麻薬取締官によるLSD所持・使用事件の捜査

2021-06-03

今回は、麻薬取締官によってLSD所持・使用事件が捜査される場合の刑事手続につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

近畿厚生局麻薬取締部の麻薬取締官らは、大阪府に住むAさんがLSDを所持・使用しているとの情報を受け、内偵を重ねた後、裁判官から捜索差押許可状を取得し、Aさんの自宅を捜索しました。
捜索の結果、Aさんの台所にある食器棚からLSD様の錠剤が発見されました。
麻薬取締官らが上記錠剤を検査したところ、LSDであることが判明したため、Aさんは麻薬及び向精神薬取締法違反(所持)の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~LSDの所持・使用罪について~

(所持罪)
Aさんは、LSDを所持していた疑いで逮捕されました。
麻薬及び向精神薬取締法第66条1項は、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬を、みだりに、製剤し、小分けし、譲り渡し、譲り受け、又は所持」する行為を禁止しています。
LSDは、「ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬」に該当します。

「所持」とは、「事実上の実力支配関係」をいい、自宅台所の食器棚の中でLSDを保管する行為は、当然ながら「所持」に該当します。

LSDの所持については、7年以下の懲役が予定されています。

(施用罪)
AさんはLSDを「所持」していた疑いで逮捕されていますが、これを使用する目的で所持していたのであれば、LSDを「施用」しているのではないかと疑われる可能性が極めて高いです。

麻薬及び向精神薬取締法第27条1項柱書本文は、「麻薬施用者でなければ、麻薬を施用し、若しくは施用のため交付し、又は麻薬を記載した処方せんを交付してはならない」としています。
「施用」とは、「麻薬を注射、経口、粘膜への塗布、鼻腔からの吸入等の方法によって、自己又は他人の身体に用いること」をいいます。
LSDの薬理効果を得るため、これを飲むなどした場合には、上記「施用」に該当することになります。

逮捕されたAさんの尿からLSDの施用を示す反応が検出されれば、LSDの施用行為を立証する強力な証拠になります。
この場合には、LSDの施用罪についても捜査がなされることになるでしょう。

LSDの施用罪についても、7年以下の懲役が予定されています(麻薬及び向精神薬取締法第66条の2第1項)

~麻薬取締官とは?~

ところで、今回の捜査機関は警察官ではなく、麻薬取締官です。
警察官ではないのに、Aさんの自宅を令状によって捜索したり、Aさんを逮捕できるのはなぜでしょうか。
それは、麻薬取締官が、薬物犯罪の捜査権限を与えられた特別司法警察職員とされているからです(麻薬及び向精神薬取締法第54条5項)。
これによって、麻薬取締官はLSD所持・使用事件について捜査権限を有し、捜索・差押や被疑者の逮捕、取調べなどを行うことができます。

~長引きがちな勾留~

薬物事件の被疑者として逮捕されてしまった場合、身体拘束が非常に長引きがちです。
それは、薬物の入手ルート、薬物を扱っている組織、人物の解明に時間がかかるからです。
また、逮捕された被疑者はしばしば薬物の入手ルートに関連する情報について黙秘するため、この点も身体拘束の長期化に関係があると考えられます。

早期の身柄解放の実現はかなりハードルが高いといえますが、いずれにしても弁護士によるサポートが受けられる場合と、受けられない場合とでは大きな違いがあります。
起訴されてしまった場合には、保釈の実現を目指す必要があり、また、有罪の場合に執行猶予付き判決が得られなければ、刑務所に行かなくてはならなくなります。
保釈を実現できる可能性、執行猶予付き判決を獲得できる可能性を高めるためには、弁護士のサポートが非常に重要となります。
できるだけ早く弁護士の接見を受け、弁護活動を依頼することを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がLSDを所持していた疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。