大麻栽培で逮捕
大麻栽培で逮捕
大麻栽培で逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
京都府木津川市に住むAさんは,自宅の庭に野菜畑を所有しており,そこで採れた野菜を近所の住人に無償で譲り渡したりしていた。
ある日近所の住人Bさんが,Aさんから野菜の育て方を教わるために野菜畑を見学していたところ,野菜畑の中に「春菊」と書かれた立て札があるのを見つけた。
しかし,そこに栽培されていたものの形状が明らかに春菊ではなかったことから,不審に思ったBさんは,後日警察を呼んで確認したところ,「春菊」と書かれた立て札がある場所に栽培されていた草が大麻草であることが発覚した。
発覚後すぐに,Aさんは,無許可で大麻を栽培したとして,大麻取締法違反の罪で京都府木津警察署に逮捕されてしまった。
(上記の事例はフィクションです)
~大麻取締法~
大麻取締法第3条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し,栽培し,譲り受け,譲り渡し,又は研究のため使用してはならない。
大麻取締法第24条 大麻を,みだりに,栽培し,本邦若しくは外国に輸入し,又は本邦若しくは外国から輸出した者は,七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は,十年以下の懲役に処し,又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は,罰する。
大麻取締法第24条の2 大麻を,みだりに,所持し,譲り受け,又は譲り渡した者は,五年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は,七年以下の懲役に処し,又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は,罰する。
このように,大麻取扱者以外の者が,大麻の栽培を行った場合には,7年以下の懲役に処せられ,営利目的での栽培の場合には,10年以下の懲役,又は情状により10年以下の懲役と300万円の罰金の両方が科されることになります。
「大麻取扱者」とは,「大麻栽培者及び大麻研究者をいう」(大麻取締法2条1項)と規定されており,「大麻取扱者」になるためには,厚生労働省令の定めるところにより,都道府県知事の免許を受けなければならないと定められています(同法5条1項)。
上記事例のAさんは,都道府県知事の免許を取得していない以上,「大麻取扱者」にはあたりません。
「栽培」とは,種をまいてから収穫までの育成行為をいいます。
播種を行った時点で実行の着手が認められ,栽培の未遂として処罰の対象となります。
その後発芽した時点で栽培の既遂に達し,大麻を刈り取るまで犯罪は継続すると解されています(継続犯)。
なお,大麻取締法違反は,実行の着手の前段階,つまり種子や栽培道具を提供するといった協力行為についても処罰の対象としており,「3年以下の懲役」という罰則が設けられています(24条の6)。
また,業として栽培を行っていたとされた場合,無期又は5年以上の懲役及び1千万円以下の罰金という非常に重い処罰を受けることになります(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為等を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(麻薬特例法)5条2号)。
大麻取締法は,大麻の単純使用については罰則規定がなく,大麻を吸う行為そのものは処罰されないといえます。
大麻の使用が禁止されていないのは,大麻が医薬品や研究の用途などに広く使われており,自然界に自生しているからです。
もっとも,大麻を所持したり譲り受けたりせずに大麻を使用することは不可能ですので,実際は,所持や譲り受け行為を認定されてしまうことになります。
大麻については,日本でも合法化のための運動などがなされていますが,少なくとも現段階では,日本国内に合法の大麻は存在しません。
大麻所持の罪などで有罪となってしまった場合であっても,どれだけの量をどれだけの期間栽培していたのかなどケースにもよりますが,初犯であれば営利目的がなかったり業として行っていたとはいえない場合,執行猶予が付く可能性が十分にあります。
そのため,弁護士を選任して積極的に弁護活動を行うことが重要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,薬物犯罪において行われる捜査について深い知識や経験をもつ弁護士が在籍しています。
弊所では24時間,無料相談及び初回接見のご依頼を受け付けておりますので,0120-631-881までお気軽にお電話ください。