MDMA~職務質問から現行犯逮捕

2020-01-06

MDMA~職務質問から現行犯逮捕

MDMA所持が職務質問で発覚し現行犯逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

福岡県うきは市に住むAさん(35歳)は、自転車に乗って買い物に行く途中、福岡県うきは警察署の警察官から職務質問を受けました。Aさんは、警察官からポケットの中など全て見せるよう。所持品検査を求められました。Aさんは、ズボンのポケット内にMDMAを入れていたことからこれを拒否しました。しかし、Aさんは警察官から「令状持ってくるけど?」と言われたため、渋々、ポケットの中からMDMAを取り出し、警察官に提出しました。警察官の検査の結果、MDMAであることが判明したため、Aさんは麻薬及び向精神薬取締法違反(所持罪)の現行犯で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)

~ MDMAと職務質問 ~

Aさんは、警察の職務質問をきっかけに所持品検査を受けた結果、MDMAの所持が発覚し、「麻薬取締法違反」の疑いで逮捕されています。
職務質問も所持品検査も、Aさんの意思に基づいて行われるものです(任意です)。

しかし、任意と言っても、警察官は職務質問には当然従うべきものであるかのような態度で職務質問や所持品検査を求めたり、場合によっては複数人の警察官の応援を呼んで、対象者が逃げないように対象者を取り囲んで職務質問、所持品検査を行うこともあります。そうすると、職務質問や所持品検査を受けた方にとってはもはや任意とは受け取れなくなるでしょう。

ただ、その際に、職務質問を拒否しようとしてあまり過激な態度を取ってしまうと、警察官から「その態度の裏に何かあるのでは」、と疑われてしまうおそれもあります。ここで、もし警察官を突き飛ばしたり、掴まれた腕を振りほどいたりすると公務執行妨害罪で逮捕されてしまうおそれもありますので、職務質問、所持品検査への対応には注意が必要です。

また、最近は、職務質問や所持品検査の対応に関して、インターネット上で様々な情報が流れています。しかし、これらの情報を鵜呑みにすると、情報の正確性が担保されていないことも考えられますから逆効果となり、やはり逮捕されてしまうおそれもあります。
もし職務質問や所持品検査を受けられた際に気になったことがあれば、ぜひその点を含めて弁護士に相談されるとよいでしょう。

~ MDMAと現行犯逮捕 ~

警察官はAさんからMDMAの提出を受けています。
このように、捜査上の必要に基づき物を占有する処分を「領置」といいます。
領置は、刑事訴訟法221条に規定されています。

刑事訴訟法221条
 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。

領置も対象者の意思に基づいて行われる任意処分なので、一応拒否するということも可能です。
ただし、物の提出を拒否すると、今度は捜索、差押えにより強制的に物を押収される可能性が出てきます。
領置段階では、あくまで物の提出を求められるにとどまるかと思いますが、捜索、差押え段階となるとバッグを開けられ中身を取り出されたり、あるいはバッグそのものを差押えられるリスクも出てきます。

Aさんは麻薬及び向精神薬取締法違反で現行犯逮捕されています。
現行犯逮捕については、刑事訴訟法212条1項、2項、213条に規定されています。

刑事訴訟法212条1項
 現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする。
刑事訴訟法213条
 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

Aさんは、まさにMDMAを所持していたと疑われたことから、「現に罪を行った者」として現行犯逮捕されたのです。

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