大麻所持事件の弁護活動

2020-02-16

今回は、大麻を所持していた疑いで逮捕されてしまった事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

東京都立川市に住むAさんは、自宅で大麻を所持しており、時々巻紙に巻いて燃焼させ、煙を吸入するなどして使用していました。
ある日、警視庁立川警察署の警察官らが自宅に現れ、捜索差押許可状を示した後、Aさんの自宅の捜索を始めました。
その結果、机の引き出しの中に入れていた大麻が発見されたので、Aさんは大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました(フィクションです)。

~大麻所持の罪について解説~

大麻所持の罪は、その名の通り、大麻を、みだりに所持する犯罪です。
Aさんが「大麻取扱者」などの地位にあれば、大麻を所持することが法律上許容されますが、Aさんにはそのような事由がないので、自宅の机の引き出しの中に大麻を保管するなどしていれば、大麻所持の罪が成立することになります。
大麻所持の罪の法定刑は5年以下の懲役となっています(大麻取締法第24条の2第1項)。
なお、Aさんは大麻を巻紙に巻いて火をつけ、煙を吸引するなどしていますが、このような「使用」行為は罰せられません。

~逮捕後の刑事手続を解説~

逮捕されると、警察署に連れて行かれ、犯罪事実の要旨の告知、弁護人選任権の説明、弁解録取がなされます。
同じタイミングで、指紋の採取、写真撮影が行われます。
また、当番弁護士を依頼することもできます。

弁解録取のタイミングや、取調べにおいては、黙秘権が保障されています。
もっとも、ケースの場合は大麻を現に自宅で発見された結果、逮捕されているので、黙秘しても起訴される可能性が高いものと考えた方が良いでしょう。
一方で、不合理な否認を続けると、反省の態度が見られないと評価され、処分が重くなる(不起訴になるところが起訴される、量刑が重くなるなど)ことが考えられます。

ケースの事件では、逮捕後、留置される可能性が極めて高いと思われます。
留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致しなければなりません。

送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めなければなりません。
ケースの事件において、捜索、逮捕、取調べなどの手続に特に違法な点がなければ、おそらく勾留請求をされることになるでしょう。

勾留請求は裁判官に対して行います。
裁判官が勾留の要件を審査し、勾留可能と判断した場合には、勾留決定が出されます。
勾留決定が出ると、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
さらに、やむを得ない事由があると認められると、勾留が最長10日間延長されます。

~起訴された場合~

起訴されると、保釈を請求することができます。
保釈が許可されれば、外に出ることができます。
被害者が存在する刑事事件においては、被害者に生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることによって、より軽い処分の獲得を目指す活動が想定されます。

しかし、大麻所持事件においては、窃盗事件や傷害事件のような被害者は存在しないので、「被害者と示談交渉をする」という活動が想定されません。
ケースのような薬物事件においては、保釈を実現し、薬物依存の治療プログラムを開始することにより、再犯のおそれがないことをアピールし、より軽い処分の獲得を目指すことが考えられます。
勾留された状態では、薬物依存の治療プログラムを受けることができません。
したがって、一刻も早い保釈を実現する必要があるのです。

また、弁護士会などの団体に寄付を行い、反省の意思を示す「贖罪寄付」が有効な場合もあります。
より軽い処分の獲得のために、弁護士のアドバイスを受けながら活動していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。