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覚醒剤取締法違反(所持)で逮捕・薬物事件の弁護活動
覚醒剤取締法違反(所持)で逮捕されてしまった事案を題材に、薬物事件の弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
大阪府吹田市に住むAは、覚醒剤をコカイン(麻薬)と思い込んで所持していた。
大阪府吹田警察署の警察官は、Aを覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕した。
Aの家族は、薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実をもとにしたフィクションです。)
~薬物に対する故意~
刑法犯として処罰される大前提として、(過失犯処罰規定がない限り)故意がなければ犯罪が成立することはありません。
この点、刑法38条1項本文は「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と規定していることも、そのことの表れといえます。
もっとも、本件においてAは、覚醒剤をコカイン(麻薬)と勘違いして所持しています。
つまり、Aは、客観的には覚醒剤所持という覚醒剤取締法違反に当たる行為をしていますが、麻薬取締法違反の認識(故意)しか有していないのです。
このような場合、故意との関係でどのような犯罪が成立するかが問題となります。
(なお、「覚せい剤取締法」は、令和元年の改正によって「覚醒剤取締法」に名称が変更されることとなっていることに注意が必要です(令和2年4月1日施行)。)
この点に関するリーディングケースとして有名なのが、最高裁昭和54年3月27日決定です。
同決定は、「麻薬と覚せい剤とは、ともに、その濫用によつてこれに対する精神的ないし身体的依存(いわゆる慢性中毒)の状態を形成し、個人及び社会に対し重大な害悪をもたらすおそれのある薬物であつて、外観上も類似したものが多いことなどにかんがみると、麻薬と覚せい剤との間には、実質的には同一の法律による規制に服しているとみうるような類似性がある」と判示しています。
そして、「両罪は、その目的物が覚せい剤か麻薬かの差異があるだけで、その余の犯罪構成要件要素は同一であり、その法定刑も全く同一であるところ、前記のような麻薬と覚せい剤との類似性にかんがみると、この場合、両罪の構成要件は実質的に全く重なり合つているものとみるのが相当である」とし、故意の阻却を認めず、客観的に存在する犯罪の成立を認めています。
本件も、上記判例と同様に、麻薬所持と覚醒剤所持とで実質的には同一の法律による規制に服していると考えれるような類似性が認められます。
さらに、覚醒剤所持と麻薬所持はいずれも「10年以下の懲役」と、法定刑も全く同一となっています。
したがって、上記判例法理から、覚醒剤取締法違反に対応する故意が認められ、(客観的に存在する)覚醒剤取締法違反(覚醒剤所持罪)が成立することになります。
~薬物事件における弁護活動について~
覚醒剤取締法違反などの薬物事件は、起訴される可能性が極めて高い犯罪類型です。
そのため、弁護士としては、当初から起訴されることを考慮に入れた弁護活動を行っていくことが重要となります。
特に同種前科がないような場合には、即決裁判手続を利用し被疑者・被告人の負担の軽減を図ることも考えられます。
即決裁判手続によれば、「裁判所は……できる限り、即日判決の言渡しをしなければならない」(刑事訴訟法350条の28)とされ、さらに「即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない」(同法350条の29)とされています。
また、逮捕後に勾留による身体拘束を受けていたとしても、刑の全部の執行猶予の告知を受ければ直ちに身体拘束から解放されることが可能になります(同法345条参照)。
このように、起訴されるとしても、被疑者・被告人の不利益を最小限にするため、様々な制度の活用していくことが考えられるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
覚醒剤取締法違反事件で逮捕された方のご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)に 今すぐお電話ください。
覚せい剤使用の仲間を募り逮捕
今回は、覚せい剤の濫用をネット掲示板で唆した場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
大阪府堺市に住むAさんは、ネット掲示板において、覚せい剤の隠語を用い、「一緒にキメてストレスを忘れましょう。来られる人は××公園に〇時」などと投稿しました。
実際にAさんは覚せい剤を使用しており、また、使用するためにこれを所持しています。
ある日、Aさんの自宅に逮捕状を持った大阪府堺南警察署の警察官が現れ、Aさんは麻薬特例法違反(あおり又は唆し)の疑いで逮捕されてしまいました。
さらに、机の引き出しに収納していた覚せい剤及びガラスパイプ、注射器なども押収されました。
Aさんは今後どうなるのでしょうか?(フィクションです)
~公然と覚せい剤の使用をあおったり、唆すと罪になる~
Aさんには、「国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律」(以下、「麻薬特例法」と記載します。)違反の疑いをもたれています。
麻薬特例法第9条は、「薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第六条の罪若しくは第七条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」としています。
ここにいう「規制薬物」とは、①麻薬及び向精神薬取締法に規定する麻薬及び向精神薬、②大麻取締法に規定する大麻、③あへん法に規定するあへん及びけしがら並びに④覚せい剤取締法に規定する覚せい剤をいいます(麻薬特例法第2条1項)。
Aさんは、公然と、ネット掲示板において、規制薬物である覚せい剤を濫用することを唆したものと考えられます。
したがって、麻薬特例法違反の罪が成立する可能性が高いと思われます。
麻薬特例法違反(あおり又は唆し)の罪の法定刑は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
~覚せい剤使用罪、所持罪~
さらに、Aさんの自宅から覚せい剤が発見されているので、覚せい剤所持罪の嫌疑もかけられます。
また、捜査中に尿検査を求められると思われますが、Aさんの尿から覚せい剤の使用を示す反応が検出されれば、覚せい剤使用罪の嫌疑もかけられることになるでしょう。
覚せい剤使用罪、覚せい剤所持罪の法定刑は、いずれも「10年以下の懲役」となっています。
~今後の刑事手続の流れ~
(捜査段階)
ケースの案件は、逮捕→勾留→勾留延長→起訴(公判請求)→判決という流れになる可能性が高いでしょう。
逮捕・勾留・勾留延長をされると、捜査段階で最長23日間身体拘束をされます。
このような薬物事件においては、Aさんがどのように薬物を入手したかを解明するために、身体拘束が長引く傾向にあります。
また、Aさんが犯したと疑われている罪は、1つではありません。
このような場合、一つ目の罪についての捜査を終え、釈放されるタイミングで、別の罪の疑いで再び逮捕されるケースもあります。
この場合は、別件で逮捕された分、さらに身体拘束が長引くことになります。
早期に起訴したりするなどしてAさんを再び逮捕しないよう、弁護士に働きかけてもらう必要があるといえます。
(起訴後)
今回のケースでは、捜査手続及び収集した証拠に問題がなければ、起訴される可能性が高いでしょう。
起訴された後は、保釈の実現に向けて動く必要があります。
また、Aさんが初犯であれば、執行猶予付き判決を獲得できるかもしれません。
速やかに保釈を実現し、薬物依存の治療プログラムを開始するなどして、再犯のおそれがないことをアピールする準備を行っていく必要があります。
まずは、接見にやってきた弁護士からアドバイスを受け、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が麻薬特例法違反(あおり又は唆し)の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚せい剤輸入事件で刑務所収容回避
薬物事件の刑罰の種類について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
京都市西京区在住のAさん(50代男性)は、覚せい剤を他人に販売する目的で、日本国内に覚せい剤を輸入しようとしたとして、営利目的の覚せい剤輸入罪の容疑で、京都府西京警察署に逮捕された。
Aさんの家族は、事件の今後の見通しを確かめるために、刑事事件に強い弁護士をAさんのいる西京警察署に派遣した(弁護士の初回接見)。
Aさんは、弁護士と法律相談することで、Aさんがどういう刑罰を受ける可能性があるかを弁護士から聞いた上で、今後の弁護活動方針や警察取調べの対応を検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~覚せい剤輸入事件における弁護活動~
覚せい剤輸入罪は、営利目的でなされた犯罪の場合には、法定刑が「無期または3年以上の懲役、情状により1000万円以下の罰金を併科」と非常に重い刑事処罰が規定されています。
一方で、営利目的でない覚せい剤輸入罪の法定刑は「1年以上の有期懲役」とされています。
覚せい剤輸入事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、まずは今回の事件が裁判で「営利目的あり」と認定されるのか、あるいは「営利目的なし」と認定されるかを検討し、裁判で争われる具体的な証拠を精査した上で、より刑事処罰が軽くなるように、そして執行猶予付きの判決を得られるように、弁護士の側から積極的な主張立証活動を行います。
~薬物事件の刑罰の種類とは~
犯罪行為を行って、刑事裁判で有罪となった場合には、「死刑」「懲役刑」「禁錮刑」「罰金刑」「拘留」「科料」といった刑罰の種類が、法定されています。
・死刑
刑事施設内で絞首することで執行されます。
死刑という刑罰の規定がある罪は、人の死亡という結果を生じさせた「殺人罪」「強盗殺人罪」「強制性交等致死罪」「現住建造物等放火罪」などに限られており、薬物犯罪で死刑を規定する法律はありません。
・無期の懲役刑
無期懲役刑は、刑期の定めなく、刑務所に収容される刑罰です。
薬物犯罪の場合には、「営利目的の覚せい剤輸出・輸入罪、覚せい剤製造罪」「営利目的のヘロイン輸出・輸入罪、ヘロイン製造罪」に該当した場合に、無期懲役刑が科される可能性があります。
・有期の懲役刑
有期懲役刑は、1月以上20年以下の刑期の範囲内で、刑務所に収容される刑罰です。
ただし、加重要件があれば上限を30年まで上げることができ、また減軽要件があれば下限を1月未満に下げることができます。
薬物犯罪の場合には、ほとんどの罪で、有期懲役刑が規定されています。
「3年以下の懲役刑または禁固刑」の判決であれば、執行猶予付きの判決を受けることで、刑務所への収容を回避できる可能性があります。
・禁錮刑
禁錮刑は、刑務所に収容される刑罰ですが、懲役刑と違って強制労働させられることがありません。
一般的な薬物犯罪において、禁錮刑の規定はありません。
・罰金刑
罰金刑は、1万円以上の支払いを強制される刑罰です。
罰金を納めることができなかった場合には、1日以上2年以下の期間、労役場に留置されます。
一部の重い薬物犯罪では、例えば法定刑が「1年以上の有期懲役、情状により500万円以下の罰金を併科」のように、懲役刑と罰金刑が併せて科される可能性もあります。
・拘留
拘留は、1日以上30日未満の期間で、刑事施設に収容される刑罰です。
拘留という刑罰の規定がある罪は、「暴行罪」「公然わいせつ罪」「軽犯罪法違反」などがありますが適用例は極めて少なく、一般的な薬物犯罪で拘留の規定はありません。
・科料
科料は、1000円以上1万円未満の支払いを強制される刑罰です。
科料という刑罰の規定がある罪は、「暴行罪」「遺失物等横領罪」「軽犯罪法違反」などがありますが適用例は少なく、一般的な薬物犯罪で科料の規定はありません。
京都市西京区の覚せい剤輸入事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
大麻密輸と接見禁止解除
大麻密輸と接見禁止解除について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ 事例 ~
福岡県大牟田市に住むAさんは、福岡県大牟田警察署の警察官に所持していたキャリーケースの中から大麻約100グラムを発見押収され、大麻を営利目的で密輸したとして大麻取締法違反(営利目的輸入罪)で逮捕されました。Aさんは「キャリーケースの中に大麻が入っていたことを知らなかった。」などと言って、大麻密輸の事実を否認しています。Aさんはその後勾留され接見禁止決定が出て弁護人以外の者との接見が禁止されてしまいました。また、起訴後も接見禁止決定が出たことから弁護人に接見禁止決定を解除できないか相談しました。
(フィクションです。)
~ 大麻の密輸 ~
薬物の多くは海外から輸入されたものだと言われています。大麻もその中の一つです。
大麻は大麻取締法で規制されています。
大麻取締法は、大麻の栽培・輸出入・所持・譲渡・譲受などについて必要な規制を行う法律です。
覚せい剤などとは異なり、大麻の使用自体は規制されていません。
大麻の輸出入に関しては、以下のように規定されています。
第四条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。
一 大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)。
第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
大麻の単純輸入罪の法定刑は、
7年以下の懲役
ですが、営利目的輸入罪の法定刑は、
10年以下の懲役、または情状により10年以下の懲役と300万円以下の罰金
と単純輸入罪より重たいことがわかります。
営利目的の法定刑が重いのは、財産上の利得を目当てとして犯罪を行うことが道義的に厳しく非難に値するというだけでなく、一般にその行為が反復・累行され、規制薬物の濫用を助長・増進させ、国民の保健衛生上の危害を増大させる危険性が高いためだとされます。
営利目的での大麻密輸で有罪となった場合は、重たい量刑も覚悟しなければなりません。
たとえ初犯であっても実刑となる可能性もあるでしょう。
~ 起訴後の接見禁止 ~
接見禁止決定とは、通常検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者・被告人が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者・被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じる決定のことをいいます。
勾留決定直後に接見禁止決定が出ると、通常、公訴の提起に至るまで(起訴されるまで)
という条件を付されます。この場合、起訴後に接見禁止決定が出ない限り、起訴された方(被告人)は弁護人以外の者とも接見することが可能です。しかし、起訴後も接見禁止決定が出る場合があります。この場合はやはり弁護人以外の者とは接見することができません。
接見禁止決定を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。実務では後者の手段を取ることが多いです。
そのほか、弁護人以外の者との接見を希望する場合は保釈請求して保釈を獲得することが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
覚せい剤使用事件の手続及び弁護活動を解説
今回は、外の駐車場に停めた自動車内で覚せい剤を使用していた疑いで現行犯逮捕されてしまった場合に想定される刑事手続及びその弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
Aさんは、深夜、東京都中野区内の駐車場に停めた自動車内で、覚せい剤を使用し、快感を得ていたところを、警視庁中野警察署の警察官から声をかけられました。
その時は、使用に用いる道具は収納していたのですが、警察官は薬物使用者に特異な挙動を見逃さず、「車内を見せて」、「尿を検査させて」と言いました。
しぶしぶ車内を見せている間、近くのトイレで尿を採取し警察官に引き渡しました。
薬物担当刑事による簡易検査の結果、覚せい剤を使用していることが判明したので、警察官らは、Aさんを覚せい剤使用の疑いで現行犯逮捕しました。
車内からも覚せい剤が発見されています。(フィクションです)
~刑事手続の流れについて解説~
(1)職務質問
捜査が始まるきっかけとして、様々な態様(被害者による告訴、告発など)がありますが、今回のケースは、職務質問をきっかけに捜査が始まっています。
警察官職務執行法第2条1項によれば、「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる」とされています。
上記が職務質問の法律的な根拠です。
同条3項によれば、「刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない」とされているので、職務質問は「任意処分」ということができます。
Aさんは自動車内で恍惚にふけっていたところを警察官に見られ、職務質問を受けています。
深夜の駐車場でこっそり恍惚にふけっているのを見た、というのは、薬物使用者に特異な挙動を見たということで、薬物の使用を疑うに足りる相当の理由があるといえるでしょう。
(2)尿検査及び所持品検査
こちらもAさんが「しぶしぶ」ながらも応じており、また、特に尿検査や所持品検査を拒絶した事実が認められないので、任意の処分として許容される可能性が高いと思われます。
(3)覚せい剤所持の疑いで現行犯逮捕
尿検査の結果、Aさんが現に覚せい剤を使用していることがわかったので、現行犯逮捕された、という流れになります。
(4)逮捕後の手続
逮捕後、勾留・勾留延長がなされると、捜査段階で最長23日間身体拘束を受けます。
ケースの場合は、フルで勾留される可能性が高いでしょう。
身柄事件として事件が進行する場合、検察官は、勾留の満期日までに、Aさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決めます。
(5)起訴後
起訴後は、自動的に「起訴後勾留」に移行します。
この段階から、保釈請求を行うことが可能になります。
~ケースに必要な弁護活動~
(覚せい剤所持罪による逮捕の阻止)
ケースの場合、覚せい剤の所持の疑いで改めて逮捕される可能性があります。
改めて逮捕されれば、その分身体拘束期間が長くなります。
弁護士は覚せい剤の所持の件で改めて逮捕する必要が無い旨を主張し、早期に起訴させるなどして逮捕の阻止を目指します。
(保釈の実現)
保釈を実現できれば、保釈中に薬物依存の治療プログラムを開始するなどして、再犯のおそれがないことを裁判官にアピールする準備を行うことができます。
(執行猶予付き判決の獲得を目指す)
起訴されてしまったとしても、Aさんが初犯であれば、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付き判決を獲得できる見込みが十分あります。
弁護士のアドバイスを聞きながら、裁判を乗り越えていきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が薬物事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻所持事件の弁護活動
今回は、大麻を所持していた疑いで逮捕されてしまった事件の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都立川市に住むAさんは、自宅で大麻を所持しており、時々巻紙に巻いて燃焼させ、煙を吸入するなどして使用していました。
ある日、警視庁立川警察署の警察官らが自宅に現れ、捜索差押許可状を示した後、Aさんの自宅の捜索を始めました。
その結果、机の引き出しの中に入れていた大麻が発見されたので、Aさんは大麻取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました(フィクションです)。
~大麻所持の罪について解説~
大麻所持の罪は、その名の通り、大麻を、みだりに所持する犯罪です。
Aさんが「大麻取扱者」などの地位にあれば、大麻を所持することが法律上許容されますが、Aさんにはそのような事由がないので、自宅の机の引き出しの中に大麻を保管するなどしていれば、大麻所持の罪が成立することになります。
大麻所持の罪の法定刑は5年以下の懲役となっています(大麻取締法第24条の2第1項)。
なお、Aさんは大麻を巻紙に巻いて火をつけ、煙を吸引するなどしていますが、このような「使用」行為は罰せられません。
~逮捕後の刑事手続を解説~
逮捕されると、警察署に連れて行かれ、犯罪事実の要旨の告知、弁護人選任権の説明、弁解録取がなされます。
同じタイミングで、指紋の採取、写真撮影が行われます。
また、当番弁護士を依頼することもできます。
弁解録取のタイミングや、取調べにおいては、黙秘権が保障されています。
もっとも、ケースの場合は大麻を現に自宅で発見された結果、逮捕されているので、黙秘しても起訴される可能性が高いものと考えた方が良いでしょう。
一方で、不合理な否認を続けると、反省の態度が見られないと評価され、処分が重くなる(不起訴になるところが起訴される、量刑が重くなるなど)ことが考えられます。
ケースの事件では、逮捕後、留置される可能性が極めて高いと思われます。
留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致しなければなりません。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めなければなりません。
ケースの事件において、捜索、逮捕、取調べなどの手続に特に違法な点がなければ、おそらく勾留請求をされることになるでしょう。
勾留請求は裁判官に対して行います。
裁判官が勾留の要件を審査し、勾留可能と判断した場合には、勾留決定が出されます。
勾留決定が出ると、10日間、留置場や拘置所に入らなければなりません。
さらに、やむを得ない事由があると認められると、勾留が最長10日間延長されます。
~起訴された場合~
起訴されると、保釈を請求することができます。
保釈が許可されれば、外に出ることができます。
被害者が存在する刑事事件においては、被害者に生じさせた損害を賠償し、示談を成立させることによって、より軽い処分の獲得を目指す活動が想定されます。
しかし、大麻所持事件においては、窃盗事件や傷害事件のような被害者は存在しないので、「被害者と示談交渉をする」という活動が想定されません。
ケースのような薬物事件においては、保釈を実現し、薬物依存の治療プログラムを開始することにより、再犯のおそれがないことをアピールし、より軽い処分の獲得を目指すことが考えられます。
勾留された状態では、薬物依存の治療プログラムを受けることができません。
したがって、一刻も早い保釈を実現する必要があるのです。
また、弁護士会などの団体に寄付を行い、反省の意思を示す「贖罪寄付」が有効な場合もあります。
より軽い処分の獲得のために、弁護士のアドバイスを受けながら活動していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻で即決裁判
~事例~
埼玉県春日部市に住むAさんは、ライブ会場で密売人から大麻を買い、それをポケットの中に入れていたところ、自宅に帰る途中で、埼玉県春日部警察署の警察官から職務質問を受けました。そして、所持品検査などの結果、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)で逮捕されてしまいました。Aさんは、購入先については黙秘したものの、好奇心から自分で購入したことを認め反省している様子です。Aさんには前科・前歴はなく、もちろん逮捕されたのは初めてです。接見した弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は検察官の即決裁判の申し立てに同意しました。
~ 大麻について ~
大麻取締法は、大麻の栽培、輸入、輸出、所持、譲り受け、譲り渡しなどの行為の他、犯罪に必要な資金や場所、原材料を提供する行為などについて、罰則を科しています。
大麻の使用について、覚せい剤取締法などと異なり、刑罰が規定されていません。
もっとも、使用に近接して大麻を所持していたり、譲り受けていたりするため、それらの行為で処罰される可能性は十分あります。
所持、譲り受けの罰則は、
単純(営利目的以外):5年以下の懲役
営利目的:7年以下の懲役又は情状により200万円以下の罰金併科
です。
~ 即決裁判 ~
即決裁判とは、一定の事件について、事案が明白かつ軽微であって、証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに、原則、1回の審理で判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。
即決裁判を受けるメリットとしては、
1 審理は申立て後、原則、14日以内に開かれ1回で終わること
2 必ず執行猶予判決を言い渡されること(実刑判決は言い渡されない)
3 1、2に関連し、審理当日(判決当日)に釈放され、早期の社会復帰が可能となること
などが挙げられます。
他方、デメリットとしては
1 必ず有罪判決が言い渡されること
2 量刑不当を理由に控訴できるが、事実誤認を理由とする控訴はできないこと
などが挙げられます。
即決裁判を受けるまでの流れは以下のとおりです。
逮捕→勾留→捜査→検察官から即決裁判を受けるかどうかの同意を求められる→同意書にサインする→弁護人も同意する→検察官の即決裁判申し立て(起訴)→即決裁判
~ 薬物事件と即決裁判 ~
大麻所持の法定刑は5年以下の懲役ですので、本件は即決裁判対象事件となります。
また、大麻の所持量が比較的少量であること、Aさんに前科がないこと、Aさんが事実を認めていることに鑑みれば、本件が即決裁判に付される可能性は十分あります。検察官が即決裁判の申立てをする場合は、被疑者の同意が必要です。
また、即決裁判には上記のようなデメリットがあるため、弁護人の同意も必要とされています。
さらに、即決裁判は、弁護人がいなければその審理を開くことができません。
即決裁判は起訴から2週間以内に開かなければならないとされており、原則1回の裁判で終了します(判決まで言い渡されます)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
覚せい剤使用事件の弁護活動
今回は、覚せい剤使用の罪で逮捕されてしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
千葉県市川市に住むAさんは自宅に覚せい剤を保管しており、これを注射器で注射するなどして使用していました。
いつものように覚せい剤を注射して繁華街を歩いていたところ、薬物使用者に特異な挙動を見咎められ、警察官から職務質問を受けました。
「袖を捲って、注射痕の有無を確認させてほしい」、「尿検査に応じてほしい」と求められましたが、Aさんは3時間にわたり拒絶しました。
千葉県市川警察署の警察官は最終手段として、強制採尿令状をとり、Aさんから強制的に尿を取得しました。
尿からは覚せい剤の使用を認める成分が検出されたので、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑い(使用)で現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~覚せい剤の使用行為の規制について解説~
覚せい剤取締法第19条は、1号から5号までの除外事由(覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合など)がある場合を除き、「何人も、覚せい剤を使用してはならない」としています。
これに違反し、有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役に処せられます(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
~今後の捜査~
覚せい剤の使用の疑いで逮捕されてしまった場合、逮捕後、すぐに釈放されるケースは少ないといえます。
多くの場合、留置されることになるでしょう。
留置される場合は、逮捕時から48時間以内に、Aさんの身柄が検察へ送致されます。
検察では検察官が取調べを行います。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めなければなりません。
特にそれまでの捜査に問題がなければ、勾留請求がなされる可能性が高いでしょう。
勾留請求がなされると、裁判官が勾留質問を行い、勾留の可否を検討します。
勾留決定がなされると、10日間勾留されます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。
法律上、捜査段階において、最長23日間、逮捕・勾留される可能性があります。
覚せい剤取締法違反被疑事件をはじめとする薬物事件においては、薬物の入手ルート、共犯者の有無を調べるために、身体拘束が長引く傾向にあります。
ケースの場合も、23日間フルに勾留される可能性が高いと思われます。
さらに、自宅を捜索される可能性も高いでしょう。
捜索されれば、覚せい剤が発見され、押収されることになりますが、この場合、覚せい剤使用の件とは別に、覚せい剤を所持した疑いで再逮捕される場合もあります。
~ケースの事件において想定される弁護活動~
まず、勾留を回避する活動が考えられますが、ケースの場合はなかなか困難かもしれません。
覚せい剤の所持行為が発覚した場合には、覚せい剤使用の件における勾留期限よりも前に、再逮捕を回避する弁護活動を行わなければなりません。
覚せい剤使用の件で23日間身体拘束を受け、さらに所持の件で23日間身体拘束を受けることになると、Aさんには大変な負担がかかります。
弁護士は捜査機関に対し、再逮捕をしなくても、所持の捜査を遂げられる旨を主張し、再逮捕の回避を目指します。
また、捜査や身柄拘束に違法な点があれば、その旨を主張し、身柄の解放を目指します。
起訴されてしまった場合は、保釈請求を行い、保釈の実現を目指して活動する必要があります。
より有利な判決を目指すためには、薬物依存の治療を開始する必要があります。
そのためにも、是非、保釈を実現したいところです。
その他にも、Aさんが再び覚せい剤に手を染めないよう、責任をもって監督する身元引受人を用意し、できれば情状証人として法廷で証言してもらう必要もあります。
有利に事件を解決できるよう、一刻も早く弁護士の接見を受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻再犯事件で実刑判決後の仮釈放
薬物再犯事件の量刑と仮釈放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府堺市在住のAさん(40代女性)は、大麻所持の再犯事件を起こして大阪府西堺警察署に逮捕され、その後に行われた裁判で、弁護士とともに執行猶予獲得に向けた主張立証活動を行ったが、Aさんの前科が複数あることが裁判官に重要視されて、懲役刑の実刑判決を受けた。
Aさんは刑務所に入ることになったが、入所後の薬物依存克服のための治療にAさんが尽力したことが評価されて、懲役刑の刑期満了を待たずに、Aさんは仮釈放されることとなった。
(事実を基にしたフィクションです)
~薬物再犯事件の刑罰の量刑判断~
薬物事件の刑罰量刑が判断される際には、同様の薬物前科,薬物前歴の有無や、前回の事件から今回の事件まで何年経過しているかといった事情が、大きく影響します。
初犯の薬物事件では「不起訴処分」や「罰金刑」で済んだような場合でも、2回目、3回目の薬物再犯事件を起こせば、裁判の公判が行われて「執行猶予付きの懲役刑判決」を受けたり、最悪の場合には「懲役刑の実刑判決」を受けて、刑務所に入ることになります。
前回の事件で「執行猶予付きの懲役刑判決」を受けた者が、前回の判決から5年以内に再犯判決を受ける場合には、執行猶予を付けることができないとされており、裁判では必ず実刑判決を受けて、刑務所に入ることになります。
また、前回の執行猶予判決から5年以上経過している場合であっても、「執行猶予の期間満了後に何年経過しているか」という事情が、執行猶予が付くか付かないかの判断に、大きく影響します。
薬物再犯事件を起こした場合には、少しでも早くに弁護士に相談して、今後の警察取調べにおいて薬物再犯の経緯をどのように供述すべきかを検討することが、まずは重要となります。
その上で、裁判となったときに、被告人の薬物依存克服のための通院治療計画や、周囲の治療に向けた環境作り、被告人本人の薬物依存克服に向けた強い意思を、弁護士の側から主張することで、刑事処罰軽減に向けた弁護活動を行い、執行猶予付き判決の獲得などを目指します。
~仮釈放とは~
しかし、それでも薬物前科が複数あることで、実刑判決を受けて刑務所に入った場合には、ある程度の刑期を善良に模範的に過ごした者に対する「仮釈放」という制度があります。
・刑法 28条(仮釈放)
「懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。」
刑法では「有期刑は刑期の3分の1経過後、無期刑は10年経過後」が仮釈放の条件とされていますが、実務上は全国8箇所の地方更生保護委員会の処分により、「有期刑は刑期の3分の2以上経過後、無期刑は20年以上経過後」に仮釈放されるケースが多いようです。
仮釈放後は、保護司の保護観察を受けながら、更生に向けて社会の中で暮らしていくことになります。
・仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則 32条(仮釈放許可の基準)
「仮釈放は、次に掲げる事由を総合的に判断し、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当であると認められるときに許すものとする。
一 悔悟の情が認められること。
二 更生の意欲が認められること。
三 再犯のおそれがないと認められること。
四 社会の感情が仮出獄を是認すると認められること。」
大麻再犯事件では、実刑判決を受ける前の段階で、刑事事件に強い弁護士とともに裁判における効果的な主張立証の方法を綿密に検討した上で、執行猶予付き判決の獲得を目指すことが重要です。
大阪府堺市の大麻再犯事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
薬物傷害事件で鑑定留置
鑑定留置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪市西区在住のAさん(30代女性)は、商店街で通りすがりの人に暴力を振るって、怪我をさせたとして、傷害罪の容疑で大阪府西警察署に逮捕された。
Aさんは、逮捕後の警察捜査で、薬物使用の疑いがあると判明し、傷害事件当時の責任能力が問題となり、精神鑑定にかけられることになった。
Aさんの家族は「精神鑑定のための鑑定留置により、さらにAさんの身柄拘束の期間が延長される」と警察から聞かされた。
Aさんの家族は、今後のAさんの早期釈放や刑罰軽減のために、まずは刑事事件に強い弁護士をAさんのもとに初回接見(面会)に派遣し、今後の事件対応について、弁護士のアドバイスを求めることにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~鑑定留置とは~
刑事犯罪を起こして身柄拘束中の被疑者・被告人は、「精神状態に問題があることにより、刑事事件の責任能力が有るか無いかを判断するため」に精神鑑定がなされることがあります。
精神鑑定(特に嘱託鑑定)の際には、鑑定留置の処分により、さらに身柄拘束が長引くことがあります。
精神鑑定の種類として、「起訴前の簡易鑑定」「起訴前の嘱託鑑定」「起訴後の正式鑑定」などが挙げられます。
①起訴前の簡易鑑定
逮捕から起訴されるまでの身柄拘束期間に、検察官の判断によって実施される精神鑑定を「簡易鑑定」といいます。
検察官の依頼を受けた精神科医が、数時間程度の診察を1回行い、鑑定書を文書で提出します。
簡易鑑定が行われる機会は、嘱託鑑定や正式鑑定に比べて多く、検察官による起訴・不起訴の判断に、大きく影響しています。
②起訴前の嘱託鑑定
逮捕から起訴されるまでの身柄拘束期間に、検察官の嘱託によって実施される精神鑑定を「嘱託鑑定」といいます。
嘱託鑑定を実施する際には、検察官は「裁判官が発行する鑑定処分許可状」を取得する必要があります。
嘱託鑑定は通常2ヶ月程度かかるとされており、嘱託鑑定に要した時間は、逮捕から起訴されるまでの勾留期間の時間制限から除外されるため、起訴判断までの身柄拘束期間が長引く結果となります。
また、嘱託鑑定を実施する際に、被疑者の同意は必要とされません。
③起訴後の正式鑑定
起訴後の公判期間中に、裁判官の命令によって実施される精神鑑定を「正式鑑定」といいます。
刑事訴訟法165条には「裁判所は、学識経験のある者に鑑定を命ずることができる。」との規定があり、通常は弁護人側から「精神鑑定の実施を要望する文書」が裁判所に提出され、裁判官が弁護人の依頼を容認する形で、正式鑑定がなされます。
正式鑑定を実施する鑑定人には、宣誓義務・証人喚問などの重い責任が課されます。
精神鑑定(特に嘱託鑑定)のために、鑑定留置が行われる場合には、被疑者の身柄拘束期間が長くなってしまう結果になるため、早期解放を願う被疑者本人やその家族にとって、身柄拘束延長の不利益を被るおそれがあります。
他方で、精神鑑定が実施されることで、被疑者の心神耗弱状態や心神喪失状態や認定されれば、刑事処罰が軽くなる可能性も考えられます。
薬物傷害事件で刑事弁護の依頼を受けた弁護士は、被疑者本人やその家族の意向を聞き取りながら、より良い結果に結び付けるためには、精神鑑定を依頼したほうがいいのか、精神鑑定を拒否したほうがいいのかを検討します。
精神鑑定に関わる事件において、早期釈放や刑事処罰軽減に向けた最適な弁護活動を目指して、弁護士の側から、裁判官や検察官に対して積極的な働きかけを行っていきます。
大阪市西区の薬物傷害事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
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