大麻で即決裁判

2020-02-06

~事例~

埼玉県春日部市に住むAさんは、ライブ会場で密売人から大麻を買い、それをポケットの中に入れていたところ、自宅に帰る途中で、埼玉県春日部警察署の警察官から職務質問を受けました。そして、所持品検査などの結果、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)で逮捕されてしまいました。Aさんは、購入先については黙秘したものの、好奇心から自分で購入したことを認め反省している様子です。Aさんには前科・前歴はなく、もちろん逮捕されたのは初めてです。接見した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は検察官の即決裁判の申し立てに同意しました。

~ 大麻について ~

大麻取締法は、大麻の栽培、輸入、輸出、所持、譲り受け、譲り渡しなどの行為の他、犯罪に必要な資金や場所、原材料を提供する行為などについて、罰則を科しています。
大麻の使用について、覚せい剤取締法などと異なり、刑罰が規定されていません。
もっとも、使用に近接して大麻を所持していたり、譲り受けていたりするため、それらの行為で処罰される可能性は十分あります。

所持、譲り受けの罰則は、

単純(営利目的以外):5年以下の懲役
営利目的:7年以下の懲役又は情状により200万円以下の罰金併科

です。

~ 即決裁判 ~

即決裁判とは、一定の事件について、事案が明白かつ軽微であって、証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに、原則、1回の審理で判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。

即決裁判を受けるメリットとしては、
1 審理は申立て後、原則、14日以内に開かれ1回で終わること
2 必ず執行猶予判決を言い渡されること(実刑判決は言い渡されない)
3 1、2に関連し、審理当日(判決当日)に釈放され、早期の社会復帰が可能となること
などが挙げられます。

他方、デメリットとしては
1 必ず有罪判決が言い渡されること
2 量刑不当を理由に控訴できるが、事実誤認を理由とする控訴はできないこと
などが挙げられます。

即決裁判を受けるまでの流れは以下のとおりです。

逮捕→勾留→捜査→検察官から即決裁判を受けるかどうかの同意を求められる→同意書にサインする→弁護人も同意する→検察官の即決裁判申し立て(起訴)→即決裁判

~ 薬物事件と即決裁判 ~

大麻所持の法定刑は5年以下の懲役ですので、本件は即決裁判対象事件となります。
また、大麻の所持量が比較的少量であること、Aさんに前科がないこと、Aさんが事実を認めていることに鑑みれば、本件が即決裁判に付される可能性は十分あります。検察官が即決裁判の申立てをする場合は、被疑者の同意が必要です。
また、即決裁判には上記のようなデメリットがあるため、弁護人の同意も必要とされています。
さらに、即決裁判は、弁護人がいなければその審理を開くことができません。

即決裁判は起訴から2週間以内に開かなければならないとされており、原則1回の裁判で終了します(判決まで言い渡されます)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
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