覚せい剤を営利目的で輸入し逮捕

2020-04-26

今回は、覚せい剤を営利目的で輸入し、逮捕されてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

兵庫県姫路市のAさんは、外国において現地の者から覚せい剤を受け取り、飛行機にて日本に戻ったところ、持っていた覚せい剤が税関の職員に発見され、通報を受けて駆け付けた警察官に逮捕されてしまいました。
Aさんが覚せい剤を日本に持ち込んだ目的は、知り合いである薬物の売人に同覚せい剤を売り渡し、報酬を得るためでした。
押収された覚せい剤は1.5キログラムあります。
Aさんは今後どうなってしまうのでしょうか(フィクションです)。

~Aさんに成立する犯罪~

覚せい剤取締法違反(覚せい剤の営利目的輸入)の罪、及び、関税法違反(輸出入してはならない貨物の密輸出入の未遂)の罪が成立する可能性が高いと思われます。

近年、著名人が禁止薬物を所持、使用するなどして逮捕された、というニュースが世間の耳目を集めています。
しかし、事件解決までニュースを追うと、多くの場合において保釈許可決定がなされ、有罪判決を受ける場合であっても、その執行が猶予されていることがわかります。
禁止薬物の所持・使用の動機が、単に自身で使用するためであり、かつ、初犯であれば、保釈許可決定を獲得できる可能性、また、執行猶予付き判決を獲得できる可能性は十分あるといえます。

それでは、ケースにおいてAさんが起こした事件についても同様に、保釈許可決定、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高いといえるでしょうか。
結論からいえば、保釈許可決定が出る可能性は低く、実刑判決を受ける可能性がかなり高いと言わざるを得ません。
Aさんの起こした事件は薬物犯罪の中でもかなり悪質な部類であり、法定刑においても非常に重い刑罰が予定されています。
以下、Aさんに成立しうる犯罪がどのようなものかみていきましょう。

(覚せい剤の営利目的輸入罪)
覚せい剤を営利の目的でみだりに輸入すると、覚せい剤の営利目的輸入罪が成立します(覚せい剤取締法第41条2項)。
法定刑は「無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金」となっています。

「営利の目的」とは、当該犯罪行為の動機が単に財産上の利益を得る目的をもってなされたものでよく、一回限りのものでも差し支えありません。
Aさんは知り合いの売人から報酬を得るために覚せい剤を輸入していることから、「営利の目的」があったと認定される可能性が高いでしょう。

「輸入」とは、一般的には国外から国内へ物品を搬入することと解されますが、航空機によって薬物を輸入する場合は、着陸した航空機から覚せい剤を取り下ろすことによって既遂に達するものと解されます(最高裁昭和58年12月21日決定)。
ケースの場合は、既に覚せい剤の入ったAさんの荷物が取り下ろされ、税関検査を受けていた、ということなので、Aさんに覚せい剤の営利目的輸入罪の既遂犯が成立する可能性が高いと思われます。
なお、覚せい剤の営利目的輸入行為は、未遂犯も処罰されます。

(関税法違反の罪)
関税法第69条の11第1項1号によっても、覚せい剤の輸入行為が禁止されており、これに違反し有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることになります(関税法第109条第1項)。
本罪も未遂犯が処罰されます。

税関空港を経由して覚せい剤を輸入する場合は、通関線を突破した際に本罪の既遂犯が成立します。
Aさんの持ち込んだ覚せい剤は税関検査の段階で止められているので、通関線を突破しなかったものと思われます。
したがって、関税法違反の点については未遂に留まる可能性が高いでしょう。

~Aさんに必要な弁護活動~

起訴された場合、Aさんが持ち込んだ覚せい剤の量などを考慮すると、実刑を前提とした厳しい判決が予想されます。
Aさんを監督する身元引受人の用意、贖罪寄付を検討するなどの弁護活動を通じて、より軽い判決の獲得に向けて行動する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤を営利目的で輸入した疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。