覚せい剤譲受事件の身柄解放活動

2019-11-07

覚せい剤譲受事件で保釈

覚せい剤譲受事件保釈について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ケース~

Aさんは、大阪府大阪市内の路上において、薬物の売人から覚せい剤を3万円で譲り受けました。
ところが、パトロール中の警察官に上記行為を現認されてしまい、職務質問を受けました。
Aさんは「ただの塩だ」などと弁解していましたが、薬物担当刑事による簡易検査の結果、覚せい剤であることを示す反応が検出されたので、覚せい剤譲受の罪で逮捕されてしまいました。
大阪府西成警察署でAさんと接見した弁護士は、Aさんの釈放を目指すことにしました。(フィクションです)

~覚せい剤譲受罪について解説~

罪名の通り、覚せい剤をみだりに譲り受ける犯罪です(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
法定刑は10年以下の懲役となっており、かなり重い犯罪ということができます。

「譲り受け」とは、相手方から、物についての法律上又は事実上の処分権限を与えられて、その所持の移転を受けることをいいます。
なお、取引について、有償、無償を問いませんので、ケースの場合と異なり覚せい剤を無料で受け取った場合であっても、覚せい剤の譲受罪が成立します。

~ Aさんは今後どうなる? ~

まずは、警察署に引致され、弁解を聞かれた後、取調べを受けることになります。
留置の必要があると認められると、留置場に入らなければなりません。
その場合、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。

送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決めます。
薬物事件は、薬物の入手ルートの解明、Aさんの背後にある組織の解明など、捜査により明らかにしなければならない事項が多く、一般的に勾留される可能性が高いということができます。
勾留請求に対し、裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
そして、やむを得ない事由があると認められるときは、さらに最長10日間勾留が延長されます。

捜査では、Aさんの余罪についても尋ねられることが予想されます。
覚せい剤を譲り受けたことに関連し、覚せい剤の使用の嫌疑もかけられる可能性が高いです。
尿検査を受け、Aさんの尿から覚せい剤の使用を示す成分が検出されれば、覚せい剤使用の点でも捜査が行われることになります。

~覚せい剤譲り受け事件の身柄解放活動(保釈)~

前述の通り、薬物事件においては、身体拘束が長期化することが見込まれます。
また、余罪につき再逮捕されると、さらに捜査段階における身体拘束が長期化することになります。
Aさんの弁護士は、Aさんを勾留し続ける要件を満たしていないことなどを主張し、身体拘束が長期化しないように、なるべく早期に解放されるように働きかけます。
ですが、薬物事件の傾向からして、功を奏さないことも充分考えられます。

それに対し、捜査が終了し、Aさんの事件の全容が明らかになってから起訴されると、起訴後の身柄解放の手段である保釈が請求できるようになります。
薬物事件においては、この保釈釈放を実現する有力な手段と言えます。
保釈とは、保釈保証金を納付し、少なくとも裁判が終わるまで勾留を解く処分をいいます。
保釈保証金は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が設定されます。
保釈保証金は先に納めなければなりませんが、Aさんが逃亡せず、無事に裁判が終了すれば返還されます。
ただし、逃亡するなどして保釈を取り消されると、裁判官の判断で保釈保証金の一部または全部を没収される場合があります。

保釈決定が出ると、本来の生活に戻ることができます。
身体拘束を受けながら事件解決を目指すのと、保釈された状態で事件解決を目指すのでは、Aさんの負担が大きく違います。
また、薬物事件においては、薬物対策のための医療機関を受診する等保釈された状態でなければできない活動があります。
まずは、接見にやってきた弁護士に早期の身柄解放について相談しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、ケースの事件についても相談いただけます。
ご家族が覚せい剤譲受事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所無料法律相談をご利用ください。