職務質問

2021-05-13

職務質問について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

神戸市内に住むAさん(40歳)は、仕事を終え帰宅途中、警察官から職務質問を受けました。Aさんは、警察官からポケットの中など全て見せるよう。所持品検査を求められました。Aさんは、ズボンのポケット内に大麻を入れていたことからこれを拒否しましたが、警察官から「拒否するなら令状持ってくるけど?」と言われました。そこで、Aさんは渋々、ポケットの中から大麻を取り出し、警察官に提出しました。警察官の検査の結果、大麻であることが判明したため、Aさんは大麻取締法違反(所持罪)の現行犯で逮捕されてしまいました。なお、大麻はその場で差し押さえられました。
(フィクションです)

~職務質問、所持品検査 ~

職務質問は、

警察官職務質問執行法2条1項

に基づいて行われています。

警察官職務質問執行法2条1項

警察官は,異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し,若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について,若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる

また、所持品検査については、これを認めた規定はありません。しかし、所持品検査は、口頭による質問と密接に関連し、かつ、職務質問の効果をあげる上で必要性、有効性の認められる行為ですから、職務質問に付随して行うことができるとされています(最高裁昭和53年6月20日)。

~職務質問の限界~

前述のとおり、警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して、何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうと疑うに足りる相当な理由(不審事由)のある者などを停止させて質問することができます。
その際、警察官にある程度の実力行使(有形力行使)が認められなければ、職務質問の目的を達成することができない場合があります。

そこで、行政目的達成の必要性と人権保障との調和から「必要かつ相当」な範囲であれば有形力の行使が認められると考えられます(最決平6.9.16 参照)。
裁判の判例では、「覚せい剤使用の疑いのある者が自動車を発進させるおそれがあったため、警察官が、エンジンキーを引き抜いて取り上げた行為」は適法とされています。

職務質問についての実力行使(有形力行使)が「必要かつ相当」な範囲であるかどうかは個々の事案によって判断されます。
もし、警察官の職務質問の際に何らかの違法性を感じた場合には、すぐに弁護士に相談することで、その後の弁護方針を検討することが重要となります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。覚せい剤事件などの薬物事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。