所持品検査でコカインが見つかり逮捕

2019-06-20

所持品検査でコカインが見つかり逮捕

~ケース~

警察官Pは、「福岡県福岡市南区周辺において薬物売買が行われている」との情報を得て、周辺をパトロールしていたところ、暴力団風の男Aを発見した。
Pは、が挙動不審な様子でPを見て逃走しようとしたことから、Aに対し職務質問を開始することとした。
Aは、Pの「ここで何をしているのか」等の質問に対し一向に解答しようとせず、任意での所持品検査にも応じようとはしなかった。
Aは、Pの再三の所持品検査の要求を拒み続け、「俺は帰る」と言ってその場を離れようとした。
そのため、Pは、Aの進路を妨害し、無理矢理Aのズボンのポケットに手を入れ、そこに入っていたコカインの袋を取り出した。
これによって、Aのコカインの所持が発覚し、PはAをコカイン所持の容疑で現行犯逮捕した。
(上記のケースはフィクションです)

~コカインについての刑事罰~

コカインには、覚せい剤と同じ様に神経を興奮させる作用を有しており、気分の高揚、眠気や疲労感がなくなったように感じさせるという効果を有しています。
コカインの乱用を続けた場合、幻覚等の症状が現れたり、多量摂取をしてしまうと、呼吸困難により死亡してしまう恐れがあり、コカインは大きな危険の伴う薬物であるといえます。

そのため、コカインの所持・使用・製造・輸出入・譲渡・譲受等の行為については「麻薬及び向精神薬取締法」によって厳しく処罰されています。
輸入・輸出・製造・栽培については、営利目的がなくとも、1年以上10年以下の懲役に処せられる可能性があります。

自己使用で営利目的のない所持の場合であっても、法定刑は「7年以下の懲役」と非常に重い刑罰となっています。
過去の量刑でみてみると、1年6か月~2年程度の懲役及び3年程度の執行猶予となることが多いようです。
そのため、コカインの所持等で逮捕された場合、出来るだけ早い段階に弁護士に相談・依頼し、適切な弁護活動をしてもらうことで、減刑を目指していくことが重要です。

~職務質問に伴う所持品検査~

覚せい剤コカイン等の薬物所持が疑われる場合、警察官にかばんやポケット内の所持品を出してくれるよう、所持品検査を求められることがあります。

職務質問については、警察官職務執行法2条1項に基づいてなされます。同法は所持品検査については規定していませんが、職務質問に附随するものとして認められています。所持品検査も職務質問と同様、原則として、相手方の同意がある(=任意)場合にのみ認められることになります。
そのため、これらを拒否したからといって、法的に処罰されることありません。

ただ、相手方の同意がなければ所持品検査が全く許されないとすると、職務質問の効果が上がらず捜査に支障が出る可能性があります。
そこで、最高裁判所は以下のように判断しています。

「捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、所持品検査の必要性、緊急性、これによつて侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度で許容される場合がある」

つまり、所持品検査の必要性や程度によっては、対象者の同意がなくとも許される場合があるということです。
もっとも、警察官が勝手にカバンを開けて中を探ったり、ポケットの中に手を入れたりすることは、もはや所持品検査の範疇にとどまらず許されない可能性が高いでしょう。
そのため、上記のケースにおいて、PがAのズボンのポケットから無理矢理コカインの入った袋を取り出した行為については、所持品検査として許容される程度を超えるものとして違法となると考えられます。
場合によっては、こうした違法な捜査により得られた証拠物が裁判から除外され、結果的に無罪につながる可能性があります。

以上のような主張を適切に行うには、法律の専門家である弁護士の存在が必須と言っても過言ではありません。
少しでも不安であれば、ぜひ一度お近くの弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所弁護士は、刑事事件を専門とした弁護士であり、所持品検査をきっかけとした逮捕取調べのご相談も受け付けています。
薬物事件についてお悩みの方は、まずは弊所の弁護士まで、ご相談ください。
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