覚せい剤使用罪で逮捕され無罪主張

2020-01-01

覚せい剤使用罪で逮捕され無罪主張

覚せい剤使用罪で逮捕されてしまった場合の無罪主張ついて,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

Aは,東京都台東区にあるホテルの駐車場において,自己の体内に覚せい剤を注射することによって使用したとして,警視庁浅草警察署の警察官に,覚せい剤使用罪の疑いで逮捕された。
なお,Aは,警察官の捜査に違法がある旨を主張している。
Aの家族は,薬物事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~覚せい剤取締法について~

本件Aは、ホテルの駐車場において覚せい剤を使用した疑いで逮捕されてしまっています。
この点について、薬物を取締り、これを不法に所持や使用したものの処罰を定めているのが「覚せい剤取締法」です。
覚せい剤取締法は、41条の3第1項第1号において、「第19条(使用の禁止)の規定に違反した者」を「10年以下の懲役に処する」としています。
そして、同法19条は、法定の除外事由(典型的には研究行為や医療行為等)のない限り「何人も、覚せい剤を使用してはならない」ものと規定しています。

同条における「使用」とは、覚せい剤をその用法にしたがって用いる一切の行為を指すとされています。
覚せい剤の摂取態様には、その種類に応じて様々なものが考えられますが、上記のように「使用」とはかなり包括的な概念であり、また本件のような注射による覚せい剤の摂取という典型的な行為が「使用」に当たることは明らかであるといえます。
もっとも,証拠上,「使用」したかどうかについては,尿検査によって覚せい剤成分を検出する必要があります。

~覚せい剤事件(薬物事件)における無罪主張~

よく勘違いされやすいこととして,刑事裁判における立証責任の所在の問題があります。
刑事裁判においては,被告人や弁護士が無罪を証明する必要はなく,あくまで相手方当事者である検察官が有罪の証明をしなくてはならないということです。
したがって,被告人・弁護士が無罪主張を行うことは,検察官の有罪主張のための立証活動を弾劾することに尽きるということになります。

この点,薬物事件で争点になりやすいのが,検察官が有罪立証のために提出する証拠物等が違法捜査によって獲得されたものであって証拠として排除されるのではないかということです。
これは具体的には,判例(最判昭和53年9月7日等参照)上も確立した「違法収集証拠排除法則」の適用を主張するものです。
覚せい剤事件は,尿採取を巡る被疑者の長時間の留め置きなど違法捜査が顕在化しやすい犯罪類型ともいわれています。

これまで,実務においては,違法収集証拠排除法則の主張はなかなか通るものではないという認識が一般的でしたが,近年では特に下級審レベルにおいて無罪が確定したものも含め違法収集証拠排除の主張が徐々にではありますが裁判所に受け入れられつつあるのが現状といえます。
したがって,薬物事件においても無罪主張にあたっては,臆することなく違法捜査の主張することも十分に考慮されるべきであると考えられます。
仮に罪を犯してしまったとしても,憲法・刑事訴訟法に違反する捜査活動は断じて許されないのです。
近時も,薬物事件において,尿検査の手続きの際に捜査官が被疑者に対し,虚偽の説明が行ったことなどを重視し,採取された尿の証拠能力を否定し,被告人に無罪判決が下されています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,覚せい剤使用罪などの薬物事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
覚せい剤使用事件で逮捕された方のご家族は,24時間365日対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)に 早期にお問い合わせください。
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