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覚せい剤取締法違反(所持)事件の手続を解説
今回は、自宅で覚せい剤を保管していた疑いで逮捕されてしまった場合の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
兵庫県豊岡市に住むAさんは、売人から購入した覚せい剤を、自宅にある机の引き出しに保管していました。
ある日、Aさんの自宅に兵庫県豊岡南警察署の警察官が現れ、捜索差押許可状を示されました。
Aさんは拒否しようとしましたが、警察官は「このガサは拒否できない」と答え、大人数で室内に乗り込んできました。
机の引き出しが調べられ、中から発見された覚せい剤様の物件が検査された結果、覚せい剤であることが判明したため、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~覚せい剤所持罪について解説~
覚せい剤をみだりに所持する行為が犯罪であることは、特に説明の必要はないでしょう。
※覚せい剤取締法第41条の2
覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第四十二条第五号に該当する者を除く。)は、十年以下の懲役に処する。
~Aさんの自宅になぜ警察官が現れたか?~
覚せい剤の購入先である売人からAさんが浮上した、すでにAさんが薬物事犯の被疑者として内偵されていた、など、理由は様々です。
捜索差押許可状に基づく捜索・差押えは拒否できません。
仮に玄関を閉じて警察官の進入を拒んだとしても、押収物の隠匿を防ぐために緊急の必要があるとして、鍵を壊すなどして進入されてしまいます。
※刑事訴訟法第218条第1項
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。・・・
刑事訴訟法第222条第1項
・・・第百十条から第百十二条まで・・・の規定は、・・・司法警察職員が第二百十八条・・・の規定によってする押収又は捜索について・・・これを準用する。・・・
刑事訴訟法第111条第1項
差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。・・・
~Aさんの現行犯逮捕~
刑事訴訟法第213条によれば、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」とされています。
ケースにおいては、Aさんの引き出しから発見された覚せい剤様の物件が、検査によって本物の覚せい剤であることが確認されています。
すると、Aさんは現に覚せい剤所持行為を行う「現行犯人」に該当することになります。
Aさんの自宅の「捜索・差押」は令状によって行われましたが、Aさんの「現行犯逮捕」には令状が必要ありません。
~逮捕後の手続~
現行犯逮捕された後は、警察署に引致されます。
その後、犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受け、弁解を録取された後、取調べを受けることになります。
ケースの場合は、覚せい剤の使用行為についても嫌疑をかけられる可能性があります。
留置の必要があると認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するかを決めます。
勾留の請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留を延長されます。
Aさんが勾留されている場合は、勾留の満期日までに、検察官がAさんを起訴するか、あるいは不起訴にするかを決定します。
~勾留される可能性~
一般的にケースの様な薬物事件においては、法律上可能な全ての期間、勾留されてしまう可能性が高いでしょう。
薬物の入手ルートなどの解明に時間がかかるためです。
~起訴か不起訴か~
捜査が適正になされていれば、起訴されることになる可能性が高いと思われます。
反対に、捜査に違法があり、証拠として用いることができない物件、書面等があれば、不起訴処分となる場合もあります。
~量刑の見通し~
起訴された場合であっても、Aさんが初犯であり、適切な弁護活動がなされれば、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が十分見込めます。
信頼できる弁護士を依頼し、有利な事件解決を目指していくことをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤所持罪の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻所持の疑いで現行犯逮捕
今回は、大麻所持の疑いで現行犯逮捕されてしまった場合に依頼できる弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
京都府亀岡市に住むAさんは繁華街を飲み歩いていたところ、京都府亀岡警察署の警察官から職務質問を受けました。
Aさんのハンドバッグには大麻と、その吸引に供する器具が入っています。
警察官はハンドバッグを開披するよう求めましたが、Aさんは当初拒みました。
「やましいモノ入ってるから開けられないんだろ」、「マズいものが入ってなかったら(職務質問は)終わるから」などと説得を続けている間、警察官の数もどんどん増えてきました。
観念したAさんはハンドバッグを開披し、中にあった大麻様の物件が検査された結果、本物の大麻であることが判明しました。
Aさんは繁華街でハンドバッグ中に大麻を所持していた疑いで現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~大麻所持罪について解説~
大麻所持罪は、大麻をみだりに所持する犯罪です(大麻取締法第24条の2第1項)。
都道府県知事の免許を受けて、繊維若しくは種子を採取する目的で、大麻草を栽培する「大麻栽培者」(大麻取締法第2条2項)、都道府県知事の免許を受けて、大麻を研究する目的で大麻草を栽培し、又は大麻を使用する「大麻研究者」(大麻取締法第2条3項)といった大麻取扱者(大麻取締法第2条1項)による「所持」は大麻所持罪にあたりません。
Aさんには上記のような、大麻所持罪の除外事由がないのに、繁華街においてハンドバッグ中に大麻を所持していたものですから、大麻所持罪が成立する可能性が高いと思われます。
大麻所持罪の法定刑は5年以下の懲役となっています(大麻取締法第24条の2第1項)。
~Aさんが依頼できる弁護士~
逮捕・勾留されると、無制限に家族や友人と会うことはできなくなります。
接見禁止処分が付けば、弁護士以外の者と会うことはできません。
接見禁止処分がついていなくても、①係官が接見に立ち会う、②接見できる時間が無制限ではないなどの制約があります。
以上の通り、逮捕・勾留されてしまうと、かなり孤独な環境に置かれてしまいます。
このような刑事手続を乗り越えるためには、弁護人のサポートが重要です。
Aさんが依頼できる弁護士には、どのような種類があるのでしょうか。
(当番弁護士)
・メリット
逮捕されてしまった場合に、1回だけ無料で接見にやってくる弁護士です。
警察官、検察官、裁判官に当番弁護士を依頼すれば呼んでもらえます。
・デメリット
2回目以降の接見、被害者との示談交渉や身柄解放活動などを行うことはできません。
ただし、当番弁護士を、後述する私選弁護人として選任すれば、上記の活動を行ってもらうことができます。
(国選弁護人)
・メリット
当番弁護士と異なり、2回目以降の接見を行うこともできますし、「身柄解放活動」を行うこともできます。
原則として費用がかからない(執行猶予がつくなどして、被疑者・被告人が再就職できる場合には、費用の負担を命じられることもあります)ことが最大のメリットとして挙げられます。
・デメリット
反面、「あまり事件解決に熱心でない」、「接見に来てくれない」などの不満を聞くこともあります。
また、勾留決定がなされる前に国選弁護人が付くことはありません。
したがって、「勾留を回避する活動」は想定されないことになります。
(私選弁護人)
・メリット
国選弁護人と異なり、勾留決定がなされる前から選任できるので、勾留の理由や必要性がないことを主張したり、長時間にわたって執拗にとどめたなど職務質問の限界を超えた違法な処分があったと主張するなどして「勾留を回避する活動」なども行うことができます。
報酬についても、弁護士の方から事件解決を見越した額を提示するため、熱心に活動してもらえることが期待できます。
・デメリット
弁護士費用を被疑者側で負担する必要があります。
報酬の条件が折り合わなければ、選任することはできません。
Aさんが依頼できる弁護士には、上記の種類があります。
どの弁護士が適切であるかは、Aさんの経済的な事情、弁護士との相性次第で異なります。
自身に合った弁護士を選任し、事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持の疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻栽培を幇助
大麻栽培を幇助した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~今回のケース~
東京都文京区に在住のAさん(50歳)は、文京区内の園芸用品輸入・販売店の社長を務めています。
Aさんは、友人のBさん(50歳)が大麻栽培に使用すると知っていながら、Bさんに対して照明器具や液体肥料などを販売していました。
ある日、Bさんが大麻取締法違反の疑いで逮捕され、AさんがBさんに大麻栽培のための道具を販売していることがBさんへの取調べで判明しました。
そして、Aさんは、大麻取締法違反の疑いで、警視庁駒込警察署の警察官に逮捕されてしまいました。
(これはフィクションです)
~問題となる条文~
〇大麻取締法
第24条 第1項
大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
第24条の6
情を知って、第24条第1項又は第2項の罪に当たる行為に要する資金、土地、建物、艦船、航空機、車両、設備、機械、器具又は原材料(大麻草の種子を含む。)を提供し、又は運搬した者は、3年以下の懲役に処する。
・今回のケースでは
Aさんは、Bさんが大麻を栽培すると知っていながら、Bさんに大麻栽培のための器具を提供しているので、大麻取締法第24条の6に該当し、起訴されて有罪が確定すると「3年以下の懲役」の刑罰が科される可能性が高いです。
~大麻取締法違反への弁護活動~
〇初回接見
薬物事件では、入手先等事件に関係する仲間と接触しての証拠隠滅が疑われ、逮捕されてしまった後、そのまま勾留される可能性が非常に高いです。
そこで、ご家族の方から弁護士を身体拘束されてしまった方の元へ派遣する初回接見を行うことをおすすめします。
薬物事件では、上述のように証拠隠滅の可能性があるため、ご家族の方でさえも身体拘束されてしまった方への接見を禁じられる場合があります。
しかし、接見禁止となっていても、弁護士であれば身体拘束を受けている方と自由に面会ができます。
弁護士は、今後の対応について話し合ったり、ご家族の方からの伝言を伝えたりすることで、身体拘束を受けている方の精神的なサポートを行うことが可能です。
〇身柄解放への活動
弁護士は、検察官に対して身体拘束を受けている方には証拠隠滅や仲間との接触の可能性が無いことを訴え、勾留請求をしないように働きかけることができます。
仮に、裁判所から勾留決定が出されたとしても、勾留決定に対する異議申し立てを行います。
〇不起訴処分を目指す
起訴するかどうかは、検察官の裁量にゆだねられています。
そのため、弁護士は検察官が起訴しない(不起訴処分を下す)ように働きかけを行います。
不起訴処分になると、裁判にかけられることはなく、前科もつきません。
不起訴処分には、以下の3種類があります。
①嫌疑なし
身体拘束を受けている方が犯人でないことが明白又は犯罪を成立する証拠がないことが明白であることを示した場合
②嫌疑不十分
犯罪の疑いが完全にないとは言えなくても、裁判で身体拘束を受けている方が有罪であるとの証明が困難である場合
③起訴猶予
裁判で有罪であるとの証明ができる場合でも、性格、年齢、境遇、犯罪後の情況などを考慮して起訴する必要がないと検察官が判断した場合
今回のケースでは、Aさんが犯人であることは明白なので、①嫌疑なし、②嫌疑不十分を主張するのは難しいでしょう。
そのため、弁護士は③起訴猶予を目指すことが考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、大麻取締法違反など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。
覚せい剤使用の疑いで緊急逮捕
今回は、覚せい剤使用の疑いで緊急逮捕されてしまった場合の刑事手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都調布市に住むAさんは、日頃から覚せい剤などの薬物を使用するなどして、繁華街を飲み歩いていました。
ある日、警視庁調布警察署の警察官から職務質問を受けた際、真夏にも関わらず長そでの服を着用していることや、会話のやり取りがスムーズでないことを見咎められ、尿を任意提出するよう求められました。
Aさんは任意に尿を提出しましたが、簡易検査に回される際の隙を狙って逃亡しました。
なお、Aさんの尿からは覚せい剤の使用を示す反応が検出されました。
翌日、Aさんが自宅を出るとパトロール中の警察官と遭遇しました。
Aさんがやはり逃げ出したため、警察官はAさんを引き留めて身元を確認したところ、昨晩逃亡した覚せい剤使用の被疑者であることが判明しました。
Aさんは後に覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで緊急逮捕されてしまいました。(フィクションです)。
~覚せい剤使用罪とは?~
その名の通り、法定の除外事由(「覚せい剤製造業者が製造のため使用する場合」や、「覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者が施用する場合」などが該当します)がないのに覚せい剤を使用する犯罪です。
覚せい剤取締法第19条は、同条1号~5号に掲げる場合の他、何人も、覚せい剤を使用してはならないとしています。
上記19条の規定に違反して覚せい剤を使用した場合は、10年以下の懲役が予定されています(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
~Aさんになされた緊急逮捕とは?~
緊急逮捕とは、
要件①:死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した場合
要件②:罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある
要件③:急速を要し裁判官の逮捕状を求めることができない
上記3つの要件を充足した場合に、令状なしで犯人を逮捕する手続を言います。
なお、現行犯逮捕と異なり、逮捕することができる者は①検察官、②検察事務官又は②司法警察職員に限定されます。
~緊急逮捕は適正であったか?~
Aさんの疑われている覚せい剤使用罪は最長で10年以下の懲役に処せられる犯罪類型です。
これによれば、要件①の「長期三年以上の懲役に当たる罪を犯した場合」に該当することになります。
また、Aさんが逮捕された前日に行われた簡易検査によれば、Aさんが覚せい剤を使用したことを示す反応が検出されています。
これは要件②を充足したとする理由の1つとなるでしょう。
さらに、事件翌日のAさんは警察官を認めてさらに逃亡しようとしています。
警察官もパトロール中に偶然Aさんと接触したもので、逮捕状が出るまでAさんを放っておけばまた見失ってしまうでしょう。
こうした事情から、要件③も充足されるでしょう。
上記事実関係によれば、Aさんになされた緊急逮捕は適正であったと判断される可能性が高いと思われます。
~緊急逮捕後の手続~
Aさんが逮捕された後は、取調べが行われ、令状が請求されることになります。
令状が発せられなければ釈放されることになります。
ケースの事件はもともと身体拘束が長期化しやすい類型であることに加え、被疑者であるAさんが何度も逃亡を図っています。
これによれば、Aさんに勾留がつき、長期間身体拘束をされる可能性が高くなるでしょう。
事件が起訴された後は、保釈を請求することができます。
保釈許可決定が出れば、保釈保証金を納付して外に出ることができます。
Aさんが初犯であれば、適切な弁護活動を尽くすことにより、執行猶予付き判決を獲得することが見込めます。
まずは、早期に弁護士と相談し、善後策を練ることが重要でしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤使用の疑いで緊急逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻所持の疑いで逮捕
今回は、自宅で大麻を所持していた疑いで逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
ある日、神奈川県川崎市のAさんの自宅玄関に来客があったので応対すると、多数の警察官でした。
ドアを開けると捜索差押許可状を示され、自宅の捜索が始まりました。
キッチンの食器棚に収納していた大麻が見つかったため、Aさんは神奈川県高津警察署に同行され、取調べを受けました。
取調べの後、Aさんは大麻取締法違反の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~大麻所持罪とは?~
大麻取締法第24条の2第1項によれば、「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」とされており、大麻の所持行為が禁止されていることがわかります。
また、同条第2項によれば、「営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する」とされています。
Aさんが大麻を所持するに至ったきっかけ、押収された大麻の量によっては、後者の嫌疑をかけられる可能性もあります。
~逮捕後の手続~
犯罪事実の要旨、弁護人選任権について説明を受けた後、弁解を録取されます。
当番弁護士をこのタイミングで頼むこともできます。
取調べでは、大麻以外の薬物の所持など、余罪の有無についても尋ねられる可能性が高いと思われます。
ケースの大麻所持事件の捜査が終わり、釈放される場合であっても、別の件で改めて逮捕されてしまう可能性も考えられます。
~検察への送致~
取調べ後、留置の必要が認められると、警察は逮捕時から48時間以内にAさんを検察へ送致します。
検察では、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAさんの勾留を請求するか、Aさんを釈放するか、あるいは起訴するかを決定します。
~勾留の判断~
勾留の可否は裁判官が判断します。
勾留請求を受けた裁判官が勾留決定を出すと、10日間勾留されます。
さらにやむを得ない事由があると認められると、最長10日間勾留が延長されます。
大麻所持事件をはじめとする薬物事件においては、なかなか勾留をつけずに釈放を実現することは難しいです。
多くの場合、法律上可能なすべての期間、勾留されてしまうことが多いようです。
~薬物事件の身柄解放活動~
起訴された後は、保釈を請求することができます。
「保釈」とは、保釈保証金の納付を条件として、被告人に対する勾留の執行を停止して、その身柄拘束を解く裁判及びその執行を意味します。
保釈金の額は、犯罪の性質・情状、証拠の証明力、被告人の性質・資産を考慮し、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。
裁判所は、保釈の請求があったときは、権利保釈の除外事由(重罪事件である、罪証隠滅のおそれがあるなど)がある場合を除き、原則として保釈を許可しなければなりません(権利保釈)。
また、権利保釈の除外事由がある場合であっても、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます(裁量保釈)。
さらに、勾留による拘禁が不当に長くなったときは、請求によりまたは職権で、保釈を許さなければなりません(義務的保釈)。
なお、義務的保釈は実務上、ほとんどありません。
再犯防止に努めていることをアピールするためには、専門の薬物依存治療プログラムを開始することが効果的ですが、その実現のためにはまず保釈を実現しなければなりません。
初犯の大麻所持事件においては、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が十分あります。
弁護士のアドバイスを受けながら有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
覚せい剤を使用して自動車を運転中に人身事故
今回は、覚せい剤を使用して自動車を運転中に人身事故を起こしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
埼玉県川越市のAさんは、覚せい剤を使用して自動車を運転中、その薬理作用のためハンドルやブレーキを適切に操作することができず、歩道上の歩行者Vに衝突してしまいました。
歩行者Vは軽傷を負うに留まりましたが、これを目撃したWが事故を警察と消防に通報しました。
駆け付けた埼玉県川越警察署の警察官は、Aさんの言動から薬物使用を疑ったため、Aさんから任意で尿の提出を受け、検査を行ったところ、覚せい剤の使用を示す反応が検出されました。
Aさんはその場で現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~Aさんに成立する犯罪~
Aさんには危険運転致傷罪及び覚せい剤使用罪が成立する可能性が高いと思われます。
加えて、自宅で覚せい剤を保管するなどしていた場合は、覚せい剤所持罪の嫌疑もかけられることになります。
(危険運転致傷罪)
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた場合は、十五年以下の懲役に、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処せられます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条1号)。
ケースのAさんは、覚せい剤の薬理作用により、ハンドルやブレーキを適切に操作することができない状態に陥っていました。
このような状態は「薬物の影響により正常な運転が困難な状態」に該当するでしょう。
その上で自動車を運転したところ、適切にハンドルやブレーキを操作することができず、よってVに自動車を衝突させ傷害を負わせてしまった、という事実関係のもとでは、Aさんに危険運転致傷罪が成立する可能性が高いと思われます。
危険運転致傷罪の法定刑は15年以下の懲役です。
(覚せい剤使用罪)
Aさんは法定の除外事由がないのに、覚せい剤を使用しています。
当然、覚せい剤の使用行為は犯罪です。
Aさんには覚せい剤の使用罪も成立することになるでしょう。
法定刑は10年以下の懲役となっています(覚せい剤取締法第41条の3第1項1号)。
(覚せい剤所持罪)
Aさんには覚せい剤を「所持」している嫌疑もかけられるでしょう。
警察が捜索差押許可状の発付を受け、Aさんの自宅を捜索することが考えられます。
Aさんの自宅から覚せい剤が発見されれば、覚せい剤所持罪を立証する証拠となりえます。
覚せい剤所持罪の法定刑も10年以下の懲役となっています(覚せい剤取締法第41条の2第1項)。
~今後の手続と弁護活動~
危険運転致傷罪も、覚せい剤の使用罪、所持罪も、長期間勾留され、起訴されてしまう可能性が高い犯罪類型といえます。
全ての嫌疑につき並行して捜査を行う場合は、捜査段階において最長23日間身体拘束を受ける可能性があります。
被疑事実を分けて捜査を行い、逮捕が繰り返される場合には、捜査段階における身柄拘束の期間がさらに伸びることも考えられます。
身体拘束期間が長引かないように、早期に弁護士を依頼し、逮捕を繰り返さないよう働きかける必要があります。
起訴された後は、保釈を請求することができます。
保釈許可決定が出れば、保釈金を納付し、外に出ることができます。
ただし、複数の事件に渡るため、保釈金が高額になることが予想されます。
家族だけで必要な金額を準備するのが厳しい場合は保釈保証金の支援を受けるべきでしょう。
無事に事件が解決すれば、有罪の場合であっても、保釈金は戻ってきます。
~目指す判決~
ケースの場合は、Vが軽傷を負うに留まっています。
高いハードルを越える必要はありますが、刑事弁護に熟練した弁護士の適切な弁護活動により、執行猶予付き判決を獲得できる可能性はあります。
執行猶予付き判決を獲得できる可能性を高めるためには、Vと示談を成立させ、自動車を処分し、身元引受人を用意した上で、薬物依存の治療を開始することにより、再犯防止に努めていることを裁判官にアピールする必要があります。
Aさんが二度とケースのような事件を起こさないだろう、ということを裁判官に納得してもらうことが重要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、より有利な事件解決を目指して活動していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が危険運転致傷・覚せい剤使用、所持事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
大麻共同所持事件の裁判で執行猶予判決
薬物事件裁判の量刑判断について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪市西成区在住のAさん(30代男性)は、会社終わりの時間帯に、コンビニの駐車場で、会社の同僚に誘われて大麻を使用していたところを、警察官の職務質問を受け、大麻所持の容疑で現行犯逮捕された。
Aさんの身柄は、大阪府西成警察署に留置され、さらに10日間の身柄拘束が続く勾留決定が出た。
Aさんには、以前にも大麻所持容疑で執行猶予付きの判決を受けた前科がある。
今後にAさんが実刑判決を受けて、刑務所に入ることを不安に思ったAさんの家族は、刑事事件に強い弁護士に相談して、一度、西成警察署でのAさんとの弁護士接見(面会)を依頼し、刑事処罰軽減に向けた、今後の弁護活動対応の見通しを立てることにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~大麻所持事件の刑事処罰とは~
大麻に関わる犯罪を起こした場合には、「大麻取締法違反」に当たるとして、刑事処罰が科されます。
大麻事件の犯行態様によって、刑事処罰の法定刑は変わってくるところ、「大麻の所持・譲受・譲渡」を行ったような場合には、法定刑は「5年以下の懲役」とされています。
また、「営利目的で、大麻の所持・譲受・譲渡」を行ったような場合には、法定刑はより重くなり、「7年以下の懲役、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」とされています。
・大麻取締法 24条の2
1項「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する。」
2項「営利の目的で前項の罪を犯した者は、七年以下の懲役に処し、又は情状により七年以下の懲役及び二百万円以下の罰金に処する。」
3項「前二項の未遂罪は、罰する。」
大麻事件では、「罰金刑だけとなる刑事処罰」の規定はありません。
なので、もし刑事処罰を科すべき犯罪行為に当たるとして検察官から起訴されれば、公開の裁判が行われ、実刑判決を受けて刑務所に入るか、あるいは執行猶予付きの判決が出るかが、裁判上で争われる形になります。
裁判上において有利な事情を主張していくためには、事件発覚初期の段階で、警察の取調べに対して、被疑者本人が事件の経緯をどのように説明していたかの事情が、特に重要となります。
事件発覚初期の段階で弁護士に相談したり、逮捕初期の段階で弁護士を警察署に派遣して、取調べ対応の打合せをすることが、その後の裁判で刑事処罰を軽減し、執行猶予付きの判決を得るために重要となります。
~薬物事件裁判の量刑判断における考慮事情~
大麻所持事件の刑事処罰の量刑については、以下の事情が考慮されます。
・初犯かどうか、どういった薬物前科があるか
・薬物事件の余罪の有無
・大麻の常習性
・大麻の入手経路
・本人の反省意思の程度
・本人の更生、社会復帰の可能性
大麻所持事件で執行猶予付きの判決を勝ち取るためには、被疑者・被告人にとって有利な事情を、刑事事件に強い弁護士との相談のもとで、裁判上において積極的に主張していくことが重要となります。
また、被疑者・被告人のご家族の方に対する事件内容の報告や、今後の事件展開の見通しなども、弁護士の側から逐一詳細にご説明することで、ご家族の方の心配を少しでも和らげることができます。
薬物犯罪による逮捕事件では、弁護士による、事件発覚初期の取調べ対応が重要となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談いただければ、逮捕当日や逮捕翌日に、弁護士を被疑者本人が逮捕されている警察署へと派遣し、弁護士接見(面会)を行うことで、その後の取調べ対応をアドバイスするとともに、早期釈放や事件解決に向けた見通しを、被疑者のご家族の方に報告いたします。
大麻所持事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
薬物事件と没収
薬物事件と没収について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪府貝塚市に住むAさんは、覚せい剤取締法違反(所持の罪)で大阪府貝塚警察署に逮捕、起訴され、裁判所で裁判を受け、「懲役1年6月 3年間執行猶予 覚せい剤約0.5グラムを没収する」との判決の言い渡しを受けました。Aさんは判決後、弁護士に「没収」とは何か尋ねました。
(フィクションです)
~没収とは~
没収とは、物の所有権を剥奪して国庫に帰属させる財産刑のことをいいます。
刑罰の種類について定めた刑法9条は、「死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。」としており、没収を刑罰の一種としています。
ここでいう「主刑」とは独立に言い渡すことができる刑罰のことで、「付加刑」とは主刑が言い渡された場合にそれに付加してのみ言い渡すことができる刑罰のことをいいます。没収は付加刑ですから、判決で没収だけを言い渡すことはできず、必ず懲役や罰金等の他の刑罰と一緒に言い渡されます。
~没収の目的~
没収は刑罰の一種ですから、制裁的の意味合いがあることは間違いありません。しかし、それよりもむしろ、社会への危険・害悪の防止、犯罪組織への利得還元の防止など保安処分としての意味合いの方が濃いとも言われています。
国によって覚せい剤を没収してしまわなければ、再びそれを使うなどする人がいて社会に危険・害悪をもたらしかねないからそれを没収してしまおうというわけです。
没収とよく混同される言葉として「押収」があります。「押収」とは、捜査機関が、対象者から任意で物の提出を受けたり、強制的に物を差し押さえたりする場合のことです。他方、「没収」は刑罰の一種で、裁判官しか言い渡すとこができません。また、「押収」は一時的に物の占有を取得したにすぎず、所有権を放棄しないかぎりのちのち還付(返却)されますが、「没収」は所有権を剥奪することなので永久的に手元に戻ってくることはありません。
「没収」は法的には「押収」されていないものでも対象とすることはできますが、実務では、「押収」されているものに限り「没収」の対象としているようです。
~「没収」には「必要的没収」と「任意的没収」~
「没収」には、必ず没収すべき「必要的没収」と、裁判官の裁量に委ねられる「任意的没収」の2つに分けられます。
必要的没収については刑法、又は特別法に規定されています。刑法に規定されている必要的没収は、賄賂の没収(刑法197条の5)です。薬物事件に関するものとしては、
・麻薬(麻薬及び向精神薬取締法69条の3第1項)
・大麻(大麻取締法24条の5第1項)
・覚せい剤(覚せい剤取締法41の8第1項)
などがあります。
これらの者は、必ず没収することとしないと、新たな犯罪を生み出すことにもなりかねず社会に害悪をもたらす危険が大きいことから必要的没収とされています。必要的没収を看過してこれを科さない判決が言い渡された場合は、法令適用の誤りとして控訴理由となります(刑事訴訟法380条)。
任意的没収については刑法19条に規定されています。
刑法19条1項 次に掲げる物は、没収することができる。
1号 犯罪行為を組成した物(偽造文書行使罪における偽造文書、賭博罪における賭金、無免許運転における自動車など)
2号 犯罪行為の用に供し、又は供しようとした物(文書偽造の用に供した偽造の印章、殺人に用いた日本刀、住居侵入・窃盗のために使用した懐中電灯など)
3号 犯罪行為によって生じ、若しくはこれによって得た物又は犯罪行為の報酬として得た物(犯罪によって生じ→通貨偽造罪における偽造通貨、文書偽造罪における偽造文書など/これによって得た物→賭博に勝って得た財物、財産犯罪によって領得した財物など/犯罪行為の報酬として得たもの→殺人の依頼に応じて殺人を行ったことによって得た報酬金、窃盗幇助の謝礼として得た財物など)
4号 前号に掲げる物の対価として得た物(盗品等の売却代金、窃盗犯人が盗んだ現金で買ったものなど)
1号によると、無免許運転した際の自動車も没収される可能性はあるわけですが、保管のため(保管は検察庁がすることになるかと思います)のスペースを確保することが難しいと思われますし、手間も労力がかかります。また、日常生活の交通手段ともなっており、免許停止期間や欠格期間が経過して免許を取得すれば再び運転することができるわけですから、実務では没収されることはまずありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件を起こしお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
覚せい剤を営利目的で輸入し逮捕
今回は、覚せい剤を営利目的で輸入し、逮捕されてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
兵庫県姫路市のAさんは、外国において現地の者から覚せい剤を受け取り、飛行機にて日本に戻ったところ、持っていた覚せい剤が税関の職員に発見され、通報を受けて駆け付けた警察官に逮捕されてしまいました。
Aさんが覚せい剤を日本に持ち込んだ目的は、知り合いである薬物の売人に同覚せい剤を売り渡し、報酬を得るためでした。
押収された覚せい剤は1.5キログラムあります。
Aさんは今後どうなってしまうのでしょうか(フィクションです)。
~Aさんに成立する犯罪~
覚せい剤取締法違反(覚せい剤の営利目的輸入)の罪、及び、関税法違反(輸出入してはならない貨物の密輸出入の未遂)の罪が成立する可能性が高いと思われます。
近年、著名人が禁止薬物を所持、使用するなどして逮捕された、というニュースが世間の耳目を集めています。
しかし、事件解決までニュースを追うと、多くの場合において保釈許可決定がなされ、有罪判決を受ける場合であっても、その執行が猶予されていることがわかります。
禁止薬物の所持・使用の動機が、単に自身で使用するためであり、かつ、初犯であれば、保釈許可決定を獲得できる可能性、また、執行猶予付き判決を獲得できる可能性は十分あるといえます。
それでは、ケースにおいてAさんが起こした事件についても同様に、保釈許可決定、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高いといえるでしょうか。
結論からいえば、保釈許可決定が出る可能性は低く、実刑判決を受ける可能性がかなり高いと言わざるを得ません。
Aさんの起こした事件は薬物犯罪の中でもかなり悪質な部類であり、法定刑においても非常に重い刑罰が予定されています。
以下、Aさんに成立しうる犯罪がどのようなものかみていきましょう。
(覚せい剤の営利目的輸入罪)
覚せい剤を営利の目的でみだりに輸入すると、覚せい剤の営利目的輸入罪が成立します(覚せい剤取締法第41条2項)。
法定刑は「無期若しくは三年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは三年以上の懲役及び一千万円以下の罰金」となっています。
「営利の目的」とは、当該犯罪行為の動機が単に財産上の利益を得る目的をもってなされたものでよく、一回限りのものでも差し支えありません。
Aさんは知り合いの売人から報酬を得るために覚せい剤を輸入していることから、「営利の目的」があったと認定される可能性が高いでしょう。
「輸入」とは、一般的には国外から国内へ物品を搬入することと解されますが、航空機によって薬物を輸入する場合は、着陸した航空機から覚せい剤を取り下ろすことによって既遂に達するものと解されます(最高裁昭和58年12月21日決定)。
ケースの場合は、既に覚せい剤の入ったAさんの荷物が取り下ろされ、税関検査を受けていた、ということなので、Aさんに覚せい剤の営利目的輸入罪の既遂犯が成立する可能性が高いと思われます。
なお、覚せい剤の営利目的輸入行為は、未遂犯も処罰されます。
(関税法違反の罪)
関税法第69条の11第1項1号によっても、覚せい剤の輸入行為が禁止されており、これに違反し有罪判決を受ける場合は、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されることになります(関税法第109条第1項)。
本罪も未遂犯が処罰されます。
税関空港を経由して覚せい剤を輸入する場合は、通関線を突破した際に本罪の既遂犯が成立します。
Aさんの持ち込んだ覚せい剤は税関検査の段階で止められているので、通関線を突破しなかったものと思われます。
したがって、関税法違反の点については未遂に留まる可能性が高いでしょう。
~Aさんに必要な弁護活動~
起訴された場合、Aさんが持ち込んだ覚せい剤の量などを考慮すると、実刑を前提とした厳しい判決が予想されます。
Aさんを監督する身元引受人の用意、贖罪寄付を検討するなどの弁護活動を通じて、より軽い判決の獲得に向けて行動する必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が覚せい剤を営利目的で輸入した疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
クラブで友人にMDMAを譲渡し逮捕
MDMAを譲渡した場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~今回のケース~
福岡県宗像市に在住のAさん(30歳)は、宗像市内で音楽プロデューサーをしています。
ある日、Aさんは宗像市内のクラブでイベントを開催し、その際、友人のBさん(30歳)に合成麻薬MDMAを若干量譲渡しました。
数週間後、そのMDMAを使用していたBさんが逮捕されました。
そして、Bさんの交友関係を捜査した福岡県宗像警察署の警察官によって、Aさんは麻薬取締法違反の疑いで、逮捕されてしまいました。
(フィクションです)
~問題となる条文~
〇麻薬及び向精神薬取締法(麻薬取締法) 第12条1項
ジアセチルモルヒネ、その塩類又はこれらのいずれかを含有する麻薬(以下「ジアセチ ルモルヒネ等」という。)は、何人も、輸入し、輸出し、製造し、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、施用し、所持し、又は廃棄してはならない。ただし、麻薬研究施設の設置者が厚生労働大臣の許可を受けて、譲り渡し、譲り受け、又は廃棄する場合及び麻薬研究者が厚生労働大臣の許可を受けて、研究のため、製造し、製剤し、小分けし、施用し、又は所持する場合は、この限りでない。
麻薬及び向精神薬取締法(いわゆる麻薬取締法)によれば、厚生労働大臣によって許可を受けている人を除いて、「ジアセチルモルヒネ等」等を譲渡や所持をすることが禁止されています。
MDMAも「ジアセチルモルヒネ等」にあたる麻薬なので、この条文が適用されることになります。
~罰則~
〇麻薬取締法 第64条の2
ジアセチルモルヒネ等を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、交付し、又は所持した者は、10年以下の懲役に処する。
今回のケースでは、AさんはBさんにMDMAを譲渡しているので、上記の条文が適用されます。
そのため、起訴されて有罪判決が確定すると、「10年以下の懲役」が科せられることになります。
~今回のケースのような場合における弁護活動~
薬物事件では、事件に関係する仲間と接触によって証拠隠滅が行われることを疑われるため、逮捕されてしまうと、そのまま勾留される可能性が非常に高いです。
また、ご家族の方を通じての証拠隠滅の可能性もあるため、ご家族の方でさえ接見(面会)を禁じられる場合が多いです。
そこで、ご家族の方から初回接見を依頼することをおすすめします。
初回接見を依頼することで、経験と知識が豊富な弁護士を、身体拘束を受けている方の下へ一度だけ派遣することが可能です。
初回接見では、ご家族の方が接見を禁じられていたとしても、弁護士には接見禁止の制限がないため、身体拘束を受けている方と自由に面会ができます。
また、弁護士は、今後の対応について話し合ったり、ご家族の方の伝言を伝えたりすることで、身体拘束を受けている方の精神的なサポートを行うことが可能です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、福岡県の麻薬取締法違反など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。