(事例紹介)合成麻薬MDMA輸入事件で逮捕された事例
(事例紹介)合成麻薬MDMA輸入事件で逮捕された事例
~事例~
兵庫県警薬物銃器対策課などは13日までに、麻薬取締法違反などの疑いで、ナイジェリア国籍、会社員の男(28)=大阪市住吉区=とフィリピン国籍のパート従業員の女性(49)=西宮市=を逮捕、送検した。
逮捕容疑は4月23日、営利目的で合成麻薬MDMA4871錠(末端価格約2435万円)をベルギーから輸入した疑い。
男は容疑を否認しているという。同課によると、大阪税関で下着などが入った段ボール箱からMDMAが発見された。箱の内側が二重構造になっており、袋に詰まった錠剤が隠されていた。
荷物の送付先は女性の自宅マンションだったが、女性は「荷物は男のもので『受け取って』と頼まれた」と容疑を否認。
神戸地検は13日、女性を処分保留で釈放し、男を麻薬取締法違反罪で起訴した。
(※2022年7月13日18:34YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~MDMA輸入と麻薬取締法違反~
MDMAは、合成麻薬の一種で、覚醒剤と同様、使用すると高揚感や多幸感が得られるとされています。
しかし、使用により精神障害や肝不全などを引き起こすおそれがあり、MDMAは麻薬取締法によって規制されています。
麻薬取締法では、MDMAなどの麻薬の輸入について、以下のように定めています。
麻薬取締法第65条
第1項 次の各号の一に該当する者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
第1号 ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第69条第1号から第3号までに該当する者を除く。)
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
条文上に出てくる「ジアセチルモルヒネ」とは、いわゆるヘロインのことであり、MDMAはヘロイン以外の麻薬ということになりますので、MDMAの輸入はこの条文で規制されることとなります。
今回取り上げた事例でも、逮捕された男性らは麻薬取締法違反などの容疑をかけられているようです。
報道によれば、先ほど挙げた麻薬取締法第65条第2項にあたる、営利目的のMDMAの輸入という容疑がかけられていると思われます。
~MDMA輸入とその他の犯罪~
MDMAを国際郵便などを利用して輸入して摘発されるというケースは度々起こっており、今回取り上げた事例以外にも、以下のような報道が見られます。
・サプリメントのボトルやコーヒー豆の袋にMDMAの錠剤を詰め、空輸で輸入をし自宅まで送ったという容疑で、すでに麻薬取締法違反の容疑で逮捕されていた容疑者が、名古屋税関清水税関支署から関税法違反で静岡地検に告発された事例(2022年2月22日あなたの静岡新聞配信記事より)
・コーヒー豆の袋の中にMDMAの錠剤を入れて国際郵便で送ったという容疑で、すでに麻薬特例法違反などで大阪地検に起訴され、大阪税関から関税法違反でも告発されていた被告人が、麻薬特例法違反などの容疑で逮捕されたという事例(2022年3月1日産経新聞配信記事より)
・すでに麻薬特例法違反などの容疑で起訴されている被告人について、食品の中にMDMAの錠剤を入れて国際郵便物に隠して輸入したという容疑で、麻薬取締法違反の罪で再逮捕した事例(2022年5月9日産経新聞配信記事より)
これらの報道を見ると、先ほど条文を挙げた麻薬取締法以外にも、MDMA輸入によって麻薬特例法違反や関税法違反といった別の犯罪が成立しているということが分かります。
MDMA輸入事件の場合、単に麻薬取締法違反が成立するだけで終わらないというところに注意が必要です。
例えば、MDMAなどの違法薬物は、関税法によって輸入してはいけないものとして指定されており、輸入すると関税法違反となります。
また、MDMAの輸入を業として行っていた場合には、業として行う薬物犯罪を麻薬取締法よりもさらに厳しく取り締まるために設けられている麻薬特例法に違反することになります。
こうしたことから、今回取り上げた報道でも、逮捕容疑が麻薬取締法違反「など」とされていたり、紹介した報道の事例でも関税法違反や麻薬特例法違反での摘発・告発がされていたと考えられます。
違法薬物の輸入事件では、刑罰の重さが重くなることが予想されることはもちろん、成立する犯罪も複数となる可能性もありますから、早めに弁護士のサポートを受けることが望ましいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕・勾留によって身体拘束されている方向けのサービスも準備しておりますので、MDMA輸入事件などによって逮捕・勾留されてしまった場合でも、スピーディーに対応できます。
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