向精神薬輸入事件で情状酌量裁判

2019-04-26

向精神薬輸入事件で情状酌量裁判

東京都在住のAさん(40代女性)は、向精神薬を海外の違法サイトから個人輸入で購入しようとしたとして、東京空港警察署逮捕された。
Aさんには薬物犯罪の前科が多数あったことから、Aさんは身体拘束を伴う警察取調べが続いた後に、「麻薬及び向精神薬取締法違反」などの容疑で起訴されて、裁判にかけられることになった。
Aさんの家族は、なんとかAさんが刑務所に入ることは避けられるように、裁判で実刑判決を避けられるようにと考えて、刑事事件に強い弁護士に法律相談することにした。
(事実を基にしたフィクションです)

~薬物種類と犯行態様による法定刑の違い~

薬物犯罪は、薬物種類と犯罪態様に応じて、「覚せい剤取締法」「麻薬及び向精神薬取締法」「あへん法」「大麻取締法」「医薬品医療機器等法」などの各法律によって、以下のように、刑罰の法定刑が定められています。

・薬物使用事件の場合
覚せい剤使用、ヘロイン施用 →「10年以下の懲役」
麻薬施用(ヘロイン以外)、あへん吸食 →「7年以下の懲役」
危険ドラッグ使用 →「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科」

・薬物所持事件(非営利目的)の場合
覚せい剤所持、ヘロイン所持 →「10年以下の懲役」
麻薬所持(ヘロイン以外)、あへん所持 →「7年以下の懲役」
大麻所持 →「5年以下の懲役」
向精神薬所持 →「3年以下の懲役」
危険ドラッグ所持 →「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科」

・薬物所持事件(営利目的)の場合
覚せい剤所持、ヘロイン所持 →「1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科」
麻薬所持(ヘロイン以外)、あへん所持 →「1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科」
大麻所持 →「7年以下の有期懲役、情状により200万円以下の罰金を併科」
向精神薬所持 →「5年以下の懲役、情状により100万円以下の罰金を併科」

・薬物輸入輸出事件(非営利目的)の場合
覚せい剤輸入輸出、ヘロイン輸入輸出 →「1年以上の有期懲役」
麻薬輸入輸出(ヘロイン以外)、あへん輸出輸入 →「1年以上10年以下の懲役」
大麻輸入輸出 →「7年以下の懲役」
向精神薬輸入輸出 →「5年以下の懲役」
危険ドラッグ輸入 →「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又は併科」

・薬物輸入輸出事件(営利目的)の場合
覚せい剤輸入輸出、ヘロイン輸入輸出 →「無期または3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科」
麻薬輸入輸出(ヘロイン以外)、あへん輸出輸入 →「1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科」
大麻輸入輸出 →「10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科」
向精神薬輸入輸出 →「7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科」
危険ドラッグ輸入 →「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又は併科」

・業として行う規制薬物の不法輸入、譲渡譲受(麻薬特例法)
薬物種類に関わらず「無期または5年以上の懲役及び1000万円以下の罰金」

なお、違法薬物の輸入は、関税法の規制対象にもなっています。

今回の事例のような、向精神薬輸入事件においては、「麻薬及び向精神薬取締法違反」に当たるところ、本人の「営利目的の有無」によって、刑罰の法定刑は大きく変わってきます。
向精神薬輸入事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、「営利目的の有無」という争点主張の他にも、被疑者・被告人に情状酌量の余地があるとして、本人が深く反省している事情や、今後の薬物克服のための病院通院等の治療の道筋を示すことで、裁判官の情状酌量による刑事処罰の軽減や実刑判決の回避のために、裁判での主張立証活動に弁護士が尽力いたします。

向精神薬輸入事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士にご相談ください。
(東京空港警察署の初回接見費用:39,000円)