大麻所持と逮捕後の流れ
大麻所持と逮捕後の流れ
~ケース~
会社員のAさんは、埼玉県さいたま市浦和区内の自宅で大麻を栽培し,インターネットなどで大麻の販売をしていた。
ある日,Aさんは近所にある行きつけのバーで自分の栽培した大麻を使用した。
帰宅中,通りがかった埼玉県浦和警察署の警察官に職務質問をされ,ポケットから残っていた大麻が見つかり大麻取締法違反(所持)の現行犯として逮捕された。
Aさんは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に初回接見を依頼した。
(フィクションです)
~大麻取締法~
大麻取締法は、覚せい剤取締法,あへん法,麻薬及び向精神薬取締法とならぶ薬物四法のひとつです。
その名の通り,「大麻」すなわち大麻草の所持などを規制しています。
しかし,大麻取締法第1条では、成熟した茎およびその製品,大麻草の種子およびその製品を大麻から除くと規定しています。
また,大麻の使用そのものは規制されていません。
大麻が規制対象となっているのは、大麻草に含まれるテトラヒドロカンナビノールという成分が多幸感,幻覚,妄想などを引き起こし有害作用があるためです。
このテトラヒドロカンナビノールは大麻草の樹液に多く含まれており,花や葉には樹液が多く含まれていますが,成熟した茎や種子にはあまり含まれていません。
日本では,茎の部分は麻縄や麻織物として利用されていますし,種子の部分は七味唐辛子に使用されています。
大麻草をすべて規制対象としてしまうと,麻縄や七味唐辛子を持っているだけで,大麻所持として大麻取締法違反となってしまいます。
そのため,成熟した茎や種子およびその製品は大麻取締法の規制の対象から外されています。
また,薬物の使用の有無は主に検査などで指定成分(大麻では上記のテトラヒドロカンナビノール)が体内から検出されるかどうかで判断されます。
大麻の茎や種子には少量とはいえテトラヒドロカンナビノールが含まれていますので、七味唐辛子などで大麻の種子を食べた場合に検出されてしまう可能性があります。
そのため,規制対象となっている大麻草の花・葉・樹脂などからテトラヒドロカンナビノールを摂取したと確実に言うことができません。
そこで,覚せい剤など他の薬物と異なり、大麻については使用が処罰範囲から除外されました。
もっとも,罰せられるべき大麻の使用は,大麻の所持なくしては現実的には不可能ですので大麻所持で検挙されることは当然ありえます。
なお,覚せい剤や麻薬などは製造が禁止されていますが,あへん法や大麻取締法では原料であるケシや大麻草の栽培が禁止されています。
罰則は大麻の所持・譲受・譲渡は5年以下の懲役,栽培・輸出・輸入は7年以下の懲役となっています。
営利目的での所持などは7年以下の懲役および200万円以下の罰金の併科,栽培などは10年以下の懲役および300万円以下の罰金の併科となります。
~逮捕後の流れ~
薬物事件では,多くの場合が所持をはじめとするいくつかの違反行為の併合罪となります。
今回のAさんも大麻の栽培,所持および譲渡を行っています。
刑事事件において、逮捕や勾留(10日以上にわたる身体拘束)は逮捕状や勾留状に記載された犯罪事実のみに効力が及ぶとされています(事件単位の原則)。
たとえば,コンビニでの万引きで逮捕・勾留し,その身体拘束を利用して別の強盗事件の取調べなどをすることは原則として許されないとされています。
薬物事件の場合,使用・所持などは厳密にはそれぞれ別個の事件ですが一度の逮捕・勾留で一緒に取り調べられることが多くなっています。
このような場合,事件同士の関連性などから許されるかどうかが判断されます。
また,事件単位の原則を厳密に適用しますと,所持について逮捕した後,栽培で逮捕し,またその後に譲渡で逮捕というかえって被疑者の身柄拘束期間が長くなってしまいます。
そのため,身柄拘束期間を短縮する面でも,薬物事件で互いに密接関連しているような事件同士では一緒に取調べされる場合が多くなっています。
薬物事件では多くの場合勾留がなされますが,ある程度捜査が進展する前に身柄解放に向けた活動をした場合,釈放された後に別の容疑で再逮捕・再勾留されてしまう可能性が高くなっています。
薬物事件で逮捕されてしまい今後の見通しなどが不安な場合には、薬物事件の弁護経験が豊富な弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
薬物事件で逮捕されてしまい,今後の見通しなどがご不安な場合には0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署等での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
(埼玉県浦和警察署での初回接見費用:35,900円)