(事例紹介)SNSで覚醒剤販売を呼びかけ麻薬特例法違反に
(事例紹介)SNSで覚醒剤販売を呼びかけ麻薬特例法違反に
~事例~
ツイッターで覚醒剤の取引を呼びかけたとして、京都府警組対3課と中京署は1日までに、麻薬特例法違反(あおり、唆し)の疑いで、栗東市の無職の男(41)を逮捕した。
逮捕容疑は昨年4月5日、ツイッターに覚醒剤を意味する隠語「氷」の絵文字を使って「京都、滋賀から配達員がすぐ対応します」などと書き込み、覚醒剤の販売を広く呼びかけた疑い。「身に覚えがない」と容疑を否認しているという。
(※2022年6月1日15:17京都新聞配信記事より引用)
~SNSでの覚醒剤販売呼びかけ~
今回の事例では、男性が麻薬特例法違反の容疑で逮捕されたと報道されています。
男性の逮捕容疑は、覚醒剤の隠語を使用してSNSで覚醒剤の販売を呼びかけたというものです。
ご存知の方も多いように、覚醒剤は所持すること自体が違法であり、その輸出入や所持、授受、使用などの行為は覚醒剤取締法によって禁止されています。
覚醒剤取締法第41条
第1項 覚醒剤を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、又は製造した者(第41条の5第1項第2号に該当する者を除く。)は、1年以上の有期懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、無期若しくは3年以上の懲役に処し、又は情状により無期若しくは3年以上の懲役及び1,000万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
覚醒剤取締法第41条の2
第1項 覚醒剤を、みだりに、所持し、譲り渡し、又は譲り受けた者(第42条第5号に該当する者を除く。)は、10年以下の懲役に処する。
第2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、1年以上の有期懲役に処し、又は情状により1年以上の有期懲役及び500万円以下の罰金に処する。
第3項 前二項の未遂罪は、罰する。
覚醒剤取締法第41条の3第1項
次の各号の一に該当する者は、10年以下の懲役に処する。
第1項 第19条(使用の禁止)の規定に違反した者
覚醒剤に関連してこれらの行為が禁止されていることや、それが覚醒剤取締法という法律で禁止されていることは、先ほど触れたように、多くの方がご存知のことでしょう。
しかし、今回の事例では、逮捕された男性にかけられた容疑の内容は、「SNSで覚醒剤の販売を呼びかける」というものです。
覚醒剤を実際に販売したわけではなく、販売を広く呼びかけたということも、犯罪になるのでしょうか。
今回の事例で男性が違反した容疑をかけられている麻薬特例法(正式名称:国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)という法律では、以下のような条文があります。
麻薬特例法第9条
薬物犯罪(前条及びこの条の罪を除く。)、第6条の罪若しくは第7条の罪を実行すること又は規制薬物を濫用することを、公然、あおり、又は唆した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
麻薬特例法では、「薬物犯罪」の中に、覚醒剤取締法第41条、第41条の2を含めています(麻薬特例法第2条第2項第5号)。
つまり、覚醒剤の販売を含む、覚醒剤の譲渡し・譲受けを公然、あおり、唆した場合には、それだけで麻薬特例法に違反することになります。
今回の事例では、逮捕された男性がSNSで隠語を用いて覚醒剤の販売を呼びかけた疑いをかけられています。
利用されたSNSは誰でもアクセスできるものであるため、本当に覚醒剤の販売を呼びかけた内容を投稿したのであれば、「公然、あおり、又は唆した」と判断されると考えられます。
覚醒剤などの違法薬物に関わる刑事事件というと、実際に違法薬物を使用したケースや、違法薬物を所持したケースが思い浮かびやすいですが、今回の事例のように、販売を呼びかけたという容疑で逮捕されることもあります。
薬物事件に限らず、刑事事件では、イメージとは異なる行為と犯罪が結びつくこともありますので、早い段階で弁護士のアドバイスを聞くことがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、麻薬特例法違反事件などの薬物事件についてもご相談・ご依頼を受け付けています。
フリーダイヤル0120-631-881では、スタッフがお問い合わせを受け付けていますので、お気軽にお電話ください。