(事例紹介)アパートでの大麻栽培による大麻取締法違反事件

2022-07-19

(事例紹介)アパートでの大麻栽培による大麻取締法違反事件

~事例~

石川署は15日、うるま市石川のアパートで大麻草310株を栽培していたほか、乾燥大麻約630グラム、LSD、MDMAなどの麻薬を複数所持していたとして、大麻取締法違反(営利目的栽培・所持)と麻薬取締法違反(所持)などの容疑で、住所不定の無職の男(44)を逮捕したと発表した。県警による大麻草の押収量としては過去5年で最多。
那覇地検は同日までに、大麻取締法違反や麻薬取締法違反の罪などで起訴した。
逮捕容疑は2021年6月ごろから22年3月ごろにかけて、うるま市内のアパートで、営利目的で大麻草310株を栽培するなどした疑い。
(※2022年7月18日10:59YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~大麻栽培と大麻取締法違反~

今回取り上げた事例では、男性がアパートで大麻栽培行為をしていたことや麻薬を所持していたことにより、大麻取締法違反や麻薬取締法違反の容疑により逮捕・起訴されています。
今回は、このうち大麻栽培による大麻取締法違反に焦点を当てていきます。

まず、大麻取締法では、みだりに大麻を栽培することを禁止しています。

大麻取締法第24条
第1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻取締法では、大麻栽培行為の目的が営利目的かどうかということによって、その刑罰の重さを変えています。
例えば、自分で大麻を使用するためだけに大麻を栽培した場合には、大麻取締法第24条第1項の「7年以下の懲役」という刑罰になりますが、他人に販売する目的など営利の目的で大麻栽培行為をしていた場合には、同法同条第2項の「10年以下の懲役」もしくは「10年以下の懲役及び300万円以下の罰金」という刑罰になります。

このように、営利目的で大麻栽培行為をした方が重く処罰されますが、営利目的かどうかは、当事者の供述内容だけでなく、栽培されていた大麻の量や事件関係者の有無、関係者がいる場合にはそのやり取りの内容などから総合的に判断されます。
今回取り上げた報道の事例では、逮捕された男性の供述内容と合わせて、310株という大量の大麻を栽培されていたことなどから営利目的の大麻栽培であったと判断されたのでしょう。

では、大麻栽培に関連した大麻取締法違反事件では、実際にどういった判決がくだされているのでしょうか。
過去に報道された事例では、以下のようなものが見られます。

・園芸販売店の元経営者が、約7年に渡って客に対して大麻栽培に必要な器具の使い方などを教えたことで大麻取締法違反幇助の罪に問われ、反省が書けていることや海外の大麻の工場へ見学に行った事情などから大麻への関心と親和性が高いと考えられること、動機も自己中心的であることなどから、懲役4年の実刑判決が言い渡された事例(2021年3月12日11:56神戸新聞NEXT配信記事より)
・少年院の元法務教官が、自室で大麻草1株を栽培したほか、合成麻薬MDMA1錠や覚醒剤の原材料を所持したことによる大麻取締法違反などの罪に問われ、少年の更生指導に携わる立場から言語道断であるとされたものの、被告人が薬物再乱用防止プログラムを受けていることなどが考慮され、懲役2年6カ月執行猶予4年の判決が言い渡された事例(2020年11月9日朝日新聞デジタル配信記事より)

大麻栽培事件では、栽培されていた大麻の量やその目的、大麻栽培行為をしていた期間や、事件後の取り組みなどによってその量刑が判断されます。
法定刑が「7年以下の懲役」や「10年以下の懲役(あるいは10年以下の懲役及び300万円の罰金)」と期間に幅のある懲役刑となっているだけに、当事者だけでは簡単に見通しが分からず不安を感じることも多いでしょう。
だからこそ、まずは弁護士に事件の詳細を話したうえで、見通しや可能な弁護活動を聞いておくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、大麻栽培事件などの薬物事件も取り扱っています。
刑事事件を中心に取り扱う弁護士が、逮捕から判決までフルサポートしますので、見通しや刑事手続についての不安を感じた際にはお気軽にご相談いただけます。
まずはご遠慮なくお問い合わせください。