大麻所持罪で無罪主張

2019-04-06

大麻所持罪で無罪主張

事例:Aが自宅において大麻を所持しているとの情報得た警察官Kは、この供述をもとに作成した調書を資料として、捜索差押許可状(令状)を請求し、これによってA宅を捜索した。
その結果、A宅から大麻1グラムが見つかったことから、大阪府住吉警察署の警察官Kは、Aを大麻取締法違反(大麻所持罪)の容疑で現行犯逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~大麻取締法と大麻所持罪~

Aは、大麻を所持していた疑いで現行犯逮捕(刑事訴訟法213条)されてしまっています。
大麻取締法は、大麻の不正取引や不正使用等の防止を目的とするものであり、医療用途での使用も禁止されています。
この点、大麻取締法は3条1項において「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」とし、譲渡や譲受とともに単純所持も禁止の対象としています。
本件における大麻所持罪は、大麻取締法24条の2第1項によって「5年以下の懲役」が刑罰として科される可能性があります。

~違法捜査に対する無罪主張(違法収集証拠排除法則)~

無罪主張といっても、有罪であることを立証する責任があるのはあくまで検察官であり、被疑者・被告人(および弁護士)が無罪を証明する必要はなく、検察官の有罪立証を攻撃・弾劾することが無罪主張の主眼となります。
刑事訴訟法317条は「事実の認定は、証拠による」ものとしており、検察官の立証の核となるような証拠が排除されることになれば有罪の立証は困難になると考えられます。

この点、証拠排除に関する法則として、刑事訴訟法上に明文こそありませんが、判例上確立した考え方として、違法収集証拠排除法則があります(最判昭和53年9月7日等参照)。
これは、(捜査官等の証拠収集手続に)令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、将来における違法捜査の抑制の見地からして相当でない場合には、これを上記刑訴法317条のいう「証拠」として許容しないという考え方です。

上記排除法則を適用し証拠排除を認めた最高裁判例はわずかしか存在しませんが(最判平成15年2月14日等)、近年では下級審において証拠排除を認める裁判例が増えつつあるのが現状です。
例えば、本件のような大麻所持罪における証拠たる大麻の捜索・差押えが、捜査官によって作成された虚偽の供述調書を資料として請求・発付された捜索差押許可状(令状)に基づいてなされた場合など(横浜地決平成28年12月12日参照)、令状主義の精神を没却するような重大な違法があり、これを証拠として許容することが将来の違法捜査抑制の見地から相当でないといえる場合には、当該違法捜査によって得られた証拠は排除されることになります。
このように、有罪立証の核となる差押えられた大麻が証拠として採用できない場合、被疑者・被告人の有罪を証明することはできなくなり、無罪となり得るのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻取締法違反事件を含む薬物事件といった刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
我が国の刑事司法ではハードルの高いと言われている無罪主張を含め、依頼者様にとっての利益を最大化するための弁護活動を行ってまいります。
弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて、大麻取締法違反事件等で逮捕されてしまったご家族のお問い合わせを24時間態勢で受け付けております。
逮捕された方への、刑事事件専門の弁護士による直接の面会(初回接見)サービス等、担当者が分かりやすく丁寧にご案内いたします。
大阪府住吉警察署への初回接見費用36,800円