態様別―譲渡・譲受
1 譲渡、譲受の意義
「譲渡」とは、一般に相手方に対し、物についての法律上又は事実上の処分権限を与えて、物の所持を移転することをいい、「譲受」は、その反対概念で、相手方から物についての法律上又は事実上の処分権限を与えられて、その所持の移転を受けることを言うと解されています。
したがって、売買、贈与、交換等によって所有権を移転して物の所持を移転し、あるいはその所持の移転を受ける場合に限らず、売却の斡旋を依頼するなど何らかの処分権を与えて物の所持を移転し、あるいは移転を受ける場合を含むものと解されています。
窃取した麻薬・覚醒剤等を売却する場合も「譲渡」に当たります。
所持の移転は、法律上の所持の移転を意味し、現実の物の引き渡しに限られず、譲渡しの合意があった後、譲渡人が譲受人のために引き続き保管する場合、帰宅していた麻薬・覚醒剤等を受託者に売却した場合、譲渡人と譲受人との間で譲渡人が第三者に預けている麻薬・覚醒剤等を譲受人に譲渡する合意ができ、譲渡人がその第三者に以後譲受人のために保管することを命じ、譲受人もそれを承諾した場合でもよく、現実の保有状態の移転を要するものではありません。
ただし、所持の移転が必要ですから、単なる売買契約など所持の移転を伴わない譲渡の合意だけでは、譲渡の実行の着手もなく、未遂罪も成立しません。
※ヘロインの場合
ヘロインの場合には交付自体が禁止されています。交付とは処分権の移転を伴わない所持の移転のことで、例えば、貸与、寄託などをいいます。
交付を受ける行為自体は処罰の対象とされていませんが、交付を受けた者には所持罪が成立する可能性があります。
2 法定刑
①1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科
・覚醒剤(営利)、ヘロイン(営利)
②1年以上10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
・コカイン(営利)、MDMA(営利)、麻薬原料薬物(営利)、あへん(営利)
③10年以下の懲役、情状により300万円以下の罰金を併科
・覚醒剤原料(営利)
④10年以下の懲役
・覚醒剤(非営利)、ヘロイン(非営利)
⑤7年以下の懲役、情状により200万円以下の罰金を併科
・大麻(営利)
⑥7年以下の懲役
・覚醒剤原料(非営利)、コカイン(非営利)、MDMA(非営利)、麻薬原料植物(非営利)、あへん(非営利)
⑦5年以下の懲役
・大麻(非営利)
⑧5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又はこの併科
・危険ドラッグ(営利)
⑨5年以下の懲役、情状により100万円以下の罰金を併科
・向精神薬(営利)
⑩3年以下の懲役
・向精神薬(非営利)
⑪3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの併科
・危険ドラッグ(非営利)
⑫3年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金又はこの併科
・シンナー等有機溶剤(無登録販売等)
⑬2年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はこの併科
・シンナー等有機溶剤(知情販売、授与)
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件専門の法律事務所として薬物犯罪事件も多く扱っています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士にぜひ一度ご相談ください。
刑事事件を専門に取り扱う弁護士が直接「無料相談」を行い、事件に応じた最善の弁護プランを提供させていただきます。
被疑者が逮捕された事件の場合、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」もご提供しています。