大麻事件のおとり捜査

2019-03-22

大麻事件のおとり捜査

福岡県柳川市に住むAさんはひそかに大麻を友人に販売していました。
ある日、友人から大麻が欲しいとの連絡があったためAさんはいつもの引き渡し場所に出向きました。
しかしそこにいたのは福岡県柳川警察署の警察官でした。
Aさんの友人はすでに逮捕されており、捜査官が友人と名乗って連絡していたことを知りました。
Aさんはそのまま逮捕・勾留されてしまいました。
(フィクションです)

【おとり捜査】

おとり捜査とは捜査官やその協力者が捜査をしていることを知らせずに被疑者・被告人と接触し、被疑者・被告人が犯罪行為をするのを見届け、証拠を確保するという捜査の手法です。
警察をはじめとする捜査機関は本来犯罪を抑止すべきであって犯罪が行われるのを黙って見ていて犯罪が行われてはじめて動き出すのはけしからんと思われるかもしれません。
それでは日本の法律・判例ではおとり捜査はどのように考えられているのでしょうか。

犯罪についての捜査には強制捜査と任意捜査があるとされています。
強制捜査は被疑者・被告人の意思に関わりなく、強制的に行われる捜査です。
捜索、差押え等が具体的には考えられます。
任意捜査は強制捜査以外の捜査で、主に対象者の同意を取って行われる捜査です。
職務質問の中で警察官が同意を取ったうえで持ち物を調べる場合等は任意捜査に当たるでしょう。
このように捜査は強制捜査と任意捜査に大別されますが強制捜査は人の意思に反して行われるという性質上、その人の権利を大きく制限します。
もし捜査機関が無制限に強制捜査を行えるとなると国民の権利が制約されてしまう恐れがあります。

そこで刑事訴訟法では強制捜査に関しては強制処分法定主義と令状主義を規定しています。
強制処分法定主義とは強制捜査は法律で定められた場合しか認められないというものです。
ですから、法律で定められた状況、方法といった要件を満たさなければ強制捜査はできないことになります。
令状主義とは強制捜査は裁判官もしくは裁判所の発する令状が無ければ行うことができないという原則です。
これにより、捜査機関がすぐに強制捜査を行うのではなく一度司法のチェックが入ることになり、権利の侵害が起こりにくくなります。

現在の日本の刑事訴訟法にはおとり捜査に関する規定はありません。
ですから強制処分としておとり捜査を行うことはできず任意捜査としてとらえられることとなります。
おとり捜査には機会提供型と犯意誘発型があるとされています。
機会提供型とは被疑者・被告人が既に犯罪をする意思を持っており、おとり捜査はその実行の機会を与えただけであるようなケースが該当します。
例えば、麻薬の売人に対して麻薬を買う旨を申し出る場合等です。
犯意誘発型とは捜査官の方から積極的に働きかけ犯罪をしようとする意思を惹起させる類型です。
例えば、多額の報酬と引き換えに万引きをするように働きかけることがこれにあたるでしょう。
一般に機会提供型は犯行の機会を提供しただけであるため任意捜査として許容されるのに対し、範囲誘発型は捜査官の干渉により犯罪が行われたということであるためその捜査は違法とされるべきだとされています。
もっとも具体例からも分かる通り、機会提供型と犯意誘発型は明確に二分できるものではありません。
具体例のようにすでに捕まえた共犯者等のふりをすることもあれば、新参の購入希望者を装うこと、捜査協力者を利用しておびき寄せることもあります。
捜査官の働きかけの強さの程度によってグラデーションづけられることになります。

実際判例でも機会提供型か犯意誘発型かの二分論でおとり捜査を評価しているわけではありません。
判例においてはおとり捜査の必要性、その手段の相当性等を総合的に判断しています。
必要性に関しては犯罪の内容や性質を通しておとり捜査でなければ検挙できないものであったかが判断されます。
手段の相当性に関しては捜査官の働きかけの態様が問題となってきます。

あくまで一般論ですが被害者がおらず、水面下で行われる薬物事件や密輸事件においてはおとり捜査の必要性は認められやすいと言えるかもしれません。

福岡県柳川市薬物事件おとり捜査を受けてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回の相談を無料で行っております。
福岡県柳川警察署までの接見費用:42,800円