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覚せい剤使用の疑いで緊急逮捕
今回は、覚せい剤使用の疑いで緊急逮捕されてしまった場合の刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都調布市に住むAさんは、日頃から覚せい剤などの薬物を使用するなどして、繁華街を飲み歩いていました。
ある日、警視庁調布警察署の警察官から職務質問を受けた際、真夏にも関わらず長そでの服を着用していることや、会話のやり取りがスムーズでないことを見咎められ、尿を任意提出するよう求められました。
Aさんは任意に尿を提出しましたが、簡易検査に回される際の隙を狙って逃亡しました。
なお、Aさんの尿からは覚せい剤の使用を示す反応が検出されました。
翌日、Aさんが自宅を出るとパトロール中の警察官と遭遇しました。
Aさんがやはり逃げ出したため、警察官はAさんを引き留めて身元を確認したところ、昨晩逃亡した覚せい剤使用の被疑者であることが判明しました。
Aさんは後に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕されてしまいました。(フィクションです)。
~覚せい剤使用罪とは?~
その名の通り、法定の除外事由(「覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合」や、「覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合」などが該当します)がないのに覚せい剤を使用する犯罪です。
覚せい剤取締法第19条は、同条1号~5号に掲げる場合の他、何人も、覚せい剤を使用してはならないとしています。
上記19条の規定に違反して覚せい剤を使用した場合は、10年以下の懲役が予定されています(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
~Aさんになされた緊急逮捕とは?~
緊急逮捕とは、
要件①:死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した場合
要件②:罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある
要件③:急速を要し裁判官の逮捕状を求めることができない
上記3つの要件を充足した場合に、令状なしで犯人を逮捕する手続を言います。
なお、現行犯逮捕と異なり、逮捕することができる者は①検察官、②検察事務官又は②司法警察職員に限定されます。
~緊急逮捕は適正であったか?~
Aさんの疑われている覚せい剤使用罪は最長で10年以下の懲役に処せられる犯罪類型です。
これによれば、要件①の「長期三年以上の懲役に当たる罪を犯した場合」に該当することになります。
また、Aさんが逮捕された前日に行われた簡易検査によれば、Aさんが覚せい剤を使用したことを示す反応が検出されています。
これは要件②を充足したとする理由の1つとなるでしょう。
さらに、事件翌日のAさんは警察官を認めてさらに逃亡しようとしています。
警察官もパトロール中に偶然Aさんと接触したもので、逮捕状が出るまでAさんを放っておけばまた見失ってしまうでしょう。
こうした事情から、要件③も充足されるでしょう。
上記事実関係によれば、Aさんになされた緊急逮捕は適正であったと判断される可能性が高いと思われます。
~緊急逮捕後の手続~
Aさんが逮捕された後は、取調べが行われ、令状が請求されることになります。
令状が発せられなければ釈放されることになります。
ケースの事件はもともと身体拘束が長期化しやすい類型であることに加え、被疑者であるAさんが何度も逃亡を図っています。
これによれば、Aさんに勾留がつき、長期間身体拘束をされる可能性が高くなるでしょう。
事件が起訴された後は、保釈を請求することができます。
保釈許可決定が出れば、保釈保証金を納付して外に出ることができます。
Aさんが初犯であれば、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付き判決を獲得することが見込めます。
まずは、早期に弁護士と相談し、善後策を練ることが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用の疑いで緊急逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻所持の疑いで逮捕
今回は、自宅で大麻を所持していた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
ある日、神奈川県川崎市のAさんの自宅玄関に来客があったので応対すると、多数の警察官でした。
ドアを開けると捜索差押許可状を示され、自宅の捜索が始まりました。
キッチンの食器棚に収納していた大麻が見つかったため、Aさんは神奈川県高津警察署に同行され、取調べを受けました。
取調べの後、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~大麻所持罪とは?~
大麻取締法第24条の2第1項によれば、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」とされており、大麻の所持行為が禁止されていることがわかります。
また、同条第2項によれば、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する」とされています。
Aさんが大麻を所持するに至ったきっかけ、押収された大麻の量によっては、後者の嫌疑をかけられる可能性もあります。
~逮捕後の手続~
犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受けた後、弁解を録取されます。
当番弁護士をこのタイミングで頼むこともできます。
取調べでは、大麻以外の薬物の所持など、余罪の有無についても尋ねられる可能性が高いと思われます。
ケースの大麻所持事件の捜査が終わり、釈放される場合であっても、別の件で改めて逮捕されてしまう可能性も考えられます。
~検察への送致~
取調べ後、留置の必要が認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
~勾留の判断~
勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間勾留が延長されます。
大麻所持事件をはじめとする薬物事件においては、なかなか勾留をつけずに釈放を実現することは難しいです。
多くの場合、法律上可能なすべての期間、勾留されてしまうことが多いようです。
~薬物事件の身柄解放活動~
起訴された後は、保釈を請求することができます。
「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
保釈金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。
裁判所は、保釈の請求があったときは、権利保釈の除外事由(重罪事件である、罪証隠滅のおそれがあるなど)がある場合を除き、原則として保釈を許可しなければなりません(権利保釈)。
また、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(裁量保釈)。
さらに、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求によりまたは職権で、保釈を許さなければなりません(義務的保釈)。
なお、義務的保釈は実務上、ほとんどありません。
再犯防止に努めていることをアピールするためには、専門の薬物依存治療プログラムを開始することが効果的ですが、その実現のためにはまず保釈を実現しなければなりません。
初犯の大麻所持事件においては、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が十分あります。
弁護士のアドバイスを受けながら有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚せい剤を使用して自動車を運転中に人身事故
今回は、覚せい剤を使用して自動車を運転中に人身事故を起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
埼玉県川越市のAさんは、覚せい剤を使用して自動車を運転中、その薬理作用のためハンドルやブレーキを適切に操作することができず、歩道上の歩行者Vに衝突してしまいました。
歩行者Vは軽傷を負うに留まりましたが、これを目撃したWが事故を警察と消防に通報しました。
駆け付けた埼玉県川越警察署の警察官は、Aさんの言動から薬物使用を疑ったため、Aさんから任意で尿の提出を受け、検査を行ったところ、覚せい剤の使用を示す反応が検出されました。
Aさんはその場で現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
Aさんには危険運転致傷罪及び覚せい剤使用罪が成立する可能性が高いと思われます。
加えて、自宅で覚せい剤を保管するなどしていた場合は、覚せい剤所持罪の嫌疑もかけられることになります。
(危険運転致傷罪)
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた場合は、十五年以下の懲役に、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処せられます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条1号)。
ケースのAさんは、覚せい剤の薬理作用により、ハンドルやブレーキを適切に操作することができない状態に陥っていました。
このような状態は「薬物の影響により正常な運転が困難な状態」に該当するでしょう。
その上で自動車を運転したところ、適切にハンドルやブレーキを操作することができず、よってVに自動車を衝突させ傷害を負わせてしまった、という事実関係のもとでは、Aさんに危険運転致傷罪が成立する可能性が高いと思われます。
危険運転致傷罪の法定刑は15年以下の懲役です。
(覚せい剤使用罪)
Aさんは法定の除外事由がないのに、覚せい剤を使用しています。
当然、覚せい剤の使用行為は犯罪です。
Aさんには覚せい剤の使用罪も成立することになるでしょう。
法定刑は10年以下の懲役となっています(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
(覚せい剤所持罪)
Aさんには覚せい剤を「所持」している嫌疑もかけられるでしょう。
警察が捜索差押許可状の発付を受け、Aさんの自宅を捜索することが考えられます。
Aさんの自宅から覚せい剤が発見されれば、覚せい剤所持罪を立証する証拠となりえます。
覚せい剤所持罪の法定刑も10年以下の懲役となっています(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
~今後の手続と弁護活動~
危険運転致傷罪も、覚せい剤の使用罪、所持罪も、長期間勾留され、起訴されてしまう可能性が高い犯罪類型といえます。
全ての嫌疑につき並行して捜査を行う場合は、捜査段階において最長23日間身体拘束を受ける可能性があります。
被疑事実を分けて捜査を行い、逮捕が繰り返される場合には、捜査段階における身柄拘束の期間がさらに伸びることも考えられます。
身体拘束期間が長引かないように、早期に弁護士を依頼し、逮捕を繰り返さないよう働きかける必要があります。
起訴された後は、保釈を請求することができます。
保釈許可決定が出れば、保釈金を納付し、外に出ることができます。
ただし、複数の事件に渡るため、保釈金が高額になることが予想されます。
家族だけで必要な金額を準備するのが厳しい場合は保釈保証金の支援を受けるべきでしょう。
無事に事件が解決すれば、有罪の場合であっても、保釈金は戻ってきます。
~目指す判決~
ケースの場合は、Vが軽傷を負うに留まっています。
高いハードルを越える必要はありますが、刑事弁護に熟練した弁護士の適切な弁護活動により、執行猶予付き判決を獲得できる可能性はあります。
執行猶予付き判決を獲得できる可能性を高めるためには、Vと示談を成立させ、自動車を処分し、身元引受人を用意した上で、薬物依存の治療を開始することにより、再犯防止に努めていることを裁判官にアピールする必要があります。
Aさんが二度とケースのような事件を起こさないだろう、ということを裁判官に納得してもらうことが重要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、より有利な事件解決を目指して活動していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が危険運転致傷・覚せい剤使用、所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻共同所持事件の裁判で執行猶予判決
薬物事件裁判の量刑判断について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪市西成区在住のAさん(30代男性)は、会社終わりの時間帯に、コンビニの駐車場で、会社の同僚に誘われて大麻を使用していたところを、警察官の職務質問を受け、大麻所持の容疑で現行犯逮捕された。
Aさんの身柄は、大阪府西成警察署に留置され、さらに10日間の身柄拘束が続く勾留決定が出た。
Aさんには、以前にも大麻所持容疑で執行猶予付きの判決を受けた前科がある。
今後にAさんが実刑判決を受けて、刑務所に入ることを不安に思ったAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に相談して、一度、西成警察署でのAさんとの弁護士接見(面会)を依頼し、刑事処罰軽減に向けた、今後の弁護活動対応の見通しを立てることにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~大麻所持事件の刑事処罰とは~
大麻に関わる犯罪を起こした場合には、「大麻取締法違反」に当たるとして、刑事処罰が科されます。
大麻事件の犯行態様によって、刑事処罰の法定刑は変わってくるところ、「大麻の所持・譲受・譲渡」を行ったような場合には、法定刑は「5年以下の懲役」とされています。
また、「営利目的で、大麻の所持・譲受・譲渡」を行ったような場合には、法定刑はより重くなり、「7年以下の懲役、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」とされています。
・大麻取締法 24条の2
1項「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」
2項「営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。」
3項「前二項の未遂罪は、罰する。」
大麻事件では、「罰金刑だけとなる刑事処罰」の規定はありません。
なので、もし刑事処罰を科すべき犯罪行為に当たるとして検察官から起訴されれば、公開の裁判が行われ、実刑判決を受けて刑務所に入るか、あるいは執行猶予付きの判決が出るかが、裁判上で争われる形になります。
裁判上において有利な事情を主張していくためには、事件発覚初期の段階で、警察の取調べに対して、被疑者本人が事件の経緯をどのように説明していたかの事情が、特に重要となります。
事件発覚初期の段階で弁護士に相談したり、逮捕初期の段階で弁護士を警察署に派遣して、取調べ対応の打合せをすることが、その後の裁判で刑事処罰を軽減し、執行猶予付きの判決を得るために重要となります。
~薬物事件裁判の量刑判断における考慮事情~
大麻所持事件の刑事処罰の量刑については、以下の事情が考慮されます。
・初犯かどうか、どういった薬物前科があるか
・薬物事件の余罪の有無
・大麻の常習性
・大麻の入手経路
・本人の反省意思の程度
・本人の更生、社会復帰の可能性
大麻所持事件で執行猶予付きの判決を勝ち取るためには、被疑者・被告人にとって有利な事情を、刑事事件に強い弁護士との相談のもとで、裁判上において積極的に主張していくことが重要となります。
また、被疑者・被告人のご家族の方に対する事件内容の報告や、今後の事件展開の見通しなども、弁護士の側から逐一詳細にご説明することで、ご家族の方の心配を少しでも和らげることができます。
薬物犯罪による逮捕事件では、弁護士による、事件発覚初期の取調べ対応が重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談いただければ、逮捕当日や逮捕翌日に、弁護士を被疑者本人が逮捕されている警察署へと派遣し、弁護士接見(面会)を行うことで、その後の取調べ対応をアドバイスするとともに、早期釈放や事件解決に向けた見通しを、被疑者のご家族の方に報告いたします。
大麻所持事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
薬物事件と没収
薬物事件と没収について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府貝塚市に住むAさんは、覚せい剤取締法違反(所持の罪)で大阪府貝塚警察署に逮捕、起訴され、裁判所で裁判を受け、「懲役1年6月 3年間執行猶予 覚せい剤約0.5グラムを没収する」との判決の言い渡しを受けました。Aさんは判決後、弁護士に「没収」とは何か尋ねました。
(フィクションです)
~没収とは~
没収とは、物の所有権を剥奪して国庫に帰属させる財産刑のことをいいます。
刑罰の種類について定めた刑法9条は、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」としており、没収を刑罰の一種としています。
ここでいう「主刑」とは独立に言い渡すことができる刑罰のことで、「付加刑」とは主刑が言い渡された場合にそれに付加してのみ言い渡すことができる刑罰のことをいいます。没収は付加刑ですから、判決で没収だけを言い渡すことはできず、必ず懲役や罰金等の他の刑罰と一緒に言い渡されます。
~没収の目的~
没収は刑罰の一種ですから、制裁的の意味合いがあることは間違いありません。しかし、それよりもむしろ、社会への危険・害悪の防止、犯罪組織への利得還元の防止など保安処分としての意味合いの方が濃いとも言われています。
国によって覚せい剤を没収してしまわなければ、再びそれを使うなどする人がいて社会に危険・害悪をもたらしかねないからそれを没収してしまおうというわけです。
没収とよく混同される言葉として「押収」があります。「押収」とは、捜査機関が、対象者から任意で物の提出を受けたり、強制的に物を差し押さえたりする場合のことです。他方、「没収」は刑罰の一種で、裁判官しか言い渡すとこができません。また、「押収」は一時的に物の占有を取得したにすぎず、所有権を放棄しないかぎりのちのち還付(返却)されますが、「没収」は所有権を剥奪することなので永久的に手元に戻ってくることはありません。
「没収」は法的には「押収」されていないものでも対象とすることはできますが、実務では、「押収」されているものに限り「没収」の対象としているようです。
~「没収」には「必要的没収」と「任意的没収」~
「没収」には、必ず没収すべき「必要的没収」と、裁判官の裁量に委ねられる「任意的没収」の2つに分けられます。
必要的没収については刑法、又は特別法に規定されています。刑法に規定されている必要的没収は、賄賂の没収(刑法197条の5)です。薬物事件に関するものとしては、
・麻薬(麻薬及び向精神薬取締法69条の3第1項)
・大麻(大麻取締法24条の5第1項)
・覚せい剤(覚せい剤取締法41の8第1項)
などがあります。
これらの者は、必ず没収することとしないと、新たな犯罪を生み出すことにもなりかねず社会に害悪をもたらす危険が大きいことから必要的没収とされています。必要的没収を看過してこれを科さない判決が言い渡された場合は、法令適用の誤りとして控訴理由となります(刑事訴訟法380条)。
任意的没収については刑法19条に規定されています。
刑法19条1項 次に掲げる物は、没収することができる。
1号 犯罪行為を組成した物(偽造文書行使罪における偽造文書、賭博罪における賭金、無免許運転における自動車など)
2号 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物(文書偽造の用に供した偽造の印章、殺人に用いた日本刀、住居侵入・窃盗のために使用した懐中電灯など)
3号 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物(犯罪によって生じ→通貨偽造罪における偽造通貨、文書偽造罪における偽造文書など/これによって得た物→賭博に勝って得た財物、財産犯罪によって領得した財物など/犯罪行為の報酬として得たもの→殺人の依頼に応じて殺人を行ったことによって得た報酬金、窃盗幇助の謝礼として得た財物など)
4号 前号に掲げる物の対価として得た物(盗品等の売却代金、窃盗犯人が盗んだ現金で買ったものなど)
1号によると、無免許運転した際の自動車も没収される可能性はあるわけですが、保管のため(保管は検察庁がすることになるかと思います)のスペースを確保することが難しいと思われますし、手間も労力がかかります。また、日常生活の交通手段ともなっており、免許停止期間や欠格期間が経過して免許を取得すれば再び運転することができるわけですから、実務では没収されることはまずありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件を起こしお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
覚せい剤を営利目的で輸入し逮捕
今回は、覚せい剤を営利目的で輸入し、逮捕されてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
兵庫県姫路市のAさんは、外国において現地の者から覚せい剤を受け取り、飛行機にて日本に戻ったところ、持っていた覚せい剤が税関の職員に発見され、通報を受けて駆け付けた警察官に逮捕されてしまいました。
Aさんが覚せい剤を日本に持ち込んだ目的は、知り合いである薬物の売人に同覚せい剤を売り渡し、報酬を得るためでした。
押収された覚せい剤は1.5キログラムあります。
Aさんは今後どうなってしまうのでしょうか(フィクションです)。
~Aさんに成立する犯罪~
覚せい剤取締法違反(覚せい剤の営利目的輸入)の罪、及び、関税法違反(輸出入してはならない貨物の密輸出入の未遂)の罪が成立する可能性が高いと思われます。
近年、著名人が禁止薬物を所持、使用するなどして逮捕された、というニュースが世間の耳目を集めています。
しかし、事件解決までニュースを追うと、多くの場合において保釈許可決定がなされ、有罪判決を受ける場合であっても、その執行が猶予されていることがわかります。
禁止薬物の所持・使用の動機が、単に自身で使用するためであり、かつ、初犯であれば、保釈許可決定を獲得できる可能性、また、執行猶予付き判決を獲得できる可能性は十分あるといえます。
それでは、ケースにおいてAさんが起こした事件についても同様に、保釈許可決定、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高いといえるでしょうか。
結論からいえば、保釈許可決定が出る可能性は低く、実刑判決を受ける可能性がかなり高いと言わざるを得ません。
Aさんの起こした事件は薬物犯罪の中でもかなり悪質な部類であり、法定刑においても非常に重い刑罰が予定されています。
以下、Aさんに成立しうる犯罪がどのようなものかみていきましょう。
(覚せい剤の営利目的輸入罪)
覚せい剤を営利の目的でみだりに輸入すると、覚せい剤の営利目的輸入罪が成立します(覚せい剤取締法第41条2項)。
法定刑は「無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金」となっています。
「営利の目的」とは、当該犯罪行為の動機が単に財産上の利益を得る目的をもってなされたものでよく、一回限りのものでも差し支えありません。
Aさんは知り合いの売人から報酬を得るために覚せい剤を輸入していることから、「営利の目的」があったと認定される可能性が高いでしょう。
「輸入」とは、一般的には国外から国内へ物品を搬入することと解されますが、航空機によって薬物を輸入する場合は、着陸した航空機から覚せい剤を取り下ろすことによって既遂に達するものと解されます(最高裁昭和58年12月21日決定)。
ケースの場合は、既に覚せい剤の入ったAさんの荷物が取り下ろされ、税関検査を受けていた、ということなので、Aさんに覚せい剤の営利目的輸入罪の既遂犯が成立する可能性が高いと思われます。
なお、覚せい剤の営利目的輸入行為は、未遂犯も処罰されます。
(関税法違反の罪)
関税法第69条の11第1項1号によっても、覚せい剤の輸入行為が禁止されており、これに違反し有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることになります(関税法第109条第1項)。
本罪も未遂犯が処罰されます。
税関空港を経由して覚せい剤を輸入する場合は、通関線を突破した際に本罪の既遂犯が成立します。
Aさんの持ち込んだ覚せい剤は税関検査の段階で止められているので、通関線を突破しなかったものと思われます。
したがって、関税法違反の点については未遂に留まる可能性が高いでしょう。
~Aさんに必要な弁護活動~
起訴された場合、Aさんが持ち込んだ覚せい剤の量などを考慮すると、実刑を前提とした厳しい判決が予想されます。
Aさんを監督する身元引受人の用意、贖罪寄付を検討するなどの弁護活動を通じて、より軽い判決の獲得に向けて行動する必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤を営利目的で輸入した疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
クラブで友人にMDMAを譲渡し逮捕
MDMAを譲渡した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~今回のケース~
福岡県宗像市に在住のAさん(30歳)は、宗像市内で音楽プロデューサーをしています。
ある日、Aさんは宗像市内のクラブでイベントを開催し、その際、友人のBさん(30歳)に合成麻薬MDMAを若干量譲渡しました。
数週間後、そのMDMAを使用していたBさんが逮捕されました。
そして、Bさんの交友関係を捜査した福岡県宗像警察署の警察官によって、Aさんは麻薬取締法違反の疑いで、逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~問題となる条文~
〇麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法) 第12条1項
ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチ ルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。ただし、麻薬研究施設の設置者が厚生労働大臣の許可を受けて、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄する場合及び麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて、研究のため、製造し、製剤し、小分けし、施用し、又は所持する場合は、この限りでない。
麻薬及び向精神薬取締法(いわゆる麻薬取締法)によれば、厚生労働大臣によって許可を受けている人を除いて、「ジアセチルモルヒネ等」等を譲渡や所持をすることが禁止されています。
MDMAも「ジアセチルモルヒネ等」にあたる麻薬なので、この条文が適用されることになります。
~罰則~
〇麻薬取締法 第64条の2
ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、10年以下の懲役に処する。
今回のケースでは、AさんはBさんにMDMAを譲渡しているので、上記の条文が適用されます。
そのため、起訴されて有罪判決が確定すると、「10年以下の懲役」が科せられることになります。
~今回のケースのような場合における弁護活動~
薬物事件では、事件に関係する仲間と接触によって証拠隠滅が行われることを疑われるため、逮捕されてしまうと、そのまま勾留される可能性が非常に高いです。
また、ご家族の方を通じての証拠隠滅の可能性もあるため、ご家族の方でさえ接見(面会)を禁じられる場合が多いです。
そこで、ご家族の方から初回接見を依頼することをおすすめします。
初回接見を依頼することで、経験と知識が豊富な弁護士を、身体拘束を受けている方の下へ一度だけ派遣することが可能です。
初回接見では、ご家族の方が接見を禁じられていたとしても、弁護士には接見禁止の制限がないため、身体拘束を受けている方と自由に面会ができます。
また、弁護士は、今後の対応について話し合ったり、ご家族の方の伝言を伝えたりすることで、身体拘束を受けている方の精神的なサポートを行うことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、福岡県の麻薬取締法違反など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
大麻事件の法律相談
薬物事件に強いと評判の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、このような、ご家族が薬物事件に関与していることを知った方からの法律相談が絶えません。大麻事件の警察の捜査について解説します。
◇大麻事件に関する法律相談◇
私には大学4回生(22歳)の息子がいます。
先日、息子が朝帰りをした際に様子がおかしかったので追究すると、クラブで知り合った人から大麻を譲ってもらって、一緒に吸ったことが判明しました。
息子を問い質すと、これまでも何度か大麻を吸った経験があるようで、大麻を吸うのに使用する器具を持っていました。
息子は、私と二度と大麻を吸わないことを約束し、自ら器具を廃棄しましたが、私は、今後、警察等によって息子が逮捕されるか不安です。
息子は、この春に就職が内定しているので、絶対にそのような事態を避けたいと考えていますが可能でしょうか?
(フィクションです。)
◇警察が取り締まる大麻事件◇
大麻取締法では、大麻の所持、譲渡、栽培、輸出入等が禁止されており、これらの違反を警察が取締っています。
覚せい剤取締法では覚せい剤の使用を禁止し、罰則規定が設けられていますが、大麻取締法では大麻の使用を禁止した条文がないのが特徴です。
また、大麻取締法で禁止されているそれぞれの違反形態には、非営利目的と営利目的があり、罰則規定が異なります。
◇大麻事件の警察捜査◇
~所持事件~
大麻の所持事件は、警察官の職務質問や、交通違反等によって発覚する事件がほとんどです。
警察で薬物捜査を担当した経験のある元警察官によると「大麻の単純な所持事件は、職務質問等で発覚するケースがほとんどです。大麻の臭いは特徴的なので、職務質問や交通違反の取締りの際に車の中から、大麻の特徴的な臭いがすれば徹底的に車内を検索して大麻を見つけます。そして大麻があればその場で現行犯逮捕です。」とのことです。
このようにして事件が発覚する他に、密告等によって大麻所持の疑いがある者に対しては、警察が長期間に及ぶ内偵捜査を行い、その後関係先に対して捜索差押(いわゆる「ガサ」)が行われることによって発覚する事件もあります。
この捜索差押によって大麻が発見された場合も、大麻の所持罪で現行犯逮捕されるのですが、このようにして発見押収された大麻が大量であった場合は、営利目的を疑われます。
押収された大麻量が多かったり、大麻を密売して利益を得ていたことが立証された場合等は、営利目的と認定されることがあるのです。
非営利目的の大麻所持罪の法定刑は「5年以下の懲役」ですが、営利目的の法定刑は「7年以下の懲役(情状によっては200万円の罰金が併科される場合もある)」と厳しいものです。
~譲受事件~
大麻の譲渡罪は、先に大麻の所持罪で逮捕された者が、取調べにおいて「●●さんから入手した。」と供述することによって発覚する事件が大半です。
警察は、この供述に対する裏付け捜査を行います。
大麻の受け渡しの際に携帯電話で連絡を取り合っていた場合は、携帯電話の通話記録を調べたり、受け渡し場所やその周辺に設置された防犯カメラの映像を確認したりするのです。
そして、この供述を裏付けるだけの証拠がある場合は、大麻の譲渡罪で逮捕されることがあります。
そして譲渡罪で警察の捜査を受ける場合も、関係際を捜索差押されることになります。
もし捜索差押で大麻が発見された場合は、譲渡罪とは別の大麻の所持罪にも問われることとなります。
譲渡罪も、非営利目的と営利目に別れており、それぞれの法定刑は所持罪と同じです。
◇薬物事件の弁護活動◇
大麻事件の警察の捜査を一部ご紹介しましたが、弊所の無料相談をご利用された方のほとんどが気にしているのが、警察に逮捕された場合の弁護活動の内容です。
傷害事件や、窃盗事件等、被害者が存在する事件では、その被害者と示談(和解)することで刑事罰を免れる可能性が非常に高くなるので、刑事弁護活動は被害者との示談交渉が主となります。
しかし薬物事件の場合、被害者が存在しないため、その様な弁護活動を行うことができません。
そのため、少しでも刑事罰を軽くする為の弁護活動の一つとして更生に向けた取組があります。
薬物事件は再犯率が高いことで知られていますが、病院で治療を受けたり、専門家のカウンセリングを受けることで、薬物への依存を軽減できると言われており、これらに取組むことが、裁判では更生に向けて意欲的であると評価され、刑事罰の軽減につながります。
東京都葛飾区の薬物事件でお困りの方、ご家族の薬物事件でお悩みの方は、大麻事件の法律相談を無料で承っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚せい剤を譲り受けた疑いで逮捕
今回は、覚せい剤を譲り受けた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都西東京市に住むAさんは薬物の常習者です。
隣町に出没する薬物の売人からしばしば覚せい剤を購入しており、収入の大半をその代金に費やしています。
ある日、Aさんの自宅に警察官が現れ、警視庁田無警察署へ同行を求められました。
取調べでは、売人から薬物を買ったことはないかと執拗に尋ねられました。
当初は黙秘していましたが、いつも薬物を買っている売人が逮捕され、顧客リストからAさんが浮上したことを告げられると、覚せい剤の譲り受けを認めました。
Aさんは覚せい剤取締法違反の疑い(譲り受け)で緊急逮捕されてしまいました(フィクションです)。
~Aさんは今後どうなるか?~
覚せい剤をみだりに譲り受け、有罪が確定すると、10年以下の懲役に処せられます(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
ケースの場合においては、Aさんの自宅が捜索され、余罪の証拠が見つかれば(覚せい剤その他の薬物を所持しているなど)、その件でも捜査されるでしょう。
ケースにおいては、尿検査を求められる可能性が高いです。
Aさんの尿から覚せい剤の使用を示す成分が検出されれば、覚せい剤の使用についても捜査されることになると思われます。
覚せい剤の「譲り受け」、「所持」、「使用」の嫌疑をかけられてしまうと、それぞれの件について逮捕・勾留、釈放を繰り返し、身体拘束が長期化する可能性があります。
具体的には、ケースの「譲り受け」について逮捕・勾留した後、勾留期限日に釈放し、直ちに予め用意していた「所持」又は「使用」の逮捕状を執行する、という方法になると思われます。
上記の全ての件で逮捕・勾留されると、捜査段階で2か月以上の身体拘束を受けることになります。
上記のような嫌疑をかけられた場合には、まとめて捜査を遂げて起訴し、逮捕を繰り返さないよう、弁護士に働きかけてもらうことが大切です。
~保釈を目指す~
捜査機関が捜査を遂げ、Aさんが起こした事件が明らかになれば、起訴後に保釈される可能性があります。
起訴した当日に保釈が許されることもあります。
起訴された後は、公開の法廷で裁判を受けることになります。
Aさんが初犯であれば、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付き判決を獲得できる可能性があるでしょう。
そのためには、Aさんが再び薬物犯罪に手を染めないであろうということを、裁判官に納得してもらう必要があります。
そのためには、保釈後、薬物依存の治療プログラムを受けたり、信頼できる身元引受人に保釈中の生活について法廷で証言してもらうなどして、再犯防止に努めていることをアピールすると効果的です。
(保釈とはどういう制度か?)
保釈とは、保釈保証金の納付を条件として、Aさんの勾留を解く手続です。
保釈許可決定が出ると、保釈保証金を支払うことにより、外に出ることができます。
支払った保釈保証金は、無事に事件が解決すれば返ってきます。
保釈保証金を用意できない場合は、立て替えてもらえる機関も存在するので、弁護士に相談してみましょう。
反対に、保釈中に逃亡したり、罪証隠滅行為を行うなどすると、保釈が取り消され、納付した保釈保証金を没取されてしまうおそれがあります。
保釈を実現した後は、自省を深め、うかつな行動をとらないよう気をつける必要があります。
~執行猶予付き判決の獲得~
言うまでもなく、ケースにおいてAさんが行った犯罪は許されるものではありません。
しかし、Aさんが初犯であることが前提ですが、執行猶予付き判決を獲得しやすい部類の犯罪ともいえます。
執行猶予付き判決を獲得できれば、そのまま日常生活に戻ることができます。
薬物依存の克服は険しい試みと思われますが、周りのサポートを受けながら、二度と薬物に手を出さないように努めていくことが大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤取締法違反事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚せい剤所持で逮捕
覚せい剤所持事件の逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~ 事例 ~
Aさんは神奈川県相模原市の路上を歩いてたところ、前方から来た神奈川県相模原警察署の警察官から職務質問と所持品検査を受けました。その結果、Aさんの右ポケット内からパケ入りの白色粉末を発見されてしまいました。そして簡易検査の結果、陽性であることが判明したことからAさんは覚せい剤取締法違反(所持罪)で現行犯逮捕されました。
(フィクションです。)
~ 田代まさしさん逮捕が物語る薬物のおそろしさ ~
昨年、田代まさしさんが再び覚せい剤取締法違反(所持罪)で逮捕されました。
田代まさしさんは、薬物依存症をテーマとしたNHKの番組に出演するなど薬物依存から脱却しようという姿勢が見えていただけに非常に残念です。
田代さんは、2000年に盗撮(東京都迷惑行為防止条例違反)で書類送検されたことをきっかけに、4度、薬物事件で逮捕され、今回の逮捕が5度目となります。
このことからも、いかに薬物がおそろしい薬かお分かりいただけると思います。
また、体に対する薬物のおそろしさだけがピックアップされているようですが、薬物は社会的にもとても害を及ぼすものです。
薬物を使用するということは、その裏には薬物を作ったり、売ったりする人間がいることを意味します。そして、そこで得られたお金は暴力団などの反社会的勢力の資金源となって新たな犯罪、新たな犯罪被害者を生み出しかねません。また、薬物使用によって暴力的になり暴行、傷害、殺人など暴力事犯や危険運転など起こして死傷者を出すなどの悲惨な交通事故を引き起こす危険が高くなります。
薬物には使った本人の体をむしばみその人の人生を破壊することはもちろん、社会にとっても害であることをぜひ忘れないでいただきたいと思います。
~ 覚せい剤取締法 ~
覚せい剤取締法で禁止している覚せい剤の所持には、①単純(非営利目的)所持と②営利目的所持の2種類があります。
①の法定刑は「10年以下の懲役」です。他方、②の法定刑は「1年以上の有期懲役又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金」で、①よりさらに重たくなっています。
「所持」とは、「事実上の実力支配関係」とも言われています。すなわち、自分が直接手にしている必要はなく、社会通念上本人の実力支配、管理の及ぶ場所に保管していればいいとされています。ある日、突然、警察のガサが入り、自宅部屋のタンス内から覚せい剤を押収されたとき、覚せい剤(所持の罪)で逮捕されるのはこのためです。
営利目的とは、覚せい剤を所持する動機が財産上の利益を得る、ないしはこれを確保する目的に出たことをいうとされています。本人が営利目的を有していたかどうかは、専ら本人の内心に関わる事情ですから、営利目的があったか否かは、
・覚せい剤を所持する量
・所持の態様
・覚せい剤以外の押収品の内容
などから判断されます。
~ 薬物事件の特徴 ~
覚せい剤事件をはじめとする薬物事件の場合、高い確率で逮捕・勾留されます。
薬物事件の場合、覚せい剤の入手(輸入等)→売却→譲り受け(譲り渡し)→使用という一連の流れを踏み、その過程には多くの関係者が関与しています。にもかかわらず、その関与者全員が検挙されることは稀です。したがって、たとえ特定の犯人を検挙できたとしても、他の未検挙者と通謀するなどして罪証隠滅行為をすると疑われてしまう可能性が高いのです。
そのため、薬物事件では、勾留によっては罪証隠滅行為を防止できないとして接見禁止決定を出されることが多いと思われます。接見禁止決定とは、弁護人あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁止する決定を言います。
~ 薬物から脱却するには周囲のサポートが不可欠 ~
一度薬物に手を染めてしまった場合、その状態から脱却することは容易ではありません。
ご家族のサポートがあっても難しいでしょう。
ですから、ご家族以外の専門家の助言、サポートを受け、適切な治療を受けることが必要です。
弁護士はそのためのお手伝いをさせていただきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
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