MDMA所持と自首

2021-11-18

MDMA所持と自首について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

千葉市内に住むAさんは、知人のBさんから、麻薬として法律によりその所持等が禁止されてる、MDMAを購入して使用していました。ところが、ある日、Aさんはニュースを通じてMDMAを売ってもらった薬物の売人が警察に逮捕されたのを知り、「自分もいつか逮捕されるのではないか」と不安になりました。そこで、Aさんは警察に自首しようかと考え、どのように自首すればいいのかアドバイスを求めようと弁護士に相談をすることにしました。
(フィクションです。)

~MDMA所持と罰則~

MDMA(別称としてエクスタシー、ペケなど)と呼ばれる薬物は、向精神薬及び麻薬取締法とその関連政令により規制されている麻薬の一種です。MDMAは、高揚感や共感性が増大する一方、幻覚・幻聴や脳の神経の破壊といった著しい副作用を持つ非常に危険なものです。MDMAを所持した場合、7年以下の懲役(営利目的なら1年以上10年以下の懲役および情状により300万円以下の罰金の併科)という重い刑が科されるおそれがあります。

~薬物事件の特徴~ 

MDMAをはじめとする薬物事件が発覚すると高い確率で逮捕・勾留されます。薬物事件の場合、覚せい剤の入手(輸入等)→売却→譲り受け(譲り渡し)→使用という一連の流れを踏み、その過程には多くの関係者が関与しています。にもかかわらず、その関与者全員が検挙されることは稀です。したがって、たとえ特定の犯人を検挙できたとしても、他の未検挙者と通謀するなどして罪証隠滅行為をすると疑われてしまい、逮捕・勾留される可能性が高いのです。また、薬物事件では、勾留によっては罪証隠滅行為を防止できないとして接見禁止決定を出されることが多いと思われます。接見禁止決定とは、弁護人あるいは弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁止する決定を言います。

~薬物事件の自首~

Aさんが考えているように長期間の身柄拘束や接見禁止を避けるには自首することも一つの方法です。
自首とは、犯罪事実や犯人が誰であるかが捜査機関に発覚する前に、犯人自らが捜査機関に対して、自分が罪を犯しましたと親告し処分を委ねる行為をいいます。
この効果について、刑法では「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」と定められていることから、裁判所の判断により刑が減軽されることがあります。ここで注意すべきことは、単に自ら警察署に赴いて罪を認めるというのみでは、自首が成立しない可能性があるということです。
例えば、警察に指名手配されているのを知り、自ら警察署に出頭したとしても、犯罪事実も犯人が誰であるのかもすでに捜査機関には明らかになっているので、自首は成立しないこととなります。自首が成立しなくても、捜査機関に対して自ら申告したという事実そのものが、裁判官が刑の重さを判断する際に有利な事情の一つとして考慮される可能性はあります。
もっとも、自首することで逆に逮捕される可能性も否定はできません。また、自首をすれば当然事件が明らかになりますので、最終的には自身が刑罰をうけるおそれがあります。
したがって、本当に自首すべきかどうかは慎重な判断が要されます。罪を犯したことについて間違いがないのであれば、自首も含めてどのような対応をすべきか、刑事事件に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。