東京都八王子市 覚せい剤を受け取っていなくても逮捕? 麻薬特例法②

2018-08-31

東京都八王子市 覚せい剤を受け取っていなくても逮捕? 麻薬特例法②

~ 前回の続き ~

Aさんが常習的に覚せい剤の取引に関与しているとの情報を得た警視庁八王子警察署の警察官は,港で押収され,箱の中に隠匿されていた覚せい剤(50キログラム)を抜き取って同量の塩袋と取り換え,これを宅急便でAさん宅まで運ぶ手続きをしました。
そして,Aさんがこの箱を受領したところを,麻薬特例法違反(規制薬物としての薬物等の所持)で現行犯逮捕しました。        
(フィクションです)

~ 麻薬特例法 ~

Aさんが疑いをかけられている罪については,法律8条2項に規定があります。  
    薬物犯罪(規制薬物の譲渡し,譲受け又は所持に係るものに限る)を犯す意思をもって,薬物その他の物品規制薬物として譲り渡し,若しくは譲り受け(略)た者は,2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

本罪は,規制薬物に係る不正行為を助長する行為を防止するための規定です。
ですから,本罪の薬物とは,規制薬物の他,規制薬物でないことが明らかである薬物,規制薬物であるか否かの証明が十分でない薬物を含みます。
また,その他の物品とは,事例のように,クリーン・コントロールド・デリバリーを実施した後に,捜査機関が規制薬物の代わりに入れておいた物(本件では塩袋)や,規制薬物が入っていた容器,バック等の入れ物などが挙げられます。
つまり,覚せい剤などの規制薬物が存在しないいわゆる「物なし事件」でも本罪の対象となります!
しかし,「規制薬物として譲り受け」と条文にあるように,本罪が成立するためには,行為者において,行為時に,当該物が規制薬物であるとの認識(故意)があったことが必要です。

また,本罪の罰則は,通常の覚せい剤使用罪(10年以下の懲役)等と比べて軽微な(薬物事案なのに罰金刑がある!)ことにお気づきと思います。
これは,前述のとおり,取引の対象物に規制薬物ではない物も含まれていることに関係しています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件専門の法律事務所です。
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警視庁八王子警察署までの初回接見費用:34,900円)