大学の友人Xから「この薬を使うと気分がよくなるよ」とある錠剤を薦められた。
Aさんが覚せい剤ではないかと尋ねたところ,Xは「法律で禁止されてない成分を含む奴だから大丈夫だよ」と答えた。
Aさんは不審に思ったが,就職活動が上手くいかず落ち込んでいたので少しでも気を紛らわせようとXから薬を受け取った。
その後,Aさんが深夜に帰宅途中,埼玉県上尾警察署の警察官から職務質問をされAさんは所持品検査に応じた。
その際,Xから貰った薬が発見され,Aさんは医薬品医療機器法違反(指定薬物所持)の疑いで現行犯逮捕された。
大学の卒業試験が数日後に控えていることもあり,警察から連絡を受けたAさんの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~危険ドラッグの規制~
日本は,覚せい剤や麻薬などはそれぞれの規制法で具体的な成分を指定して禁止されています。
例えば,覚せい剤取締法は「覚せい剤」を規制するという法律ではなく「フェニルアミノプロパン,フェニルメチルアミノプロパンおよびその塩類」という覚せい剤の成分を指定して禁止しています。
同じように,「危険ドラッグ」「危険薬物」「脱法ドラッグ」と呼ばれる薬物もそれぞれ具体的に含まれる成分を医薬品医療機器法(薬機法,旧:薬事法)で指定して規制しています(指定薬物)。
薬機法では指定薬物の治療などの医療用途以外の製造,輸入,販売,所持,使用を禁止しており,違反すると3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金またはこれらの併科となります(薬機法76条の4,第84条26号)。
~違法であることの認識~
日本では特別な規定がある場合を除き,犯罪の故意がある場合に処罰されることが原則となっており(刑法38条),薬機法や覚せい剤取締法などの薬物規制法も同様です。
今回のケースでは「所持」や「使用」の故意が争われることはないでしょう。
Aは少なくとも自分の意思で所持していますので,薬品が指定薬物,つまり違法なものと認識していたかどうかが問題となります。
刑法は一般市民に向けた行為規範ですので,故意として要求する認識は専門家認識ではなく一般市民が認識し得る程度で足りると解されています。
そのため,薬物については,具体的な指定成分が含まれているとの認識は必要なく,違法薬物かもしれないという程度の認識があれば故意が認められます。
Aさんは覚せい剤かもしれないと考えていたので,少なくとも薬物は違法なものかもしれないと認識していたといえるでしょう。
そのため,Aさんは薬機法の規制する指定薬物の所持について故意があったとされると思われます。
~逮捕後の流れ~
薬物事件では,事件発覚後は罪証隠滅などのおそれが高いことから逮捕後,検察官に送致され,勾留請求を経て勾留される場合が多くなっています。
その後,起訴され刑事裁判を受け,初犯であれば執行猶予付きの判決となる事例が多いです。
勾留は犯罪の嫌疑,勾留の理由および勾留の必要性が要件とされています。
今回のようなケースではすでに違法薬物を所持していた事実がありますので犯罪の嫌疑は問題とならないでしょう。
勾留の理由があるとは,住居不定である場合や,罪証隠滅や逃亡のおそれがある場合をいいます。
しかし,犯罪の嫌疑や勾留の理由が有る場合でも,被疑者を勾留することにより得られる利益とこれにより生ずる不利益とを比較して、権衡を失するときは、被疑者を勾留することは許されないとされています。
Aさんは違法薬物を所持していただけであり,逮捕後に薬物自体は押収されていると考えられますので,罪証隠滅のおそれは少ないといえるでしょう。
また,Aさんは数日後に卒業試験が控えており,勾留されてしまうと卒業試験を受けられず,大学を卒業できなくなってしまいます。
そのため,弁護士は検察官による勾留請求がされないように勾留の必要性がないこと,罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことから勾留要件を満たさない事を主張していきます。
また,勾留によって得られる利益よりAさんが大学を卒業できなくなってしまうという不利益の方が大きいことも主張していきます。
ご両親が身元引受人になることや監視・監督をすること,警察か検察からの出頭命令などには必ず応じるといった内容の上申書も併せて検察官に提出します。
勾留請求がされてしまった場合には,勾留されないために裁判所に勾留に対する準抗告を申し立てることもあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件で逮捕され勾留を回避したいとお考えの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(埼玉県上尾警察署までの初回接見費用:36,400円)
覚せい剤所持事件のおとり捜査の適法性
覚せい剤所持事件のおとり捜査の適法性
~ケース~
大阪府岸和田市の大阪府岸和田警察署の警察官Pは、覚せい剤所持事件で前科のあるBから、「Aという男が岸和田市の倉庫内で覚せい剤を販売している」という情報を得た。
Pは、数日間Aの身辺を捜査したところ、Aが覚せい剤使用及び所持の前科がある者数名と親しくしていることが判明したが、Aが覚せい剤の密売を行っているという決定的な証拠は見つからなかった。
PはなんとかしてAを逮捕してやろうと思い、Aに対し、「覚せい剤を買いたいという者がいるから入手できないだろうか」と電話で話を持ち掛けた。
Aは、一度は断ったものの、何度もPが要求したため、覚せい剤の取引に応じることとした。
Pは、Aが待ち合わせ場所に赴いたところを覚せい剤取締法違反で現行犯逮捕し、覚せい剤を証拠物として押収した。
(上記事例はフィクションです。)
~おとり捜査の適法性について~
上記事例においては、Aは現に覚せい剤を所持しており、覚せい剤取締法は覚せい剤の所持、譲渡し、譲受けについて10年以下の懲役に処すると規定しています。
また、営利目的での所持、譲渡し、譲受けについては、1年以上の有期懲役というさらに重い刑罰が科される可能性があります。
そのため、PがAを覚せい剤取締法違反の罪で現行犯逮捕したこと及び覚せい剤を証拠物として押収したことは適法であるとも思えます。
もっとも、上記の事例において、警察官PはAに対し「覚せい剤を買いたいという者がいる」と話を持ち掛けており、AはPの電話がなければ覚せい剤取締法違反で逮捕されることはなかったといえます。
上記のPの行った捜査は、いわゆるおとり捜査と呼ばれるものですが、このようなおとり捜査が許されるのかが問題となります。
最高裁判所においておとり捜査の適法性が争われた裁判例では、以下のように、おとり捜査は任意捜査として許容されると判断されています。
「直接の被害者がいない薬物犯罪等の捜査において、通常の捜査方法のみでは犯罪の摘発が困難である場合、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象にして行われるおとり捜査は、刑訴法197条1項に基づく任意捜査として許容される。」(最判平16.7.12)
もっとも、任意捜査といえども無制約に許されるというわけではなく、おとり捜査を行う必要性及び相当性が認められる必要があります(刑事訴訟法197条1項本文)。
上記の事例では、確かに覚せい剤等の薬物の密売事件においては直接的な被害者が存在せず、犯行も隠密に行われることが多いことから、事件そのものが発覚しにくく、検挙が困難であるといえます。
そのため、「通常の捜査方法のみでは犯罪の摘発が困難である場合」にあたります。
また、Aは以前から覚せい剤の密売を行っていた疑いが強く、現に覚せい剤を用意してPとの待ち合わせ場所に赴いていることから、Pは犯行の機会を付与したにすぎず、Aは「機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者」に当たるとも思えます。
しかし、上記の事例においては、AがPからの申出を一度断ったにもかかわらず、PはAに対し、さらに何度も覚せい剤の購入を持ち掛けています。
そのため、Pの上記のおとり捜査はAに対し、犯行の機会を提供したにとどまらず、Aの犯行を行う意思を誘発させたと評価される可能性があり、捜査の相当性を欠き、違法捜査であると評価されるおそれがあります。
おとり捜査が違法と認定された場合、Pの捜査行為が違法である以上、これを直接利用してAを現行犯逮捕した行為及び覚せい剤を押収した行為についても、おとり捜査の違法性が承継され、違法となる可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では24時間、無料相談及び初回接見のご依頼を受け付けております。
0120-631-881までお気軽にお電話ください。
大阪府岸和田警察署までの初回接見費用39,600円
覚せい剤使用罪の執行猶予
覚せい剤使用罪の執行猶予
事例:Aは、兵庫県尼崎市の自宅において注射器を使って、自らの身体に水溶液上の覚せい剤を注射し、もって覚せい剤を使用した。
兵庫県尼崎南警察署の警察官は、Aを覚せい剤使用罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)
~覚せい剤取締法における覚せい剤使用罪~
本件Aは、自宅で覚せい剤を使用した疑いで逮捕されています。
この点について、薬物を取締り、これを不法に所持や使用したものの処罰を定めているのが覚せい剤取締法です。
覚せい剤取締法は、41条の3第1項第1号において、「第19条(使用の禁止)の規定に違反した者」を「10年以下の懲役に処する」ものとしています。
そして、同法19条は、法定の除外事由(典型的には研究行為や医療行為等)のない限り「何人も、覚せい剤を使用してはならない」ものと規定しています。
同条における「使用」とは、覚せい剤をその用法にしたがって用いる一切の行為を指すとされています。
覚せい剤の摂取態様には、その種類に応じて様々なものが考えられますが、上記のように「使用」とはかなり包括的な概念であり、また本件のような注射による覚せい剤の摂取という典型的な行為が「使用」に当たることは明白であるといえます。
~覚せい剤使用罪における弁護活動~
覚せい剤事件に関しては、被害者のいない犯罪ともいわれていますが、暴力団等の反社会的組織の資金源になるなど副次的な影響も大きく、その法定刑からしても重大犯罪に位置付けられるといえます。
こういったことは資料上も裏付けられています。
覚せい剤事犯に関しては、司法統計上も不起訴率が1割未満とかなり少なくなっており、逮捕・勾留を経て起訴される可能性が高い犯罪類型となっているのです。
したがって、被告人・弁護士ともに起訴され、裁判となることはある程度覚悟しなければなりません。
その際には、被告人の実刑を避けるためにも、弁護士としては、執行猶予を目指した弁護活動を行うことになるでしょう。
刑法上、執行猶予には、全部執行猶予(刑法25条)と刑の一部の執行猶予(刑法27条の2)があります。
後者の刑の一部の執行猶予の場合、刑が確定すれば収監されてしまい、その後の刑の執行が一定の範囲で猶予されるものです。
つまり、執行猶予によって実際上の刑期が短くなるといったものにすぎません(当然、猶予内に再び罪を犯し刑が確定すれば、その猶予が解除されることは言うまでもないでしょう)。
覚せい剤事犯でも、特に初犯であれば全部執行猶予を受けられる可能性も高いことから、弁護士としては刑の全部の執行猶予を目指した弁護活動を行っていくことになります。
もっとも、薬物事件の場合には薬物事件固有の考慮も必要になる可能性があります。
通常の事件であれば、保護観察が付かない形の執行猶予判決を得た方が被告人とって利益になると一般には考えられています。
しかし、薬物事件では一種の依存状態から再犯となってしまう場合が少なくないことは良く知られています。
そこで、保護観察という機会を通じて治療プログラムへの参加を促すなど、再び薬物事件を犯さず社会復帰することが被告人にとっても重要になってくるからです。
したがって、弁護士として、何が被告人にとって最善となるのか熟慮したうえでの弁護活動が重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、覚せい剤使用罪といった薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士が、依頼者様の利益に則った弁護活動を行ってまいります。
覚せい剤使用事件で逮捕された方のご家族は、まずは年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
(兵庫県尼崎南警察署への初回接見費用:35,500円)
大麻が家から見つかって故意を否認
大麻が家から見つかって故意を否認
京都府亀岡市に住むAさんの家は友人たちのたまり場になっていました。
ある日,Aさんの友人の一人が薬物の所持で逮捕されたことがきっかけでAさんの家も捜索されることになりました。
その結果,Aさんの家から大麻が発見されました。
京都府亀岡警察署の警察官は大麻所持の容疑でAさんを逮捕しました。
(フィクションです)
【大麻取締法の適用】
大麻取締法は故意犯を処罰するものです。
大麻事件での故意は未必的故意で足りるとされています。
つまり,大麻であるとの認識がなくても大麻かもしれないとの認識があるだけで故意犯と認定されてしまいます。
【大麻が家から見つかったら】
家から大麻が発見された場合,家に大麻があることをそもそも知らなかった場合は不可罰となります。
ですから大麻の所持について身に覚えがない場合,大麻を見たことがなかったこと,自分が知らないうちに大麻が隠されていた可能性があったことなど,自分が大麻を所持することについて認識がなかったことをしっかり主張することがまず大切です。
しかし,警察・検察は捜査のプロですから様々な手法を用いて揺さぶりをかけてきます。
例えば,友人の証言や事実関係から被疑者は家にあったものが大麻だと認識していたと言ってくるかもしれません。
また,大麻事件で逮捕された場合,その後身柄が長く拘束される傾向があります。
これは警察・検察が大麻の入手ルートなどを詳しく調べることが多いからです。
そうした苛酷な状況の中で自分の主張を貫き通すことは簡単なことではありません。
そこで大麻事件においては刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談することで取調べについての見通しや取調べへの対策の目処がつきます。
また,故意があるとはいえないことについても弁護士が客観的な証拠や関係者の供述に基づいて主張することできます。
このように故意がないと丁寧に示すことは嫌疑不十分による不起訴処分や裁判での無罪判決を勝ち取るために必要なことです。
不起訴処分や無罪判決を勝ち取ることで日常生活への速やかな復帰が可能となります。
大麻事件の嫌疑を受けてお悩みの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
薬物事件に強い弁護士が初回相談を無料で行っております。
京都府亀岡警察署までの初回接見費用:38,900円
シンナーと危険ドラッグを解説
シンナーと危険ドラッグを解説
最終回は,シンナーと危険ドラッグについて解説します。
~シンナー~
シンナーは塗料を薄めるために使われる有機溶剤です。
トルエンや,酢酸エステル類,アルコールといった有機溶剤が利用されています。
シンナーに含まれる有機溶剤は中枢神経麻痺作用があり,蒸気を吸引することによって酒に酔ったときに似た状態になります。
長期にわたって吸引を続けると依存症になり,吸引常習者は意識障害,幻覚,妄想などの症状があらわれ,脳神経が冒されて中毒性精神病になっていきます。
シンナー中毒者のMRI画像を見ると,脳が委縮していることが多いようです。
日本においては青少年,特に10代前半~中盤にかけて「シンナー遊び」として吸引が流行し社会問題化しました。
これにはシンナーが塗料の薄め液として利用されるので比較的簡単に手に入ったという背景があります。
その為,毒物及び劇物取締法を一部改定し,シンナーに含まれる成分であるトルエン等を劇物と指定し,シンナーの吸引や吸引目的の所持を禁止し,違反者には罰則を科すことになりました。
シンナーの吸引などは1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金またはこれらの併科となっています。
無登録でのシンナー等の販売は3年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金またはこれらの併科,吸引目的と知りながら販売した場合は2年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金またはこれらの併科となります。
~危険ドラッグ~
最後は薬機法での危険ドラッグの規制について解説します。
日本は薬機法で禁止する成分を指定するという方法をとっています。
覚せい剤取締法では2条で覚せい剤の指定を,麻薬や向精神薬も麻薬及び向精神薬取締法の別表で禁止する物質を指定して規制しています。
薬機法でも同様に規制する物質や物質群を指定し,それらを含むものは一般に「危険ドラッグ」と呼ばれます。
罰則は,危険ドラッグの輸入,製造,販売等は5年以下の懲役または500万円以下の罰金になります。
一般人が危険ドラッグを購入,使用,所持した場合には3年以下の懲役または300万円以下の罰金になります。
以上が日本における薬物関連の主要な取締法です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には薬物事件に詳しい弁護士が多数所属しています。
シンナーや危険ドラッグなど薬物事件でご相談を検討中の方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
(初回法律相談費用:無料)
覚せい剤取締法とあへん法を解説
覚せい剤取締法とあへん法を解説
今回は覚せい剤取締法とあへん法について解説していきます
~覚せい剤取締法~
覚せい剤取締法の基本的な構造は前回解説した麻薬及び向精神薬取締法と同じです。
まず覚せい剤とは何かが第2条で定義されています。
麻薬及び向精神薬取締法と同様に輸出入,製造,譲渡,譲受,所持,また,使用が禁止されています。
覚せい剤の場合輸入,輸出,製造は1年以上の懲役になります。
覚せい剤の所持,譲渡,譲受は10年以下の懲役になります。
覚せい剤の使用も10年以下の懲役になります。
麻薬及び向精神薬取締法と同様に営利目的の場合は刑が加重されますが詳細は省略します。
また,覚せい剤ではなく覚せい剤原料の場合は刑が覚せい剤に比べて軽くなりますがこちらも詳細は省略します。
~あへん法~
次にあへん法について解説します。
あへんはけしの実から採取される果汁を乾燥させたものをいい,ヘロインやモルヒネの材料になります。
その為,麻薬に関する単一条約によって麻薬とされています。
日本の法律ではあへん自体は麻薬とはされていませんが,あへん法によってあへんの製造,販売,使用等が禁止されています。
あへん法ではあへんの原料のけしの栽培自体が禁止されています。
また,けしの麻薬を抽出できる部分(種子を除く)をけしがらといい,こちらの採取等も禁止されています。
あへんなどの栽培,採取,輸出,輸入をした場合1年以上10年以下の懲役になります。
あへんなどの譲渡,譲受,所持をした場合7年以下の懲役になります。
あへんの吸食,すなわち使用の場合7年以下の懲役となります。
営利目的の場合に刑が重くなるのは他の規制法と同じです。
また,あへん煙という吸食用として製造されたあへん煙膏も製造,吸食などが刑法で規制にされています。
罰則などは省略いたしますが,あへん煙の場合,他の規制法と異なりあへん煙の吸食のため建物又は室を提供して利益を図った者も罰せられます。
あへん吸食器具の輸入,製造,販売も罰せられます。
一部で美術骨董品として扱われていたりするので注意が必要です。
次回はシンナー・トルエン,危険ドラッグについて解説します。
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麻薬及び向精神薬取締法を解説
麻薬及び向精神薬取締法を解説
今回は,前回説明した薬物四法の1つ,麻薬及び向精神薬取締法について説明していきたいと思います。
~麻薬及び向精神薬取締法~
まずは麻薬及び向精神薬取締法について説明していきます。
麻薬という言葉はほとんどの方が知っていると思いますが麻薬とは一体何なのでしょうか。
麻薬にはいくつか定義がありますが,「日本の法律上(麻薬及び向精神薬取締法)の麻薬」について説明します。
麻薬及び向精神薬取締法では、2条で麻薬について定義しており、前回紹介した国際条約のひとつである麻薬に関する単一条約の規制物質から大麻を除いたもの、向精神薬に関する条約の付表1に対応したもの(主に幻覚剤)をいいます。
麻薬及び向精神薬取締法の向精神薬とは、向精神薬に関する条約の付表2,3,4に対応するものでそれぞれ順番に第1種,第2種,第3種向精神薬と呼ばれています。
なお覚せい剤も付表2に含まれていますが日本では別途,覚せい剤取締法で規制されます。
気になる罰則ですが,まず対象が3つに分類されています。
まず,麻薬か向精神薬かどうか,そして麻薬がヘロインかどうかによって罰則が異なります。
ヘロインを輸出・輸入,製造した場合1年以上の有期懲役、ヘロイン以外の麻薬は10年以下の懲役です。
向精神薬を輸入、輸出、製造、製剤、小分けした場合5年以下の懲役となります。
ヘロインを製剤、小分け、譲渡、譲受、交付、所持した場合10年以下の懲役、ヘロイン以外の麻薬を製剤、小分け、譲渡、譲受、又は所持した場合7年以下の懲役、向精神薬を譲り渡し、又は譲り渡す目的で所持した者は3年以下の懲役となります。
営利目的の場合はさらに刑が加重されますが今回は省略します。
なお,麻薬や向精神薬は「薬」ですので医療目的に使用される場合もあります。
末期がん患者に鎮痛剤として投与されるモルヒネは聞いたことがある方も多いと思います。
このような場合は,麻薬及び向精神薬取締法の規制を受けないと定められています。
次回は覚せい剤取締法について解説していきたいと思います。
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覚せい剤や麻薬,向精神薬といった薬物事件でご相談を検討中の方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。
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日本における覚せい剤や麻薬の取締法を解説1
日本における覚せい剤や麻薬の取締法を解説1
~薬物犯罪~
覚せい剤や麻薬などの薬物犯罪は,一度手を染めてしまうと抜け出すのが困難な犯罪です。
違法薬物を入手するために他の犯罪に手を染めてしまうという事も珍しくありません。
違法薬物と呼ばれる薬物は,日本では覚せい剤取締法や麻薬及び向精神薬取締法といった法律でそれぞれ規制されています。
今回から数回にわたって,日本の違法薬物を取り締まる法律について解説していきます。
~日本における薬物取締法~
日本では通称「薬物四法」と呼ばれている覚せい剤や麻薬など違法薬物の取締法があります。
薬物四法とは
・覚せい剤取締法
・麻薬及び向精神薬取締法
・大麻取締法
・あへん法
をいいます。
これら4つの法律は国際的な薬物取締に関する条約である
・1961年の麻薬に関する単一条約
・1971年の向精神薬に関する条約
・麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約
の3つの条約の内容を満たすものです。
さらに上記の薬物四法に「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等に関する法律」を加えたものが、いわゆる「薬物五法」と呼ばれます。
これに加えて,シンナー・トルエンが「毒物及び劇物取締法」,危険ドラッグ(指定薬物)が「医薬品医療機器法」によって規制されています。
次回からは覚せい剤や麻薬などの違法薬物の取締法がそれぞれどのような内容になっているのかを解説していきたいと思います。
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