大麻密輸と接見禁止解除

2020-02-26

大麻密輸と接見禁止解除について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ 事例 ~

福岡県大牟田市に住むAさんは、福岡県大牟田警察署の警察官に所持していたキャリーケースの中から大麻約100グラムを発見押収され、大麻を営利目的で密輸したとして大麻取締法違反(営利目的輸入罪)で逮捕されました。Aさんは「キャリーケースの中に大麻が入っていたことを知らなかった。」などと言って、大麻密輸の事実を否認しています。Aさんはその後勾留され接見禁止決定が出て弁護人以外の者との接見が禁止されてしまいました。また、起訴後も接見禁止決定が出たことから弁護人に接見禁止決定を解除できないか相談しました。
(フィクションです。)

~ 大麻の密輸 ~

薬物の多くは海外から輸入されたものだと言われています。大麻もその中の一つです。 
大麻は大麻取締法で規制されています。
大麻取締法は、大麻の栽培・輸出入・所持・譲渡・譲受などについて必要な規制を行う法律です。
覚せい剤などとは異なり、大麻の使用自体は規制されていません。

大麻の輸出入に関しては、以下のように規定されています。
第四条 何人も次に掲げる行為をしてはならない。
一 大麻を輸入し、又は輸出すること(大麻研究者が、厚生労働大臣の許可を受けて、大麻を輸入し、又は輸出する場合を除く。)。
第二十四条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、七年以下の懲役に処する。
2 営利の目的で前項の罪を犯した者は、十年以下の懲役に処し、又は情状により十年以下の懲役及び三百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。

大麻の単純輸入罪の法定刑は、

7年以下の懲役

ですが、営利目的輸入罪の法定刑は、

10年以下の懲役、または情状により10年以下の懲役と300万円以下の罰金

と単純輸入罪より重たいことがわかります。
営利目的の法定刑が重いのは、財産上の利得を目当てとして犯罪を行うことが道義的に厳しく非難に値するというだけでなく、一般にその行為が反復・累行され、規制薬物の濫用を助長・増進させ、国民の保健衛生上の危害を増大させる危険性が高いためだとされます。
営利目的での大麻密輸で有罪となった場合は、重たい量刑も覚悟しなければなりません。
たとえ初犯であっても実刑となる可能性もあるでしょう。

~ 起訴後の接見禁止 ~

接見禁止決定とは、通常検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者・被告人が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者・被告人と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じる決定のことをいいます。

勾留決定直後に接見禁止決定が出ると、通常、公訴の提起に至るまで(起訴されるまで)

という条件を付されます。この場合、起訴後に接見禁止決定が出ない限り、起訴された方(被告人)は弁護人以外の者とも接見することが可能です。しかし、起訴後も接見禁止決定が出る場合があります。この場合はやはり弁護人以外の者とは接見することができません。
接見禁止決定を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。実務では後者の手段を取ることが多いです。
そのほか、弁護人以外の者との接見を希望する場合は保釈請求して保釈を獲得することが考えられます。

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