薬物事件における違法な所持品検査

2020-11-26

薬物事件における違法な所持品検査について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。

~事例~

大阪府茨木市に在住のAさん(22歳)は、禁止薬物の密売人が地域において、大阪府茨木警察署の警察官2人組に突然職務質問をされました。
Aさんの言動を不審に思った警察官に、Aさんが背負っていたリュックサックの中身を見せるように言われましたが、Aさんは頑なに拒否しました。
すると、Aさんは1人の警察官に身動きができないようにされ、もう1人の警察官に勝手にリュックサックを開けられてしまいました。
リュックサックの中には覚せい剤が入っており、Aさんは覚せい剤取締法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
(これはフィクションです)

~所持品検査~

所持品検査は、職務質問の効果をあげるうえで、必要性や有効性が認められるならば、職務質問に付随する行為として行うことができるとされています。
職務質問については、警察官職務執行法(警職法)で以下の様に規定されています。

警職法 第2条1項 質問
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者~を停止させて質問することができる。
~警察比例の原則~
警察活動には、警察比例の原則というものがあります。
警察比例の原則とは、「警察活動は、必要性に見合った相当なものでなければならない」とする原則のことです。

所持品検査も例外ではなく、警察比例の原則に従わなければなりません。
つまり、所持品検査には「必要性」と「相当性」が求められます。
所持品捜査の「必要性」や「相当性」には、明確な基準はなく、具体的状況の下で判断されるとされています。

~違法な所持品検査~

所持品検査が必要ではなかったり、相当ではなかったりする場合、つまり警察比例の原則に反するような違法な所持品検査であるときは、その後の刑事手続きにも影響が及ぶことがあります。

例えば、違法な所持品検査によって、覚せい剤が発見され、覚せい剤取締法(所持)違反現行犯逮捕された場合、違法に収集された証拠は証拠として認められませんので、その後の刑事裁判では無罪判決が言い渡されることもあるのです。

~薬物事件のときの弁護活動~

覚せい剤取締法違反等の薬物事件で警察の捜査を受ける方のほとんどは、証拠隠滅や、逃走等のおそれを理由に、逮捕や勾留といった身体拘束を受けてしまいます。
そこで、ご家族の方から弁護士に初回接見サービスの依頼をすることをおすすめします。
初回接見とは、弁護士が、逮捕されてしまった方のもとに面会(接見)に行くサービスのことです。
弁護士は、立会人無しで逮捕されてしまった方と話し合うことができるので、事件に関して伝えたいことを正直に話すことができます。
また、今後の取調べで自分に不利なことにならないような対応の仕方を伝えることもできます。

今回の事例では、所持品検査違法となる可能性があります。
弁護士はそのような違法な捜査活動に対応できるスペシャリストです。
逮捕されてしまった方との接見をもとに、所持品検査が違法であったという証拠を集め、釈放するように働きかけることができるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では刑事事件に強い弁護士が無料法律相談、初回接見サービスをおこなっております。
無料法律相談や初回接見サービスの予約はフリーダイヤル0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、薬物事件など、刑事事件でお困りの方はお気軽にお問い合わせください。