大麻共同所持で即決裁判

2019-08-29

大麻共同所持で即決裁判

東京都小金井市で同棲していたAとBは,自宅において大麻を所持していたとして,警視庁小金井警察署の警察官は,AおよびBを大麻取締法違反(共同所持)の疑いで逮捕した。
Aの家族は,薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~近年の大麻取締法違反事件の増加~

近年,若年層を中心とした大麻の蔓延が一種の社会問題と化しています。
犯罪統計や司法統計などを見ても,ほとんどの犯罪が認知件数や公判請求数を減少させているのに対し,大麻取締法違反事件は近年逆に増加傾向を見せているのです。
本件Aも,この大麻取締法違反(共同所持)により,逮捕されてしまっています。

大麻取締法は,3条1項において,「大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない」と規定し,大麻の「所持」を禁じています。
そして,これを受けて24条の2第1項は,「大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、五年以下の懲役に処する」と,罰則を定めています。
本件では,上記法の罰則の存在から,大麻所持での逮捕に至っていることになります。

もっとも本件のように,(捜査官の捜索差押え等に基づき)共同で住んでいる自宅から大麻が発見された場合,一方が他方の個人所持だという弁解がされることがあります。
そして,共同所持しているかどうかは微妙なケースも存在し,あくまで大麻取締法上の「所持」たる管理・処分権が一方に(例えば本件であればAに)認められなければ,あくまで大麻は個人の単独所持に留まることになる可能性があります。
共同所持が認められるかどうかは,本件のような同居・同棲の生活実態等を具体的に把握しなければ判断できないといえるでしょう。

~薬物事件における即決裁判手続の利用 ~

逮捕されてしまった場合,上記のように所持を否認(=犯罪自体を否認)することも考えられます。
もっとも,共同所持の犯罪事実を争わない場合には,即決裁判手続を利用するなど,早期に刑事手続・裁判から解放される方策も検討に値するでしょう。
平成16年に改正(18年施行)により加わった即決裁判手続は,
・「検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれることその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。」(刑訴法350条の16第1項本文)
と規定し,主に薬物事件などを想定して,迅速・簡易な裁判手続を導入しました。
即決裁判による場合,「懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の全部の執行猶予の言渡しをしなければならない」(350条の29)とされ,罰金刑以外は,必ず刑の全部が執行猶予となることが保障されることになります。
このような即決裁判手続の利用もあり,大麻取締法違反事件では公判請求(=起訴)された事件の9割近い事件が,執行猶予付きの有罪判決で終わっていることも事実です(平成29年対象の司法統計等参照)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,大麻取締法違反事件を含む薬物事件にも力を入れている刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族等が大麻取締法違反(共同所持)事件逮捕されてしまったという一報を得た方は,早急に24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
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