(事例紹介)職務質問から覚醒剤取締法違反事件が発覚
(事例紹介)職務質問から覚醒剤取締法違反事件が発覚
覚醒剤取締法違反事件の報道をテーマに、薬物事件の捜査の端緒について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
青森県警青森署と県警機動捜査隊は11日、むつ市の中学校教諭の男(36)(むつ市)を覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで現行犯逮捕した。容疑を認めているという。
発表によると、男は11日午前11時50分頃、青森市内のインターネットカフェの駐車場に止めた自家用車内に、ビニール袋に入った覚醒剤を所持した疑い。車内からは注射器も見つかった。署員が職務質問して発覚した。
(※2021年7月13日18:52読売新聞オンライン配信記事より引用)
~薬物事件の捜査の端緒~
捜査の端緒とは、簡単に言い換えると、「捜査が開始されるに至ったきっかけ」をいいます。
覚醒剤取締法違反事件などの薬物事件においては、今回取り上げたケースのように、しばしば職務質問が捜査の端緒となります(もちろん、他者からの告発により捜査が開始される場合や、捜査機関が自ら犯罪事実を認識し、捜査が開始される場合もありえます。)。
職務質問は、「警察官職務執行法」という法律で警察官に許可されている行為であり、簡単に言えば、犯罪をした者や犯罪をしようとしている者を見つけるために行われるものです。
ですから、職務質問は、まさに先ほど触れた「捜査の端緒」となるべくしてなる行為なのです。
警察官職務執行法第2条第1項
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる。
覚醒剤取締法違反事件などの薬物事件では、薬物を使用した影響から挙動不審となったり、薬物の所持や売買という事実があることに緊張したり警察官を見かけて焦ったりという様子を見せたりするなどの事情から、職務質問されるケースが考えられます。
薬物の取引についての情報を捜査機関が掴んでいれば、捜査機関が付近を警戒し、そこから周囲の人を職務質問していって薬物事件が発覚というケースもあるでしょう。
今回取り上げたケースは、報道によれば逮捕された男性は容疑を認めているということですが、職務質問や所持品検査を頑なに拒否する被疑者も少なくありません。
時には、捜査に当たって違法な手続が行われ、収集した証拠の証拠能力が否定されるケースもあります。
2020年6月19日には、覚醒剤が入ったスーツケースを成田空港に持ち込んだなどとして起訴された男性被告人につき、税関の検査に重大な違法があるとして無罪判決を言い渡しています。(THE SANKEI NEWS 2020年6月20日 「「違法な検査」と無罪判決 覚醒剤密輸事件で千葉地裁」より)
しかし、捜査の端緒となった職務質問が適法なものなのか違法なものなのかといった判断をするには、事件ごとの個別の事情によるところもあり、専門的な知識が求められます。
だからこそ、薬物事件の捜査の端緒に疑問のある方は、すぐに弁護士と相談し、今後の対応についてアドバイスを受けましょう。
職務質問が違法だった場合はもちろんのこと、適法な職務質問によって薬物事件が発覚した場合でも、その後の刑事手続で弁護士のサポートをこまめに受けられることは被疑者・被告人の方にとって大きなメリットとなります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を中心に取り扱う法律事務所です。
薬物事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。