[事例紹介]滋賀県守山市の麻薬取締法違反・準強制わいせつ事件
[事例紹介]滋賀県守山市の麻薬取締法違反・準強制わいせつ事件
滋賀県守山市で起きた麻薬取締法違反・準強制わいせつ事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。
事例
滋賀県守山市で昨年12月、薬物中毒で死亡した女子高校生=当時(19)=に大量の向精神薬を渡したなどとして、麻薬取締法違反と準強制わいせつの罪などに問われた無職の男(39)の論告求刑公判が5日、大津地裁であり、検察側は懲役4年を求刑した。判決は28日。
被告人質問で被告は「薬をどんなに飲んでも死にはしないと思っていた」と話し、薬の多量摂取(オーバードーズ)目的で知り合った女性(22)=麻薬取締法違反の罪で有罪確定=や女子高校生に向精神薬を渡したことについて、「渡すと2人がすごく喜んでくれた」と述べた。また、最初からわいせつ行為をする目的はなかった、と主張した。
検察側は論告で、「積極的に薬を譲渡すると言って女性らを自宅に誘い出した」と指摘した。
起訴状によると、被告は昨年12月10日、守山市の自宅で女性に向精神薬の錠剤約100錠を無償で譲り渡し、翌日、女性と共謀し、50錠を女子高校生に無償で譲り渡した。また、同12日、薬物の影響で抵抗できない女性の下半身を触った、としている。
(7月5日 京都新聞 「「オーバードーズ」で女子高生死亡、大量の向精神薬渡した男に懲役4年求刑」より引用)
麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)
向精神薬の譲渡は麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)第50条の16で規定されており、原則向精神薬営業者以外の者の向精神薬の譲渡を禁止しています。
向精神薬を無闇に譲渡し、譲渡目的で所持した場合には3年以下の懲役に処されます。(麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法)第66条の4)
今回取り上げた事例では、男性は女子高生に向精神薬を渡していることから、この麻薬取締法に違反する形となっています。
準強制わいせつ罪
準強制わいせつ罪は刑法第178条1項で「人の心神喪失もしくは抗拒不能に乗じ、または心身を喪失させ、もしくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為をした者は、第176条の例による。」と規定されています。
準強制わいせつ罪は、大まかにいえば、心神喪失や抗拒不能など、被害者が抵抗することが困難な状態であることに乗じたりそういった状態にさせたりしてわいせつなことをしたときに適用されます。
準強制わいせつ罪で有罪となった場合には、6月以上10年以下の懲役に処されることになります。(刑法第176条)
今回取り上げた事例では、男性は向精神薬を使用した影響で抵抗できない状態=「心神喪失」状態にある女子高生にわいせつな行為をしたと判断され、準強制わいせつ罪に問われたのだと考えられます。
薬物事件というと、薬物を所持していたり使用したりといったイメージが強いですが、薬物犯罪に関連して性犯罪や暴力犯罪など、他の犯罪に発展してしまうケースも存在します。
その場合、当然薬物犯罪をしてしまったときよりも重い刑罰が下される可能性は高くなりますし、被害者対応など、薬物犯罪だけでは発生することの少ない弁護活動が求められるケースも生じるでしょう。
臨機応変に刑事手続きに対応できるよう、早い段階から弁護士に相談・依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、相談者様の状況に合わせ、無料法律相談や初回接見サービスを行なっております。
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